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こんにちは、翼祈(たすき)です。
ウクライナから一緒に避難して来たペットが、日本の法律に阻まれ、家族と離され、殺処分になる恐れもあるというニュースが入って来ました。何故そんな事になるのか?また、ウクライナの動物達への寄付も始まっています。
今回はそれらのお話と、ウクライナのハチ公と呼ばれた《リニ》という秋田犬についても、皆さんと一緒に考えたいと思います。
ウクライナから避難して来た家族のペットに殺処分の恐れが、、、
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻はウクライナの人にとっても家族の一員である動物達にも暗い影が重く落とされています。日本で暮らす為に逃れて来たウクライナからの避難者が、日本の法律を前に遮られ一緒にウクライナから連れて来た家族の一員であるペットが殺処分される恐れがあると日本に来日した後に知り、国に救済処置を直訴しています。
成田空港の動物検疫所で保護されていたのは、ポメラニアンの雄、3歳になる「レイ」です。飼い主は、ウクライナのキーウからポーランドなどを経由して日本に避難してきた女性とその娘と愛犬のレイと、今月2022年4月9日に日本と到着しました。
女性は「娘は日本に来ることが昔からの夢でした。娘は来日して勉強してレイと3人で暮らしたいを切に思っていました。なので日本に来れたチャンスに感謝しております。ですが家族の一員であるレイを裏切る形になってしまいました」と涙を流し、「狂犬病予防法での法律で180日の待機期間を過ごすため、レイは空港の動物検疫所で取り上げられました。とても心配です。これまでいつもレイと3人で一緒に過ごしたので、とても動揺しています」と肩を落としました。
日本では狂犬病予防法で守られた法律で、最長180日間、空港の動物検疫所で狂犬病の検査を毎日受診することが義務化されています。女性は「国によって動物に対しルールが違うことは分かっていました。しかし私たちはレイに半年も会えないなんて…」と嘆きます。
さらに、動物検疫所から送信されたメールが女性に更なる負担が増しました。動物検疫所・成田支所から、「レイ君の宿泊の代金のご案内です。レイ君の1泊3000円×181日分と交通費3000円で合計54万6000円です。もし代金を支払えなければ、レイ君は殺処分となります」と女性にメールが送信されました。動物検疫所ではペットの世話を業者に依頼していて、えさ代や飼育施設の光熱費などは飼い主に請求する法律となっている為です。女性は「レイは私たち家族と離れていては生きていけません。こんなことになるならウクライナで娘とレイと3人で死ぬべきでした」と悲しみに暮れました。
ウクライナからの避難者が増加したことで見えてきた“新たな課題”。女性は「動物検疫所からメールで追い打ちをかけるように、レイの世話に1日3000円かかることを判明しました。こんなに高い金額を支払うのはかなり困難。日本に来たばかりで仕事もないし、親戚や知人といった身寄りもなく、国から支援金もまだ頂いていませんし…」と悲しそうに取材に答えたそうです。
参考:「愛犬を助けて」ウクライナ避難者の負担…1日3000円 ペットに「法律の壁」 テレ朝news(2022年)
その後、予防状態を確認後に条件付きで係留措置を短縮
その後、ご存じのように下記のように条件付きで動物検疫所の係留措置が短縮されました。
狂犬病予防法に基づく防疫体制を一部見直し、特例措置を適用すると発表。ウクライナ政府の現状を踏まえ、必要な出国地政府発行の防疫書類がなくても、予防状態を確認後に条件付きで動物検疫所での係留措置を短縮しました。
狂犬病は人間に感染すると非常に危険なため、これには国内世論も揺れましたが、ウクライナから愛犬と命からがら逃げ延びてこられた方にとっては、何よりの支援になっているでしょう。
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ウクライナからの避難者の犬 ワクチン接種確認で滞在先に同行 NHK NEWS WEB(2022年)
ウクライナのハチ公リニ。
ウクライナのキーウ(キエフ)州マカリウで、ロシア軍に殺害された飼い主の帰りを約1カ月にわたり、玄関で待ち続けている秋田犬がいる。ウクライナのゲラシチェンコ内相顧問がSNSで紹介し、「マカリウのハチ公」と記した。
ゲラシチェンコ氏のSNSによると、飼い主の女性は夫と秋田犬の「リニ」と暮らしていたが、3年前に夫が病死した。ロシアの侵攻が始まった後、一緒に避難する予定だった友人を自宅で待っていたところ、ロシア南部チェチェン共和国出身の兵士によって、3月中旬に亡くなった。
残されたリニは、ボランティアが保護施設に連れて行こうとしても家を離れようとしない。ボランティアは今、この秋田犬の面倒を見てくれる人を探しているところだという。
忠犬ハチ公になぞらえ、地元メディアが「マカリウのハチ公」と伝えています。
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「ウクライナのハチ公」の悲痛な姿。殺害された飼い主を1カ月待ち続ける【画像・動画】 ホフポスト(2022年)
リニのその後
亡くなった飼い主を1ヵ月家の前で待ち続けた「ウクライナのハチ公」と呼ばれたリニが、新しい飼い主の元に行きました。「なんて素敵なニュース」「新しい飼い主の元に行けて本当に良かった」と世界から祝福の声が届いています。
リニの新しい飼い主の情報は、ウクライナ内務大臣顧問のアントン・ゲラシチェンコ氏が自身のTwitterを通してお知らせしました。写真にはリニが新しい飼い主から貰った、真っ赤な服を着て大人しく座っている姿が掲載されています。
「吉報です!マカリウの秋田犬・リニは、新しい家と飼い主の元に行きました。新しい飼い主はすでにリニとすっかり家族となり、これまでも秋田犬のオスを飼っている経験があるので、秋田犬の世話をする知識が豊富です」
参考:「ウクライナのハチ公」に朗報。新しい飼い主に引き取られる ハフポスト(2022年)
リニを引き取った女性の名前はウクライナ語で「希望」を意味します。
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「ウクライナのハチ公」体重が4キロ増え、10歳に。新しい飼い主との幸せな生活に反響 ハフポスト(2022年)
ウクライナの動物達への寄付実施。
ロシアの侵攻で危機にさらされているウクライナの動物たちを支援しようと、日本各地の動物園や関連企業が、募金や寄付への協力を呼び掛けている。「苦しい状況の動物たちにも目を向けてほしい」。主な寄付先は日本動物園水族館協会と協力関係にあるヨーロッパ動物園水族館協会(EAZA)のほか、ペットの飼い主や保護施設に食料などを届ける国際的な愛護団体。賛同は広がりつつあるという。
神戸どうぶつ王国(神戸市中央区)と那須どうぶつ王国(栃木県那須町)では2022年3月、土産物店のレジ横などにウクライナの動物園や水族館に寄付する募金箱を設置。おつりを全額入れたり、一度に多額の寄付をしたりする来園者もいるなど関心の高さがうかがえる。両施設の園長は「必死で生き延びる動物たちを見過ごすことはできない」と語気を強める。募金箱の設置期間は未定だが、一定程度集まった時点でEAZAに寄付する。
私はウクライナのハチ公については涙なしでは語れない。
この記事を書こうと思ったのが、ウクライナのハチ公の記事を読んで、心が苦しくなったからです。飼い主が亡くなっても1ヵ月家の前で待ち続ける話に涙なしでは読めませんでした。
ウクライナの内相顧問によると、新しい飼い主の女性と夫は、犬の飼育や療養の経験が豊富。一家には既に秋田犬「チップ」もいるそうです。女性はSNSでリニの存在を知り、現地を訪問。住民に聞いて探し当て、涙を流すと、リニは女性の顔をなめたといいます。餌や服を持って数日間通い詰め、ようやく懐き、リニは新しい飼い主の元に行きました。
リニにも元々の飼い主の女性の分まで、新しい飼い主の元で健やかに暮らして欲しいなと切に願います。
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noteでも書いています。よければ読んでください。
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