ゲートキーパーの数をもっと多くしよう!-役割や研修について-

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こんにちは、改めましてM. Jです。

この記事をご覧の皆さん、日本は先進7カ国の中でも「15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっている」という状況にあるのをご存じでしょうか?

そうした状況にも関わらず、本格的な「自殺者を減らすための対応」はまだまだ不十分です。

2006年に「自殺対策基本法」が制定されましたが、自殺による死亡者数は依然「2万人を超えている」という状態で、自殺が「社会問題」になった後も、大きく減少していません

現在は「電話などによる相談窓口の設置」のような、受動的な対策が主流のようですが、このままでは「積極的な関わりが少ない」、大幅な「自殺者の減少」は望めないと思うのは私だけでしょうか!

 

近年、自殺者数を減らす方法として「ゲートキーパー」という役割を果たす人を増やしていこうという取り組みが進められています。

ゲートキーパーはもともとは日本のみならず海外でも、自殺対策の分野で広く使われている言葉で、悩んでいる人に寄り添い、関わりを持って「孤立・孤独」を防ぎ支援する人のことを指します。

しかし、このゲートキーパーには「認知度が低いこと」「ゲートキーパーを養成する研修が少ないこと」などまだまだ課題もあるようです。

 

M.Jも、ゲートキーパーについては「言葉だけ知っている」という状態でした。そこで、「ゲートキーパーについてしっかり認識していきたい!」という思いのもと、M.Jは保健所に行き、保健所の方にお話を聞いてきました。

「自殺を考えている人の心理」「ゲートキーパーの役割」保健所の職員さんから学んだことを中心に「ゲートキーパー」について深く掘り下げていこうと思います

今回は、以下の項目に沿って書きます。

  • 自殺者数の推移・法律・自殺を考える人の苦悩
  • ゲートキーパーの概念・心得
  • ゲートキーパーの役割
  • セルフケアの方法:精神状態の改善
  • 保健所からのアドバイス
  • ケアマネジャーのように研修をしよう!
  • 理想の社会になるための提言

次の項では、日本における自殺者数の推移・法律などについて書きます。

自殺者数の推移・法律・自殺を考える人の苦悩

日本における自殺の状況はどのようになっているのでしょうか?

ここでは自殺者数の推移や、それにまつわる法律、心理について整理します。

日本における自殺の状況

自殺者の推移

  • 自殺者の総数(以下、自殺者数)は、1997年(平成9年)から急激に増えている。
  • 自殺者数は、2003年(平成15年)が最も多く34,427人だった。
  • 2003年以降は緩やかに減少している。
  • 最近、2022年(令和4年)の自殺者の総数は21,881人となっている。
  • しかし、女性の自殺者数はほとんど減少していない。

《女性:2003年は9,464人、2022年は7,135人》

  • 自殺者数の男女比で見ていくと、女性の自殺者は増えている。

年齢別の自殺者数

  • 年齢別自殺者数は「20歳代」「40歳代」「50歳代」で増加している。

《特に、40歳から60歳の自殺者数は著しく増えている》

  • ちなみに、福岡県の自殺者の年齢は「20歳未満」「20歳代」「50歳代」が多くなっている。
  • 自殺率は「10歳代」「50歳代」で著しく増加している。

自殺に関する法律】→詳細は以下の文献に記載

  • 2006年:自殺予防活動などに取り組んでいる団体が中心となり「自殺対策の法制化」の署名を国会に提出
  • 2006年10月21日:自殺対策基本法が施行
  • 2007年:自殺総合対策大綱が制定
  • 2012年:第二次自殺総合大綱が制定
  • 2016年:自殺対策基本法が改正
  • 2017年:第三次自殺総合大綱が制定
  • 2020年:いのちを支える自殺対策推進センターが指定調査研究法人に
  • 2022年:第四次自殺総合大綱が制定

自殺を考えている人の心理

《1》死にたい気持ちは、いつも「両価的」

  • 自殺行動をする時「死にたい気持ち」と「生きたい気持ち」をもっている。(両価性)
  • 死にたい気持ちと生きたい気持ちの「振り子が大きくなる」と危険!

《2》心理的視野狭窄

  • 苦しい状態が続いて、自殺以外の「解決策」が見えなくなっている状態。
  • 心理的に「視野が狭くなっている状態」危険!

自殺を防ぐ方法

  • 「生きやすさの要因」が「生きづらさの要因」よりも多くなることが大事!

以下の文献には、自殺対策の法律について詳しく書いてあります。

ご覧いただけると有り難いです。

参考:命を支える自殺対策推進センター:自殺対策の歩み

 

改めて、日本の自殺者数を見ていくと「大きく減少していかない!」と思ってしまうのは私だけでしょうか!

自殺対策基本法が制定されて、もうすぐ20年になるにも関わらず「大きく自殺者が減少するイメージ」がないことは、ものすごく残念としか言いようがありません。

法律が先行している感じで「国や都道府県などといった公的機関の活動」がうまく機能しているとは言えない状態です実際の現状を把握できていない感じがします。

そこで、自殺対策を更に推進させていくものとして「ゲートキーパー」を増やすための取り組みが推進されるようになりましたが、前述したように認知度がかなり低いす。

このゲートキーパーですが、一体どのようなものでしょうか?次の項では、ゲートキーパーの概念・心得について書きます。

ゲートキーパーの概念・心得

ゲートキーパーとは・・・地域・職場・教育などの分野において、悩んでいる人に対して以下の役割が期待される人のことで、特に資格などは必要ありません

ゲートキーパーの心得

相手と関わるための心の準備をすること

温かみのある対応を心がけること

相手の話を否定せず、しっかり聴くこと

相手の苦労をねぎらうこと

心配していることを伝えること

一緒に考えることが必須支援の基本

困った時のつなぎ先《相談窓口》を把握すること

ゲートキーパー自身の健康管理は大事

スキルアップが大事

 

今後、日本で「自殺者を大きく減らしていく」ためには「ゲートキーパーを養成すること」が必要不可欠だと思います。

そして、ゲートキーパーの「心得」をしっかり見れば見るほど、本格的に「ゲートキーパーを養成するシステム」を考えるべきではないかと感じました。

自殺を考えるほど「苦痛を抱えている状態」の場合、「周囲の人の助け」は必要不可欠です!

上記の心得にある「温かみのある対応」「心配していることを伝えること」「本人と一緒に考えること」で、「生きる希望」を与えることができればと思いますが、そのためには「ゲートキーパーの役割」についてしっかり学んでいくことが必要となってきます。

ゲートキーパーにはどのような役割があるのでしょうか?次の項では、ゲートキーパーの役割について書きます。

ゲートキーパーの役割:5つのステップ

ゲートキーパーの役割

ステップ《1》➖気づき

最も大切なこと家族や周囲の人が変化に気づくこと!

・・・「表情が暗い」「落ち着きがない」「今までにない失敗が増えた」など

ステップ《2》➖声掛け

いつもと違う様子・行動をしている人に対して「あなたのことを心配している」という気持ちを伝えること!

=どのような声掛けをすればよいか=

  • 「どうかしたの? なんだか辛そうだけど・・・」
  • 「何か悩んでいる? よかったら話をしませんか」
  • 「何か力になれることはありますか?」

ステップ《3》➖話を聴く→傾聴

安心して話せる環境(雰囲気)をつくること!

相手の気持ちや考えに寄り添う姿勢を徹底すること!

相手の話をしっかり聴くこと!

相手の感情を否定しないこと!

心配していることを言葉にして伝えること!

良い対応

共感➖「大変だね」「つらいね」など

ねぎらい➖「それは大変でしたね」「よく頑張ったね」など

感謝の気持ち➖「話してくれてありがとう」など

悪い対応》→絶対に言ってはいけない!「禁忌!」

安易な激励➖「頑張れ」「元気を出そう」など

批判・否定➖「辛いのはみんな一緒」「あなたにも原因がある」など

ステップ《4》➖つなぎ

相談窓口につなげる時は必ず「相談者の了解」を得ること!

相談窓口に紹介する時は、相談者に対して「丁寧な情報提供」を行うこと!

相談窓口に直接連絡をとり「相談の日時・場所」を相談者に伝えること!

一緒に相談窓口に出向くことが難しい場合は、地図やパンフレットを渡すこと!

主な相談窓口

➖「保健所」「市役所・町役場」「地域包括支援センター」「福祉事務所」など

ステップ《5》➖見守り

相談先につながっても「継続したフォロー」を行う

必要があれば話を聴くことを続ける。

 

上記のステップで、私が一番重要視しているのはステップ《1》の「気づき」です

自殺をするほど「苦痛を感じている方」に「気づく」ことは簡単ではありません!

相手の「言葉」や「顔色」などで「危険だ!」と認識しなければならないからです。

まさか、自殺をするとは思わなかった・・・」という周囲のコメントが多いようです。

よって、相手を「慎重に観察する」ことは必要不可欠です!

十分観察できると「ステップ《2》の声掛けの行動・《3》の傾聴」につながってきます。

これら5つのステップは「何度も読み返さないと難しい」「できない」と感じる方もいるかもしれません。

もし仮に5つのステップができて、自殺者が減少したとしても、ゲートキーパー自身にも負荷がかかるため、「ゲートキーパー自身の健康が損なわれる危険性」もあります。

どのようにすれば、ゲートキーパーの健康を損なわずに済むのでしょうか?次の項では、ゲートキーパー自身のセルフケアの方法について書きます。

ゲートキーパー自身のセルフケアの方法:精神状態の改善

ゲートキーパーの役割は大事ですが、一方で難しい要素が多くストレスによる精神的な負担が大きいため、「ゲートキーパー自身がストレスを溜めないこと」「気持ちの切り替え」や 以下のような「リラックスの方法を見つける」ことはものすごく重要です!

リラックスの方法を見つける

深呼吸をする腹式呼吸

音楽を聴く

思いきり趣味の時間をとる

自然に触れる・親しむ

食事・入浴を楽しむ 

次の項では、保健所の職員さんから学んだことについて書きます。

保健所からのアドバイス

現在、公的機関である「保健所」では、実際の自殺対策はどのようにされているのでしょうか?

記事をご覧の皆さんにとっても「新鮮なアドバイス」だと思います。ご覧になっていただけると「自殺対策」や「ゲートキーパー」について理解しやすくなると思います。

保健所の職員さんのお話

生きることに苦痛を感じている方(以下、苦痛を感じている方)に対して「話をしっかり聴くこと」「相手の気持ちに共感して受けとめること」はものすごく重要である。

苦痛を感じている方に対して「あなたのことを心配している」と伝えること!

ゲートキーパーは誠実な態度を保ち続けることが大事!

ゲートキーパーは「そばにいる親しい人のイメージ」で、苦痛を感じている人が「話し掛けやすい人」になることを目標とすること!

苦痛を感じている方への関わりは、絶対に「1回きりで終わらせない」こと!

苦痛を感じている方に対しての「中途半端な関わり」は禁忌

基本的に1人で対応しないこと本人の安全確保は必須!

相談機関や専門家につなぐこと!

ゲートキーパー自体が「抱え込みすぎない」こと!

ゲートキーパーの研修会を多くすることは「今後の課題」である。

 

保健所の職員さん、丁寧にアドバイスをしていただき、どうもありがとうございます!1つ1つのアドバイスをしっかり受けとめていこうと思います。

今回、保健所で「自殺対策」や「ゲートキーパー」について多くのことを学ぶ中で、私は「ゲートキーパー」こそ「徹底した研修が必要不可欠」だと感じました。

実際には「研修のシステムが著しく少ない」のです。

しかし、研修が少ないと言ってばかりでは生産性がありません。

研修のシステムが充実している職業は、どのような職業でしょうか?

次の項では、研修のシステムが充実している職業について書きます。

ケアマネージャーのように研修をしよう!

資格を取得するための試験があり、資格を取得した後も「研修のシステムが充実している職業」といえば「介護支援専門員(以下、ケアマネージャー)」ではないでしょうか。

 この項では、ケアマネジャーの研修のシステムについて書きます。

ここでは、主任介護支援専門員以外の研修について書きます。

ケアマネージャーの資格取得・研修

医療や介護の仕事を規定の年数経験する《基本的に5年以上:職種によって異なる》

各職種を経験したことの証明書が必要!

都道府県で行われるケアマネージャーの試験を受ける合格することが研修を受ける条件!

《福岡県は約20%(5人に1人)の合格率:狭き門》

研修《1》:講義を受ける

①介護保険制度の理念・現状・ケアマネジメント

②ケアマネジメントに関わる法令の理解

③地域包括ケアシステム及び社会資源

④ケアマネジメントにおける多職種協働の意義

⑤人格尊重・権利擁護ならびにケアマネジャーの倫理

⑥ケアマネジメントのプロセス など

研修《2》:講義・演習を受け

①自立支援のためのケアマネジメントの基本

②相談援助職としての基本姿勢及び相談支援技術の基礎

③利用者・多くの専門職への説明及び合意

④ケアマネジメントに必要な基礎知識及び技術

⚫︎居宅サービス計画 ⚫︎モニタリング など

⑤ケアマネジメントの展開(障がいなどに対するケアマネジメント)

⑥アセスメント・居宅サービス計画作成の演習 など

 

M.Jは、約10年前にケアマネジャーの試験を受けて合格した後、上記のような「研修」を1回受けました。

研修《1》《2》を見てもわかる通り「しっかりした研修」だと思います

この研修ですが、16日間の研修かつ「5年ごとの更新」が義務となっています。

ケアマネジャーを実際に続けていこうと思えば「研修が多く、ものすごく厳しい道のり」ということはイメージすることができると思います。

 

ゲートキーパーも「勉強する内容」であれば、ケアマネジャー程ではありませんが「研修のシステム化」は欠かせないと思います!

ゲートキーパーには「必要な要素」が多くあるので、研修があることによって「ゲートキーパーの質の向上」「自殺者の大幅な減少」が期待できます!

次の項では、今後のための提言を書いていこうと思います。

理想の社会になるための提言

以上、ゲートキーパの数をもっと多くしよう!でした。この記事をご覧の皆さん、いかがでしたか?

ゲートキーパーの必要性を感じていただけると有り難いです。

今回の記事を通して、以下の提言をしようと思います。

今後に向けた提言

ゲートキーパーについて、今よりも多くテレビやYouTubeで告知する

公的機関など都道府県単位で「ゲートキーパーの研修」を最低年1回は実施する

自殺対策を「相談」だけでは終わらせず、市町村単位で積極的に関わる

以下は、厚生労働省がゲートキーパーについて動画を作成したものと、研修テキストです。ご覧いただけると有り難いです。

こころのサインに気づいたら – YouTube

ゲートキーパー養成研修用テキスト|自殺対策|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

とにかく「今の自殺対策では自殺者は増えていく」と認識していくことが大事なことです!

今後、ゲートキーパーのしっかりした「システム化」や「研修」は、必要不可欠です!

多くの人が「ゲートキーパー、知っているよ!」「ゲートキーパーになりたい!」という社会になれば「生きづらさ」が軽減していくと思います!

 

記事をご覧いただき、どうもありがとうございました!

今回の記事は、以下の文献を参考にしました。

参考:福岡県:ゲートキーパー手帳(PDF)

   NIPPON.com:若い世代の「死因トップが自殺」はG7で日本だけ

   厚生労働省:海外の自殺の状況(PDF)

   厚生労働省:令和4年中における自殺の状況(PDF)

   環境再生保全機構:口すぼめ呼吸と腹式呼吸(PDF)

   フマキラー:自宅・職場で簡単にできるリラックス方法を紹介!

   ケア求人ナビ(介護のお仕事研究所):ケアマネの研修って・・・?

   厚生労働省:ケアマネジャーの研修制度について(PDF)   

以下の記事は、素敵なライターが自殺防止のために書いたメッセージです。ご覧いただけると有り難いです。

関連記事:salad:増える「自殺報道」〜やるべきではないこと・やるべきこと〜

以下の記事は、多くの素敵なライターたちが生きることが苦痛な人に向けた温かいメッセージです。ご覧いただけると有り難いです。

関連記事:TANOSHIKA:生きるのがつらい。そんな君へ。〜AKARIライターからのメッセージ

以下の記事は、私が以前自殺のことについて書いた記事です。ご覧いただけると有り難いです。

関連記事:M.J:自殺を防ぐ方法

以下の文献は、厚生労働省がゲートキーパーについて詳しく書いています。ご覧にいただけると有り難いです。

参考:厚生労働省:ゲートキーパーになろう!  

以下の2つの文献には、自殺の原因について詳しく書いてあります。ご覧いただけると有り難いです。

参考:垂水市:自殺の背景・基本認識等(PDF)

         奈良市:自殺の原因・動機は?(PDF)

今後について

興味があることや、今後書いていきたい記事のテーマとして、一般的な腰痛予防:日常生活の注意点、ハラスメントをなくす考え方:有名人に学ぶ、があります。

皆さんに役立つ情報を届けていければと考えています。
今後ともよろしくお願いします!

新たな価値観を提示するM.Jのオススメ記事10選!

Noteも始めました。よかったら、ご覧いただけると有り難いです。

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