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こんにちは、翼祈(たすき)です。
飛行機や電車など公共交通機関に乗れない、映画館など人混みや閉ざされた空間に行くと、強い恐怖や不安、パニック発作を起こす広場恐怖症(ひろばきょうふしょう)という病気があります。同じく不安障害の1つであるパニック障害とは、別の病気だということです。
今回は広場恐怖症のことと、この病気と闘っている大学生と、元プロ野球選手の男性についてお伝えしていきたいと思います。
広場恐怖症とは?
広場恐怖症(英語名:アゴラフォビア)とは、ギリシャ語のアゴラ(広場、公共の場)とフォボス(恐怖症)から作られた造語で、例を挙げると、バスや新幹線など公共交通機関に乗っている時や映画館などの人混みの中、閉ざされた場所や広大とした場所に来た時に、簡単に逃げられない空間、誰かに助けを求めることの出来ない状況に動揺し、不安定になり、そうした空間や状況に外出することを避けたり、大きな苦痛を感じながら耐え忍びます。
広場恐怖症の人の約30~50%はパニック障害も併発していることも非常に多く、パニック障害から広場恐怖症になるケースもあり、本人が広場恐怖症だと認識していない潜在的な数も多いといいます。パニック障害は過度なストレスが引き金になるもので、アメリカでも日本でも増加傾向です。中にはパニック障害は持っておらず、広場恐怖症だけを発症する当事者もいると言われています。広場恐怖症の当事者の多くは35歳までに発症します。
広場恐怖症の遺伝的要素は61%もあり、様々な恐怖症の中で遺伝負因最も高いと言われています。広場恐怖症は、外出困難、強い恐怖、パニック発作、不安な感情などの症状の兆候が出ますが、当事者によっては家族、友人などの安心を持てる人の付き添いがあれば、何とか目地まで辿り着き、何とか1日過ごせる事例もあります。
恐怖心や不安をもたらす状況やシーンの一般的な例を挙げると、銀行やスーパーマーケットのレジの大行列、映画館やキャンバスの長い席の真ん中に着席すること、電車や飛行機などの公共交通機関を使うことなどです。
このケースに遭遇しパニック発作に陥った後に広場恐怖症を発症する当事者もいます。同じような状況下に居心地の悪さはあるものの一度もパニック発作を起こさない当事者もいれば、何年か経ってからその居心地の悪い場所に行った後パニック発作の引き金になる当事者もいます。広場恐怖症は、普段のライフスタイルを困難に陥らせ、極端なケースでは自宅に引きこもって外出できない当事者もいます。
広場恐怖症を発症した当事者の多くは他の精神障害を併発しています。特に頻度が高い障害は、パニック障害などを含めた他の不安障害(社交不安障害、限局性恐怖症など)、心的外傷後ストレス障害およびアルコール使用障害、うつ病などを併発しています。
参考:電車に乗れない、映画館に入れない…「広場恐怖症」とは? 精神科専門医に聞く 大人ンサー(2022年)
広場恐怖症に悩む大学生の女性
すぐにそこから離れられない、または助けが求められないような空間で症状が引き起こされる「広場恐怖症」。当事者の1人である大学生の女性にとっては、特急に乗車し友達と遠くへ行くことも困難です。「動悸、目眩、吐き気の症状や、倒れてしまいそうな気持ちに陥ります。上手な呼吸も不可能になります」。
広場恐怖症を発症したのは5年前、高校3年生だった2017年。授業中に激しい吐き気と、過呼吸に見舞われました。それ以降、体育館やクラスなど、人が密集する場所に留まるのに恐怖心を覚え、授業は保健室で行われ、全校集会は欠席を繰り返しました。
そして翌2018年「広場恐怖症を併発したパニック障害」との診断が下されました。今も教室で大学の授業に参加することは困難で、通信制の大学に通学している女性にとっては、街を歩く学生たちへの憧れを持ちます。「悔しい。なんで他の人と同じことが自分には叶わないんだろうって。チャレンジしたいこと、沢山行ってみた場所もあるのに、悲しい」。
また、女性は多くのシーンでパニック発作に同時に襲われています。パニック発作というのは突然見舞われるのが大きな特徴で、2回目以降は条件反射的に急に現れます。そして「“また突然パニック発作が出るのではないか、それが怖い”という“予期不安”も引き金になります。そして、周りから自分がどう考えられているかといった対人恐怖と併発してパニック発作が引き起こされることもあります」と言いました。
参考:「特急に乗ると不安で動悸や吐き気、めまいが…」他者からは見えない苦しみ…「広場恐怖症」を知ってほしい ABEMA TIMES(2022年)
精神科医で、心療内科・神経科「赤坂クリニック」理事長の医師は「アメリカの精神学会が10年前、パニック症とは分けて考えるようになりました。原因の特定は難しく、もちろん絶対とは言わないが、私が診てきた中ではお父さんやお母さんもそういう傾向にあることが多く、あまりかわいがられてこなかったような養育歴があると不安を持ちやすいという傾向もあります」と言います。
広場恐怖症で、プロ野球選手を辞めざるおえなかった男性
プロ野球・ロッテで現役時代にこの病気を公表した男性は去年、戦力外を通告されました。それでも会社員として働きながら社会人のクラブチームで野球を続ける決心をしました。
ホンダに入社2年目のドラフト会議で男性はロッテから6位で指名され、念願だったプロ野球選手になりました。
プロでやっていく手応えをつかみ迎えた2年目のキャンプ。男性は球団スタッフと関西空港から石垣島に向かうことになりました。羽田空港でないのは、飛行機に乗っている時間を可能なかぎり減らすためです。ところが1回目は搭乗ゲートの前で引き返してしまいました。
翌日は機内まで行けましたが、通路を歩いているうちに激しいどうきに見舞われました。「やっぱり無理だ」絶望感に襲われ、取った行動が『脱走』でした。空港近くのホテルから抜け出し、各駅停車の電車と新幹線のこだまを乗り継いで埼玉県内の自宅に戻ってしまいました。
こうして2年目はキャンプに参加せず、1人でコンディション調整。チームのキャンプが終わった3月に「広場恐怖症」であることを公表しました。
さらなる飛躍を誓った4年目の昨シーズン。2軍でも結果を残せず、戦力外通告を受けました。その後、12球団合同のトライアウトに参加。150キロに迫るストレートで好投しましたが、獲得に名乗りをあげる球団はありませんでした。
病気を公表した男性のもとにはロッテや野球のファンだけではなく、同じ広場恐怖症の当事者からも励ましの手紙が、全国から寄せられました。中には症状を緩和させる成分が入っている、サバの缶詰が大量に送られて来たこともありました。男性は現在も大切に、その人達からのその手紙を保管しています。
私はそんなに緊張はしないです。
電車とかは昔は過去のトラウマで人のことを拒絶していた時期があったので、「あの前にいる人は私のことをよく思っていないだろう。嫌っているに違いない」とか勝手に思い込んで、電車に乗ること自体がかなり嫌な時がありました。今はそんな感情は抱かないので、普通に電車に乗って通勤して出勤していますよ。
私の家族では母がパニック障害を持っていて、暗い場所や窓がない部屋に行くと、パニックを起こすそうです。広場恐怖症もパニック障害とは別の病気だという医学界の認識だそうですが、こちらも同じく潜在患者数は多そうですね。私の障害も見た目では分からない為、理解を得るまで時間がかかりました。広場恐怖症のことを広く認識して頂けたら、より支援が進むのではないかと思いました。
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noteでも書いています。よければ読んでください。
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