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エチゾラム(デパス)の減薬
私が初めて精神科に行ったのは、今から10数年前のことです。
20歳そこそこの私は、初めての自殺未遂が失敗に終わり、ボロボロでした。見かねた友人が新しくできたという心療内科クリニックを教えてくれました。診察の内容はよくは覚えてないですが、その日のうちに「お薬を飲んでみましょう。」と、抗うつ剤などを処方されました。
覚えているのは、「パキシル」と「デパス」というお薬でした。
これを飲めば、いよいよ私も精神疾患持ちか。なんてことを思いました。それから30歳をすぎる頃まで、その心療内科にはお世話になり、パキシルは別の薬に変更になったのですが、デパスはジェネリック医薬品の「エチゾラム」に変わっただけで、ずっと飲み続けていたのです。
そして今年の終わりに、初診当時からお世話になっていた主治医が病院をやめると聞き、いろいろな事情から転院をすることにしたのですが・・・?
まさかの減薬・断薬宣言
転院するにあたって、カウンセリングを受けたいという希望もあったので、市内の病院に変わることになりました。
私にとっては、人生で2件目の精神科病院。どんな主治医になるのか、治療方針はどうなるのか不安でしたが、年々うつ症状が重くなってきたので、お薬の調整をしてもらおうと考えていました。
いざ初診となり、医師に今までのことをざっくりとお話しして、今はどんな症状はあるのか、飲んでいるお薬と、過去に飲んでいたお薬の話をした時です。
「エチゾラムは今後の服用はやめましょう。」
と言われてしまいました。
お薬が増えるのは覚悟していたのですが、まさか断薬を指示されるとは思いもしなかったので、驚いてしまったのですが、今更なぜエチゾラムなのか?
10数年飲み続けていて、用量も増えていませんでした。
その時には、詳しくは聞けなかったのですが、医師からは「依存性の高さが問題となっているから。まだ若いんだからやめれるうちに断薬しましょう。」と説明を受けましたが、私の中では「なぜ今になって?」という疑問が頭から離れませんでした。
私とエチゾラム
私がエチゾラム(当時はデパス)を飲み始めたのは、20歳の頃で寝る前に睡眠導入剤として、1mgを毎晩1錠処方されました。
ここ3年ほどは、パニック症状が起こった時や、不安感が強くでる時に頓服として、0.5mgを一日1~2錠のペースで服用していました。目立って用量は増えていないし、私自身は依存性しているという体感はまったくありません。
エチゾラムの依存性の高さと遅すぎた規制問題
エチゾラムの減薬を指示され、若干納得していなかった私は、エチゾラムについて調べてみることにしました。
エチゾラムの効果
ベンゾジアゼピン受容体に作用し、不安や緊張をやわらげます。 また、筋肉の緊張をとる作用があります。 通常、神経症、うつ病、心身症(高血圧症、胃・十二指腸潰瘍)、統合失調症、頸椎症、腰痛症、筋収縮性頭痛などにおける身体症候や不安・緊張・抑うつ・睡眠障害などの改善に用いられます。
引用:くすりのしおり | 患者向けわかりやすい情報 (rad-ar.or.jp)
効果にもあるように、精神疾患だけでなく、整形外科や脳神経外科などでも幅広く処方されている薬であることがわかりました。
その反面、気軽に処方されるエチゾラムの危険性が注目されるようになっているようでした。
依存性の高さ、乱用の問題
日本では2017年3月に「重大な副作用」の項に、連用により依存症を生じることがあるので用量と使用期間に注意し慎重に投与し、急激な量の減少によって離脱症状が生じるため徐々に減量する旨が追加され、厚生労働省よりこのことの周知徹底のため関係機関に通達がなされた。
最も怖いのは、「依存性」です。 デパス(エチゾラム)はベンゾジアゼピン系薬剤の短時間型であり、依存性のリスクが高い薬剤です。 デパス(エチゾラム)をある程度長く服用することで依存が形成され、しかも保険適用の用量を守っても依存になるケースも数多いです(これを常用量依存と呼びます)。
調べてわかったのは、非常に依存性の強い薬であること、そして長期間服用することによって、「常用量依存」になってしまうリスクもあることです。
だから、新しい主治医は頑なに「エチゾラムの減薬」を指示したのかと納得することができました。
しかし、エチゾラムを服用して10数年。離脱症状がどんな風にでるが不安で仕方ありません。
減薬開始、離脱症状がでた
主治医からは、最初は寝る前に飲んでいた分をなくすという話でしたが、眠れなくなることへの不安感があったので、効果がエチゾラムより軽い睡眠導入剤を処方されました。
まずは、新しい導入剤と、いつもの眠剤を飲んでみましたが、まったく眠れず。
これでは日常生活に支障がでる、と思い眠剤を半錠にして、エチゾラム1mgと新しい導入剤を飲むことにしました。しかし、こんどは体の倦怠感がひどく常に眠たい状態。
お世話になっている訪問看護師さんに相談し、以前と同じエチゾラム1錠と、眠剤の組み合わせに戻すことにしました。
次の診察の時は諸事情で主治医が変更になり、以前の先生に出してもらったお薬がまったく効かず、眠れなかったことと、結局元通りにエチゾラムを服用してしまったことを新しい先生に話すと、今度はまずは寝る前の1mgを0.5mgも減薬し、頓服の0.5mgは完全に断薬することに。
その代わりに、効果の長い精神安定剤を夕方に1mg追加されました。効果が長く続くので、不安感が軽減するだろうということでした。
新しいお薬を飲み始めた頃は、体調の変化は何もなく、ちゃんと眠れるし、通常通りに過ごすことができました。
しかし、数日すると少しづつ体調に変化があらわれはじめ、離脱症状に襲われることになっていったのです。
エチゾラムの離脱症状
離脱症状とは、抗不安薬を減薬・断薬した時に起こる様々な症状のことです。抗不安薬が身体に慣れてしまって、薬の急激な変化に身体の機能がついていけずに起こる症状です。
具体的な症状としては、
①精神症状:イライラ・落ち込み・不安・ソワソワ・無気力
②身体症状:頭痛・肩こり・不眠・まぶしさ・筋肉のけいれん
③自律神経症状:吐き気・耳鳴り・動悸・発汗・ふるえ
などがあります。どのような離脱症状が出てくるのかは人それぞれです。
PMDDと離脱症状で地獄をみる
ちょうど、離脱症状があらわれたタイミングと生理周期が重なってしまい、PMDDの症状のひどい私は、強い不安感や胸のザワザワ感、落ち着かない、衝動的な行動に駆られてしまう症状が出てきてしまいました。
今までは、これらの症状が出たときは頓服で0.5mgのエチゾラムを飲んでいたのですが、それも断薬していたので、とにかく苦しくて言い表すなら、地獄という言葉です。
耐えきれずに、一度主治医に連絡をして、体調が悪いので頓服だけでもエチゾラムを飲んでいいですか?
と問い合わせたのですが、「辛いでしょうが、いまが頑張り時です。飲んではダメです。」と言われてしまいました。
【PMDDについてはこちらの記事に詳しく書いてます。】
とにかく辛くて、地獄としか言い表せない状態が数日続きました。
手元にエチゾラムはあったのですが、頭のどこかで「ここで飲んだら何のために耐えてるんだ。」という気持ちがあり、次の診察まで飲まずにいられたのです。
次の診察の時に、PMDDの症状がひどいことと、離脱症状がでていることを伝えると、エビリファイというお薬を処方してもらいました。体調が悪いときは頓服でエビリファイを飲み、数日すると生理が終わったこともあり、精神的にも落ち着きがでてきました。
私はエチゾラムは何年も飲んでいるけれど、用量も増えてないし、頓服の回数も守っているから、エチゾラムには依存していないんじゃないか?と考えていました。
しかし、いざ苦しいときにエチゾラムが飲めなくなった時、ものすごく辛く、何度も少しくらい飲んでもいいんじゃないか?と自制が効かなくなるような時があり、やはり私は、「常用量依存」になっていたんだと気づきました。
エチゾラムは今後どうなるのか?
転院前の病院だったら依存性も何も言われず、今でもエチゾラムを服用していたと思います。依存性の高さを身をもって知った今ではぞっとする思いです。
主治医からは「今後は、どこの病院でもエチゾラムは処方しないようになるかもしれないね。※」と聞かされました。(※主治医の意見であり、必ずしも処方しなくなるという訳ではありません。)
実際、2016年9月にデパス(エチゾラム)が向精神薬に指定され、1回の処方で30日分までとなりました。
私の主治医が言うように、乱用や依存性の高さが問題視されるようになってきたエチゾラム。
私の減薬と断薬は、緩やかに続いています。服用していた期間が長かったので、断薬にはまだまだ時間がかかるようです。しかし、時間がかかってもエチゾラムから完全に離れられる日が来ることを願っています。
参考サイト:
「合法薬物依存」の深い闇 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)
【精神科医が解説】デパスがついに処方制限!なぜデパスが乱用されてきたのか | こころみ医学元住吉こころみクリニック【内科・呼吸器内科・心療内科】 (cocoromi-cl.jp)
発売から30年 睡眠導入剤「デパス」に深刻な副作用が次々と | FRIDAYデジタル (kodansha.co.jp)
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薬の問題は色々ありますが、辛いですよね。一人じゃないんだ、ってとっても勇気になりました。
ありがとうございます。
また、所々マーカーが引いてあったり、引用もあり、とても勉強になる記事でした。
これからもSALADさんらしい記事を楽しみにしてます。
コメントありがとうございます。まだまだ減薬には時間がかかりそうですが、ゆっくりと頑張っていきたいですね。たくさんの方に役立てる記事を書いていきたいと思います。ありがとうございます。