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シリーズ1回目は睡眠と自律神経の深い関係について、2回目の前回は、不眠の7つのタイプについて述べました。
眠ったのに眠れてない?睡眠と自律神経の深い関係①
7つの不眠タイプー眠ったのに眠れてない?睡眠と自律神経の深い関係②
今回は、実際に睡眠を改善する方法をご紹介します。
今日から始められる対策は、毎日続けると、睡眠の質を上げることができるでしょう。
いびきを防止するために、横向きの姿勢で寝ましょう。
いびきをかいているときは、肺に空気を取り込むために多くのエネルギーが必要となり、呼吸は浅く、低酸素状態になるため、自律神経は心拍や血圧を調節しようとして活発に活動します。
これは睡眠中にも運動しているようなものなので、自律神経が休まらず、疲労も回復しません。
いびき防止に効果的なのが、体の右側を下にした横向きの姿勢で寝ることです。体が横向きになると、舌の根や喉の筋肉の落下によって気道が狭まるのを防止できます。
また、寝返りも打ちやすくなるため、体内に血液や体液がバランスよく流れるようになる利点もあります。
体の右側を下にすると、胃の内容物が移動しやすくなります。
消化器官の働きに良い影響を与えるため、胃と心臓にかかる負担を減らせ、自律神経をより休ませることができるのです。
効果的な入浴の仕方、深部体温を一時的に上げて質の良い睡眠を
熱いお風呂に入ってじっくり汗をかかないと疲れが取れない、と思う人もいるでしょうが、質の良い眠りをとるためには熱いお風呂はおススメできません。
額から汗が流れたりのぼせたりするような熱い風呂は、自律神経の負担となるうえ、体が覚醒モードになってしまいます。
理想的な入浴方法は露天風呂。
露天風呂を心地よく感じるのは、屋外の解放感もありますが、体を温めながら脳は冷めている、つまり『頭寒足熱』の状態になっているからです。
この状態になると副交感神経が優位になり、心身ともにリラックスできます。
とはいえ、毎日露天風呂に入るのは実際には難しいので、自宅でお風呂に入る際も頭寒足熱の状態になるように、半身浴を心掛けましょう。
鼻呼吸は、睡眠をコントロールする自律神経中枢を冷やします
質の良い睡眠をとるには、自律神経中枢を冷やし、休ませることが非常に重要です。
睡眠の質を上げるという意味でも、頭寒足熱は徹底したいところ。
特に大切なのは頭、すなわち脳を冷やすことです。
パソコンを同じように、熱がこもりやすい脳。
常に熱を外に逃がす必要があります。
脳の奥にある自律神経中枢を冷やすには、体の中から冷やす必要があります。
その方法が、鼻から冷たい空気を吸って、口から吐く呼吸法なのです。
鼻腔の奥は自律神経中枢に接しています。
そのため、鼻呼吸で冷たい空気を吸い込めば、脳を冷やすことができます。
つまり、鼻は脳の冷却装置と言えます。
疲労するくらいの激しい運動は逆効果、快眠のためには軽めの運動で
なかなか眠れないなら、激しい運動をして体を疲れさせれば、ぐっすり眠れるのでは?と考えがちですが、運動による疲労は、筋肉よりもむしろむしろ自律神経の疲労です。
仕事帰りにフィットネスジムで筋トレをする人も多いと思いますが、仕事で疲労が溜まっている状態でさらに自律神経を疲れさせることになり、逆効果になってしまいます。
また、運動後に「達成感から疲れが吹き飛んだ」という経験がある人少なくないでしょう。
しかしそれは、単に脳が高揚感を感じ錯覚しているだけの、いわゆるランナーズハイの状態になっているのです。
本人が疲労を感じないまま、少しずつ疲労が溜まっていく危険な状態です。
一方、軽い運動には血流を良くして、自律神経の働きを助ける効果があります。
自律神経の最も大切な機能は、脳にしっかりと酸素を供給することであり、そのためには血流を安定させる必要があります。
総合的に考えると、快眠のためには散歩程度の軽い有酸素運動が良いということになります。
ストレッチも血流をよくするのでおススメです。
目覚めがよければ次の夜も快眠できる、朝さわやかに目覚める方法
外が明るくなり始めると、まぶたを通して光を感じた脳は「明るくなってきたから、そろそろ活動しよう」と体に指令を出します。
このように徐々に目覚めていくことで、血圧や心拍の急激な上昇を抑え、自律神経に負担がかからずに目覚められます。
いきなり強い光が顔を直接照らすと自律神経を刺激し、心地よく目覚められなくなるので、足元のカーテンを少し開けて、朝の光が寝室に入るようにしておくのもおススメ。
現代人は太陽の光ではなく、目覚まし時計の音などで目覚めることが多くなっています。
大音量の目覚まし音は心拍や血圧を急激に変動させ、自律神経に大きな負担を与えるので、アラームは穏やかな音にセットしましょう。
もしくは、徐々に音量が増すような目覚まし時計を使えば、副交感神経から交感神経へと穏やかに切り替わり、自律神経の負担を軽減できます。
自律神経を疲弊させる紫外線に要注意!
夏場は気温だけでなく、紫外線も自律神経に大きな負担をかけます。
日焼けをするとだるさを感じるのは、紫外線によって活性酸素が発生するからです。
活性酸素は自律神経をさびつかせる大敵です。
自律神経が疲弊し、睡眠のリズムや深さをコントロールできなくなります。
目の紫外線対策も重要です。
目から紫外線が入ると角膜に炎症が発生します。
それにより交感神経が活発に働きだし、自律神経が戦闘状態になります。
目に紫外線が当たるだけで、露出していない肌も日焼けすると言われていますが、睡眠の観点からも目の紫外線対策は欠かせません。
女性に比べて、男性や子どもは紫外線対策をとっていないことが多いのですが、ぜひ積極的に対策をとりましょう。
昼寝で交感・副交感神経をリセット
夜の睡眠に影響しそうな昼寝も、眠り方や起き方を工夫すると、作業効率のアップにつながります。
短時間の仮眠のメリットは、午前中の仕事や活動で優位になっている交感神経を、一度リセットできることです。
デスクの前に座って淡々と仕事をし、体力的には疲れを感じていなくても、昼食の後に短時間仮眠しましよう。
自律神経をいったん休ませてやれば、眠気を抱え効率の低い状態で仕事を続けるより、ずっと効率が上がります。
また、脳を休ませることもでき、交感神経と副交感神経のリセットが一度にできるのもいい点です。
注意としては、昼寝の長さは20分に抑えましょう。
30分くらい経つと深い睡眠にはいってしまい、目が覚めた後も眠気が残ります。
まとめ
人間の心身のリズムは、自律神経によって生み出されています。
自律神経を整える睡眠にリズムが生まれ、睡眠の質が高まります。
大切なのはリズムを体に覚えさせること。
一日の生活にルーティンを設けるのがいいでしょう。
朝の大切なルーティンは、入眠時間よりも起床時間を重視し、決まった時間に起きることです。
太陽の光を浴びることによって、体内時計のリズムがリセットされるので、起床時間が一定なら、夜は自ずと同じ時間に眠くなります。
夜は、寝る一時間くらい前にリラックスタイムを作りましょう。
夜にテレビやスマホ、お酒を飲んだりすると、交感神経が活発なままで、副交感神経優位の休息状態にはなかなか以移行できません。
眠りにつく前に必ず行うルーティンを決めましょう。
副交感神経優位の切り替えをスムーズに行えます。
ヨガやストレッチを寝る前30分程前にすることで、血流が改善され副交感神経優位になります。
ゆっくりとした呼吸を繰り返すのも、副交感神経を優位にします。
アロマを焚く、音楽をかける、本を読むなどしてリラックスさせていきましょう。
ハーブティーや白湯を飲むなど、簡単なことでもいいので、毎晩続けましょう。
習慣として身につけば、脳が「白湯を飲んだから、もう寝るんだな」と自動的に切り替えるようになります。
自分にあった睡眠を見つけるためには、記録をとることが大切です。
自分の毎日の睡眠記録を記す『睡眠日誌』を作ってみましょう。睡眠日誌には、就寝時間と起床時間、起床時にどのくらい疲労感が残っているか、昨日の行動量(仕事や運動をどのくらいしたか)、夜目覚めた場合はその理由(トイレなど)。
これらを毎日記録していきましょう。
この日誌を見直すことで、何時間寝ると調子がいい、この安眠法を試してみたらぐっすり眠れた、あの方法はあまり効かなかったなど、自分の睡眠傾向が見えてきます。
睡眠効率や睡眠時間を自動で記録し、睡眠改善に役立つスマホアプリも多くあります。
「中途覚醒・寝つきが悪い」睡眠の悩み解消アプリを使ってみた!
ルーティンで大切なのは無理せず続けられること。
睡眠は毎日のことなので、最初からルールに縛られすぎるとストレスになります。
取り入れやすいもの、楽しみながらできるものから始めましょう。
おまけ~寝つきが良いのと寝落ちは別物~
「どこでも眠れる」、「すぐに寝付ける」というのは、脳の疲れがピークに近い状態であり、脳が半ば強制的に意識をシャットダウンしたという、いわゆる『寝落ち』です。
健康的な睡眠は、布団に入ってから寝付くまでに10分くらい時間がかかります。
それが5分経たずに眠ってしまうというのは、睡眠の質が悪いために疲労が蓄積していると考えられます。
また、寝落ちがあまり頻繁に起こる場合は、ナルコレプシーの可能性があります。
ナルコレプシーとは、夜十分に寝ているにもかかわらず、昼間耐えがたい眠気に襲われ、居眠りを繰り返してしまう病気です。
試験中や運転中など、通常では寝ることが考えられないような場面でも寝てしまいます。
急に体の力が抜けたり、転倒してしまうこともある危険な症状です。
寝起きがいい人も危険な可能性があります。
寝起きが良いことは良いイメージで捉えられがちですが、15分くらいベッドの中に入り、ダラダラしながらゆっくりと起きる方が、体に優しい起床法です。
深い眠りの時に自律神経は休んでいるため、突然起きるとパニックを引き起こし、心筋梗塞など重大な症状を引き起こす危険があります。
実際、高齢者が心筋梗塞を起こす時間帯は、早朝6~8時の時時間帯が多くなっています。
暮らしや健康に関する有益な情報を発信するWebライターichihimeのおすすめ記事
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