「西の魔女が死んだ」より精神疾患の方へ送る言葉

精神疾患

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1.はじめに

好きな本は、何度も読んだりしませんか? 短い期間に何度もというよりは、ふと気づいたときにもう一度読んでみようかな、みたいなかたちで。私にはいくつか好きな本があるのですが、その一冊が梨木香歩著の “西の魔女が死んだ” です。今回は、その中で好きな言葉の1つを紹介したいと思います。

2.好きな言葉

下の引用は、本文から抜粋しています。ちょっと長いですが、ぜひ読んでみてください。

「ねぇ、おばあちゃん。意志の力って、後からでも強くできるものなの? 生まれつき決まっているんじゃないの?」

まいは聞いてみた。

「ありがたいことに、生まれつき意志の力が弱くても、少しずつ強くなれますよ。少しずつ、長い時間をかけて、だんだんに強くしていけばね。生まれつき、体力のあまりない人でも、そうやって体力をつけていくようにね。最初は何も変わらないように思います。そしてだんだんに疑いの心や、怠け心、あきらめ、投げやりな気持ちが出てきます。それに打ち勝って、ただ黙々と続けるのです。そうして、もう永久に何も変わらないんじゃないかと思われるころ、ようやく、以前の自分とは違う自分を発見するような出来事が起こるでしょう。そしてまた、地道な努力を続ける。退屈な日々の連続で、また、ある日突然、今までの自分とは更に違う自分を見ることになる。それの繰り返しです」

おばあちゃんはゆっくりと続けた。

「ただ、体力をつけたり、他の能力をつけたりするのと違って、意志の力をつけることの難しいのは、それに挑戦する人が意志の力の弱い人の場合が多いので、挫折しやすいということですね」

なるほど、と、まいは心の中で呟いた。

 

3.なぜ好きなのか?

引用を読まれて察しがついたかもしれませんが、私は意志の力があまり強くありません。幼少期から気が弱く、大人になってからはうつ病・統合失調症・適応障害になったので、病気のことでくよくよしがちです。「自分は何者にもなれないんだ」、とよく落ち込みます。TANOHIKAでの仕事は半年が経ちましたが、自分に自信を持っていいものか悩むこともあります。そんなとき、上記の引用を思い返すと、少しだけ元気になれます。変化を感じない日々を送っていたとしても、いつか自分の中で新しい発見があるのではないかと、ちょっとだけ希望を持つことができるからです。現に、半年の間でできるようになったことは多いので、そのことを振り返ってこの先のキャリアに期待を持つことも少しだけできます。私はもう30歳で病気もありますが、この先まだ成長ができるんだとちょっとだけ信じることができます。

4.終わりに

言葉にはいろんなちからがあると思います。面白いだけでなく、感動を与えたり、励ましたり、などです。一昔前は本が主流でしたが、今ではインターネットでも気軽にいろんな言葉を探すことができます。その中から自身の問題の核心を突く言葉をみつけることは困難かもしれませんが、みつけたときの感慨はきっと確かなものだと思います。そして、自分だけの好きを大事にしていくことも、自身の個性になるのではないかと感じています。おいおい、また私の気に入った言葉を紹介しますと宣言して、今回の記事を終わりにします。

参考書籍:梨木香歩『西の魔女が死んだ』新潮社

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30代になりたて、統合失調症&適応障害持ちの、元教職員です。生物学が好きで、生物学習サイト「高校生物の学び舎」をはじめました。気になる方は検索してみてください。