障害のある人の投票を考える 〜投票に役立つ情報をまとめた「やさしい投票ガイド」発行〜

選挙通知と人形

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はじめに

「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、日本全国の知的な障害のある作家とともに福祉を起点とした新たな文化の創造を目指す株式会社ヘラルボニーが、投票に役立つ情報をまとめた「やさしい投票ガイド」を岩手日報の朝刊別紙にて発行し、Webサイトでも無料公開しました。

やさしい投票ガイドとは?

ヘラルボニーが考える、知的障がいのある人たちが「投票に行きたい」と思った時に、役立つ情報をまとめたガイドになります。

ガイドの発行にあたり、知的障がいのある人たちにも、わかりやすい表現、文章を一般社団法人スローコミュニケーションが監修して下さいました。

左面には、「メモを持っていってもよい」「字を書けなくてもてもよい」といった投票に向けた準備情報を、右面には「代わりに書いてください」「わかりやすく説明してください」といった投票所などで困ったときに役立つ情報を記載しています。

ガイドライン

画像引用:ヘラルボニー、知的障害のある人の投票における課題を可視化し、選挙に参加しやすい環境をつくるアクション「#CAREVOTE」を提唱

ヘラルボニーの思い

個人の尊厳を定める日本国憲法13条や選挙権について定める同15条、生存権について定める同25条において、政治に参加し、この国の有権者の一人として声をあげることができる選挙権は、人としての尊厳を守るために必要な権利です。

厚生労働省の調査によると、身体障害、知的障害、精神障害の3区分について、各区分における障害者数の概数は、身体障害者(身体障害児を含む。以下同じ。)436万人、知的障害者(知的障害児を含む。以下同じ。)108万2千人、精神障害者419万3千人となっています。

特に知的障害のある人は、福祉などの観点から、日常生活そのものが政治の影響を受けやすいことから、選挙権は大切な権利であるとヘラルボニーは考えています。

2022年5月には、障がいのある人による情報の取得や利用、意思疎通に係る施策の推進を目的とする「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」が執行され、その重要性は社会的にも増しています。

今回、2022年7月の参議院選挙にあわせ、選挙や投票における社会の側から障がいについて考え、議論するきっかけになることを願い、「#CAREVOTE」の発信と「やさしい投票ガイド」を作成し、みなさまに公開を決定いたしました。

優しい情報つくりガイドライン

画像引用:ヘラルボニー、知的障害のある人の投票における課題を可視化し、選挙に参加しやすい環境をつくるアクション「#CAREVOTE」を提唱

「#CAREVOTE」とは?

投票について、一人ひとりが考えるためのアクションのことです。

知的障がいのある人のなかには、社会や環境の側にあるさまざまな問題から、投票を行うことや、選挙に関する情報を受け取ることが困難な人たちがいます。

「#CAREVOTE」を通じて、このような問題が見過ごされず、一人ひとりがご自身の大切な一票について考え、声を上げることで、知的障がいのある人だけでなく、誰もが人としての一般的な価値を尊重される社会の実現に繋がっていくと信じています。

ヘラルボニーは、今後とも継続した「#CAREVOTE」に関するアクションを発信していきます。

様々な投票方法

ここからは、様々な障害を抱えた方が受けられる投票までの支援や投票方法を紹介します。

視覚障害の方

国は候補者の紹介や政治への意見などを点字や音声にした「選挙のお知らせ版」を配るよう、各地の選挙管理委員会に要請しています。

ただし、点字や音声で情報を受け取る方法・時期は、お住まいの地域によって違いますので、詳しくはお住まいの自治体の選挙管理委員会にお問い合わせください。

そして、投票所は普段から行き慣れている場所とも限りません。

また、1人で投票所の中を移動するのは不安もあるかと思います。

そんなときは、投票所の係の人に、付きそいや手助けを頼むことができますし、また、家族や介助をする人といっしょに投票所に入ることもできます。

もちろん、補助犬・介助犬も投票所の中まで一緒に入ることができます。

そして、投票用紙への記入は、点字ですることも可能です。

投票所で係の人に、「点字で投票したい」旨を伝えると、点字用の投票用紙がいただけます。

点字器はご自分がふだんから使っているものを持ってくることができますし、投票所で借りることもできます。

聴覚障害の方

立候補した政党や人がテレビやラジオで訴える「政見放送」は、手話での通訳や映像への字幕も増えてきています。

ただし字幕や通訳をつけるかどうかは立候補した人、政党に任されているためついていない放送もあります。

ついてない放送に対しては、「すべてにつけてほしい」という声が、聴覚に障がいのある人から多く寄せられています。

投票所では、困ったことを声で伝えることが難しい人には、筆談や、コミュニケーションボードを使って対応してくれるところがあります。

代理投票について

視覚障がいや病気、けがなどで、自分で投票用紙に立候補者を書くことがむずかしい場合には、係の人に代わりに書いてもらう「代理投票」という方法があります。

まず「代わりに書いてもらいたい」「代理投票したい」と、投票所で、係の人に伝えてください。

すると投票を補助する人が2人つきます。

一人は「誰に投票するか」を確認して、代わりに投票用紙に書く人です。

もう一人は、伝えた通りまちがいなく書かれているかを確かめる人になります

誰に投票するかを伝える場合は、立候補者や政党を指でさす「指さし」をしたり、係の人に立候補の名前を順に読み上げてもらい、うなずいたり、まばたきをしたりして合図を送る方法もあります。

あらかじめ、投票したい人を自分で書いておいたメモを渡すこともできます。

代理投票の注意点は、補助をする2人は、投票所の係の人と決まっています。

家族や介助の人が代わりに書くことはできません。

代理投票をしたい場合は、当日、投票所で希望を伝えれば大丈夫ですが、事前に伝えておくとスムーズに投票することができます。

投票用紙

最後に

皆さんは、投票には行かれたでしょうか?私もギリギリでしたが、なんとか一票を投票することができました。

私たちが一人でできている投票ですが、それができない、難しい。という人たちがいます。

しかし、障がいを持つ人こそ、生活に政治が大いに関わっているのです。

そんな人たちを取りこぼさない、そんな社会になっていけばと願います。

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参考サイト

ヘラルボニーが知的障害者の選挙参加を支援、岩手日報に「投票ガイド」掲載 | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議

ヘラルボニー、知的障害のある人の投票における課題を可視化し、選挙に参加しやすい環境をつくるアクション「#CAREVOTE」を提唱

ヘラルボニーが知的障害者の選挙参加を支援、岩手日報に「投票ガイド」掲載 | antenna*[アンテナ]

障害者の参議院選挙投票に役立つ情報まとめ 参議院選挙2022 みんなの選挙 NHK

 

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TANOSHIKAライター。うつ病、AC(アダルトチルドレン)、機能不全家族育ち。現代詩を勉強中です。セクシャルマイノリティ当事者。読みやすい、わかりやすいをモットーに様々な記事を書いていきます。