父親の産後うつ。〜10人に1人の割合でなると言われている、見過ごせない現実〜  

父親 産後うつ

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こんにちは、翼祈(たすき)です。今年2022年4月から改正育児・介護休業法が施行され、男性が育休をより取りやすい社会へと変わります。

その一方で、男性が一人の父親となる時、母親の産後うつとは違う、『父親の産後うつ』という精神状態になる事も近年の研究で明らかとなって来ました。今回はそんな『父親の産後うつ』について、何がきっかけでなるのかなどを踏まえて、お伝えしていきます。

父親の産後うつ

2022年4月1日から改正育児・介護休業法が施行されます。2022年10月からは「産後パパ育休」の取得、育休の分割取得が可能になるなど、「男性育休」がいよいよ本格的に導入が開始されました。

しかし、その裏で、「育児と仕事の両立」に苦しみ、うつ状態に陥る父親がいることはあまり知られていません。

女性の産後うつは、出産に伴う急激なホルモンの変化に加え、分娩に伴う身体の変化、環境の大きな変化などが原因となります。

対して男性は、ホルモンの変化や身体の変化は少ないです。また女性の産後うつの発症が産後3ヵ月以内に多いのに対し、男性の場合は産後3~6ヵ月に多く、特徴に違いがあります。

父親は身体的変化が少ないですが、母親と同様、社会的な変化は大きいです。育児休業取得が促進されてはいますが、父親の育休は5日程度で終わる例も多く、十分に育児スキルを身に付けられないまま職場復帰しているのではないでしょうか。その結果として、従来と同じ量以上の仕事をこなしながら、家庭では慣れない育児を担当しなくてはなりません。

男性の大きな問題は、その支援の少なさです。母親は産後2週間健診や1ヵ月健診で、「エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)」を受けてもらうことが努力義務となっています。また女性の産後うつは産後早期の発症が多く、助産師や保健師が介入できるシステムが整えられつつあります。

しかし父親に対しては、産後うつの啓発も支援も、現状ではほとんど行われていません。

参考:10人に1人がなると言われる「父親の産後うつ」 男性育休が始まるときに考えておきたいこと BuzzFeeD JAPAN(2022年)

この産後うつについて話に出て来た男性は、「1人目で妻が倒れたときに、『勝手な使命感』に駆られました。以降仕事が増えても、家を買ってやることが増えても、全部自分がやろうとしていました」と話していたそうです。

男性が産後うつになる理由

父親の産後パパ育休制度が加速するきっかけが盛り上がる反面、子育てで迷い、うつ症状に陥るお父さんもいらっしゃいます。お母さんの産後うつやマタニティーブルーにおいては色々な支援が拡がっているのに対し、お父さんへのサポートはまだまだ足りないとの懸念もあり、早急な対策が現場からは求められています。

国立成育医療研究センターの調査によれば、奥様の出産から3ヵ月までにうつ傾向に陥るお父さんは16・7%まで上ります。お母さんの産後うつはホルモンバランスの体調の急変や育児で疲労が溜まり発症しますが、男の人の場合、お父さんになる責任感や家計を支えなければならない自信喪失などから心身が不調となるケースが多いのです。

寝つきが浅くなる、激しい感情の起伏が起こる症状に関しては「パタニティーブルー」「イクメンブルー」と呼ばれていますが、一般的にはまだ馴染みがないのが現状です。

参考:父親の「産後うつ」どうケア? 育児と仕事両立、弱音吐けず 神戸新聞NEXT(2021年)

こちらの記事の男性は、体の異変とともに、仕事でも本来の能力を発揮することができず、休職を決断。転機は数年前、インターネットなどで偶然知った父親グループに参加したこと。“パパ友”から釣りやサイクリングに誘われ、心から楽しめた。うつ症状も次第に改善していった。「家でも職場でもない第三の居場所が大切だと感じた」そうです。

コロナ禍のストレスが父親の産後うつの引き金にも

獨協医科大の准教授(精神神経医学)の男性は、妊娠中か出産後1年以内の妻がいるお父さんが、うつ状態か違うのかを調査した2006~2018年の論文などを分析。産前産後の妻がいるお父さんのおよそ1割が産後うつを患っていたとします。

准教授の男性によれば「経済的な問題や家庭と仕事との板挟みとなり、産後うつを罹患するお父さんは少なくない」とし「潜在的な産後うつのお父さんはまだ多く存在するだろう」と懸念します。

昨今は新型コロナウイルス感染拡大の中で、収入が激減したり、生活環境が急激に悪化したりする家庭も沢山あって、育児を担当するお父さんにとって多大な産後うつの発症の引き金になる可能性も起こりえます。准教授の男性は「妊婦健診や乳児健診などに行った際、お父さんの精神状態を調査する機会を設けることは、お父さんの産後うつを見落とさないきっかけに繋がるでしょう」と声を大きくしました。

参考:男性の「産後うつ」にも理解を コロナ禍で増えるストレス要因 下野新聞(2021年)

父親の産後うつは、

父親の産前・産後のうつの罹患させる発端は、若いことや低収入、不安定な雇用といった社会経済的な原因、お父さん自身の精神科への通院歴、妻であるお母さんが産前・産後うつを罹患しているか、夫婦関係の安定感、周りからの支援のなさ、予期せぬ妊娠、お子さんが病気や障害で治療を必要なことなどだと言われています。

お父さんの産前・産後のうつで及ぶ影響は、お父さんの育児行動の量と質の著しい低下、お子さんの感情・行動・社会的な発達への悪影響も起こり、お母さんの産後うつとの関連性にも繋がっていると書いてありました。

また近年、お父さんの産後のうつが思春期になったお子さんの精神的な健康状態にも悪い影響が及ぶことが報告されたりするなど、中・長期的なお父さんの産後うつの影響の検証が進められています。

上記にご紹介した父親の方は回復されたので、記事のインタビューに答えていると思いますが、今はコロナ禍ですし、知られていないだけで男性の産後うつに悩まれている方、多いと思います。お母さんの産後うつはよく取り上げられてきていますが、お父さんにも起こる産後うつ。社会の支援を加速させなくてはならないですね。

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父親の産前・産後のうつの実態とその支援 医学界新聞(2021年)

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。