トランスジェンダーの女性を受け入れつつある女子大。〜問われる女子大の在り方〜 

トランスジェンダー 女子大

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

今日本各地の女子大で、トランスジェンダーの女性の入学を認める大学が増えつつあります。

既に先行してトランスジェンダーの女性の入学を認めている女子大においては、これに先立ち、課題の洗い出し、在学生や親御さんへの説明会や・啓発活動、教職員研修の実行や支援体制・ガイドラインを整えることなど、様々な状況に関して少しずつ、丁寧に取り組んできました。

日本の女子大においてトランスジェンダーの女性の入学を認めている大学は、国立のお茶の水女子大学と奈良女子大学、私立の宮城学院女子大学の3大学が先行して行っています。

宮城学院女子大の学長は、「女子大学として、多様な社会の中で女性全員の権利を守り、自分らしく暮らしていけるように支えていくことが大学に課せられた宿命です。大学側だけでなく、社会全体を潤することに結び付く」と説明し、「入学する学生全員の尊重やジェンダー、人権を守ります」と述べました。

今回はトランスジェンダーの女性を巡る、女子大の在り方について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

女子大、徐々にトランスジェンダーの女性受け入れへ

トランスジェンダーの女性の入学を認める活動が、徐々に各地の女子大で拡大しつつあります。日本女子大に関しては2024年度から、トランスジェンダーの女性の入学を認めることを決定しています。

日本女子大がトランスジェンダーの女性の入学を認めた転機は、2015年にトランスジェンダーの女の子の親御さんから付属中学校の受験が出来るか出来ないかについてのお問い合わせがあったことが始まりでした。

同日本女子大でトランスジェンダーの女性の入学を認めるかを担当している人間社会学部教授の女性は「昔ならすぐ入学は無理ですで終わっていたかもしれませんが、多様性を認め合う社会に考え、どう付き合っていくか、付属校だけではなく大学を併せた学校全体の課題として取り組む転機になった」と言いました。

ただ、トランスジェンダーの女性の入学を認めたことがスムーズに進んだわけではありませんでした。同日本女子大では大学内の意識統一を目標に2018年から議論をスタートし、当初は2020年度からの入学を認めることで調整をしていました。

同日本女子大が入学を認めることに良い兆しだったのは「私たちがトランスジェンダーの女性の入学を認めることで、『女性はこうすべき』という、人の内側にある思考や違う意見を無くしていきたい」という強い願いが込められていたことがありました。

しかし大学内では「時期尚早だ」という慎重論が多く寄せられ、実施を1年延期させ2021年度からのトランスジェンダーの女性の入学を認めることを目標とすることに決めました。ですが、教職員を対象に意向調査を実施した結果、「まだ準備不足だ」を懸念する意見も寄せられたといいます。

また、在学生のほとんどは賛成していましたが、その中には「入学を認めることにあまり賛成できない」「変化が怖く感じる」という意見が出ることもあったと言います。

こうした状況に対し、大学側は大学内の不安解消と入学しやすい環境を整えることに多くの時間を費やす方針に変換しました。2020年6月に、4年の準備期間を経て2024年度からトランスジェンダーの女性の入学を認めることを発表しました。そして2022年6月に「女性が共に学べる多様な女子大の発展をさせる」趣旨を盛り込んだ「ダイバーシティ宣言」を宣誓。その宣誓の中で、2024年度からトランスジェンダーの女性の入学資格を認めることを再度表明を行いました。

入学を認めることを導入する2024年は、2015年に付属中への受験についてお問合せして来た女の子が大学受験を迎える年だと話します。同日本女子大でトランスジェンダーの女性の入学を認めることを担当する人間社会学部教授の女性によれば「今後の女子大は、従来の女性らしさやジェンダーを認めないという、女性を取り巻く抑圧から解放出来る場として整えていきたい」と、これからの女子大の存在の定義に関しても展望を表しました。

参考:キャンパる 女子大で広がるトランスジェンダー女性の受け入れ その思いは 毎日新聞(2022年)

トランスジェンダーの女性の入学を認めることに対して実施した事前意見交換会では、在学生から「悪意のない傷つけが起こらないか心配です」という声が寄せられました。奈良女子大副学長としてトランスジェンダーの入学することを担当している文学部教授の女性の話では「色んな事情で男性に苦手意識を持ち、女子大を選択した学生も中にはいます。その苦手意識を持つ女子学生、トランスジェンダー女性の学生、両者に悪意を抱かなくても、入学で、お互いが不安が生じるケースも考慮出来る」と懸念します。

トランスジェンダーの学生を受け入れる準備をする女子大の例

宮城学院女子大

宮城県仙台市青葉区にある宮城学院女子大学が2019年9月21日、トランスジェンダーの女性の入学を2021年度より認めることを正式に示しました。文部科学省によれば日本国内では3校目で、私立大学では初だと言います。ジェンダーを受け止める活動を背中を押す可能性もあると言います。

2021年度より、まず大学の学部でトランスジェンダーの女性の入学を認め、大学院でも同じ指針で検討を加速させます。入学を認めることで、2022年度前半までで大学校内に約10ヵ所あるトイレもみんなが活用可能だと定義し、更衣室としても使用出来るようにトイレの中に棚を設けます。トランスジェンダーの女性の合宿や入寮、健康診断の時の配慮も検討を重ねます。

参考:「心は女性」受け入れ表明 宮城学院女子大、国内3校目 朝日新聞デジタル(2019)

日本女子大

東京都文京区にある日本女子大は2020年6月19日、トランスジェンダーの女性を、2024年度の新入生から学部と大学院で入学を認めることと表明しました。

同日本女子大は、入学の認めることスタート時期に関して、トランスジェンダーの女性も一緒に通学することを女子学生全員が入学した時から理解を重ねておく上で、2021年春入学する新入生が4年生になる2024年度からとスタートすると、いいます。

参考:日本女子大、トランスジェンダーの学生受け入れへ 朝日新聞デジタル(2020年)

ノートルダム清心女子大

岡山県岡山市にあるノートルダム清心女子大学においては、2023年4月から大学の学部と大学院でトランスジェンダーの女性を、2024年度から入学を認めることを表明しました。中四国地方にある女子大4校で、トランスジェンダーの女性の入学を認めることは初のことです。

同ノートルダム清心女子大学によれば、東京のお茶の水女子大学や、宮城学院女子大学など全国の女子大で、こうした取り組みが拡大を見せていることから入学の認めることを決定し、2021年9月から準備を重ねてきました。

具体例では、多目的トイレの呼称を「みんなのトイレ」に変え、更衣室としてもみんなが活用可能にします。

参考:ノートルダム清心女子大 トランスジェンダーの学生受け入れへ 岡山 NEWS WEB(2022年)

ノートルダム清心女子大学の学長はコメントで「女性として自立に向け、それぞれが自分らしく生活を送れることが可能となる様に、ジェンダーが共生社会の発展に向け、大学として、『私らしさ』を尊重可能な、学習のきっかけを整えていきたい」と話しています。

2025年4月から、津田塾大学でも受け入れ

津田塾大学は公式ホームページで2023年6月23日に、2025年4月の入学者から、トランスジェンダーの女性を学部、大学院で受け入れることを決定しました。

津田塾大学は女性の高等教育を掲げ、私塾を日本で初めて私立の女子高等教育機関「女子英学塾」として1900年に設立されました。創立者の津田梅子さんが目標とした「男性と連携して対等に、力が発揮可能な女性教育の場」を掲げた教育姿勢を執って来ました。

このトランスジェンダーの女性の入学実現に向けてスタートさせた背景には、時代の要請に対応し、新しい道を拓く女性を育くむための津田塾大学の基本方針“Tsuda Vision 2030”の理念「変革を受け入れられる、女性であること」を推し進め、多様な価値観の共生社会を構築することに貢献できることが挙げられてます。

津田塾大学のガイドラインによりますと、トランスジェンダーの女性の入学の受け入れについては、津田塾大学内の教職員で発足された「トランスジェンダー学生対応委員会」が性自認の確認を行います。入学した後の学生生活で支障が出ない様に志願者と面談を重ね、大学側の情報も事前に提供します。

入学した後の対応も「トランスジェンダー学生対応委員会」と学生が協議し、関係部署などと連携し、対応をします。施設面においては、相部屋となっている学生寮はトランスジェンダーの女性の入寮はできません。本人の意思に沿わず、セクシュアリティーを他人に公表する「アウティング」は、ハラスメント行為として厳重処分をします。

LGBTQの当事者ではない学生を含んだ相談窓口を開設し、在学生や教職員へのLGBTQの人に理解を深める活動を行います。

津田塾大学の高橋裕子学長は今回のトランスジェンダーの女性の入学の受け入れの決定に、「多様な女性の在り方を共存していく過程で、周囲に置かれている多様な女性たちにエンパワーがもたらされ、自ずと力量を信じて前向きに前進していけるようサポートしていきます。それが、21世紀の女子大学における役割です」を紹介したメッセージを津田塾大学の公式ホームページにて掲載されています。

参考:津田塾大、トランスジェンダーの学生を受け入れへ 25年4月から 朝日新聞デジタル(2023年)

トランスジェンダー学生の入学の受け入れを行っている大学は、津田塾大学以外にもあります。

国立の女子総合大学[お茶の水女子大学]は、2020年度からトランスジェンダーの女性の入学を認可しています。

現代の多様な社会に適応させて、多様な女性が学べる権利を平等に与えるという女子大の在り方に大きな取り組みが拡大しています。

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女子大にトランスジェンダー女性も受け入れ、じわり広がる 日本女子大も津田塾大も 東京新聞(2023年)

本当に世の中が変わった証拠。

もう結構前の話ですが、私が大学生の時はまずなかった話です。確かトランスジェンダーという言葉も、まだ浸透していなかった時期ですね。大学には1年しか行ってませんが、今私が通学していたら、今の世の中にアップデートされた大学になっていたかと思います。

奈良女子大副学長としてトランスジェンダーの女性の入学を認めることを担当している文学部教授の女性は「社会全体でジェンダーを重じる意識が強まってきたことをベースに、大学として本人にどう安心して学習に臨めるかの居場所を提供したかった。大学側がジェンダーの課題に向き合うことで、社会がどう変換していけばいいかが鮮明となる」と理由を語り、「これから、トランスジェンダーの女性を入学を認める大学が増えていけば、入学することを先行して行っている大学として当たり前な情報などを発信していきたい。そして入学を認めることが、話題に持ち出されない位普通の世の中になって貰いたい」と話しています。

ほんの数年前、ジェンダーを巡る問題で、大学が色々な問題を抱えていたことが明るみになっていたことが、そんなに昔ではないのに、凄く昔にあった問題の様に感じます。受験して入学する人は、ジェンダー関係なく、そこで専門的なことを学びたいから入学される場合が多いと思います。まだまだ受け入れている女子大は少ないそうですが、少しずつ増えているので、この取り組みがどんどん加速すれば良いなと、思いました。

 

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。