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こんにちは、翼祈(たすき)です。
去年2021年は沖縄県を中心に、軽石の漂着の問題で損失、被害は多大なものでしたね。今回は昨年大きな社会問題となった、軽石の問題に関して、その軽石を利用したアイデアを含めて、お話ししていきます。
沖縄県内に溜まった大量の軽石、上手なリサイクル法を市民から公募
沖縄県は2021年11月22日、関係部局による軽石問題対策会議の第2回会合を開き、回収や再利用に関する7項目の基本的対処方針を決定しました。再利用方法は民間事業者などのアイデアを活用するとしました。2021年11月24日から12月8日まで募集します。課題となっている回収した軽石の保管場所は国、市町村と協議して確保します。
県民や市民団体、市町村、学術研究機関と連携して回収や再利用を推進することや、市町村の回収作業を技術、費用面で支援することなども盛り込みました。玉城デニー知事は「軽石の影響は深刻化、長期化しており、県民生活や水産業、観光産業など多方面に渡っている。事業者や地域住民のボランティアの方々にも負担をかける状況が続いており、少しでも改善できるよう官民の力を結集し、スピード感をもって取り組んでいきたい。官民の力を結集し、スピード感を持って取り組みたい」と強調。再利用に関し、農林水産部など関係部局でプロジェクトチーム(PT)の設置も含め検討するよう指示しました。
軽石の採取や保管に関する規制が場所などで異なるため一覧にまとめました。再利用のアイデア応募方法などと併せてホームページで公表します。
また、県の提案で、軽石回収に必要な財政支援などに関する緊急提言を九州知事会がまとめ、政府に送付されたことも報告されました。
参考:大量漂着の軽石、再利用のアイデア募る 農業利用には「注意が必要かも」 沖縄タイムズ(2021年)
軽石の回収技術について
軽石の回収技術についてのアイディアが全国から集まりました。下記のサイトからアイディア集が見れますので、興味があればご覧になってください。
参考:港湾:漂流軽石回収技術検討ワーキンググループについて – 国土交通省 (mlit.go.jp)
軽石のデメリット
県農林水産部の崎原盛光部長の報告によると、漂着した軽石の簡易検査を進めたところ、塩分濃度が高く、植物などに触れると枯らしてしまう可能性があることが明らかとなった。流水などで流しても、塩分がなかなか抜けなかったという。今後、詳細な分析を進め、結果を県民に周知する考え。
漂着した軽石は、土木材資材や公共工事、園芸用などにも活用出来ないかと模索されている様ですが、上記のように塩分濃度が高く、なかなか難しい様です。
活用法
シーサー
沖縄県に大量に溜まった軽石をリサイクルしようと、鳥取市の会社が、軽石を使ったシーサーの土産物の生産を始めました。
沖縄県では、2021年8月に起きた小笠原諸島の海底火山の噴火で噴き出した軽石が大量に溜まり出し、多くの漁業者が漁に出られないなどの影響が続いています。
こうした中、鳥取市にある砂や火山灰を固める独自の技術で土産物などで民芸品を生産する会社では、軽石を使った新たな土産物づくりを2021年12月から始めています。
「軽石シーサー」と名付けられた土産物は、軽石を砕いて自社生産の特殊な接着剤を使ってシーサーの形に固め、裏にマグネットを取り付けた縦横4センチほどの飾りです。
軽石は脆く強度が低いため、軽石を砕くサイズと使用する自社生産の特殊な接着剤の掛け合わせを1000パターンほど試し、商品化に漕ぎ着けたということです。
会社ではこれまで、鳥取市の鳥取砂丘の砂や、鹿児島市の桜島の火山灰を使って商品を作った実績もあるということです。
「軽石シーサー」は、2021年度中に沖縄県の土産物店などで販売される予定で、売り上げの一部は軽石の被害を受けている地元の漁業者などに寄付することにしています。
「モルタルマジック」の社長は「軽石は扱いづらいものだと考えられているが、今回の商品開発が地元の人たちにも、活用のアイデアを出すきっかけにしてもらいたい」と話していました。
参考:沖縄に漂着の軽石使ってシーサーの土産物 鳥取の会社 NHK NEWS WEB(2021年)
写真で観ましたが、可愛い軽石のシーサーでした‼︎
その他の活用法
コーヒー
漂着した軽石はコーヒー農園の土壌改良剤として活用されるケースもある反面、厄介者の軽石を有効活用する動きも出て来ました。
鹿児島県徳之島でコーヒー農園を経営する男性Aさんは、漂着した軽石を袋に詰め、水につけ塩分を抜いて乾かしています。一体何に用いるのでしょうか?
「コーヒー農園の土壌改良剤として活かしています」。
軽石を土に混ぜることで、水はけが良くなり、健康的な木に育ち、軽石が海に流れ着いたと聞き、活用方法を考え付きました。
「元々軽石を購入して使用していたので、自然と流れてくるとは思っていませんでした」。
地元の中学生も授業の1つとして、男性Aさんの作業を手伝っています。現在は農園で栽培している2000本の中の100本ほどに軽石を活かし、1〜2年で改良の効果が判明する見通しです。
「軽石は捨ててしまえば、産業廃棄物になりますが、活かせば地域資源になるので、決して邪魔な存在ではありません」。
参考:厄介者の軽石を有効活用しコーヒー畑が生まれ変わる!? テレ東BIZ (2021年)
お守り
12月24日㈮、姶良市の老人ホーム「まほろあいら」様より、奄美群島に漂着した軽石を使ったお守りを頂きました!
軽石の沈まない特性にちなんで、お守りの名は「受軽石(うかるいし)」。3年生の日々の努力に加えて、このお守りがあれば合格間違いなしです!!また、お守りをお届け頂いたのが本校卒業生の市山華代様(5期生)ということで、先輩からの激励も頂くことが出来ました。
壺屋焼
読谷村座喜味の「壺屋焼陶眞窯」の窯主で、伝統工芸士の男性Bさんが、沖縄県内の海岸に漂着し社会問題となっている軽石を活用して、壺屋焼の器を制作しています。軽石を砕いて灰や土などと配合し、素焼きの後に塗る「釉薬(ゆうやく)」をオリジナルで開発しました。
男性Bさんは2021年9月18日にキャンプで東村のビーチを行った時に、積み立てられた軽石を発見しました。「海底火山が噴火したというニュースを見たので、あれは軽石だなと思いました」と回顧しました。
普段からオリジナルで釉薬を作り、サトウキビの灰やガジュマルの灰など、自然の素材を発見しては作品に取り入れています。東村で拾った軽石も工房に持ち帰り、乳鉢で砕いて土や灰と混ぜて「釉薬」にしました。
塗る濃さであめ色や黒褐色などと表情を変え「十分使える」と手応えを感じました。海底火山の噴火で流れ着いた軽石で製作した「釉薬」なので、「マグマ釉」と命名しました。
「頂いた自然の恵みで製作した壺屋焼で、農業者など、多くのシーンで軽石を活かして頂きたいです」と述べました。
参考:軽石、転じて壺屋焼…彩り豊かに「マグマ釉」 読谷の相馬さん「自然の恵み、さじ加減」 琉球新報(2021年)
香神焼
広島県神石高原町時安の窯元「香神(こうしん)窯」の代表の男性Cさんが、沖縄県に漂着した軽石を土に混ぜた陶芸にチャレンジしています。軽石は商品化し、売り上げの一部を軽石の除去費用に補填することを掲げています。
代表の男性Cさんが2021年12月に石垣島などを休暇で行った時に、小笠原諸島の海底火山噴火で発生した軽石が海面に帯状に浮かび、浜辺にも大量に打ち上がっている様子を目の当たりにしました。報道で観光や漁業に影響が出ていることは知っていましたが、「これほど深刻とは思っていませんでした」といいます。活用法を探ろうとおよそ500gを持ち帰りました。
備前焼の土に、砕いた軽石を練り込むと「相性がピッタリで驚きました」。泡盛を楽しむことをイメージして湯飲み5個を試作しました。焼き上げると、軽石によって黒い粒状の模様が生まれ、珍しいデザインになりました。現地のサトウキビから自作したうわぐすりを塗ってみると、緑と褐色が交ざった色合いになり、模様ともマッチしました。
商品化を視野に、近く沖縄県内の観光業者と打ち合わせを始める予定で、利益の一部を除去費用として地元の自治体に寄付する構想も練っています。
代表の男性Cさんは、「軽石が漂着していない地域の人たちが関心を持つ機会にもなります。島の土を混ぜるなど試行錯誤して軽石の商品に仕上げたいです」と説明しました。
参考:沖縄漂着の軽石で陶芸に挑戦、売り上げを除去費に 広島県神石高原町の窯元 中国新聞デジタル(2022年)
ピザ窯
2022年1月20日、沖縄県南城市大里古堅で、県内各地の沿岸に漂着した軽石を活かしたドーム型のピザ窯が完成しました。軽石は断熱効果があるとして、砕いた軽石を消石灰と混ぜ、ピザ窯の外側を覆いました。
ピザ窯を手がけた神奈川県在住の男性Dさんは日本各地で、地元の土などを利用したかまど「アースオーブン」を制作しています。沖縄県内で5ヵ所の「アースオーブン」を手がけました。古堅在住で、むぎの子共同保育園の理事長の夫婦の自宅近くにも男性Dさんの制作した「アースオーブン」があります。
今回は、夫婦のご主人の姪の女性Aさんの実家の庭でピザ窯を制作しました。与那原の瓦工場から集めた廃瓦や軽石などを活かして造りました。
男性Dさんは新聞やテレビなどで、県内に次々と漂着する軽石を見て「断熱剤として利用できる」と思い付きました。「かまどに火を入れると、中の温度は450度にもなります。かまどの外側を漂着した天然の軽石で覆えば、熱が内側に込もり外に伝わりにくくなります」。
1月20日早朝、男性Dさんと夫婦のご主人は前日から夜通しで最後の仕上げに取りかかり、直径約1.5mのピザ窯を完成させました。夫婦のご主人の姪の女性Aさんの実家は、ゲストハウスも経営しています。
姪の女性Aさんは、「宿泊する人はもちろん、地域の子どもや親子連れ、高齢者の人たちと一緒に、地元産の作物などを使用したピザ作り体験を行なって頂きたいです」と笑顔で言いました。
男性Dさんは「軽石は地球環境に優しい天然の断熱剤で、研究を重ねて、建築物や道路などに使用することを考えても良いと思います」と述べました。
参考:漂着軽石を使ったピザ釜が完成!「地球に優しい天然の断熱材」職人が着目 南城市 琉球新報(2022年)
コンクリートブロック
岐阜県関市千疋にあるコンクリート会社「レミックマルハチ」は、小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火で漂着した軽石を活かしてコンクリートを造り、人工漁礁として海に沈める実験を沖縄の地元漁協などと進行しています。
一般的なコンクリートはセメントに水や砂利などを混ぜて造りますが、「レミックマツハチ」は砂利の代わりに漂着した軽石を使用しました。社長の男性Eさんは、「軽石を処理する実用的で画期的な技術です」と胸を張ります。
社長の男性Eさんは2021年11月に見たニュースで沖縄の窮状を知り、沖縄に訪れ軽石900kgを会社に持ち帰りました。軽石を混ぜる特殊な技術を開発し、2021年末に再び沖縄を訪問し、那覇市の東、与那原町の当添漁港で人工漁礁として使用する高さ80cmのコンクリートブロックを造りました。
「レミックマルハチ」が販売する移動式のコンクリートミキサー「BMX Concrete Mixer」を使用し、現地でセメントや軽石など材料を混ぜ合わせました。
参考:噴火で漂着した軽石を活用 コンクリートブロックに 岐阜の会社 NHK NEWS WEB(2022年)
装具や義手
2022年3月18日までに、膝や肘の負担を和らげる装具や義手などの制作・販売を手がける「佐喜眞義肢」は、装具を制作する時に必要な「石こうの型(陽性モデル)」に軽石を活用する工法を開発しました。2021年10月から沖縄県内に漂着した軽石を石こうに混ぜて型を作ります。重量がおよそ2割減り経費も削減できるとして、「佐喜眞義肢」はそれ以外の業者にも制作方法を伝えたいといいます。
装具を制作する場合は、使う人の身体に合わせるため、石こうギプスを巻いて、中が空洞の型(陰性モデル)を作ります。その後、陰性モデルに石こうを流し込み、陽性モデルを制作して装具士がやすりで表面を滑らかにした後に熱したプラスチックを巻き付け、滑り止めやベルトを付けて装具が完成します。
軽石は、陰性モデルに石こうを流し込む段階で活用します。石こうと軽石を混ぜ合わせた上で水を加えます。水、石こう、軽石を1対1.5対1.5(体積比)とすれば、強度も維持できます。
軽石の活用は宜野座村松田在住の、「佐喜眞義肢」の職員の女性Bさんが提案しました。松田の海岸に軽石が打ち寄せられ、拾って家庭菜園の土に混ぜていましたが、それ以外にも活用方法がないか考えていました。2022年1月頃に雑談で社長の男性Fさんに話すと、陽性モデルの制作に活用できそうで、2週間前から配合比率の実験を始めました。
「佐喜眞義肢」は今後、軽石を使用して、義手や装具を制作する方針です。
社長の男性Fさんによると、県内には義手や装具を制作する業者がおよそ10社あり「軽石を活用すれば使用する石こうが減り、経費の削減になります」と述べ、「是非参考にして頂きたいです」と発信しています。
問い合わせは「佐喜眞義肢」、電話098-983-2577。
参考:近所に漂着した「軽石」何かに使えないかな… 雑談から生まれた活用法、経費を削減 沖縄タイムズ(2022年)
あの「軽石」は今どこに?沖縄の海は? 海底火山の噴火から1年|NHK(2022年)
最初活用法が出て来た時、
最初軽石の活用法が出て来た時、軽石を海面に浮かべて放射能汚染での水質浄化とか、すりつぶした軽石を伝統の焼き物「壺屋焼」の釉薬に使い「マグマ釉」と呼ぶ様になったとか言われていましたが、その中にもあった畑の土壌改良にはその後の調査で向かなかったみたいですね。
今全然軽石に関する記事が出て来ないのでその後どうなったか分かりませんが、元々同じ地球上から生まれたもの、広く何かに活用出来ると、環境のサイクルが上手く回るんでしょうけどね。画期的な何か良い、軽石の活用法が出て来ると良いですね。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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