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前回は、ペットを受け入れる際に気を付けて欲しいことをまとめた記事を書きました。
家族の一員として迎えられたペットでしたが、急な生活環境の変化などによってペットの面倒が見れなくなり、やむを得ず手放す人も少なくないという話を前回はさせていただきました。では、そうした人間の都合で手放されたペットはどうなるのでしょうか?
保護団体などに保護される場合や別の方が面倒を見てくれる場合もありますが、全ての犬や猫が次の飼い主に出会えるわけではありません。
そこで、現在起きているペットにまつわる問題について書きたいと思います。
現在起きているペット問題
多頭飼い
・避妊や去勢手術をせず、無制限に増えてしまう。
・ブリーダーによる無理な数の飼育、劣悪な環境での飼育
・保護した犬や猫が増えてしまった
飼育放棄(飼い主の事情によるもの)
・飼い主の病気やケガによる入院
・飼い主が高齢で飼えなくなる
・転居先がペット不可の物件である
・飼い主の経済的な変化で飼えなくなる
・家庭環境の変化
・ペットの病気
よく捨てられているのが生まれた1ヶ月から2ヶ月ぐらいの子猫です。転居先の事情や世話をする人が高齢であったり、経済的な理由で手放してしまうこともあるのではないでしょうか?
しかし、飼育放棄や虐待は動物愛護法に反する行為となるのです。
ペットを捨てたり虐待することに関する法律
・犬や猫を増やすことはできない(動物愛護管理法第37条第1項)
・動物の命を奪ったり傷を負わせない(動物愛護管理法第44条第1項)
・動物のエサや水を与えず弱らせない(動物愛護管理法第44条第2項)
・動物を捨てない(動物愛護管理法第44条第3項)
令和2年6月動物愛護管理法改正後の罰則
みだりに殺傷する行為には、懲役刑や罰金刑が科されています。
改正前・・・2年以下の懲役または200万円以下の罰金
改正後・・・5年以下の懲役または500万円以下の罰金
虐待・遺棄【動物愛護管理法第44条第2項・3項】
みだりに給餌・給水をやめて衰弱させるなどの虐待や遺棄に関しても罰則があります。
改正前・・・100万円以下の罰金
改正後・・・1年以下の懲役または100万円以下の罰金
その他様々な内容が改正されています。下記はその概要になります。
保健所で起きている真実
上記のような飼えなくなり捨てられたペット達は保健所で保護されますが、その後の運命は様々です。
「85,897」これは昨年度に保健所に引き取られた犬や猫の総数です。
保健所に引き取られた数の8割は所有者不明で、飼育放棄や野良で保護された犬や、生まれて数ヶ月(1ヶ月~2ヶ月)の子猫が多いです。
そのうち11,119匹が飼い主に返還され、41,948匹が譲渡されました。
では残り32,743匹がどうなったかというと、残念ながら殺処分をされてしまっているのです。
上の表の中の殺処分数の分類表に①~③の番号が振ってあるのは
①は自治体が保護や譲渡が難しいと判断した場合(病気やけがでの衰弱、危害を加える危険性等)
②保護施設の物理的制限で飼うのが難しい場合、
③引き取り後に病気やけがを理由に亡くなったもの
に分類されています。
保健所も最善を尽くしていますし、むしろ殺処分を無くすことを一番願われていますが、保護施設の収容可能な数にも限りはありますので、
この10年で引き取り数や殺処分数も減少し、返還したり譲渡できた割合も年々上昇しています。
下記はそのグラフです。
引き取りの拒否
この減少に転じた契機として、法改正があります。
2012年に改正された「動物愛護管理法」(35条1項)により、保健所や動物愛護センターは猫の販売業者(ブリーダーやペットショップ)や民間人から引き取り要請があっても、場合によっては断ることができるようになりました。このルールによって引き取り数が減り、結果的に殺処分数が減ったという側面があります。
8割を超えていた殺処分率も4割に減少し、6割近くは譲渡や返還することができました。
殺処分になってしまった動物たちも、上記でも述べたように、自治体が保護や譲渡が難しいと判断した状態(病気やけがでの衰弱、危害を加える危険性等)や、保護施設の物理的制限で飼うのが難しい場合、引き取り後に病気やけがを理由に亡くなったものも含まれるので、そういう判断を下さざるを得ないケースに関して措置を取っているというのが現状でしょう。
下記は2012年の保健所の職員にインタビューをした記事ですが、保健所職員の方も決して安易にそうした形を取っているのではなく、可能な限り減らそうと最善の努力をしていることが分かります。
保護団体などが保護したり飼い主に訴えかけるなど必死にやられて相当数減らしていてまだこれだけの数の命がこうした末路をたどっています。
参考:誰も猫を殺処分したくはない―命の現場が抱える葛藤と現実― | ハフポスト (huffingtonpost.jp)
殺処分を扱ったショートフィルム「10424」
こちらは2018年に発表された、国内外で受賞歴のある、保健所での殺処分をテーマにしたドキュメンタリーのショートフィルムです。
数か所の保健所での映像や音声を組み合わせて、殺処分されてしまう動物が最後に見る景色を中心に映像化しています。そこに犬や猫の姿は映りませんが、息遣いや吠える声などがそこに確かに命があったことを教えてくれる作品でした。
参考:「殺処分」の真実。犬が最後に見る私たちの知らない光景とは – 今治建城 | Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラム
殺処分を免れた犬や猫・・・人を癒す犬や猫
新たな飼い主に譲渡されたり、保護施設に保護されたペット達はその後、様々な形で活躍しています。
・特養や老人ホーム、グループホームにいる人を癒やしているセラピー犬やセラピー猫
・猫カフェやドッグカフェで疲れている人を癒やす
・聴覚障害の方の生活を支える介助犬・車いすを引く介助犬
・災害救助犬や空港での違法薬物や食品の臭いをかぎ分ける探知犬
先に述べたグループホームについては、下記の記事のタイトルにもあるように少しずつ増えているようです。
グループホームを検討中の方で、ペット好きな人はこういう所を探して入るのもいいと思います。
犬や猫以外で癒やしている動物・・・フクロウやタカなど
猛禽類(フクロウやタカなど)も疲れた人が癒やされに行くお店は、フクロウカフェや鷹匠茶屋などがあります。自然のなかで触れ合える動物(動物園や農場)もいるので、その時々で会いに行ったり、お店にいかれるといいでしょう。
コロナによって今は触れ合うことができませんが、普通の生活にもどったら会いに行く楽しみができるのではないでしょうか?
人ができる対応策まとめ
・ペットの避妊や去勢手術を受けさせ、むやみに増やさないようにする
・入院や高齢になった親の代わりに世話をする
・飼えなくなったら捨てずに愛護団体などでペットを引き取ってもらう
・ペットを貰ってくれる人を探す
殺処分を減らす活動の紹介
これは2017年に行われたクラウドファンディングです。
これも殺処分という現実に立ち向かうために老犬デイサービスを立ち上げたいというのものでした。
参考:RAEDYFOR「いっしょに介護し殺処分を未然に防ぐ、老犬デイサービス開設へ!」
他にもいくつもこうした動物にまつわるプロジェクトは動いています。
RAEDYFOR「野良猫のためのパトロールを支えて下さいませんか?」
RAEDYFOR「コロナ禍の子どもに、犬を通じた心のぬくもりを!【小学校訪問】」
まとめ
前回の記事は、ペットの成長や人との関わり方について書きました。今回の記事は、人によってペットが虐待や飼育放棄などの問題などです。
私が思ったのは、可愛いから飼うのではなく人と同じように命があり、人が最後まで面倒を見ることができなかったり、自信がない場合はペットを飼うのを控えるのがいいでしょう。
現在の日本のペット事情では殺処分は減ってきましたが、去勢手術や避妊手術をすることで解消できます。動物愛護法も令和2年6月に改正されて、罰則も強化されています。
飼われているペットは、人間の世話によって命を守られていることを忘れずに!
関連サイト
といぷーはうす https://www.toypoohouse.com/1307.html
子猫の部屋 https://www.konekono-heya.com/aibyouka/syobun.html
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