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こんにちは、nonoです。皆さんは、普段お買い物をする時は何を基準にして商品を選んでいますか?
値段、ブランド、デザインなど人によって重要視する部分は違うでしょうが、やっぱり一番気になってしまうのは「評判」。特に直接商品を手に取れるわけではないネットショッピングでは、ユーザーレビューで商品と業者の評判を確認したいものです。
お買い物以外でも、外食に行く時には口コミサイトで評価の高いお店を探したり、旅行前の宿探しではレビューでの評価が高い所を探したりと、利用したことのないお店は実際に足を運んだ人のレビューをチェックしてから行くかどうか決める人が多いはず。
しかし、評判を調べるといっても、「これはレビューの平均点が高いから大丈夫!」と安易に高評価が多いところに飛びつくのも考えものです。一見高評価が多いそのレビューは、「ステルスマーケティング」の産物かもしれないのですから。
偽レビューで印象操作…悪質な「ステルスマーケティング」
「ステルスマーケティング」、通称「ステマ」とは、数年前から問題になっている悪質な宣伝行為のひとつです。
ステルスマーケティングの主な手口は、「一消費者のふりをして自社にとって有利になるレビュー・評価を投稿する」こと。具体的に言うと、以下のような行為がステルスマーケティングにあたります。
・社員、またはアルバイトを使って大量に高評価レビューを書かせる
・個人に報酬を渡し、PR活動であることを伏せてSNSやブログ上で宣伝をさせる
・架空の個人のSNSアカウントやブログを作り、宣伝を行う
日本では2012年頃にペニーオークション詐欺やまとめブログ問題で一躍話題となり、ステルスマーケティングという概念が浸透しました。
大企業や芸能人まで…ステルスマーケティングの実例
日本においては2012年から周知され始めたステルスマーケティングですが、海外ではそれ以前からしばしば企業によるステルスマーケティングが問題になっていました。
ここからは、実際にあったステルスマーケティングの例を紹介していきましょう。
架空の映画評論家デビッド・マニング
2001年に、アメリカの映像メディア企業である「ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント」が自社の映画を宣伝するためにデビッド・マニングという架空の映画評論家を作り上げ、自社作品を絶賛するレビューを複数執筆。
この件でソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントは偽の批評によって被害を受けたと主張する映画ファンから賠償請求を起こされ、総額150万ドル(約1億6000万円)の賠償金を支払った。
ウォルマートのカップル旅行Flog
2006年頃、世界最大のスーパーマーケットチェーンである「ウォルマート」のPRを担当している会社がFlog(Fake Blog=やらせブログ)を使ったキャンペーンを行っていたことが発覚。
問題のブログは一般人のカップルがキャンピングカーを使い、ウォルマートの駐車場で宿泊しながら旅をする様子が書かれていたが、後にそのカップルがPR担当会社に雇われていたことが暴露され、大きな批判を浴びた。
まとめブログによる印象操作
2012年頃に、大型匿名掲示板の書き込みの一部を転載して記事にまとめる「まとめブログ」の一部が企業と関与している疑惑が浮上。
疑惑が出る以前から、まとめブログについては「掲示板全体の書き込みから称賛、あるいは批判的な書き込みだけを抽出し、一部の意見を大多数の声であるかのように編集している」という問題点が度々指摘されていたが、この一件により「特定企業から依頼を受けて印象操作を行っていた」と見なされ、強く批判されることとなった。
ペニーオークション詐欺
2012年に、「ワールドオークション」というペニーオークションサイトで運営がBot(自律プログラム)を用いて詐欺行為を働いていたことが発覚し、運営会社の社員4人が逮捕された。
ペニーオークションとは、開始価格や入札額が安価に設定されている代わりに入札の度に手数料が発生する仕組みのネットオークションのこと。入札額が吊り上がりにくく安く落札できると宣伝される一方で、欲しい商品を競り落とすために何度も入札を繰り返していると手数料がかさむという問題点があった。
ワールドオークションではこの仕組みを悪用し、ユーザーが入札を行うと運営側のBotが即座に入札するという手口で一般のユーザーが商品を競り落とすのを妨害して、手数料を稼ぐ悪質な詐欺行為が働かれていた。
さらにワールドオークションは芸能人を使った宣伝も行っており、複数の芸能人が実際は入札できない仕組みであるにも関わらず「安価で落札できた」と虚偽の内容をブログに書いていたことが次々と明るみに出て、記事を書いた芸能人達は世間からバッシングを受けた。
食べログ検索の広告枠優先仕様
2016年、大手飲食店レビューサイト「食べログ」について、ネット上で運営が検索順位やレビュー点数の操作を行っているのではないかと疑う声が上がった。
食べログの運営会社であるカカクコムはこの疑惑について「レビュー点数の操作はしていない」とコメントしたものの、検索順位の操作に関しては「有料プランに加入している店舗を『広告枠』として上位に表示する仕組みにしていたが、一般ユーザーに対してそのことを明示できていなかった」と事実を認めた。
この後、食べログは検索結果に広告枠の優先表示をしている旨を記載したが、2019年に「食べログ運営にレビュー点数を下げられ、元に戻して欲しければ年会費を払えと言われた」というツイートが波紋を呼んだことから、消費者の間には未だに食べログへの不信感が残っているようだ。
吉本芸人「ミキ」による京都市のPRツイート
2019年10月、京都市が吉本興業に所属するコンビ芸人に「Twitter上での京都市の宣伝」を有償で依頼していたことを京都新聞が報じた。
この件で問題となったのは、コンビ芸人「ミキ」の二人が2018年9月3日から10月14日にかけて投稿した4件のツイート。これらのツイートでは、京都市のふるさと納税へのリンクや自身が映ったコラボポスターの写真、「#京都市盛り上げ隊」のハッシュタグなどが添付されていたが、広告であることを示す文章やハッシュタグは含まれていなかった。
この件について京都市は「明確な広告表示は行わなかったが、事実を優良誤認させるものではない」「今は表記した方が良かったと思うが、問題はないと考えている」とコメントし、インターネット上では京都市と吉本興業に対して非難が殺到し炎上状態となった。
アナと雪の女王2の感想漫画
2019年12月、ディズニーの新作映画「アナと雪の女王2」への感想をつぶやく公式ハッシュタグに明らかに不自然な投稿がされているとして大きな騒動が巻き起こった。
騒動の発端となったのは、12月3日の夜19時に投稿された7件のツイート。これらのツイートは、Twitterで人気のある7人の漫画家が「アナと雪の女王2」を映画館で観た感想を漫画にしたものだった。
しかしその数時間後、一般のユーザー達がこれらのツイートの投稿時刻がほぼ同時であること、いずれも「#アナ雪2と未知の旅へ」「#アナと雪の女王2」のふたつのハッシュタグがつけられていることを不審に思い、ステルスマーケティングではないかという疑惑が広まった。
この騒動を受け、4日朝には問題のツイートをした漫画家の一部が「試写会に紹介されて漫画を描いたが、PRタグが抜けた状態で投稿してしまった」と釈明し、さらに5日にはウォルト・ディズニー・ジャパンの公式サイトに謝罪文が掲載された。
謝罪文によると、一連のツイートは7人の漫画家に「アナと雪の女王2」の感想を自由に表現した漫画をTwitterに投稿してもらう企画として実施したものだったが、関係者間でのコミュニケーションに行き届かない部分があり、本来つけるはずだった「#PR」のタグが抜け落ちてしまったとのこと。
ディズニー側はあくまで意図せぬミスだったと説明しているが、今回の件でディズニーや該当の漫画家には批判の声が寄せられ、一時はGoogleの「アナ雪2」の検索結果の上位にステルスマーケティング疑惑についての記事が出てくるなど作品へのイメージを悪化させてしまう結果となった。
企業による「やらせレビュー代行」…氾濫する悪質レビュー
古い例だと2001年、直近の物だと2019年12月…とかなり以前から行われ、度々問題になっているステルスマーケティング。
先ほどの実例では大企業などを中心に紹介していきましたが、ステルスマーケティングに手を染めているのは何も大手ばかりではありません。
それを示すいい見本となるのが、大手ショッピングサイト「Amazon」のマーケットプレイス。AmazonにはAmazon自体が販売元として出品している商品と他の企業や小売業者などがAmazonのサイトを使って出品している商品があり、後者はAmazonの「マーケットプレイス」というサービスを利用して販売を行っています。
マーケットプレイスには多種多様な出品者が集まるため、「欲しい商品が見つかりやすい」「サイト内で複数の出品者を見比べて、好きな所から購入できる」という利点があるのですが、一方で悪質な商品や出品者に引っかかってしまうリスクも抱えています。
そこでユーザーのほとんどはAmazon内のレビューを参考にして商品や出品者を選んでいるのですが、このユーザーレビューにもステルスマーケティングの魔の手がはびこっているのです。
ユーザーレビューは基本的に商品か出品者に対して「その商品を購入した、あるいはその出品者から購入したユーザー」がつけるもので、満足したら☆4以上、粗悪品が届いたり対応が不誠実だったりと不満があれば☆2以下、という基準でレビューをつけているユーザーが多いため、普通に考えれば「レビューの平均点が☆4以上なら安心、☆2以下なら危険」ということになります。
ところが、最近は中国系の業者がお金を払ってやらせレビューを量産し、評価を☆4以上にするといった不正行為が盛んに行われており、一概に「☆4なら安心」とは言えなくなってしまっているのです。
他にも、「不良品を理由に低評価をつけたら、出品者からお金を払うのでレビューを削除してと連絡が来た」「購入した商品と一緒に、高評価を付けるとキャッシュバックがあると書いた紙が入っていた」などといった「レビューの買収」行為や、同業者の商品に☆1レビューをつけて評価を下げる「サゲレビュー」の業務妨害なども問題になっています。
Amazonではこうした不正なレビューに対して削除やアカウント停止の措置を取っていますが、レビューの清浄化は一向に進んでいないようです。
相次ぐステルスマーケティング問題で、企業のモラルが問われている
ソニーやディズニーなど、世界的な大企業にもつきまとう「ステルスマーケティング」の黒い影。
海外ではこうしたステルスマーケティング問題を重く見てかやらせレビューを取り締まる法律が整備されていますが、日本では「嘘の内容を書いたレビュー」が景品表示法に違反する可能性がある程度で、ステルスマーケティングを明確に定義して取り締まる法律はまだ作られていないようです。
法に触れる恐れはあっても、ステルスマーケティングを規制する法律自体がないのなら、なぜステルスマーケティングはここまで問題視されているのでしょうか。
その理由については、次回の記事で説明したいと思います。次回をお楽しみに!
参考元:J-CASTニュース―「ペニオクステマ」が発覚 ほしのあき、熊田曜子らの処分はどうなる
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