通院していた産婦人科医院が突然閉院-困惑する妊婦さん-

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こんにちは、金次郎です。

 少子化が問題になっている現代の日本。
 1970年代前半の「第2次ベビーブーム(年間出生数200万人越え)」を最後に、赤ちゃんの出生率は減り続けています。
 去年は遂に、1年間に生まれて来る赤ちゃんの数が80万人を割り込んでしまいました。
 最近では、結婚された方の中にも「経済的に子供は無理です」と言うカップルもいます。

 総理大臣も「このままでは、国が無くなってしまう」と危機感を持ち、子供を産みやすい国作りの政策を次々と打ち出しています。
 しかし、国の政策に反するかの様に、産婦人科医院の閉院が相次いでいます。
 一体どう言う事なんでしょうか?

突然の閉院で困っている妊婦さん

 東京都内にある産婦人科医院が、なんの前触れも無く閉院してしまい、通院していた妊婦さん達からは「先生と連絡も取れなくて不安です」と言う声が相次いでいます。
 その1人のAさんは、現在妊娠23週目です。
 「閉院する事を事前に教えて頂ければ、もう少しゆっくりと次の産婦人科を探せたのに、今は急いで次の産婦人科を探しているところです」と語ります。

 別の妊婦さんは「閉院しましたの過去形で書かれたメールで知りました。それで別の産婦人科に行ったら「切迫早産の疑いが有る」と言われ、母親と赤ちゃん2人の人間の命を預かる先生として不適切な対応だと感じています」と少し怒った感じで話されました。

 医院に行って見ると、入口に「閉院しました、詳細はHPをご覧ください。」の貼り紙のみです。
 その産婦人科医院のHP:https://kato-gyne.gr.jp/close.html

 役所に聞いてみると「資金繰りの悪化」と「院長の体調不良の為」との事です。
その役所では、通院していた妊婦さんの為に相談先を役所HPに載せたり、妊婦さんの相談に乗っています。

参考:(日テレニュース)突然の閉院・・・妊娠23週の女性「事前に教えて・・・」体調崩しても
            ”音信不通”の家族も

開業医が病院を閉院する理由

 実は産婦人科だけでなく、今の日本では色々な科目の個人医院の閉院が相次いでいます。
 理由は、医師の高齢化です。
 2020年(令和2年)に厚生労働省が行った「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」と言う調査で、医師の年齢別人数を、2018年(平成30年)に行った調査と比べています。
それを見ると、医師の総数は3.8%しか増えていないのに、2022年の調査では
 ・60〜69歳代の医師は ⇒ 7.4%増加
 ・70歳以上の医師   ⇒ 11.8%増加

と、医師の高齢化が進んでいる事が分かります。

参考:(厚生労働省)令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況(pdf形式)

 また院長が閉院を決める理由として以下の様な事が有ります。

 1・息子や娘など、近親者に医院を継ぐ後継者がいない
 2・医院の経営が悪化して存続が厳しい

 対応策としては
 1・医院を第三者の医師に継いでもらう
 2・経営を安定させる為に、お金の出入りをキチンと管理する会計専門の人員を雇う

産婦人科独自の閉院理由では以下の様な理由が有ります

 1・長時間労働(陣痛はいつ始まるか分からない)
 2・分娩数の減少(結婚しても、子供を作らない夫婦が増えた)
 3・訴訟リスク(生まれた子供が障害児だった場合)

参考:(medicom)開業医が閉院する理由とは?閉院させないための対策を解説

他科の医師に聞いても、産婦人科は激務との答えが・・・

 7万人以上の医師が参加している医師専用のサイト「MedPeer(メドピア)」
 このサイトが、会員になっている医師に「何科が一番きついと思いますか?」という質問をしてみました。

結果は、以下の様になりました
 1・どの科も同じ 24.4%
 2・産婦人科   21.9%
 3・外科     14.5%
 4・救急科    11.6%
 5・小児科     7.1%

1位の「どの科も同じ」と答えた医師は「勤務先の勤務体制による」や「配置されている医師の人数によって違う」と言う意見が多かったのに対して2位の「産婦人科」と答えた医師は、

 「訴訟リスクが高い」
 「当直、待機が多い」
 「無事に生まれて当たり前と思われているので、精神的プレッシャーがある」
と、やはり訴訟の事や、陣痛はいつ始まるか分からないので、当直勤務が有る事や待機している時間の長さを指摘しています。

参考:(PRtimesa【医師アンケート調査】「一番きついと思う診療科目は?」

終わりに 

 私や両親が通院しているクリニックでも世代交代が進んでいます。
 私が通院している耳鼻科では、未だ先代の先生はいらっしゃいますが、息子さんも隣りで診察業務を行っていますし、父が認知症の薬を処方してもらっている内科では、娘さんが後を継いでいます。

 ただ、胃腸科は、先代の先生には上で書いた様な後を継ぐ近親者がいなかったのか、別の病院から来た先生が引き継いでいます。
 家の近くから、かかりつけのクリニックが無くなったら不便なので、引き継いでもらって助かっています。
 個人経営の病院は医師が歳を取ったら「病院をどうするか?」とか「廃院する場合は患者さんをどの病院に紹介しよう」とか、色々と処理しなければいけない事があるなと思っています。

 実は、私が補聴器を作っていたメガネ屋さんが、ショッピングモールから撤退する時、ご丁寧に「閉店お知らせハガキ」が来て、次の補聴器屋さんまで紹介して頂きました。
 誠意ある対応で、本当に助かった次第です。

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2 件のコメント

  • 記事を読ませていただきました。閉院されるのは、利用者にとって困ることだと思います
    。患者あっての病院、病院あっての患者と考えると互いの信頼関係が必要だとつくづく気づかされています。

    • コメントありがとうございます。
      おっしゃられる通り、医師と患者さんの相互理解の信頼関係が有ってこそ
      気持ち良く通院できますし、診察結果に納得が行きますものね。

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