アスベストで発症した中皮腫の、石綿健康被害救済法を2022年6月に改正、など。 

中皮腫

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

中皮腫とは、中皮細胞から発生する悪性の腫瘍のことを指します。肺や腹部の臓器などを覆っている膜にできるアスベスト特有の難治性のがんである中皮腫は、1箇所で大きくなっていく限局性と膜全体に拡大していくびまん性の2タイプがありますが、その大半がびまん性へと変わっていきます。

胸膜中皮腫の症状として多い症状は、初期症状として胸水貯留が起こりやすく、胸水量が増加すると胸部圧迫感や胸の痛みが起こります。それ以外にも、呼吸が苦しくなったり、息切れをし、咳が出たりするようになります。

中皮細胞は、胸膜、腹膜、精巣鞘膜、心膜に存在し、中皮腫はそれらの場所に発生しますが、胸膜発生例が約80~90%と最多で、次に腹膜が約10%、精巣鞘膜や心膜にできる中皮腫は珍しいです。

悪性中皮腫の発症原因の1つとして、その昔電気絶縁材や建築材料など多くの工業分野で使われててきたアスベスト(石綿)が知られています。ばく露後40年前後の潜伏期間を経過して中皮腫を発症することが報告されていることで、1970年代から1980年代からアスベストが使用されてきた過去の経過を踏まえて、日本ではこれから先発症する人が増加するだろうと想定されています。

今回は2022年6月にアスベスト健康被害救済法が改正されたことと、少し古いデータですが、中皮腫オプジーボが使われている話などを多角的にお伝えできればと思います。

消防士がアスベストによる、中皮腫を罹患するリスクが高いことが明らかに

アスベスト(石綿)が原因とされるがん「中皮腫」にかかるリスクについて、消防士は一般の人々と比較して1・58倍高いと推計されることが、国際がん研究機関(IARC)の調査で判明した。調査結果を踏まえ、IARCは消防士の職業を「発がん性あり」と分類した。

引用:消防士は中皮腫リスク1.6倍 アスベスト吸引原因か 国際調査 毎日新聞(2022年)

2022年3月で申し込み期限の過ぎた、石綿健康被害救済法が改正し、さらに10年延長へ

身体内に吸い込んでから数十年後に肺がんなどを発症することで、「静かな時限爆弾」と称されるアスベスト。2006年にアスベストの被害者を救済する法律が成立し、労災補償の時効を過ぎた被害者の人も救済される様になりました。ですが、救済の門が再び閉ざされようとしています。古い被害者の救済措置が2022年3月下旬に終了すると言われているからです。

アスベストとは繊維状の鉱物となり、「石綿」とも呼ばれ、高い断熱性や摩擦に強い耐久性の特徴から、その昔は“奇跡の鉱物”とも言われていました。高度成長期以降、日本では建築資材など色んな場所で使用され、日本に大量に輸入され、断熱材や耐火材などで建物の至るところで使用されていきました。

ですが、アスベストは発がん性が強く、一度吸い込んでしまうと、長い年月が経過してから中皮腫や肺がんという病気を発症するリスクを抱えています。その上、もっと厄介なのがその病気の発症の遅さです。吸い込んでから、平均40年ほどかけて発症します。既にアスベストの製造・使用などは全面的に法律で禁止されていますが、毎年数多くの方がアスベストによる健康被害で亡くなっています。

アスベストの危険性が広く認識されるようになった契機は、2005年6月に兵庫県尼崎市にある大手機械メーカー「クボタ」の旧神崎工場を巡る大規模な健康被害が、報道で表面化したことからでした。工場の働く人たちがアスベストが原因の病気を発症し多数亡くなっていたこと以外にも、旧神崎工場の近くで生活していた地域住民も中皮腫を発症していることが明らかとなりました。

これがきっかけで、日本のそれ以外のアスベスト関連企業でも同様の被害が発生していたことが次々と発覚していきました。日本社会の中でアスベストの危険性の認知度を上げた一連の出来事は、「クボタショック」と称されました。

被害者に対する救済や補償を求める声が高まっていく中で、ある課題が浮上しました。

仕事でアスベストを触ったことがない人には、公的な救済措置がなかったことです。仕事で吸い込んだのが原因で中皮腫などを発症したのであれば、労災制度の補償が認められます。ですが、アスベストを製造する工場の近くに居住していたり、アスベストを含んだ製品が身近にあったりしたことが原因で中皮腫などを発症したケースは、労災の対象にはなりませんでした。高額な治療費も救済がない以上自己負担で治療しなければなりませんでした。

労災制度以外にも「時効の壁」という盲点が存在しました。労災補償の請求権は亡くなってから後5年間で時効となります。「クボタショック」でアスベストの危険性が大々的に報じられるまで、アスベストの被害を受けていることを分からなかった多くの遺族が、労災補償の請求が叶いませんでした。

こうした労災制度の不備を無くすべく法律で成立したのが、石綿健康被害救済法でした。労災制度の対象と認められない被害者へ、医療費や弔慰金などを支給する「救済給付」という枠組みを整備し、石綿健康被害救済法の施行(2006年3月27日)より前に亡くなったケースも労災の救済対象になりました。そして、時効の成立で労災補償を請求できなくなった遺族に対して、「特別遺族給付金」という別の救済制度を設置しました。

NPO法人「中皮腫サポートキャラバン隊」の理事長である右田孝雄さんも所属する、「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」では2022年3月末に迫る労災制度の期限の延長を求めています。

ここ数年子育て世代の40代や50代の患者も目立つ様になり、30代で中皮腫を発症する人も出てきました。さらに、廃墟などアスベストの除去がされていない建物に観光目的で若者が行ってしまう事例もあり、アスベストを吸い込むリスクは世代問わず存在します。

その反面、中皮腫の治療法も少なく、発症してしまうと仕事をすることも容易ではありません。「中皮腫サポートキャラバン隊」の実態調査によりますと、「経済的な困窮を感じる」と回答した人は4割を超えました。

参考:「“中皮腫”が治る時代に」闘病生活を送るアスベスト被害者の訴え ABEMA TIMES(2022年)

建設資材のアスベストによる健康被害に関して、厚生労働省は新設した基金で補償する被害者がトータルおよそ3万1千人超との推計を2021年に明らかにしました。現在確認できているアスベストでの被害者に加算して30年間で新規で1万9500人が対象となり、総数は現在の3倍近くに拡大する見通しです。国が将来のアスベスト健康被害の予測を示したのは初となりました。

その後、

アスベストによる健康被害で亡くなった工場などで働いていた人の遺族への、亡くなってから5年以上が経過して時効成立したことで、労災での救済補償が受けられずにいた遺族を対象に支給する「特別遺族給付金」の請求期限が2022年3月27日で切れたことに対して、期限をさらに2032年3月まで10年間延長するための「改正アスベスト健康被害救済法」が、参議院本会議で採決が行われた上で、2022年6月13日に、全会一致で可決・成立しました。

「特別遺族給付金」に関しては過去2回延長された経緯もあったことで、中皮腫などを治療中の患者やその患者遺族などから、さらなる延長を要求する声が高まっていました。

参考:石綿遺族給付金、請求期限延長へ 10年間、参院委で可決 朝日新聞デジタル(2022年)

中皮腫に効くとされる薬、オプジーボ

兵庫県西宮市にある兵庫医科大病院は2020年10月から、腹膜や胸膜、精巣鞘膜、心膜などの治療中の悪性中皮腫の患者へ、がん免疫治療薬である「オプジーボ」の医師主導治験をスタートさせることを明らかにしました。

オプジーボは既に、胸膜の中皮腫に対して、抗がん剤で治療した後の一般的な治療薬として使用されています。腹膜などの中皮腫に対しても効果が期待できるとします。

中皮腫は、オプジーボや抗がん剤による治療の保険適用ですが、現在では胸膜以外中皮腫は保険が適用されず、腹膜などの中皮腫の患者は自己負担で抗がん剤などを使っています。

治験には兵庫県医科大病院を合わせたトータル5施設が参加します。腹膜などの中皮腫の患者トータル23人にオプジーボを投与し、中皮腫の縮小効果や安全性などを確認します。

兵庫医科大病院の呼吸器内科診療部長の男性は「胸膜以外の中皮腫は、予後が悪くなるのに対象の患者数が少ないことで、治験が実施されていませんでした。良い結果が分かると、オプジーボを保険適用で使用できる様にしたいです」と説明しています。

参考:オプジーボ、腹膜などの悪性中皮腫で治験…兵庫医科大 読売新聞(2020年)

全部が全部悪いとは言いたくないですが、

子どもの頃からアスベストを使った建物を取り壊す時に、重装備をして建物を壊していた作業員の人の映像をよく覚えています。今でもアスベストが残っている建物も多く、本当に慎重に解体されていますよね。

アスベストのことを書いて思い出したのがプラスチックでした。プラスチックも頑丈で壊れにくいとその昔大変重宝されました。それが今では環境破壊をするものとして、数年前から将来的には無くしていこうと、色んな企業が取り組んでいます。

アスベストもその昔は凄く重宝されて、重宝されたが故に沢山の建物で使われました。長い間全盛期であったアスベストへの健康被害が叫ばれ出してから、この問題に関してはずっと継続する社会問題となりました。

この記事に書いた30、40代の人が感染するというのは、発症時期からすると恐らく子どもの頃に学校などで吸ったのでしょうね。

今でもアスベストの除去が進んでいますが、健康リスクのあるものを仕事とはいえ、触れるのは本当に命懸けですし、それで多くの人の健康を守って下さっている作業員の方には頭が上がりません。

アスベストを建物から全部除去したところで、ずっと議論され続ける問題になりそうです。この問題に関しては、色んな人が絡んでいることでより複雑化した社会問題だなと思いました。

参考サイト

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。