親が認知症になったら口座が凍結⁉その対策と成年後見・家族信託について

この記事は約 8 分で読むことができます。

はじめに

親が認知症になったら預金口座が凍結される可能性があることを皆さんはご存知でしょうか?
口座の凍結に至るまでもいくつかのケースや流れがあります。

どのような場合に凍結されるのか、具体的なケースや流れを下記の構成でご紹介します。

  1. 認知症で口座凍結されるケース
  2. 成年後見人を立てる。
  3. 3,4ヶ月かかる
  4. その間、子どもが介護費用を立て替えても相続で返ってくることはない。
  5. 認知症になるまえに家族信託を立てる
  6. 家族信託とは、
  7. 委託者、受託者、受益者
  8. 権(子ども) 利(親)

認知症で口座凍結されるケース

口座が凍結されるケース

認知症を発症したときに、死亡時と同じに家族が認知症について銀行に告知し、口座を凍結してもらうケース

認知症を発症したと思われる口座名義人、本人が銀行に行き、その時に銀行側が、口座名義人である本人が、著しく意思決定能力に欠け、いわゆる認知症と思われる状態になっているということに気が付き、口座が凍結するケース

施設入所のため、本人と共に、家族や、親族が定期預金などを解約しようとして、銀行に行き、認知症ということが判明して、凍結されるケース

口座が凍結される理由には、認知症と思わしき口座名義人が、横領や詐欺などの犯罪に遭ったり、口座の不正使用に巻き込まれることで財産を失うことを防ぐためです。

口座が凍結されると、預金の引き出し、解約はすべてできなくなります

例えば、口座名義人本人のための介護費用や、施設入所のための契約金を支払うために預金を引き出そうとしてもそれはできません。

しかも、口座名義人と親族であることが明白であってもです。戸籍謄本やマイナンバーカードなどを提示して書類上で、親子関係が明らかにわかるような場合でも、一切引き出しや、解約は認められません。

ではどうしたらよいのでしょうか。

成年後見人を立てる

 

成年後見人を立てることによって本人の財産を介護費用に使うことができるようになります。

法定後見制度は、判断能力が無い(程度による)方向けの制度です。

制度を利用するには、家庭裁判所へ申立書の提出が必要です。

法定後見開始までの手続きのながれ

申立て→審理→法定後見開始の審判、成年後見人などの選任→審判の確定(法定後見の開始)

※後見開始までに3〜4か月かかります。 

後見人等には、誰になってもらうか希望はできますが、決定するのは家庭裁判所です。

3~4か月の間の介護費用は子などの親族が立て替えなければなりません。介護費用は、「日々の生活でかかる費用」つまり生活費という扱いになり、家族であれば、本人の代わりに支払って当然とみなされる費用になります。たとえ、領収証など全てを保管していたとしても相続の時にその額を差し引いてもらえるかは明確ではありません。

遺産分割協議の際に、寄与分として認めてもらうよう、ほかの相続人らに話し合いを持ちかけることはできますが、実際に立て替えた分を認めてもらうことができない可能性もあります。

後見人は親族がなるもの?

成年後見人になるには、特別な資格は必要ありません。裁判所が選んだ地域住民や、法人が担うケースもあります。

本人にある程度の財産がある場合、不動産の処分が必要、親族同士で金銭トラブルを抱えている、財産が多く契約や権利関係が複雑といった場合、専門知識を持つ、弁護士や司法書士、社会福祉士が適任の場合があります。

本人の親族も後見人になることはできますが、適任かどうかは裁判所が判断します。許可されないこともありますし、後見人になれたとしても、「監督人」がつきます。正しく後見業務ができているかチェックされます。

後見人に報酬を支払う必要があります。

弁護士、司法書士など、親族以外の第三者が後見人業務を請け負うとき、本人の財産から毎月報酬を支払わなければなりません。

家庭裁判所の情報によると、成年後見人の報酬の目安は「月額2万円」になります。しかし、管理する財産が数千万円以上になると報酬も高くなり、「月額5~6万円」となります。

「これから施設を探す」場合

入居費0円の施設を選びましょう。初期費用を抑えることができます。

月々の支払い方法も「振り込み」ではなく、「口座引き落とし」ができる施設を探しましょう。引き落とし口座を入居者本人の口座から引き落とされれば、子どもが立て替える必要がありません。

「すでに入居契約が済んでいる」場合

入居者本人の口座から施設側へ直接振り込みができないか、金融機関に相談してみましょう。施設と交わした「入居契約書」を提出し、金融機関が「間違いなく本人のために利用する」と判断されれば、家族の同意の上、入居金の支払いに対応してくれるかもしれません。

身近に相談できる相手がいない場合は、担当のケアマネジャーや、地域包括支援センター、本人の口座がある金融機関など、本人に関わるありとあらゆる機関、法律の専門家にも相談してみましょう。

認知症になるまえに任意後見制度と家族信託

任意後見制度は本人が十分な判断能力があるうちに、将来に備えあらかじめ自分が選んだ代理人に自分の生活に関することについて代理権を与える契約を公正証書で結んでおくものです。

判断能力が低下したときに、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもと本人に代わって契約などを行います。

家族信託

・家族信託とは認知症などによる財産の凍結を防ぎ、家族が財産管理できる制度のこと。

・家族信託で託せる財産は、不動産や有価証券など一般的に換価できる財産です。

・家族信託と成年後見制度(任意後見、法定後見)は、財産管理を行う人、財産管理の

柔軟性や相続対策のしやすさ、費用などの点で違いがあります。

例えば、年老いた両親に変わって財産を管理したいと子供が考えます。両親を委託者(財産を預ける人)にし、子を受託者(財産を預かる人)にして信託契約を結びます。自宅やお金、アパートなどの家賃収入などの管理を子がすることになります。その利益、自宅に安心して住めることや、生活費の給付など受益者である両親に利益を確保する役割を受託者が担います。

権(子ども) 利(親)

受託者は「名義人」(=管理権限)を持つ人 

受益者は「利益」を持つ人

家族信託は、任意後見制度と違って、契約と同時に財産を管理する人を決めることができます。

家族信託は、家族同士の取り決めを記載した信託契約書の作成や不動産の所有権移転登記、信託登記など複雑な手続きがあるため、専門家の関与なくして行うことは困難です。そのため、専門家に依頼する手間や費用がかかることをあらかじめ予想しておく必要があります。

専門家によって費用が異なるため、一概にはいえませんが、信託財産の1.2%から2%程度かかると予想されます。

成年後見制度や任意後見制度と異なって監督人や裁判所による監督がいないため、財産を信頼して託せる家族や親族の存在が必要になります。

まとめ

以上、法定後見制度、任意後見制度、家族信託の違いを説明して参りました。ご理解いただけましたでしょうか?

親が認知症になる前に、家族信託や任意後見制度で備えることができます。そして、親が認知症になった後は法定後見人を立てることで、親の財産が守られ、家庭裁判所の監督人の元、安心して生活が送られるような制度になっていおります。

皆さんのご参考になれば幸いです。

参考サイト

【FPが答える】認知症になった親の貯金を引き出すにはどうしたらいいの?

認知症での口座凍結トラブルに注意! 解除方法や未然に防ぐ方法を解説 | 相続会議

家族信託ってなに?概要や仕組みをわかりやすくイラスト解説! | 遺産相続コンシェルジュ公式ブログ (pro-search.jp)

関連記事

noteでも書いています。よかったら、読んでみてください。

おすすめ記事の紹介

HOME

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。