2024年6月、佐藤弘道さんが公表した「脊髄梗塞」。症状や原因、治療法などは?

脊髄梗塞

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

この記事の本題は「脊髄梗塞」なのですが、まずその説明をします。

脊髄はいわば脳の「尻尾」とも言え、脳から背骨の中を通ってお尻の辺りまで続いています。背骨から左右に何対も枝分かれし、あらゆる臓器に脳からの命令を伝達しています。

「脊髄梗塞」とは、何らかの原因によって脊髄に血液と酸素が届かなくなり、供給する血管が詰まることで、脊髄の一部が壊死し、発症する病気です。脳梗塞と同様に神経に障害が生じます。“梗塞”という言葉は“詰まる”という意味があります。

その発症する頻度は低く、非常に珍しい疾患で、脳卒中の50分の1から100分の1、1~2%の発症頻度と推定されていて、年間に数人程度です。

一般的に、突然、背中の痛みから始まって、両方の手足のしびれや筋力の低下が急速に進行する場合が多いとされています。

発症するきっかけに関して、専門家は「突然発症してしまうもので、脳梗塞と同様に、血管が詰まるといつでも発症します」と話し、血管が詰まる原因に関して「コレステロールや生活習慣病など、脳梗塞と同じです。年代は特に関係ありません」と説明します。

また、それ以外の原因に関しては、「外側から力がかかり血管が裂けて起こる外傷性の時もあります」とし、「そういう場合は血管が裂けたことによる痛みが生じます」とも述べました。

その上で、「大動脈解離などの病気や、手術の後にも血栓が発生しやすいと言われていますが、それに該当しない20代とかの発症も稀に見受けられるので、原因が分からないというのが実際の話です」と指摘しました。

今回は、佐藤弘道さんの報告例をもとに、この「脊髄梗塞」について考えていきたいと思います。

2024年6月13日、

“ひろみちお兄さん”の愛称で知られるタレントの佐藤弘道さんが「脊髄梗塞」のため、芸能活動を一時休止し療養に専念します。所属する太田プロダクションが2024年6月13日、公式ホームページで明らかにしました。

佐藤さんは、「6月2日(日)、研修会指導に向かう機内で体調を崩して、下半身まひとなって、歩けなくなってしまいました。病名は『脊髄梗塞』です」と伝えました。

「脊髄梗塞」は、脊髄の血管が詰まる病気で、血管が詰まることで神経が機能しなくなり、下半身まひなどの症状が出現します。佐藤さんが「脊髄梗塞」を発症した詳しい原因は分かっていません。

さらに「今は緊急入院し、投薬とリハビリの毎日を過ごしています。この数日間、SNSを一度も更新せず、ファンの皆様、ご関係者の皆様には大変ご心配をおかけしました」と現在の状況を報告し、「今後は長い闘病生活になりますが、リハビリにカを入れて復帰に向けて頑張っていきたいと思います」と前向きな心境を綴りました。

病気に関して、「『脊髄梗塞』は残念ながら有効的な治療法が無いことは知っています。今は全く歩けません。リハビリでどこまで身体が回復するか分かりませんが、現実と向き合い、今できることを一生懸命に行い、また皆様にお会い出来る日を楽しみにしております。今後とも応援の程、宜しくお願い致します」と締めくくりました。

参考:佐藤弘道、体調不良で一時活動休止へ 「脊髄梗塞」明かす「現実と向き合い、今出来ることを一生懸命に」 ORICON NEWS(2024年)

専門家は、「『脊髄梗塞』は手術を含め有効と言える治療法はありません」と話し、血液をサラサラにする薬の服用や患部をほぐすリハビリなどで、「少しずつ症状が改善する可能性はあります」と説明しました。

そして、「血管の詰まりは細かいことから手術で全て取り除くことができないと言われていて、症状が悪化しない様に安静に過ごし、2次的な脊髄障害を予防するために投薬を続けることが必要です。まひの症状は自然に回復しますが、回復が見込めない時にはリハビリを行い、機能回復を図っていくことが大事」とも述べました。

▽症状の特徴

脊髄は背骨に守られる様な形状で首から腰にかけて走っていて、全身の感覚や運動の伝導路として脳からの指令を筋肉に伝達したり、逆に皮膚や筋肉など末梢からの情報を脳に伝達したりしています。脊髄と脳を合わせて中枢神経とも呼ばれます。

脊髄は、私たちの身体を動かすための指令を脳から伝える役割を担当していて、円滑に機能させるためには、栄養と酸素を供給する血液が欠かせません。

ですが、何らかの原因で脊髄への血液供給が断たれてしまうと、神経細胞は酸素不足に陥って、深刻なダメージを身体が受けてしまいます。これが「脊髄梗塞」と呼ばれている病気です。

“脳梗塞”や“心筋梗塞”は、脳や心臓の血管が詰まり、血流が滞ってしまった部分が大きなダメージを受け、あるいは壊死してしまう病気です。「脊髄梗塞」もそれらの病気と同様に、脊髄を栄養する血管である脊髄動脈が何らかの影響で閉塞し、血流の途絶えた神経細胞が障害を受けることで色んな症状が出現する疾患です。

脊髄は、それ以外の臓器と比較しても血液の供給量が限定されていることで、一度血流が途絶えると、非常に脆く、短時間で神経細胞が壊死してしまうリスクがあります。そのことで、「脊髄梗塞」では、突然の激しい痛みが襲うと同時に、まひやしびれなどの神経症状が急速に出現するケースが多いです。

▽症状

「脊髄梗塞」の症状は、発生する範囲や部位によって異なりますが、一般的には以下の様な症状が見受けられます。

①突発的な背中の痛み

「脊髄梗塞」の最初の兆候は通常、急激で激しい背中の痛みです。痛みが問題のある部分から、脊髄を栄養する動脈が破裂したり詰まったりすることにより、突然の痛みの発生へと繋がります。また、症状は背中だけに留まらないケースもあって、肩などにも広がる傾向があります(放散痛)。

②異常反射

脊髄に損傷がある時のみに認められる様な病的な反射が出現したり、正常の人には見受けられる反射が消失してしまうケースがあります。

③下肢の筋力の低下

「脊髄梗塞」の症状として、手足の筋力低下やまひ(一部または全部の筋肉の動きが制御できない状態)が出現するケースがあります。これは血流が遮断された脊髄の部分が、身体の動きを制御する神経信号を送る能力を失うからです。

動かしたくても動かせない状態なので、歩けない・立てないといった、歩行困難になったり、立ち上がることができない状態になったりなどの運動障害が見受けられます。

④感覚の異常または消失(鈍化)

しばしば、身体の一部が消失(鈍化)または全部で感覚の異常(まひ)などが出現するケースがあります。これには、「冷たい」「熱い」などの温度感覚の消失、「痛み」を感じる痛覚の消失、しびれなどが含まれます。感覚異常は、脊髄が身体からの感覚信号を脳へ正しく伝達しなくなるために起こります。

その反面、振動覚(振動を感じる感覚)や「何かに触れている」ことを感じる触覚(触れている感覚)の低下、また自分の手足がどの位置にあるのかという感覚を伝える神経経路は比較的障害を受けないこともあります。

他、

・突然の首の痛み:ほとんどの場合、突然の激しい痛みに襲われるケースが、最初の症状です。

・排便や排尿の障害:便・尿のコントロールができなくなり、失禁してしまう場合があります。

症状は急激に進行することが多く、早期の診断と治療が重要な行動です。

▽原因

・外傷:脊髄や脊髄周囲の血管に外部からの強い力が加わることで血流が妨げられる場合があります。

・動脈硬化:血管が硬く狭くなり、血流が悪くなることで血栓ができやすくなります。大動脈硬化によるコレステロール結晶塞栓(けっしょうそくせん)などが原因として挙げられています。

・炎症性疾患:多発性硬化症や血管炎など、全身の血管に影響を与える様な炎症性の自己免疫疾患が原因となる場合もあります。

・動脈瘤:血管にできた動脈瘤が破裂することで脊髄への血流を妨げる場合があります。

・血栓:血液が固まってできた塊(血栓)が血管を詰まらせることで起こります。

・医原性:カテーテル治療や外科手術などの合併症として、意図しない血流障害が起こる場合があります。

・その他:糖尿病、高血圧、大動脈解離、心臓疾患などが関与する場合もあります。

▽診断基準

・問診・身体診察:現在の自覚症状や、身体の異常を感じるに至った経緯などを聴き取りをします。また、患者さんが自覚している症状に関してのみ身体検査を行うのではなく、異常反射など患者さんが気付いていない様な所見を把握することも重要です。

・MRI:磁気共鳴画像法により詳細な脊髄の状態を観察します。

・病歴聴取:高血圧や糖尿病など、「脊髄梗塞」のリスクとなり得る様な過去の病気や現在治療中の病気などを詳しく聴き取ります。

・神経学的検査:医師による運動機能や身体の感覚を確認します。

・血液検査:血栓の原因となる異常がないか確認します。血管をより鮮明に描き出すために造影剤を使用することで、脊髄への栄養を供給する血管の状態を解析することが可能です。

・CTスキャン:脊髄の断層画像を撮影し、血管の状態を確認します。

・脊髄液検査:脳脊髄液を採取し、解析することで炎症の程度や感染症の有無を確認が可能です。脳脊髄液の採取には腰椎穿刺という、背中から細くて長い針を刺す必要があるため、身体への負担のかかるやや侵襲的な検査方法です。

▽治療法

「脊髄梗塞」に対して有効性が認められた治療法はありませんが、対症療法など、脳梗塞に準じた治療が実施されます。

・内科的治療

◉血栓溶解療法

血の塊である血栓が血管を詰まらせる原因となっていることが判明した時は、できる限り早期に血栓を溶かす薬(例:t-PA)などを使用します。

◉ステロイド

脊髄に対する炎症を抑えるために副腎皮質ホルモンであるステロイドが使用されるケースがあります。

◉抗凝固薬・抗血小板薬

血液をサラサラにする薬剤(例:ヘパリン、アスピリン)を使用し、「脊髄梗塞」の範囲が広がることを防いだり、再発を予防します。

・外科的治療

◉動脈瘤の修復

動脈瘤が原因だった時は、修復する手術を受けることが必要です。

◉血行再建術

血管が詰まった箇所の血流を再開させるための手術が実施される場合があります。

・リハビリテーション

◉理学療法

関節可動域や筋力強化の獲得、運動機能の回復などを目的に実施します。

◉言語療法

梗塞が発生する部位によっては、言語や嚥下機能も低下することがあるので、それらの訓練が実施されます。

◉作業療法

日々の暮らしの中で必要な細やかな動作を改善するための訓練を実施します。 

▽予防策

「脊髄梗塞」を予防するためには、生活習慣病の予防・治療が最も効果的な方法です。

・定期的な健康の確認:糖尿病、高血圧、心臓病などのリスク要因を早期に発見し、適切に管理します。

・健康的な生活習慣:バランスの取れた食事、規則正しい生活、禁煙、適度な運動を意識しましょう。

・禁煙:喫煙は動脈硬化の主要なリスク要因なので、禁煙をすることが推奨されます。

・ストレス管理:ストレスは心血管疾患のリスクを高めるため、適切なストレス管理が必要です。ストレスを減らして、リラクゼーションを取り入れることで心身の健康を維持していきます。

▽予後

「脊髄梗塞」の予後は、早期の診断と治療が鍵となります。回復の程度は、発症した時の脊髄の損傷の原因や範囲によって異なります。

◉急性期の対応

「脊髄」を発症してからすぐに適切な治療を受けることが、後遺症を軽減するためには重要なことです。

◉支援と環境調整

患者さんの頑張りだけでなく、家族や介護者のサポート、生活環境の調整・改善などが必要となります。

◉長期的なリハビリ

「脊髄梗塞」を発症した後はすぐに身体が元通りの状態には戻らないため、継続的なリハビリを受けることが必要です。特に根気強く作業療法と理学療法を継続することが重要だと言えます。

参考サイト

脊髄梗塞とは? 朋クリニック(2024年)

佐藤弘道さんが発症…脊髄梗塞の症状から原因まで徹底解説 再生医療専門クリニック リペアセルクリニック(2024年)

脊髄梗塞のリハビリテーションや症状について 脳梗塞・脊髄損傷クリニック(2024年)

脊髄の血管障害 ヨミドクター

【医師が解説】脊髄梗塞ってどんな病気? リハビリZONE岐阜(2024年)

「あのひろみちお兄さんが…」と、

大きなショックを受けました。私の中でひろみちお兄さんは多分世代ではなかったと思いますが、[おかあさんといっしょ]の体操のお兄さんのイメージはやはりありましたし、体操教室やバラエティーの出演など、いつも元気なイメージもあって、病気をする人ではないと思っていたからでした。

元気にパフォーマンスをしていたひろみちお兄さんが、今は「脊髄梗塞」で下半身がまひし、歩けないという話は、想像もしていなかったことで、非常にショックでした。

「脊髄梗塞」は今回のひろみちお兄さんの件で知ったという人も多かったと思いますが、私は名前だけは知っていました。

「何で知っていたんだろう?」と検索してみたら、2024年2月16日に、元「Juice=Juice」のリーダーだった宮崎由加さんが、左足に痛みとしびれがあって、病院で診察を受けたところ「脊髄梗塞」と診断され、コンサートを4公演欠席したと書いたあったのを読んだからだと思い出しました。

この宮崎さんに関しては、同月2月25日に仕事復帰されていて、自分の中で、復帰されたことで、ひろみちお兄さんがここまで深刻な病状であって、そのことで動揺したのだと思います。

ひろみちお兄さんの件を受けて、「ずっと病気知らずで元気なイメージのある人の発症での休養はとてもダメージが多い」と思うと同時に、「病気などはならない人はいないんだな」と感じた今回の話でした。

追記。

2024年8月20日(火)、ひろみちお兄さんは下半身まひやしびれが残っていますが、奇跡的に歩ける様になり、退院して、写真と直筆のメッセージが所属事務所より公開されていました。

noteでも書いています。よければ読んでください。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。