中国の恐るべき「996」週休3日制で40%生産性アップか

週休3日制

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 突然ですが11月23日は何の日かご存知ですか? 勤労感謝の日、祝日です。令和時代は1年で最後の祝日にあたりますが、ざっくりいうと日々の勤労や生産を祝い国民同士で感謝しあう、という日ですね。

 日本ではほとんどの企業が週5日勤務か、もしくはそれ以上、休みなく働いている人もいるでしょう。そんな現状に疲れ果てて自らを追い詰めて、うつや病気に発展するなんてことはニュースなどのメディア媒体で、多いに聞くようになりました。

 疑うこともなかった労働制度をいま一度調べてみたら、日本マイクロソフトが、週休3日制を試験的に取り入れ、労働生産が40%も上がったという結果を発表しました。

 まだ実験段階なのですが、もしかしたら有効に作用していると考えても良いと思います。日本は世界で最も労働時間が長い国といわれている点から、労働日数や時間の世界との違いについて紹介しようと思います。

1.なぜ日本で週休2日制が定着したのか

 

 現在、日本では当たり前になっている週休2日制を採用したのは松下電器産業、現パナソニックです。創業者の松下幸之助が昭和40年4月、海外企業に勝つための能率を求めて、完全週休2日制を導入しました。

 昭和26年に初めて米国を視察した松下氏は、その繁栄ぶりに驚き「米国では週に2日休むのに関わらず、日本の10倍の給料を払っている。それでも会社は儲けているのは、1人当たりの生産量が10倍だからだ」と週休2日制の原点は米国の視察にあります。

松下幸之助の想い

 経済の土台を固めた幸之助氏は35年の経営方針発表会で、こう述べました。

「海外企業との競争に勝つには能率を飛躍的に向上させなくてはいけない。そのためには休日は週2日にし、十分な休養で心身の疲労を回復する一方、文化生活を楽しむことが必要だ」と週休2日制を5年後の40年から導入する方針を発表しました。

 ただ休むための2日ではなく、1日はしっかりと休みを取って、残りの1日は自分を高める時間にあてる「1日休養、1日教養」と指針を示しました。

 しかし労働組合の「今まで6日でやってきたことを5日で済むわけがない。そんなうまい話はない」という反発や、39年の東京五輪後の反動ともいえる不況で業績が悪化して、週休2日制の実現が危ぶまれたが、幸之助氏は「うまくいかないときは松下が潰れるときだ。日本の扉を開く気持ちでやる」と述べ、導入された。

 導入された初めての土曜日の休日に幹部を呼んで、会議が行われました。そこで幸之助氏はこう語っています。

「週に2日休むとそれだけコストが上がる。会社の成績が上がらなければ、世の模範にならない。週休2日になってさらに発展するよう努力願いたい」という言葉通り、成長を続けて「世界の松下」と呼ばれるまでになりました。

日本や企業までもが取り入れる

 週休2日制を他の国内企業が採用するのは55年頃からで、官公庁は平成4年に完全週休2日制を導入しました。公立学校も同年から月に1回土曜日が休日になり、14年からは毎週土日が休みになりました。

 松下幸之助は日本の発展と世界との競争を考えていて、どう勝つのかを意識しており、週休2日制は勤労意欲と能率の向上という成果を生み出し、日本人の働き方を変える“きっかけ”となったことが分かります。

2.中国の就業実態【996】とは

 日本でもブラック企業といわれる長時間の残業などの異常な勤務形態が、いまだに存在しています。しかしこのブラック企業とは、表向きは隠していて中に入ると分かるということですが、中国ではハイテク企業を中心に【朝9時〜夜9時、週6日勤務】の「996」と呼ばれる就業実態が存在しています。 

 何が問題なのかというと、この就業実態が常態化しており社会問題となっています。特に中国で職に就く若者は、この996をまともに受けている世代なのです。

賃金の低さと労働法違反

 GIGAZINEの取材によるとリーさんという電子商取引会社の平社員として働いている彼は、その会社で扱っている商品説明を行う仕事を担当していて、オーストラリアやアメリカ、ヨーロッパなどの海外の顧客の対応を仕事としています。

 彼の場合朝9時から夜8時までの週6勤務の月給は3500元、日本円でいうと約6万円ほどです。この金額は上海の郊外で、1LDKを借りるための必要な家賃の半分にもいかない金額に相当します。

 リーさんはランキングで下位に位置する大学の出身で、科学技術ではなく英語を専攻していて、就活で圧倒的な不利な立場で「会社を選べる状況ではありませんでした」と話しています。

 ちなみに996は立派な労働法違反です。

労働者の毎日の労働時間は8時間を超えてはならず、残業は一般に1日1時間を超えてはいけない。特殊な事情で残業をする場合でも、労働者の健康を十分保証したうえで、1日3時間を超えてはならない。ただし毎月の残業時間は36時間を超えてはならない。

 また残業に関しては50%増しの賃金を支払うことが定められていますが、成果に応じた報酬という名目で割増賃金が、支払われない例が多いです。こういうことは以前からあったのですが、大して話題になりませんでした。

 今年2019年3月にプログラマーの有志が「996.ICU」という名称のプロジェクトを発足しました。ICUとは集中治療室のことで「996の体制で勤務を続けた結果、病気になって集中治療室に運び込まれる」という意味をもたせています。996の現場で働いているプログラマーたちから寄せられる情報をもとに、ブラックリストを実名で公表するという「反996」の活動を開始しました。

 ブラックリスト公表の対になるホワイトリストの公表もされています。「955」という基準の下ホワイトリストにはGoogleやIBM、インテル、マイクロソフト、SAPといった外国企業が目立つ結果となりました。

3.日本マイクロソフト週休3日制を導入「生産性向上」

 BBCによると日本マイクロソフトが試験的に導入した、週休3日制の結果を発表したところ生産性が40%も上がったというものでした。毎週金曜日を休業日にしてこの日は「特別有給休暇」と定められて、正社員には給料が支払われました。

 また会議は最大30分までとして、対面ではなくオンライン上のやり取りを奨励しました。日本は世界で最も労働時間が長い国ですが、このような取り組みはとても珍しいです。実施したその後、社員にアンケートを取ると92%が支持を表明しました。

 1ヶ月間の取り組みでしたが電力消費量が同年同月比23.1%、印刷枚数が58.7%もそれぞれ減少しました。エネルギーや環境問題にも貢献しつつ、社員の休息も確保されるという、とても良い方法なのではないでしょうか?

まとめ・現代に身体や心の病気が増えたことへの対策「賢く休む」

 昭和40年(1965年)に松下幸之助が週休2日を取り入れ、全国的になったのが55年(1980年)です。国が導入したのが平成4年(1992年)からなので最低でも27年は週休2日制が変わってないということです。

 おそらく時代を見越して松下幸之助は取り入れたと思うのですが、現代を通して考えると果たして時代に、マッチしているのでしょうか? これだけ利便性やオンライン上でのやり取りが可能になったのにと私は思ってしまいます。

 そこに逆行している中国の大手ネット通販サイトの「アリババ」のマーユン、ジャック・マー会長は週6日働くべきだと主張しています。さらに996システムは「恵み」だと発言しているのに対し、国民は猛反発しました。

 中国の現状を考えると、日本は恵まれているのかもしれませんが、それでもブラック企業は存在し、そこからの派生で病を抱えてしまうというのは、特に増えています。それだけ休むというのは重要だと考えるのが、妥当ではないでしょうか。今すぐには無謀、現実的ではありませんが、どう自分が働き、どう休むかという「管理や選択」ができる社会が来たらいいなと思います。

参考元・産経WEST GIGAZINE BBC NEC 

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