きょうだい児。〜兄妹姉妹の中に障害や病気を持つ家族のいる、子ども達のこと〜 

きょうだい児

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

身体や精神、知的の障害などがある子の兄弟姉妹のことを「きょうだい児」と言われます。「きょうだい」が平仮名である理由は『きょうだい』は兄・弟・姉・妹のどの組み合わせも意味する言葉だからです。

彼らは障害を抱えるきょうだいの世話をしたり、親の目が自分に向かないことを我慢して過ごしたりと、幼い頃から苦しみを持つことが少なくありません。きょうだい児には、「障害を抱えるきょうだいに手がかかるため親に甘えられない」「きょうだいのことで学校で差別を受けた」など、独特の悩みを抱えます。

子どもの頃からきょうだいの世話をする「ヤングケアラー」となったり、周囲からきょうだいの障害に関連するいじめや偏見にさらされたりと困難や悩みを抱えます。

2020年3月に厚生労働省の事業で行われた実態調査に「きょうだい児」という言葉が初めて使われました。障害児のきょうだいも対象に併せた厚労省事業の実態調査は今までにほとんどなく、その後、きょうだい児への認知度や関心が向上し、近年その存在に光が当たり始めています。

今回はきょうだい児である人の話や支援団体、きょうだい児の男の子が出版した絵本のことなどを紹介したいと思います。

きょうだい児当事者の悩み

「子どもの頃、親から無理だよって言われて、家に友達を呼べなかった」。2022年11月、京都府京都市内にある喫茶店で大学生の男性が話し出しました。きょうだい児らで構成された自助グループ「京都きょうだい会」の恒例の集いの会です。40年前から活動を始め、奇数月に集合しお茶を飲み、軽食を取りつつ思い思いを語り合います。男性はインターネットの配信番組で偶然「きょうだい」という言葉を知って、その年の2022年7月に初めて「京都きょうだい会」に参加しました。この日は20~70代の男女9人で語り合いました。

重い口を開いた男性の5歳上の姉は、難病での運動障害や知的障害を抱えて生活しています。自宅に友人が来ることは駄目だよと言われたことに関して両親から説明はありませんでしたが、「姉がいるからだろう」と感じていました。姉の世話は両親が主に担当し、「勉強や部活は自由にやれました」といいます。ですが、「自分のことは自分できちんと果たしなさい」と言われ続け、「親に僕まで迷惑をかけてはいけない」と感じ続け育ちました。

「きょうだい児の姉がいるから」という気持ちは人生の色んなシーンで立ちふさがってきました。大学への進学は上京することや寮生活を希望していましたが、両親から反対されて諦めざるをえませんでした。現在は京都の大学に往復約4時間かけて通学しています。

今後のことも姉の存在なしでは考えられません。姉は機嫌が悪くなると家の駐車場に座り込んで動かなくなります。両親は姉をグループホームに入れることに消極的な姿勢で、「もし自分一人で姉を世話するとなれば、どうしたらいいんだろう」と「京都きょうだい会」で悩みを打ち明けました。

サポート団体などによりますと、「京都きょうだい会」の様な自助グループやサポート団体は全国で50団体ほどあると推定され、SNSを使いきょうだい同士の交流や電話相談などのサポートも行われています。ですが、小さい子どものきょうだい児を対象にサポートしている団体はまだまだ少ないです。大阪を拠点に活動し、小中学生のきょうだい児を対象にしたイベントなどを主催するNPO法人「しぶたね」の理事長の女性は、「全国的に小さな子向けのきょうだい児の活動をしているサポート団体が余りないので、関東地方や三重県など遠方からイベントに参加する人もいます」と説明します。

参考:支え合う「きょうだい児」に光 期待に応え続ける重荷下ろして 毎日新聞(2023年)

2022年3月に発表したきょうだい児の当事者団体の全国組織「全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会」(略称・全国きょうだいの会)が2019年に会員らを対象に行ったアンケート結果では、その生きづらさが表面化しました。

10歳未満~70歳以上の男女165人が寄せた回答の中で「家族に今後のきょうだいの世話を頼まれ、住む場所や進路を自分の意志では決められない」「付き合っていた相手の両親に、直接ではなくても間接的に、『子どもに障害が遺伝する可能性があるから認めない』と言われ結婚できなかった」など悲痛な訴えが届きました。

それ以外にも「学生時代にクラスメイトがきょうだいの陰口を言ったのを聞いた」といった置かれている周りの環境からの悩みが多く寄せられました。不登校を経験した人は21人で、回答者の約13%に当たりました。

きょうだい児の支援団体in埼玉県

障害を持たない長男と、脳性まひで知的障害を抱える次男の二人の男の子のお母さん。親の目はサポートが必要な次男にどうしても行きがちになります。子どもは敏感にそれを感じ取ります。次男を受診で病院に連れて行くために、長男を幼稚園に先に送り届けた時に「僕も病院に一緒に行く」と言って話を聞きませんでした。

まだ小さい次男の入院に同行することで、長男を実家に預けることが幾重にもありました。長男から「ママ、早く帰って来てよ」と、泣きつかれると、毎回胸が痛みました。「どうしてこの子にも悲しい思いにさせなきゃならないんだろう」。

もやもやが消えたのが、当時4歳だった長男と参加したワークショップでした。障害児をどこかに預けて参加することがルールで、親子ともに昼ご飯を作り、ゲームをワイワイ楽しみました。長男と親子二人きりで1日がかりの外出をしたのはこれが初めての経験でした。

いつもは弟のために我慢してしまうシーンが多い長男は、この時は凄く機嫌が良かったです。その表情を観て、「きょうだい児が親を独占できる時間の確保が必要」と痛感し、2009年に支援団体「ブレイブキッズ」を埼玉県川口市内に発足させました。

きょうだい児たちが同じ境遇に置かれている友達と何も考えずに遊び回れる様に、ハロウィンパーティーやスケート体験教室などのイベントを季節に合わせ違うものを開催します。毎日の疲れを癒すヨガ教室も、親御さんを対象に毎月開催しています。

参考サイト

「きょうだい児」の居場所を 支援の会「ワッフル」活動中 タウンニュース(2021年)

きょうだい児 悩み聞かせて 読売新聞(2023年)

きょうだい児の男の子が出した絵本『ぼくはチョココロネやさん』

画像引用・参考:絵本 ぼくはチョココロネやさん 一般社団法人 みんなのレモネードの会

病気や障害を抱える子ども達の兄弟姉妹「きょうだい児」の想いを発信したいと、神奈川県横浜市西区に住む保育園児の男の子が、2021年10月15日に絵本『ぼくはチョココロネやさん』(生活の医療社刊、税込1650円)をお母さんと一緒に製作し、出版しました。

この絵本では、がんの後遺症と闘う兄を尊敬しつつも「いつもお兄ちゃんのことばっかり」と両親の接し方に寂しさを覚え、大好物のチョココロネをお母さんと作って嬉しい気持ちになったりと、自身を体現した姿が優しい絵柄で描かれています。

男の子の兄は3歳の時に小児がんを発症しました。脳腫瘍ができたことで入院し、二度の手術を経て退院し、治療も終えましたが、中学生になった現在も通院し、放射線治療の影響で身体の中で作られなかった成長ホルモンを週に6日、自宅で自ら注射しています。

兄が小学3年生だった2015年のクリスマス前、小児がんのことを多くの人に知って貰いたいと、横浜駅近くのスペースでレモネードスタンドを開店しました。後遺症と付き合う生活の傍ら、レモネードスタンドの活動を継続するために、小児がんの患者の子どもと家族を結び付ける「みんなのレモネードの会」を2016年に発足しました。

お母さんによれば、通院時に同行して介助することで兄に時間を割かざるを得ないことが増えたことで、甘えたい盛りの男の子を十分構ってあげられないことも多くなりました。

兄がレモネードスタンドのそばで披露していた紙芝居が出版社の人の目に留まり、2019年に兄自身の闘病体験を綴る[ぼくはレモネードやさん]という絵本を出版しました。大きな反響を呼び、絵本を読んで「みんなのレモネードの会」のメンバーに加入した子もいました。

兄の絵本を見た男の子が「いつもお兄ちゃんばっかりずるいよ!どうしてお兄ちゃんのしかないの?ぼくの絵本も欲しい」と言い始めました。お母さんは、男の子が大好きなチョココロネをテーマに「きょうだい児」の想いを絵本にすることを思い付きました。母子で絵本の文章を考え、イラストは親交があるイラストレーターの女性に託しました。文章はお母さんが書き溜めていた原作をイラストレーターの女性からアドバイスを受けながら完成させていきました。

絵本の主人公は「ぼく」です。内容は兄は小さい時の病気で注射を今も打っていて、身体も疲れやすいけど、「レモネードやさん」もしているという設定です。「ぼく」が大好きなのはチョココロネで、ママと生地をこねて美味しいコロネの完成を目指していきます。ママに構って貰えず、寂しさを「あーつまんない!」という素直な一言で表現するシーンもあります。

男の子は、お母さんと一緒にパンを作って、2人でお昼寝をしている間に、パンが発酵して大きく膨らむシーンがお気に入りだと言います。

母は「息子のことは気を付けてはいますが、病気の子どものきょうだい児は、兄に目が行きがちで、どうしてもポツンとしてしまうことがあります」と吐露します。

「周りに我慢している子だけでなく、複雑な気持ちを抱えながらも頑張ってしまう子がいることを、絵本を介して届けたいと思いました。この絵本が、みんながそういう存在になる時があるよ、また孤立して悲しい気持ちを持つきょうだい児への理解が一人でも多くの人に浸透して欲しいです」と期待を込めます。

水彩や貼り絵で柔らかな絵に仕上げたイラストレーターの女性は「男の子は感じている気持ちをきちんと表現しました。きょうだい児の心を私自身が勉強していって、イラストを描いていきました」と振り返りました。

参考:岡野の榮島さん 「きょうだい児」の絵本出版 病気の人、支える存在に光 タウンニュース(2021年)

私もそうなったのかな

母は私以外にも後1人、子どもが欲しかったそうですが、できなかったといいます。私は昔から「勉強を教えてくれるお兄ちゃんが欲しかったなー」とよく思っていました。ですが、記事できょうだい児のことを書いて、「私に兄妹がいたら、私は障害や病気があるし、ただの兄妹ではいれなかったのかもしれないのか」と思う様になりました。

ご両親を亡くした人は兄妹がその人の世話をずっとしていて、高齢になって世話がもうできないから施設やグループホームに入れたという話もありますし、私も同じ立場なら兄妹だって兄妹の人生があるし、私のために犠牲にして欲しくないとも思いました。

ヤングケアラーは徐々に支援が届いていますが、きょうだい児は私も記事にするまでその言葉を知らなかったですし、当事者の会が全国にありつつも、国からの支援が届いていないと思います。

私には兄妹はいませんが、みんなが笑顔になれる、そんな社会を作っていかねば、と改めて思いました。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。