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こんにちは、翼祈(たすき)です。
2010年代に入って、仮想現実やAI、ドローンなど、様々な新しいものが出て来て、日常生活に取り入れられる様になって来ました。今こうしたものを災害での防災対策に活かそうという取り組みが、全国で広がっています。
それらをどう災害対策に活かすのか?この記事では、その例を4つ挙げながら、最新の災害対策のトレンドについて紹介したいと思います。
降雨体験装置「雨ニティー号」
2022年10月16日、大雨を想定した小松市総合防災訓練が、今江小学校で開催されました。
訓練は、午前7時に1時間120ミリの猛烈な雨が観測され、町内を流れる前川が氾濫危険水位を超えたと想定し、住民は一時避難場所を経て、およそ30分で速やかに指定避難所の同校のグラウンドに集合しました。
続いて、住民らは四班に分かれ、給水や土のうづくりを体験し、グラウンドに置かれた国土交通省北陸地方整備局が所有する降雨体験装置「雨ニティー号」では、住民は雨具を着て傘を差し、2022年8月4日の一時間最大雨量のおよそ2倍の180ミリの豪雨を模擬体験しました。
火災現場を仮想現実(VR)で体験
火災件数が全国的に減って来ている中で、仮想現実(VR)の「現場」で消防隊員が訓練が可能な様に、横浜市消防局は東京理科大学や東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター、企業と提携し、全国で初導入となるVR消防教育訓練システムを開発しました。2022年度中に商品化を目指し、日本各地の消防本部で消防の技術の継承に役立てて貰えたらと思います。
VRを装着しながら機材を背負い、ゴーグルを付けて周りを見回すとそこは民家の中。2階へ行くと、部屋の奥に炎が映っていました。手に取ったホースを操りながら、一緒に行動する隊員と協力し消火しました。このVRは2022年6月、神奈川県横浜市西区で開催されたイベント内で初めて披露され、イベントに来た人たちに体験して貰いました。
繰り返しVRで訓練しても慣れてこない様に、火事現場に到着したタイミングや発火元の部屋を切り替えるなど、状況を細分化し設定可能です。
このVR開発の経緯は2017年、横浜市消防訓練センターの管理職だった消防署長の男性の問題意識からでした。若い隊員の消防の経験の場が限定され、団塊世代の退職を経験して指導する立場の世代も減りました。「何か新しいことに取り組まなければ」。
全国瞬時警報システム(Jアラート)を開発した、東京都新宿区にある理経は火災の怖さが体験可能な一般向けVRシステムを開発していましたが、プロの消防隊員が訓練に使用するVRシステムは前例はありませんでした。
チームを組んで活動する隊員に向けて、複数人が同時にVRシステムの中に入ることを前提に開発しました。訓練モード以外にも、炎の温度を色と数値で表示し、煙が上へと登り、視界が遮られていく過程なども想定し、室内の変化を観察出来るコーナーも設置しました。
参考:感染拡大で訓練回数が減って…消防団の消火活動、VRで疑似体験へ 読売新聞(2022年)
東京大学先端科学技術研究センター特任講師で、初期から開発を行って来た男性は「VRは実際の火災現場にいるより心理的負荷は低くなりますが、真剣に訓練に励めない原因にも起こりうる。VRでも心理的負荷を適度にかける設計を加速させないと」と話します。
清水建設の「慈雨」
清水建設は、AIを使用して木造文化財を火災から保護するシステム「慈雨」を開発しました。設置した監視カメラの映像をAIが解析し、素早く出火を発見します。始めは、東京都内へ移設している旧渋沢栄一邸に監視カメラを設置し、2023年度から伝統建築物をメーンにシステム「慈雨」の提供をスタートさせます。
システム「慈雨」は、監視カメラとAI、消火装置が一緒になって消火することができます。監視カメラが発見した炎や煙をAIが解析し、自動で消化装置が散水します。監視カメラは、離れた場所で発生した小さな炎も検知可能です。不審者をとらえた時には警備会社などに通報し、放火事件も未然に予防します。
参考:AIが木造文化財を火災から守る、炎や煙を解析し消火・不審者も通報…清水建設の「慈雨」 読売新聞(2022年)
地震での仮想現実(VR)体験
VRゴーグルを使いながら地震からの防災について考える授業が、群馬県桐生市立東小学校で行われました。同群馬県桐生市は文部科学省が実施する「学校安全総合支援事業」の2022年度モデル地域に選ばれ、市立東小学校を合わせた、市立小学校3校で行われました。これ以外にも、市立境野中学校が過去に同群馬県桐生市内で発生した水害の浸水深ステッカーを学校内に貼るフィールドワークを行います。
市立東小学校では全校児童約190人が学年に分かれて行いました。この授業に使われる動画は、VRでの防災教育をサポートしている神奈川歯科大学の教授の男性が携わりました。教室内と家庭の居間で震度7の地震が発生した、2つのシーンが計2分20秒、VRに流れる設定です。教室では天井の蛍光灯が揺れた衝撃で割れて落ち、居間で大型家具が揺れて横倒しになったりなど、大きな衝撃音と合わせて激しい揺れの疑似体験が可能です。
1年生の授業では、VRゴーグルを使った児童たちから「かなり揺れてる」「凄く怖い」という声が次々と上がりました。恐怖心から途中でVRゴーグルを外す児童も数人いました。
女の子は「少し恐怖を感じました。天井から落ちてくるものから頭を守らないといけないと分かりました」、男の子は「教室にいて地震が発生したら、机の下に入って安全を守ろうと思いました」と言いました。
参考:日本全国の任意の場所で発生する地震予測をVRで疑似再現することができるシステムです。 idcgo VR
今の時代にあった災害対策。
仮想現実だったり、AIだったりとか、本当に現在のライフスタイルにあった災害対策だなと思いました。近くで災害があったら嫌ですけど、VRとか実際の災害の様子を流すことで、よりリアルを感じ、災害対策しなきゃとか思うのかもしれませんね。
まだまだ発展できるのではないか?と思う、この災害対策。多くの人がこの対策を体験できると、世の中がさらにより良くなるかもしれませんね。
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消防団にドローン本格導入へ、災害被害の早期把握に活用…来年度から操縦方法など各地で講習 読売新聞(2022年)
noteでも書いています。よければ読んでください。
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