あなたは経験ある?雨と古傷の関係のメカニズムとは?

天気痛

この記事は約 6 分で読むことができます。

雨が降りそうになるとなぜか頭痛がしたり、体の節々が痛んだり、そういうことってありませんか?
人によってはぜんそくの発作が出たりすることも。
わたしも、足首を数回捻挫した経験があるのですが、雨の日は「コキッ、コキッ」と関節が鳴って、違和感を覚えます。
昔は気のせいといって片付けられていたこのような症状、今ではれっきとした病の一つとして考えられるようになりました。

気のせい?天気のせい?

天気によって生じたり悪化したりする慢性の痛みを「天気痛」と言います
ある研究者が「慢性痛のある患者さんたちが、しばしば天気の話をする」ことに気づきます。
「雨が降ると膝が痛くなる」とか、「梅雨時には手術痕が痛む」とか。
不思議に思った研究者は、どんなメカニズムがそこに働いているのだろうと興味を持ったのです。

研究のきっかけはテレビ番組

研究のきっかけは、テレビ局の「梅雨時に古傷が痛む”が本当かどうかを確かめてほしい」という依頼からです。
番組では、気圧・気温・湿度を自由に上げ下げできる小部屋を使い、慢性痛を持った二人のお年寄りを対象に実験を行いました。
人工的に梅雨時の気候を再現し、痛みが出るかどうかを確かめたのです。

結果はハッキリ出ました。
患者さんが痛みを訴え始めたのです。
熱分布を表すサーモグラフィで、体温の低下も確認できました。二人のお年寄りの脚の色は、オレンジから緑へ、さらに青へと変化していったのです。
実験の結果は満足いくものでしたが、「なぜ、このようなことが起こるのか?」というメカニズムを解明するまでいかなかったのです。
気象と痛みの関係について、当時はまだ誰も研究したことがなかったのです。

解明されてきた「天気痛」

そんな天気痛のメカニズムが解明されてきました。

天気痛の原因① ヒスタミンの過剰分泌

ヒスタミンは、私たち身体の組織内に広く存在する化学物質で、普通は不活性状態(化学反応を起こしにくい状態)にありますが、けがや薬により活性型となり、傷ついた組織を修復させるため、血管を拡張し炎症反応を起こします。
またかゆみや痛みの原因となるともいわれていて、過剰に活性化されるとアレルギー症状の原因となります。
どうやらこのヒスタミンが低気圧の際に、過剰に分泌される事が分かってきました。
そもそも古傷とは、「以前にケガをしたところ」あるいは「古い傷の痕」のこと。 
以前に傷を負ったところは、表面上は完治したように見えても、皮下や筋肉の組織は完全に回復していないことがあるそうです。
そのため、血液の流れが悪くなったり、筋肉の伸縮が妨げられたりするなど、痛みが生じやすい状態となっているらしいです・・・
そうすると、古傷をまだ完全に治っていないと判断して、ヒスタミンが分泌され血管を拡張して炎症反応がおき、痛みが発生するのではないか?というらしいのです。
ということは、古傷もあきらめずに治療した方がよいですね。
その部分の血行を良くし、組織を活性化させることで、元の状態に近い状態にできます。

天気痛の原因② 自律神経関の活発化。

「自律神経」はよく耳にすると思います。
自律神経は交感神経と副交感神経とで拮抗作用により身体の働きを調整して、快適に生活できるようにしてくれる大事な神経です。
交感神経は戦うための神経、副交感神経はリラックスの神経と例えられます。
交感神経が活発になると、血圧上昇、血管拡張、瞳孔が開いて汗が出るいわゆる興奮状態になります。
それにより過敏になるため血管拡張するので古傷が痛むのではないか?と言われています。
交感神経優位な状態は頭痛なども引き起こします。
つらいですよね・・・

天気痛の原因③ 圧力の変化

気圧が低下すると、体が膨張してしまいます。
体には袋の形状をしている部分が多くあります。
例えば関節を覆っている「関節包」という場所です。
この関節包という袋の中は、ほぼ一定の圧力でキープされています。
しかし、気圧が下がり外から押さえつけられる力が下がると、関節包の中の圧力が上がってしまいます。
この上がった圧力を感じ取って、違和感や痛みとして認識します。
特に、怪我などにより関節包に傷がある方は、その部分が硬くなっていて圧力をうまく逃せません。
しかし、昔に怪我をしたことがある方すべてが、違和感を感じるかというとそうではありません。
その差は、元々関節にかかっている圧力が高いと症状が出やすいです。
違和感が出る関節周辺の組織が硬い方は、常に圧力が高まっており気圧の変化に敏感に反応してしまいます。
なので、古傷があること・元々その周辺の組織が硬いこと、が重なる方がより症状を感じやすいです。

天気痛の予防法

天気痛を防ぐために効果的な方法としては、抗めまい薬や漢方薬の服用と、耳のマッサージが知られています。

①抗めまい薬

抗めまい薬は、内耳の血行を促して状態を整え、気圧に対する過剰な反応を抑えることができます。
耳鳴りやめまいなどの天気痛の予兆を感じたときに服用すれば、諸症状を予防できます。
予兆には個人差があるため「天気が悪くなるどれくらい前に、どんな症状があらわれるか」を把握しておくことで、見極めやすくなるでしょう。

②漢方薬

漢方薬でも天気痛の緩和が期待できます。
内耳のむくみを取り、めまいを抑える「五苓散」や、自律神経を整える「抑肝散」などが知られています。いずれも服用する際は、必ず医師や薬剤師に相談の上、症状・体質にあわせて適切に服用してください。

③耳のマッサージ

薬だけに頼らず、耳の血流を整えるマッサージを、あわせておこなうとよいでしょう。
耳まわりの血流が悪いと内耳のリンパ液が滞り、めまいや頭痛を引き起こします。
天気痛の症状が出そうなときはもちろん、日頃からおこなうことで天気痛の症状が起こりにくくなります。
ぜひ、試してみてください。

 

日本全体では天気痛のある人が1000万人以上にも上る可能性がある、とされています。
10人に1人が、天気による何らかの痛みに悩まされているのです。
“痛み”は極めて個人的な感覚で、目に見えないもの。
だから、周囲の人の理解を得にくいという問題があります。
「怠けているんだろう」「気のせいだろう」と言われてしまうのです。

 

気象に起因する痛みや体調不慮は、決して気のせいでも、怠けているせいでもありません。
天気痛として自覚することで、あらかじめ予防したり、痛みを緩和することができるのです
だからこそ、もっと多くの人に天気痛を知ってもらいたいですよね。

暮らしや健康に関する有益な情報を発信するWebライターichihimeのおすすめ記事

HOME

天気痛

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。