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街の中や電車・バスの車内で、赤いカードのようなものを身につけている人を見たことはありませんか?
白十字とハートがプリントされたこのカードは「ヘルプマーク」と言って、2012年に東京都が作りました。外見では分かりにくい病気や障害などで配慮・援助が必要な人が、周りの人にそのことを示すためにつけているものです。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて全国に広めようと、去年7月にはJIS=日本工業規格の「案内用図記号」として登録されました。
ヘルプマークとヘルプカード
ヘルプマークは都道府県の福祉担当窓口などで無料で配布されており、貰う際に手帳や書類の提示は必要ありません。
配布の対象は義手義足、人工関節、内臓の疾患、てんかん、パニック障害、妊娠の初期など、一目でそうとはわからないけれど周囲の配慮と支援を必要としている方です。また、ヘルプマークは家族などの代理人が窓口で受け取ることもできます。
また、ヘルプマークの裏面には「ヘルプカード」が収納できるようになっています。ヘルプカードに必要な支援や名前・緊急連絡先等を記入することで、適切な支援・処置を受けやすくなります。
例えば、聴覚に障害がある場合は「耳がよく聞こえないので、筆談をお願いします」と書いたヘルプカードを見せることでどういった支援をしてほしいのかをスムーズに伝えられますし、外出時に発作を起こしたり意識を失った時に、周囲の人や救急隊員の人がヘルプカードに記載された緊急連絡先に連絡を取ったり、障害を考慮して適切な処置を施してくれるでしょう。
ヘルプマークの認知度と普及率の問題
見ただけではわかりづらい障害や病気を抱えている人に向けて作られたヘルプマークですが、実はヘルプマークの認知度はあまり高いとは言えないのが現状です。
ヘルプマークを配布している自治体のホームページでは、ヘルプマークをつけている人を見かけた際は「電車・バス内で席を譲る」「困っている人には声かけをする」などの気遣いをしてほしいと呼びかけていますが、ヘルプマークの利用者の意見の中にはそういった支援を受けられた経験はなく、また見知らぬ人から心ない言葉を投げかけられたという声も見られます。
2017年7月、障がい者の総合就職・転職サービスを運営する株式会社ゼネラルパートナーズの調査・研究機関である障がい者総合研究所が、全国の障害がある人379人を対象にアンケート調査を行ったところ、「ヘルプマークを知っている」と答えた人が47%だったのに対して、「知らない」は53%に上りました。
地域別に見ると、首都圏では「知っている」が半数を超えましたが、その他の地域で「知っている」は4割にも満たず、さらにヘルプマークを知っている人の中でも実際に利用したことがあるという人は2割程度、首都圏以外の地域ではわずか1割にとどまっています。
利用したくいない理由で最も多いのは「利用時の周囲の反応が気になるから」で35%、次いで「認知不足により役に立たないと思うから」が33%でした。
アンケートの詳しい内容を読まれたい方は、プレスリリースを下記のリンクからご覧下さい。
⇒http://www.gp-sri.jp/report/pdf/report_029.pdf
アンケート画像引用:障害者総合研究所http://www.gp-sri.jp/report/detail029.html
さらに、ヘルプマークを配布している自治体は限られており、地域によってはヘルプマークが取得できないということも多々あります。
需要に供給が追いつかず、さらには取得に証明書類がいらない現状では、自治体で配布されているヘルプマークがインターネット上で「転売」されて、必要としている人がそれを買い求めているという問題も起こっています。
知ってほしい、ヘルプマークのこと
ヘルプマークは現在20万個以上配布されているそうですが、それでもまだヘルプマークを必要とするすべての人のもとに行き届いているとは言えず、認知や理解も十分に広まっていません。
そういった現状を打破するために研修会や啓発ポスターの掲示をしたり、SNS上で呼びかけたりと、ヘルプマークを多くの人に知ってもらうための活動が行われています。以下はその動画の1つです。
また、ヘルプマークが配布されていない県でも、支援を受けやすくするためのヘルプカードはほぼすべての県で配布されています。
もし、あなたが誰かの支援を必要としているのなら、ヘルプマークやヘルプカードを所持することで、援助を受けやすくなるかもしれません。
そして、支援が必要ない人は、できればヘルプマークやヘルプカードを知らない人にその意味を教えてあげてください。
少しでもヘルプマークについての理解が広まり、困っている人に手を差し伸べられる社会が実現することを祈っています。
参考元:助け合いのしるし ヘルプマーク 東京都福祉保健局―ヘルプカード
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