日本の五輪談合事件から明らかとなった、切り離せないスポーツウォッシュの真実。 

五輪談合事件

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2022年11月、東京オリンピックの汚職事件から、談合事件まで発展。その経緯

こんにちは、翼祈(たすき)です。

【スポーツウォッシュ】とは、「スポーツ」と、不都合なことを洗い流す「ホワイトウォッシング」を併せた言葉で、政府の思惑通りに国民はスポーツイベントにハマり、国や会社、団体、個人などが、スポーツを利用することで自身のイメージを高めたり、不祥事を覆い隠そうとしたりすることを意味します。

【スポーツウォッシュ】が頻繁に使われる様になったのは比較的最近ではありますが、スポーツウォッシング自体は昔から存在しました。

2022年のW杯が開催されたカタールでは、会場建設工事などに関わった移民労働者たちが亡くなり、給与未払いも報告されています。W杯開催がカタールで決定した2010年から2020年の間に、W杯関連施設の工事関連で移民労働者の中で、少なくとも6500人が亡くなりました。

それ以外にも、同性カップルの性行為が犯罪とされているところや言論の自由の弾圧も、問題視されて来ました。

今回は日本での【スポーツウォッシュ】である、五輪談合事件について、時系列順で記して行きます。

2022年11月

東京五輪・パラリンピックの組織委員会が発注した各競技のテスト大会に関連する業務の競争入札に対し、複数の広告会社などが受注調整を行い、東京大会の組織委員会側も関わる形で業者間で、事前に落札業者を決めるなどの談合が行われていた疑いが生じたことで、東京地検特捜部と公正取引委員会では、独占禁止法違反の疑いで、広告大手「電通」の本社と東京 豊島区のイベント制作会社「セレスポ」などを家宅捜索しました。

東京地検特捜部などは「電通」と東京大会組織委員会が、受注調整で主軸の役目を果たしていたとし、真相解明を加速させています。

テスト大会は、各競技会場で選手の動線や警備体制を確認を行うために実施されるもので、東京大会組織委員会は2017年頃からテスト大会の計画案をお願いする業者を選ぶべく、2018年に26件の入札を「総合評価方式」で行い、一連の競争入札金額では電通など9社と1つの共同企業体から総額5億円余りで落札されました。

テスト大会の入札の前に組織委員会側が各競技で実績を持つ広告会社など参加に合意した企業を記載した一覧表を作って共有し、業者間の五輪談合に関わった疑いも持たれ、東京地検特捜部は「電通」などに発注を委託した東京大会組織委員会の元幹部の自宅も家宅捜索を行いました。

それから受注を受けた業者は、組織委員会と随意契約で締結し、テスト大会の実施運営や東京大会の運営業務などを、公表されている分だけでも約200億で請け負っていました。

参考記事

東京五輪テスト大会入札 電通など複数広告会社など受注調整か NHK NEWS WEB(2022年)

電通など捜索 東京五輪テスト大会入札 組織委関与し談合疑い NHK NEWS WEB(2022年)

2022年12月

東京五輪・パラリンピックのテスト大会事業を巡る入札談合事件で、関係者によれば、東京大会組織委員会側は入札が始まる直前の2018年春、電通側に対し、26件の入札のうちおよそ8割に関しては、メールで「これで概ね合意した」と伝達しました。メールには参加に合意した企業の、各競技会場の応札予定企業が記載された一覧表が添付されていたといいます。

「電通」など複数の会社と共有していた疑いがあることが新たに明らかとなりました。一覧表では、合意した8割の競争入札が青色で塗られ、東京大会組織委員会は一部の会社に対し具体的な競技名を提示し、競争入札への参加を委託していました。

東京地検特捜部はメールを押収し、この競争入札に至るまでの過程では、陸上競技団体からテスト大会を担当する組織委の「大会運営局」に出向していた元次長や、「電通」から出向していた組織委元幹部、「電通」幹部ら数人が関与していたとし、談合の「合意」に関与していた疑いがあるとみて調査しています。

東京都も2022年11月下旬から組織委員会の「大会運営局」に出向していた都の職員に聞き取りを行い、契約手続きなどに問題があるかか否かを調査し、2022年12月26日、これまでの調査結果について公表しました。

その上で、組織委員会の清算法人の関係資料を調査すると、東京都は「入札・契約手続きは概ね規則等に則り、実施されたことを確認」できたとしています。

競争入札のほとんどは一覧表に沿う形式で落札されたとし、東京地検特捜部などは事前の競争入札の受注調整が記載された資料とし、真相解明を加速させています。

参考記事

五輪談合、組織委側から電通へ「これで合意した」のメール…応札予定の企業一覧も添付 読売新聞(2022年)

五輪談合 “8割の入札で参加合意企業の一覧表”作成し共有か NHK NEWS WEB(2022年)

2023年1月

談合事件で、参加した企業の全部が競争入札を行わない随意契約を締結した形式で、同競技のテスト大会や本大会の運営の業務なども受注し、東京地検特捜部などは調査で、東京大会組織委員会の元次長や「電通」の幹部らによって総額で約400億円に上っていました。

東京大会組織委員会側が競争入札の前に作った一覧表に「落札した企業が原則として本大会までの運営の業務を受注する」との記載もありました。

捜査関係者によれば、東京大会組織委員会の元次長や「電通」の幹部らは東京地検特捜部の任意の調査で、不正な受注調整があったことをいずれも認めています。東京地検特捜部などは、より大きな金額で東京五輪・パラリンピックの運営の業務の受注がされ、談合が行われた疑いがあると視野に入れて調査をしています。

参考:五輪談合 テスト大会落札企業 本大会も総額約400億円で受注か NHK NEWS WEB(2023年)

2023年2月

談合事件で、東京大会組織委員会が、一部のマイナーな競技で競争入札に参加する企業が現れない事態を懸念し、希望している別の競技と抱き合わせる形式で予め受注企業を決定していた疑いがあることが明らかとなりました。

東京五輪・パラリンピックの運営業務を巡る談合事件では組織委員会の元次長以外にも、「電通」の元幹部といずれもイベント制作会社のセレスポの専務とフジクリエイティブコーポレーションの専務の合わせて4人が逮捕されました。

談合事件を受けて、東京都は、電通とセレスポ、フジクリエイティブコーポレーションの3社へ、東京都が発注する事業に参加できなくする指名停止の措置を行いました。指名停止は2023年2月9日付けで、期間は定まっていません。東京都財務局は「規則に従って対応した」と説明しています。

また、政府も2023年2月15日から電通とセレスポ、フジクリエイティブコーポレーションの3社へ、指名停止の措置を行いました。

理由は、政府は3社が独占禁止法の「不当な取引制限の禁止」などに違反したとし、契約の相手方として不適当だということです。

3社は内閣府や経済産業省、文部科学省などが発注する事業に参加できず、この中で文部科学省が発注する事業に対しては9ヵ月間指名停止となります。

さらに「電通」は、国際競技連盟(IF)との交渉を委託していたことが2023年2月17日、明らかとなりました。東京五輪のテスト大会は2018年~2021年に計56回実施されました。関係者によれば、東京大会組織委員会は2017年時点で、経費を節減すべく競技ごとにIFが主催する国際大会を積極的に招致し、東京五輪のテスト大会と兼任することを検討していました。

東京大会組織委員会は、IFが主催となる国際大会と東京五輪のテスト大会を兼任することが無理だと経費が膨張すると恐れていたといいます。東京大会での運営を「電通」に依存したことで、談合事件にまで発展したきっかけとなった可能性もあります。

ですが、IFが東京大会組織委員会の運営能力を疑問視していたことで、東京大会組織委員会上層部は同2017年、本来は東京大会組織委員会が担当するIFとの交渉を「電通」に「お願いできないか」と依頼。IFの協力を獲得できず東京大会組織委員会が自前で運営するテスト大会が増加すれば経費が膨大に膨らみ、上層部は「これ以上経費が膨張しない様にして貰いたい」とも委託しました。

「電通」がメーンとなりIFと調整したことで、柔道や卓球、バレーボールなどの競技の国際大会が、五輪のテスト大会としても実際に行われました。

そして、東京大会組織委員会側は経費圧縮の追加措置で、東京大会組織委員会の「マーケティング専任代理店」だった「電通」へ、報酬削減を打診を催促します。「電通」側は拒みましたが、東京大会組織委員会側に報酬削減の代替案として、ノウハウを持つ企業にテスト大会を割り振る、東京大会組織委員会内に「電通」社員の事務局を設け、東京大会の運営業務を担当させる、といった案を求めました。

東京大会組織委員会側は、「電通」社員の事務局の設置は拒否しましたが、「(それ以外の)代替案は行って貰いたい」などと委託しました。

参考記事

五輪談合事件 マイナー競技 希望競技と抱き合わせで受注調整か NHK NEWS WEB(2023年)

五輪談合事件 元幹部が逮捕された電通など3社指名停止 東京都 NHK NEWS WEB(2023年)

政府 電通など3社指名停止へ 東京五輪談合事件で元幹部が逮捕 NHK NEWS WEB(2023年)

五輪談合、電通に国際団体と交渉依頼 組織委側 産経新聞(2023年)

国民からは失意の声

東京オリンピックのメーン会場だった、東京都新宿区にある国立競技場では、会場近くの「日本オリンピックミュージアム」入り口前にある五輪モニュメント前では、観光客らが写真を撮っていました。

五輪談合事件について尋ねると、「大会組織委員会の組織自体が腐っていると思います。オリンピックで健闘したスポーツ選手は何も悪くありません」と、鹿児島県から自治会の旅行でこの場所に来た60代の男性はこう言いました。「スポーツを利用しながら金儲けをしている。談合という話がオリンピックが終わった後から表面化することもとても残念です」とも話しました。

50代と70代の女性2人は「やっぱり多額のお金が裏で動いていましたね。札幌でオリンピックを誘致していますが、こんなに事件が明らかとなるなら、もう日本でオリンピックはやって欲しくありません」と国立競技場を見渡し、溜め息が漏れました。

私はテレビでオリンピックを観るのは好きですが、ただコロナ禍だったとはいえ、大会予算がどんどん膨らんでいくことに疑問を感じていました。私は朝ドラや大河ドラマで観ていた、初めての東京でのオリンピックのシーンを観て、始まる前はワクワクしていましたが、開催されて1年後にこんなにお金に絡んだ問題が出て来るなんて思いもしませんでした。

オリンピックは好きでも、以前ほどワクワクしてはもう観れないかもしれません。問題に関しては、とことん膿を出し切らないといけないと感じています…

関連記事

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東京五輪談合 組織委、特命随契を頻発 競争契約の1.5倍 毎日新聞(2023年)

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。