「MIS-C(小児多系統炎症性症候群)」とは?新型肺炎治ったのに、何この症状?

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こんにちは、金次郎です。

 遂に新型肺炎もGW明けの5月8日から、感染症分類も2類からインフルエンザと同じ5類になりました。
 4月後半の報道番組では、5類になったらマスクはどうするか?とか、感染者数の発表はどうなるのか?と色々と取り上げていました。
 ところが最近、新型肺炎に罹って治癒した小学生の間で変な症状が相次いで報告されています。

小学生の間で流行っている症状

 新型肺炎に罹って治癒した小学生の間で、高熱が出たり下痢を頻発する子が増えています。
 小学5年生の林煕榮(てるえい)くんは、公園で友達と遊んでいた時に異変が起こります。
 ボールを投げようとするのですが、腕に力が入らずボールがうまく投げられません。
 その後、高熱や激しい下痢が続き、近所の病院を受診しましたが、原因はわかりませんでした。

 異変が起きたのは、2022年12月28日。
 煕榮くんに聞くと「友達とドッジボールをやってた時に、体に力が入らなくて、ボールを飛ばせなかったの。家に帰ってから寝てたけど、どんどん体がしんどくなって行ったの。」と語ります。
 その後煕榮くんは、高熱と激しい下痢で食欲も無くなり、昼食も食べることができませんでした。
 煕榮くんが新型肺炎に感染したのは、その2か月前でして、すでに完治していました。

 しかし、万が一の再発を考えて、母親が病院に連れて行き新型肺炎とインフルエンザの検査を受けさせましたが、どちらも陰性でした。
 翌日になっても体調は変わらないどころか、下痢はさらに悪化します。
 同じ病院をもう1度受診しましたが、先生からは「おたふく風邪ではないかな?」と言われて処方された薬を飲んで、自宅で休ませていましたが、症状はひどくなるばかりです。

 この様に、子供が原因不明の症状に苦しむケースが国内外で相次いで報告されています。
子供たちに共通する点は、どの子も少し前に新型肺炎に感染していたと言う事です。 

別の医者の見解

 元旦にトイレに行こうとした煕榮くんは、ふらついて倒れてしまいます。
 熱を測ると体温が40度を超えており、ただの体調不良ではないと感じた母親は、消防庁の救急相談「#7119」に電話します。
 相談窓口の担当者から、救急車を呼んだほうが良いと助言されたので、救急車を呼びました。
 搬送されたのは、大阪府内の小児医療の拠点となっている大阪母子医療センターです。

 詳しい検査を受けた結果、告げられた病名は「MIS-C(ミスシー)=小児多系統炎症性症候群」と言う、聞き慣れない病名を言われました。

 病名を告げた集中治療科の森田可奈子医師も、診た当初は胃腸炎を疑っていたそうです。
しかし森田医師はこう言います。
 「もともと健康で、搬送されてきた時点では発熱と下痢などの消化器系の症状が中心だったので、正直、胃腸炎かなという印象を持ちました。
 しかし、お母さんの話をよく聞いて行くうちに、新型肺炎に感染していた事を含め、ほかの病気も考えた方が良いと感じまして、それでMIS-Cを疑い始めましたのです。」との事です。

そう感じた理由は、
 ・血液検査で炎症が起きていることを示す「CRP」の値が高かった
 ・超音波検査でリンパ節の腫れと心臓の働きが少し弱まっているのが分かった
そして、母親への聞き取りで言われた
 ・太ももに発疹があること
 ・朝から目の充血があったこと
 これらの症状を総合的に考えて「MIS-C」と言う診断になったそうです。

MIS-C(小児多系統炎症性症候群)とは?

 ・病名
  多臓器炎症症候群(MIS-C,MIS-A)とは、COVID-19(新型肺炎)感染後の合併症で
  でして、小児および21歳未満の青少年に見られる病気で、年齢中央値は8歳です

  少数ですが、若年の成人にも同様の症状が見られる事が有ります。

 ・症状
  主な症状  :発熱、腹痛、嘔吐、下痢
  その他の症状:発疹、結膜炎、頭痛、頸部リンパ節腫脹、唇腫脹

 ・治療方法
  1・低用量アスピリン、重症心臓病変には抗凝固治療
  2・強心薬と昇圧薬によるサポート

参考:(熱病サンフォード治療法ガイド)COVID-19,多臓器炎症症候群(MIS-C,MIS-A)
 

終わりに 

 一時期は、移動するのに車イスに乗らないといけないほど衰弱していた煕榮くん。
 炎症を抑える薬を投与するなど専門的な治療を受ける事によって、少しづつ回復していきました。

 ひどかった下痢も治り、3週間の入院が終わる頃には普通のごはんも食べられるまでになったそうです。
 お母さんは「新型肺炎自体は軽症だったので、感染後にこんな症状が出る事があるのを全く知りませんでした。
 私なりにも調べてみたら、極まれなケースだそうですが、海外では亡くなった子共もいると言う事も知りましたし、本当に不安でした。
 もし、救急車で母子医療センターに搬送されていなければ、この病気であると言う診断もされず治療も受けられなかったと思うと怖いです。」と語りました。

 退院1ヵ月後に、経過観察の為に母子医療センターに行きましたが、なんの問題も無い事が分かり、今では体育の授業にも参加出来ているそうです。

 日本小児科学会や日本川崎病学会など4つの学会では、先ず国内でこれまでMIS-Cと診断された症例や新型肺炎感染を伴う川崎病などを詳しく調べて、ガイドライン作成を進めたいと考えているそうです。

 最初に書いた様に新型肺炎も、インフルエンザと同じ5類に移行しました。
 私たちの生活や街の様子も、新型肺炎の感染拡大前の状態に戻りつつあります。
 でも、煕榮くんのように、若い人たちに新型肺炎が治っても心配な症状が出るケースが確認されている事を知らなければなりません。

 「MIS-C」と言う病気を認識して、もし子供が新型肺炎に感染し、治った後に原因不明の症状が出た場合は、かかりつけの病院などで「MIS-Cじゃ無いでしょうか?」と相談した方が良いでしょう。

参考:(NHKニュース)コロナ感染後 元気な小学生に異変が…

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