ひきこもりから正社員へ!『株式会社ウチらめっちゃ細かいんで』で働く岡田様が語る脱却へのヒントと自身の変化【後編】

日本初”引きこもり”の当事者・経験者主体で設立された会社『ウチらめっちゃ細かいんで』MECHAKOMAさんに取材しました!”引きこもり経験”が強みになる!?安心の居場所から、挑戦の場へ 後編

この記事は約 26 分で読むことができます。

前編は『株式会社めっちゃ細かいんで』の会社概要やひきこもりをしている方の強みなど、ひきこもりから一歩踏み出すためのきっかけになる情報をお伝えしました。

前編の記事はこちら↓

後編は岡田様の経験を元に、正社員になるまでの過程や、親御さんとの関係、在宅ワークの未来までお聞きしました。

インタビュアーはどんはれ、島川、ゆた、mako、翼祈が担当しました。

後編もひきこもりをしている方々によりよい情報が届けられると思っております。勇気を持って、ひきこもりからへの脱却の一歩になれば幸いです。

ぜひ、最後までご覧になってください。

岡田様の仕事について

プログラミング

翼祈:めちゃコマ様は、引きこもり当事者に対する教育事業、プログラミングの講座、ホームページやスマホアプリの開発、自社メディアの運営などをされていますが、岡田さんは現在、主にどの事業に携わっていらっしゃるのですか?

本業はプログラミング講師で、プログラミング講座の運営にも携わっていますが、他にもホームページ開発以外のことは、ほぼ全てに関わっています。
例えば、こういった他社様の取材を受けたり、リアルのイベントに参加したり、地域の家族会に参加して営業みたいなことをしたり、外部様との電話対応も私の仕事です。

翼祈:めちゃコマ様は、ボランティア、業務委託、アルバイト、契約社員、正社員という働き方がありますが、岡田さんは現在、どの様な形態で働かれているのでしょうか?

現在は、正社員です。私の場合、最初は業務委託からスタートして、アルバイトをして、契約社員になって、そのあと正社員になりました。

基本的にはこの段階でステップアップしていく形にはなります。
特徴的なのは、「逆もアリ」ってことなんですね。
例えば正社員になっても、やっぱり週5で働くのはきついなってなったら、週3のアルバイトに戻すとか、逆戻りするのもご本人の状態に合わせて全然やっていい形になっています。フレキシブルに対応ができるというのが、気楽に働ける要因なのかなと思っております。

翼祈:めちゃコマ様の名前の由来のお話の中で、「予想以上に、細かく丁寧にできる人材が、ひきこもり当事者には多い」と代表の方が言われていました。

岡田さんも人に教えている中で、ひきこキもりの方は感性が優れていたり、仕事が丁寧にできる方が多いと感じる時はありますか?

良くも悪くも細かいところに気付く方が多いので、例えばマニュアル作成などは、凄く向いてるんじゃないかなと思います。
相手が質問しなくてもそれを見れば、すべて分かるような凄く細かい丁寧なマニュアルを作るとか、そういった内容の業務が得意な方が多いと感じます。

まずは相談するところから

就活生の面接

翼祈:4年のアルバイトを含め、これまでの経験が、今の仕事に活かされていると感じる瞬間は、何かございますか?

人生の中で、ここで働く前のアルバイト期間は4年間ぐらいしかありません。
その時は、主にコンビニのアルバイトをやっていました。
一人で品出ししたり、レジを見たりと、店全体をチェックしながら動くことを自然とやっていたんですけれども、それが全体を見るスキルとして、今でも役に立ってると思ってます。

ただ、一番何が役に立ってるのかっていうと、やっぱりひきこもりから立ち直る過程にあったことが今の自分にとって、物凄く大きかったと思います。
一度、支援機関に繋がってから、この会社で働くようになったんですけれども、支援機関に行くというのが、『人生で初めて自分で決めたこと』なんですね。

これまで「高校卒業して働きたくないから、大学に行く」「大学中退して何もやってないから、働く」とか、特に深く考えずに、何となくで全部生きてきたんですよね。

お金が欲しいとか、仕事に興味があるとか、勉強をしたいとかもありませんでした。
でも、支援機関と繋がろうって思った時はもう自分自身でなんとかしたいから行こうって、かなり強い気持ちを持って行動を始めました。

ここで私の中の精神の転換期というか、「なんでもやってみよう」「0地点から再スタートしよう」という気持ちに変わったことで、今の自分に繋がっているんですね。

支援に繋がった時も、自分の状況とか正直話すの嫌だなって思っていたんですが、「相手はプロだから、何でも話して、今までの自分のやれなかったことでもやってみよう」と。

それが今の会社に入ってからも、自分の苦手な仕事でも「この会社で経歴を作ろう」と、前向きな気持ちを作ることができたんですね。

そのメンタルが作れたのは、自分で動き出したあの瞬間が1番大きなきっかけになっているなと思います。

翼祈:私は2年間で150社以上落ち続け、引きこもりを約10年していました。岡田さんは10年間の就活の間に、どうやって就職に向け、モチベーションを保っていましたか?

私が支援機関に繋がる前は12、3年ひきこもり期間がありました。
この期間はほとんど就活していないです。
今思うとメンタル的にそもそもできる状態じゃなかったと思いますね。

正直に言うと、1年に1回行けばいい方なので、この期間で就活をしたのって、5回ぐらいですし、ほとんど書類選考で落ちています。
面接も1、2回ぐらいいったけれども、まともに受け答えができなくて。
受け答えができないと、また期間が空いちゃって、という感じで、本格的にひきこもっていた時は、ほぼ就活はしてないも同然でした。

これは、そのあと支援機関に繋がって、色んなカリキュラムを受けて、ちょっと働いてみようかなって思った後のことです。

私が支援機関に繋がってる時に「私って、どういう人間なのかな」って自己を省みる機会がありまして、何百社って受けている方もいらっしゃいますが、「私は、こんなにたくさん受けるの無理だな」「これは私のやり方として不可能だ」って思ったんですよ。

最初は一応、正社員で、就活を始めたんですけれども、十社も受けないぐらいですかね、やっぱり書類も通らないんですよ。

そんな状態なので、「これじゃ、多分、受からないな」って。一旦見切りを付けました。 そうしないと仕事をしよう、っていう気持ちが薄れてくるなと思ったので。
一旦正社員での就活を置いといて、直近の経歴を埋めるために、登録不要の派遣のアルバイトをしようと思ったんです。

兎にも角にも、働くことを始めようっていうことを重要視しました。
とはいえ、落ちた時はモチベーションはどうしても落ちるので、支援機関に相談したり、雑談したり、愚痴をこぼしたりして、誰かと話すことでモチベーションを維持していました。

翼祈:頭では分かっているのに、行動に移す気が湧かない」というお話は凄く共感できました。就活を頑張りたいと思えたのは、どんなきっかけがあったのでしょうか?

相談支援機関に繋がった時に、かなり協力的な企業さんの方が、お話しに来たりしてくれるんですね。
私は「こんな経歴じゃ雇ってもらえるとこなんてないよね」って勝手に思っていたんですが、その企業の方に私が色々質問すると、「働きたいなら全然来てくれていいよ」って言ってくれる方が何社もあったんですよ。

「自分に働ける場所ってあるんだ」「私のように空白期間があってもいいよって言ってくれる企業があるんだ」っていうことに気付いたのが、大きかったです。
前提として自分の境遇を分かった上でOKしてくれる人がいるんだって思えた時に、働けるんじゃないかな、働いてみようかなっていう気持ちになりました。

翼祈:岡田様はひきこもり相談支援を受けて、2年後に就職されたそうですが、どのような支援をしていただきましたか?

相談支援機関のカリキュラムとして、基本的には、支援期間内での利用者同士のコミュニケーションの練習講座とか、外部の地域の方のお祭りのお手伝いなどをしました。

面白いものだとイメージキャラクター制作などクリエイター的なこともやらせていただきました。その時作ったキャラクターを今でも使っていただいてるんですけれども、そういった実習的なお仕事の疑似体験も行いました。

また、これはカリキュラムとして別にやっていたわけじゃないんですけれども、1番大きかったのが「自分を見つめ直す時間ができた」ってことですね。

スタッフの方と相談しながら、自分がこれからどういう風に生きていくのか、モチベーションを保つにはどうしたらいいのか、仕事をするためには、どういうものが必要なのかを見直せたことが、1番大きかったかなとは思います。

翼祈:岡田さんが、めちゃコマ様で働きたいと思った決め手を教えて下さい。

最初はプログラミング講座の生徒として、この会社と関わることになったんですけれども、担当講師の方がどういう仕事をしているのかを生徒側目線で、体験することができました。

以前から、人に説明をするのが分かりやすいと友達から言われてきたのですが、講師のお仕事をしているのを見て、失礼な話、「これなら私でもできそうかな」「自分の能力やスキル的にできそうだな」って正直思ったんです。

あとはやっぱり『ひきこもりでも安心安全に働ける場所』という、めちゃコマっていう会社のコンセプトですよね。
「そういう会社を作ってくれている人がいるんだ」っていうのが嬉しくて、生徒として入ってた時から「この会社で、働けたらいいな」って思っていましたし、伝えていました。

翼祈:私は大学時代、健全ではなく、人の中に入ったり、誰かと合わせるのが苦手で、周りの雰囲気と合わず、楽しくありませんでした。今のWebライターという仕事には満足をしていますが、大学を中退したことに心残りもあります。

岡田さんの中で、大学を中退されたことには、心残りという感情は、あったりされますか?

辞めた当時はなかったです。
むしろ、しんどかったので、辞められてすっきりしました。
解放されたと思っていましたね。

ただ今思うと、私も自分なりの上手い生き方を知らなかったんですよね。
どういうコミュニティが自分に合うのかとか、どういうスタンスで立ち回っていけばいいのかとかも、全く分かっていなかったです。今であれば多分もっとうまくやれたんだろうな、と思うので、今になって、ちょっともったいないことをしたなと思ってます。

翼祈:私も今のSNSで稼ぐことが主流になる前、ブログのアフィリエイトで稼ごうと考えた時期もありました。アフィリエイトはどの位活動を続けましたか?実際にやってみてどうでしたか?

活動期間としては、多分1年にも満たないですね。
『半年ぐらい毎日、1記事書くといい』という話を参考にしながら、やっていました。
半年ぐらい続きましたが、モチベーションがそこで切れちゃって、続かなくなりましたね。
実際、やってみて思ったのは、がっつりやれば、確かに稼げるなって思いました。
ただ、そこまでのモチベーションが正直、自分は湧かなかったので、私にこれを1人で続けていくのは、難しいかなと感じました。

翼祈:「年齢や経歴関係なく、雇ってくれる会社があれば、働けます」と言われていましたが、そう思ったきっかけの出来事が何かあれば、教えて下さい。

就活をする中で、そもそも試してすらもらえないっていうところが、ちょっと悲しいなって思っていました。
別に実務能力に自信があったわけじゃないんですけれども、面接とかは苦手であっても、会社に入りさえすれば、仕事ができるんじゃないかと正直、思ってたところがありました。
とりあえず、試す機会が欲しいみたいなことは、ずっとずっと常に考えていました。

翼祈:めちゃコマ様は安心・安全に働けることの必要性を掲げ、仕事をする場所を作りたいと言われています。10年の引きこもりから、めちゃコマ様に入社されて、安心・安全に働くために、どんなことをしていますか?

安心安全っていうのは、人によって基準が違うと思うんですけれども、私の場合「安定して働けて、そういう状態を作ることができること」と仮定して、話をさせていただきますね。

まず、メンタル面でいいますと、仕事なので、嫌なことも、たまにあったりします。
ただ、そういう時はすぐ話せる人がいるので、ストレスを解消できる環境っていうのを常に用意しています。

もう1つが、「仕事を続けるということそのもの、安定して、自分自身が社会人として続けていくってこと」という意味では、自分自身のスキルを上げることで、自己防衛してます。 

もしこの会社が潰れちゃったりしても、他の会社で働けるように、色んな人とのつながりを作ったりとか、仕事をしながらスキルを身に付けていったりしています。

ここはもう自己防衛の部分といいますか、「ここで色んなことやったし、自分は、他でも通用するぐらいのスキルを身に付けられたかな」って思えるほど、スキルを磨くことで、自分自身の安全安心ていうものを担保するようにしてます。

翼祈:私は少しだけ働いて、後ずっとひきこもりでした。岡田さんはアルバイトと休息をどちらも経験したことで、就活中に腐らず、前向きにできたこともありましたか?

ひきこもっていた時は1社受けて半年休むとか、そんな感じでした。
ただ、支援機関と繋がったあとに、自分から働こうとと思った時は、何だかんだ、その仕事が決まるまでは継続してモチベーションを保ち続けることはできたと思います。

ひきこもりからの脱却、それに必要なもの

暗闇からドアを開いて出る

 

翼祈:岡田さんは、「ひきこもりの脱却は、仕事を始めること」と言われていましたが、仕事を始めて5年経って、自分の中で変化したことはありますか?

まず、今の言葉には、語弊があるかも知れないので、訂正させて下さい。
「ひきこもりからの脱却は、仕事を始めること」というのは、私自身の話です。
別にひきこもりの脱却の視点は人それぞれ違うと思います。
私にとっては、仕事を始めることってのが1つの目標でした。

5年経って変化したことというと、初めて仕事してみて、今は会社の中で、それなりに認められるようになりました。
そこで思ったことが、ひきこもっていた時に自分が考えていた「認められる仕事像」と「実際の仕事で認められるために必要なもの」って、全然違ったなということです。
ひきこもりの時は、どうしてもスキルをなんとかしよう、みたいなこと考えていたんです。

あと、経歴を上手く、説明しようとか、そういうところばかり考えていました。

でも、今認められていることって、どちらかというと、「素直さ」というか、「経歴がなくても頑張ります」とか、そういうところを結構、評価されているんですね。
もちろん、スキルも必要なんですけれども、前提として気持ちとか意欲とか、頑張って仕事をしよう、って自分自身が思えていることが大事かなと思います。

もちろん、働き始めて、認められるようになって、その気持ちは更に、強くなりましたし、仕事をしながら色んな方との繋がりもできました。そういうところで、本当に自分にある程度、自信を持てるようになったかなっていうのは、仕事を通じてとても思います。

ゆた:私もひきこもっていた期間がありますが、その時に「このままだ駄目だ」みたいな気持ちになっていったんですけど、期間が長くなるにつれて、そういった感情は、どんどん深く、落ちていく感じなんですか?

これは私の場合ですけれども、徐々に落ちていきます。
基本的にはもっと駄目になるとかもっと動けなくなってくるので、私の場合は、それが私のキャパシティーの限界を超えた時に、逆に反転して、なんとかしなきゃってなりました。 

ちょっと変な話なんですけれども、学校に行ってた時って、学校はめちゃくちゃ嫌いだったんですよ。
勉強できる方でもなくて、運動も全然できなくて、自慢できるところもなかったですし、友達にからかわれたりとか、そういうのも多かったです。

何より基本的に子供は元気で友達と外で遊ぶみたいなことが、よしとされていたんです。
親もそれを望んでるのが分かっていて、私は無駄に小器用なんで、本当は1人で家でゲームする方が好きなんですけれども、親の望む理想の子供像に無理やり頑張って合わせてたんですね。でも、これやりたくないことやってるもんで楽しくないですよね。

先ほども言ったように、スクールカーストの上の方のやつらには、からかわれたりして、もう人間関係、面倒くせえなって思うこともあって、正直行きたくなかったです。
でも、なまじ中途半端に合わせられちゃったもんで、不登校にはならなかったんですよ。 学校には行き続けちゃったんですね。

その状態が私にとって凄く良くなかったなと思っていて、気持ちは下がるんですけども、どん底まで下がるまでには時間かかるんですよ。

もう無理だなって一旦なった方が、あとはそこから上がるだけなので、多分私にとっては良かったんだと思います。でも、そうではなかったので、徐々に徐々に落ちていく。
これが私の場合、ひきこもりの長期化の1番の原因だったと思います。

たとえ、そうじゃなくても、メンタルが落ちることは落ちると思いますね。

島川:働き始めてから、親御さんとの関係性に、なにか変化はありましたか?

普段はこうしなさい、ああしなさいはあんまり言わないんですけれども、下がっていた頃は、学校には行きなさいとか、仕事をしなさいと、したくないことを言われていました。

それに関して親を恨むとかは、別になかったんですよ。
私は自分の感性が人とはずれてるなって思っていたので、うちの親が仕事しなさい、学校に行きなさいっていうのは、当たり前のことなんだろうなって思っていました。

人の親として間違ったことを言ってるわけじゃない、愛情を持って、言ってくれているという捉え方をしてたので、できないことを言われるのは、しんどいけれども、そこで親を恨むとかそういう気持ちは全然なかったですし、関係自体もそこまで悪くありませんでした。

ひきこもっていた当時は「仕事をしなきゃいけないことは分かってるけど、動けない」と思っていることを、今みたいに言語化できてなかったんですよ。

良くも悪くも普通の子を育てるのに適していそうな親だと思っていたので、私のこのよく分かんない感性のことを相談しても意味ないなって、私は勝手に思っちゃっていたんですね。

どう言えばいいのかよく分からないし、ずっと相談できなかったんですけど、ストレスが限界に達した時に、親に思い切って打ち明けました。
「言われていることは分かるんだけども、私は今全然動けないし、経歴もないから、普通の会社に行けるとも思えないし、もうどうすればいいのか分からないんだ」と。

そうしたら、そこで親が「就職しろ」から、「相談に行こう」って一歩こっちに譲ってくれたんですよ。それが私にとってめちゃくちゃ大きくて、私は親に相談する前からなんとかしようと思っていたので、相談支援機関のことは調べて知ってたんですよ。

でもやっぱりそこに行く勇気もなくて「行かなきゃ」と「でもな」みたいな感じで悩んでたんですけど、親がそこを一歩譲ってくれたので、こっちも一歩踏み出そうと思いました。

仕事は無理だけど、相談ならっていうことが、一歩踏み出すきっかけになったので、親には感謝していますし、何だかんだ「仕事しなさい」っていうプレッシャーが、正直私には必要だったと思います。

何もなかったらもっと長期化してた可能性も、私の性格的に絶対にあるので、親が間違ったことをしていたとは、思っていません。
今ではちゃんと働いてる私を見て安心してくれてるので、家族との関係は良好です。

翼祈:「年齢や経歴関係なく、雇ってくれる会社があれば、働けます」と言われていましたが、雇ってくれる会社が、まだまだ足りないとお感じですか?

そうですね、探せばあることは、あるんですけれども、やっぱり足りない印象です。
先ほども言ったように、そうした会社が支援機関に繋がっていないと見つからないことが多く、実際にどのぐらいの会社さんが、 「別にひきこもりでもきていいよ」って言ってくれるかは分からないんですが、どうしても情報としては、まだまだ少ないかなと思います。

翼祈:今後どんな取り組みがひきこもりの支援には必要だとお考えですか?

色んな人の話を聞いてて思うのが、まず、情報が不足してるなと思います。
支援機関って実はたくさんあるんですけれども、まずそれを知らない当事者の方とか親御さんがそもそもめちゃくちゃ多いです。

あとは支援って言っても形は1つじゃなくて、機関によって結構、色んなやり方とか支援者の個性とかが違うんですね。
1個の支援機関に行くだけでも、力を使い果たしちゃうことが多いんですけれども、実際それだともう合う合わないが運次第になっちゃうので、「色んな支援の中から自分が選んでいいんだよ」、ということを当事者の方が知らないんですね。

1回支援に繋がって失敗しちゃったら、「もう支援機関に行きたくない」ってやっぱりなっちゃうんですね。だけど、そうではなくて、色んな場所から自分に合ったものを選べるっていうことを知っていただく必要が、あるのかなっていう風には思います。 

在宅ワークの良さ、将来性

めちゃコマチャンネル

翼祈:弊社もコロナ禍で在宅ワークが進みましたが、現在は少数で、ほぼ出勤です。全員が在宅ワークをされているめちゃコマ様から見た、在宅ワークの良さなどを教えて下さい。

やっぱり、「通勤時間がない」ってところがかなり大きいと思います。
準備の時間も考えると、なんだかんだで、短くても1時間近くかかっちゃうものだと思いますので、その時間がなくなるのは、私にとってはまずこれが1番ですね。
もう一つが「家という、自分のテリトリーの中で仕事ができること」ですね。
これは人それぞれ合う合わないはあるんですけれども、自分の慣れ親しんだ環境で仕事をできるっていうことは、在宅ワークの良さなんじゃないかなと思います。

どんはれ:在宅ワークは将来どのように浸透していくと思いますか?

今はAIとか、色んなものが出てきたので、在宅でできることそのものは増えていくんですけども、逆にAIとかでなんとかできちゃうんで、人との対面というものがむしろ、重要視される時代になってくるのかなと思いますね。

だから、基本が在宅ワークでも対面できることが結構重要とされる、ハイブリッド型で進んでいくのかなっていう風には思います。

どんはれ:AIが発達することで、ITの仕事はどんなふうに変化すると思いますか?問題を発見する力が重要だということですが、人ができることってどんなことがあるでしょうか?

先ほどの対面の話にも出てきましたが、やっぱり表情を見て、言い回しを変えたりとか、そういう細かい心の動きに関わるようなものはAIには、難しいんじゃないかなと思います。

また、AIを使うためには、適切な命令を日本語でしなくてはいけないので、どういう用語を使えばいいのかとか、どういう風に説明すればいいのかとか、AIを使っていく力が必要になってくるかとは思います。

めっちゃコマ様からメッセージ

ウチらめっちゃ細かいんで。のバーナー

翼祈:岡田様やめちゃコマ様が今後叶えたい夢や、将来の展望を教えて下さい。

私自身もそうだったんですけれども、我々めちゃコマに1番多いご要望として、「めちゃコマで働きたい」っていうご要望が、正直、一番多いです。

我々としても可能な限りそれに応えたいとは思っていますが、会社に大幅な黒字がないと、多くの人を雇うことはできないっていうのが本音ですね。
なので、安定してそういう収益を得て、働きたい方を安定して雇用できるような環境を作れたらいいなと思ってます。

翼祈:この記事で初めてめちゃコマさん達のことを知った方もいます。

AKARIの読者の皆さんに向けて、メッセージをお願い致します。

めちゃコマは主に働くっていうことを目標にしてる会社ですけれども、ひきこもりの脱却の地点ってのは、人それぞれ違うと私は思います。

私にとっては働くことを目的にしてたんですけれども、最終的に私が脱却したな、抜け出したなって思ったのは、自分自身の生きづらさを解消できたことだと思います。

ぶっちゃけていうと、それは働くことで、解消されたわけではなくて、支援機関に繋がっている間に、「自分はどうするか」って自分発信で色んなことをできるようになったこと、これが私にとって生きづらさを解消するきっかけになったことなんですね。

ですので、うちはもちろん仕事をする場ですし、仕事が必要っていう場でもありますし、ひきこもりにとってこの仕事をするって、1つの大きな壁だとは思います。

ただやっぱり、「そういう人でも、 全然来てくれていいんだよ」って言ってくださる会社さんが我々以外にも結構たくさんいることを、まず知っていただきたいなって思います。

これから一歩踏み出そうとする方に対しては、「支援や助けてくれる人って、結構いっぱいいること」と、世間って「思っていたよりもひきこもりに対して優しい」ということです。

むしろ、ひきこもり当事者の方が当事者性を嫌っているって思えるぐらい自分を責めているので、一歩外に出れば助けてくれる人、協力してくれる人がたくさんいます。

めちゃコマでも、オンラインの当事者会とかは、顔出しなし、声も出さずに文章で挨拶一言だけしていただければ参加してもらえるので、少しずつ他の方と繋がりたいって思ってる方は、自分の参加できる範囲からご参加いただけるといいんじゃないかなと思います。

お話を聞いた感想&お礼

どんはれ:ひきこもりを長期間されていたということなんですけれども、そういう経歴を感じさせないぐらい、和やかにお話してくださったので、とてもよかったと思います。

私もひきこもりみたいになった時もあって、なかなか就職が上手くいかなくてどうしよう、って思った時期もあったので、今日色々なお話聞けて、あの今現在ひきこもってる方も、新たな希望が見つけられるといいなと思いました。ありがとうございました。

ゆた:僕が大学卒業したあとに就職し、それを辞めて就活しながら、ひきこもるみたいな生活をしていて、就活自体もほとんどできていなかったんですけど、さきほどのお話でもあったように、親からのプレッシャーみたいなことは、ちょっと感じてて、やっぱり、働いてほしいんですよね、親としては。

ただ、親は僕のことに甘いんですけど、このまま甘やかし続けて就職もしなくて良いよってなったらどんどんどんどんひきこもって、仕事にありつけないままだったのかなって、お話を聞いて思いました。

今、TANOSHIKACREATIVEで縁があって、働いてるんですけど、あの時行動していて良かったなって改めて、今思ってるので、だからそういう話が聞けて、凄く共感できるし、改めて、仕事頑張っていきたいなって思ました。ありがとうございました!

mako:今日は貴重なお話をありがとうございました。どうしても気になっている息子と同じ学年の子なんですけれど、高校の頃からひきこもってしまって、優秀な子だったんですけど、そのお子さんのことがずっと頭に引っ掛かってるんです。何かきっかけがその子さんにもあって、岡田様のように、仕事に繋がっていって、安全で安心できる場所に行き着くことがそういうことに繋がっていってくれればいいなと思いながら、今日お話を聞かせていただきました。

翼祈:私は今は働いていますが、岡田様と同じぐらいひきこもりを続けていた元当事者だったので、色々と共通点を感じることも多かったです。

大学を中退されたことも、私はあの時は人間関係が本当に色々あったので、私も岡田様のように、辞めてよかったって思っていましたが、今思えば方法が分かれば辞めなくても済んだのかなって思う時もあります。

学歴重視な世の中で、自分は高校卒業が最終学歴なので、岡田様も、心残りがあるっていうお話を聞いて、やっぱりそういう風に思われる方もいらっしゃるんだなって、思いました。

私は父の怪我がきっかけでひきこもりから脱しました。実家暮らしが長く両親と上手く折り合いがつかない時もあったりするんですけど、両親に感謝していることがあります。

私が大学を中退して実家に戻ってきたあとに色んな病気とか障害が見つかって、ひきこもりって、ひきこもりを続けて、自分の中でひきこもりを続けてるっていうことが、とても情けなかったです。

あの当時もそれなりにSNSがあったりしたので、他の人や友達とかを見て、その友達とかが輝いてるのを見て、自分ってなんでこんなにこの人と違うんだろう、っていうのは、本当に悲しくて、凄く心を閉ざしたことも多かったんです。

それでも両親が無理やり働きに行きなさいっていうような感じでもなく、優しく見守ってくれたことがあったから、ひきこもりは10年近く続けましたけど、私自身も腐らずになんとか、生きてこれて、今Webライターっていう仕事をすることができていると思っています。

ひきこもりって、子どもが50歳になって、親が80歳になる、いわゆる50、80問題にもあるように、親が凄く支えてるっていうのはとても大きいと思うんですよね。
本当にひきこもりの方ってご両親がいないと、自分の生活も上手くできなかったりすることも多いと思うので、改めて、その岡田様の話を聞いて、両親の力は偉大だなって感じました。ありがとうございました。

島川:僕の弟が一時期、不登校だった時があったんですけど、一回出れなくなってあとから出るのって、凄いエネルギーが必要になることだと思うんですよね。
今回お話を聞いて、色んなきっかけや、考え方が変わったこともあったと思うのですが、いきなり「就職しなきゃ」じゃなくて「相談してみよう」と一旦、ハードル下げたのって、凄く大事なことだなと思って、凄い示唆的だったなと思うんですよね。
そういうことが当事者の方から聞けたことも、凄くよかったと思わせていただきました。
こういったひきこもりの方を受け入れる会社がちゃんとあることを、この記事を通してもっと知ってほしいなと、改めて思わせていただきました。
貴重なお話をありがとうございました。

葉っぱのライン

インタビューは以上になります。どのような感想をお持ちいただけたでしょうか?

よかったらコメント欄にて意見を受け付けております。みなさまのご意見・ご感想をお待ちしております。最後までご覧になっていただき、ありがとうございました。

メガネの男性の写真

めちゃコマ様HP
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公式X
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