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アドボケイト(代弁者)という仕組み
毎日のように児童虐待のニュースが目に入り、心を痛めない日はありません。
虐待され保護された子どもたちは、養護施設に入所したり、里親さんの家庭に引き取られたり、その後の進路は様々です。
そんな中、当事者である子ども自身が意思を表すのは難しくなっています。
今回、子どもたちの意思を尊重するための『アドボケイト(代弁者)』という仕組みが注目されています。
保護された子どもたちが、どのような福祉サービスを受けるのかは、子どもの保護者と子ども自身の意見を聞いて、児童相談所の職員や、市町村の担当者とも話し合い、「子どもにとって何が最善なのか」を決めてきました。
しかし、子どもたちの中には、うまく思いを言い表せなかったりする場合もあり、弱い立場に立たされていました。
そんな時に、子どもの立場に立ち、代弁者となるのがアドボケイトの役割です。
外国ではすでに法制化されている
このアドボケイトという仕組みは、イギリスやカナダではすでに法制化されており、児童相談所から独立した第三者機関となっています。
イギリスや欧米では、子どもの支援計画を決める会議に、子ども自身が参加しており、アドボケイトはそういった場面で、子どもの意思表明を支援しています。さらに、イギリスではアドボケイトの採用に、社会的養護の子どもが必ず立ち会っています。中には、“ボクの目を見て話をしてくれなかった”と、子どもが不合格を希望する場合もあり、採用や政策への子ども参加も進んでいます。
日本での取り組み
日本でも17年から「市民アドボケイト」というモデル事業が始まっており、実際に、児童養護施設などを定期的に訪ねて支援を行っています。
その際に、子どもとのやりとりの中で「施設には伝えたくない。」という話もやはり出てくることがあるそうです。
アドボケイトは、守秘義務があります。「伝えたくないことは伝えない。」という子どもの意思を尊重し、施設には話した内容は伝えずにいます。
しかし、子どもが何を話しているんだろうと、抵抗感がある施設の職員もいるのも確かです。課題はまだまだありますが、第三者が入ることで子どもの本音を引きだすことができ、今後の支援計画に役立つという意見も多くあります。
まだまだ課題はあるけれど
アドボケイトは、子どもの意思に寄り添うことができます。
しかしその意思を必ずしも叶えてあげることができない場合もあります。
子どもの声が反映されるように支援していくアドボケイトですが、実際に支援内容を決めるのは、児童相談所や施設です。
そのため、子どもの意向が叶わないケースはあります。しかし、子ども自身の希望が叶わなかったからといって、話し合いなどに子ども自身が参加することによって、納得感が得られ、大きな変化があることがイギリスの調査でも分かっています。
政府も2019年3月に、児童虐待防止法改正案を国会に提出。「子どもの権利擁護」を掲げて、子どもの意見表明権を保障する仕組みの検討を進める、ということです。
子どもの人生を歩むのは、子ども自身です。
当事者である子どもが、自身の将来のために何が最善なのかを一緒に考えて、寄り添える。そんな世の中になることが大切だと思いました。
参考:【特集】子どものSOSの“声” (4)「アドボケイト(代弁者)」という考え方 – 記事
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