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2024年6月1日(土)、九州唯一の介助犬ユーザーとして、Instagramで介助犬「さん」との暮らしを発信している、同じTANOSHIKAで仕事をする、デザイナーの久原さんに、AKARIの編集長の島川とライター数名が記念インタビューをさせていただきました!
この記事は、「介助犬を迎えたい、希望したい、介助犬のことについて知りたい」と思っている方には、参考になるインタビュー記事だと思います。
▽【介助犬】とは?
介助犬は肢体不自由者の手足となり、日常生活における動作の補助をします。
さらに、介助犬と暮らすことによって、一人で外出することの不安が軽減された、
家族が安心して外出できるようになった、などの2次的効果もあり、
介助犬を通して社会とのつながりがより深くなることが期待できます。
以下のメンバーでお届けします。ぜひ最後までご覧ください!!
インタビューした人 久原さん
インタビュアー 島川 salad どんよりと晴れている(どんはれ) 翼祈(たすき) M.J
目次
①介助犬の役割
②介助犬をむかえるまで
③介助犬を迎えるためには
④介助犬との生活
⑤今後の活動など
①介助犬の役割
出会った頃の「さん」
島川:今回は、九州唯一の介助犬ユーザーのある久原さんにインタビューをさせて頂こうと思っております。よろしくお願いいたします。
salad:まずは、介助犬の役割からお伺いしたいんですけど、久原さんは普段どんなことを介助してもらってますか?
久原さん:今パートナーの介助犬、名前は「さん」って言うんですけど、「さん」ちゃんに介助してもらっている作業はありません笑
いずれはできるようになると思うんですけど 、今はまだ、介助作業の練習中で、自分でできることは自分でするというのが基本で、徐々に介助動作、例えば、ものを取ってきてもらったりとかそういうのを今、将来に向けて自分でしていますね。
私は『筋ジストロフィー(※1)』っていう、徐々に筋肉が落ちていく進行性の病気で、将来できないことが増えていくので、それに備えて介助犬にできることは、手伝ってもらえたら嬉しいなと思っています。そういうところから将来の不安に対して準備ができるかなと思ってます。今のところは介助動作はできないですけど、これからできるようになると思いますよ。
翼祈(たすき):パートナーの犬種は何ですか?
久原さん:ラブラドールレトリバーとゴールデンレトリバーのミックス犬で、色はイエローです。
翼祈(たすき):ラブラドールやゴールデンレトリバーは性格的に向いていると聞いたことがあります。
久原さん:そうですね、何より人が好きっていうのがやっぱり1番大きいかなと思います。
②介助犬をむかえるまで
散歩中のモデル風「さん」
salad:なぜ、介助犬を受け入れるようになったのでしょうか?
久原さん:将来に不安を感じたことが大きいです。 ちょっと落としたものとかも拾ってもらえると助かるなって。あと、今までの生活スタイルに変化をつけたいと思って、希望して迎えることにしました。
③介助犬を迎えるためには
salad:介助犬を迎えるためにはどんなプロセスがありますか。
久原さん:まず『介助犬が欲しい』って思うことです。
介助犬と一緒に暮らして楽しいイメージが湧くか、それが出来たら、介助犬についてネットや本、市役所で聞いて、訪ねてみることですかね。
訓練事業者、介助犬の育成をしてる団体が日本全国数は少ないんですけど、いくつかはあるので、そこの事業者のホームページやSNSとかを見てちゃんと活動しているのかなど確認してみますね。
どんはれ:団体ってどれぐらいありますか?
久原さん:正確にはちょっとわからないですが、個人でやってるところから団体で法人でやってるところとかあります。
補助犬は介助犬だけじゃなくて盲導犬、介助犬、聴導犬(※2)と3種類あって、盲導犬だけ育ててるとこもあるし、全部育ててるとこもあるし、色々あるんですよね。
介助犬だけで見たら、九州には1か所活動していて、私が問い合わせてみたらコロナの影響もあって、どうも規模が縮小していて、「ちょっと待ってください」と言われました。
知っている限りで1番近くて兵庫にはありますね。私でいいなって思う候補をいくつか絞って、そこに資料請求して、電話したりします。
市役所では、介助犬のことは分からなかったです。 もしかしたら、希望する方が少ないか、もしくは今まではいなかったと思います。
島川:今のお話は介助犬に限った話ですか?補助犬全ての対応がそうなのでしょうか?
久原さん:介助犬と盲導犬のことと勘違いしてたりっていうのはありました。やっぱり認知度的にも難しい感じかなという気持ちになりました。
事業所に問い合わせても返事がこなかったりあって、やっとの思いで希望の事業者と連絡が取れるようになるまで半年ぐらいはかかりましたね。でも、ちゃんと選ぶのって大事なんですよね。介助犬と暮らすのは10年ぐらいなんですね、活動できる期間って。不安なことも多いし、 慎重にそこを選ばないといけないので。
それで連絡が取れたら介助犬協会と面談ですね。介助犬を希望する理由とか、家族構成とかをメインで聞かれました。そのあと協会の方から、現地調査するっていうことで、家に直接来ていただいて、面談の時もオンラインだったんですけど、訪問調査は家にちゃんと来て、自宅がどういう環境か、犬が適応できる環境か、生活の様子とかを見られましたね。
面談と訪問調査が終わったあとに協会の介助犬使用訓練候補者っていうのに選ばれます。そしたら、訓練が始まるんですけど、すぐに始まるってわけじゃなくて、その前に私は千葉の協会の訓練施設へ見学に行きました。介助犬を実際に見させてもらって、介助犬だけじゃなくて介助犬と暮らしてる方にも直接会いに行って話を聞きに行きました。
千葉合同訓練終了後の「さん」
また別の協会のユーザーさんでしたけど、SNSで連絡して、話を聞かせてくださいって、いいですよと快く言っていただいて、岡山へ直接会いにいきましたね。
訓練が始まるんですよね。訓練は協会が選んだパートナーとなる介助犬候補と一緒に2週間生活をします。
犬は飼ったことがなかったので、触り方とか、飼育方法、介助犬使用者としての心がまえとか一緒の部屋で24時間生活しました。もう、初日から犬がお腹壊してしまって、新しい環境だとそういうこともあるって教えてもらったり、とにかく学ぶことが多かったですね。
翼祈(たすき):2週間一緒に過ごしてパートナーになった介助犬の変化は感じましたか?
久原さん:やっぱり、最初会った日からすると、犬も慣れて、近付いてきて、なんかリラックスしたり、餌くれる人、掃除してくれる人みたいなそういうのもね、分かってくれるから。関係性を築くにはまだまだ時間はかかりますけどね。
2週間終わってすぐ家に連れて帰っていいよって言われて、一旦お別れかなって思ってたんですけど、ここで間を空けるより一緒にずっといた方がいいっていう協会の判断で、そのまま、連れて帰りました。
それから、犬と自宅での生活が始まって3か月後に介助犬の認定試験っていうのがあって、それの合格の為に特訓して、無事合格しまして正式に介助犬っていう認定がされました。
どんはれ:介助犬っていうのは、最初から介助犬として合格した犬じゃなくて、一緒に生活して信頼関係作ってから認定されるってことなんですね!
久原さん:そうです。
島川:試験はいつの間にか行なわれていたと聞いたのですが、どんな様子でしたか?
久原さん:そうなんですよ。見に来るって言われて、家での様子とか聞かれて、「じゃ、外にさっと連れてこっか」って言われた後、商業施設にトレーナーさん達と行きました。
私は意識していなかったんですけど、商業施設に行って、初めての場所で、ちゃんとしないといけないと思いながら、二人で歩きました。なので、商業施設での動作一つ一つが、試験だったんですね。
翼祈(たすき):そうやって買い物とか商業施設に行くっていうのもその突発的な行動じゃなくて今後も起こることなので、そういう意味での試験だったのかも知れないですね。
久原さん:そうだと思います。協会から事前に試験内容は言われてなくて、事前に教えておくと、普段通りではないというか、心で準備してしまうし、変に緊張もするだろうし、ある意味自然な形を見てもらえたのかなって思いますね。
翼祈(たすき):介助犬を迎えるまでにしなくてはならなかった準備や必要だったものは何かありますか?
久原さん:やっぱり一緒に暮らしたいっていう気持ちと周りの理解ですね。私がどれだけ介助犬を迎え入れたいと思ってても、周りが駄目って思っている状態ではなかなか難しいです。そこをクリアにしないと勝手に迎えると問題にもなるし、そういう覚悟は必要ですね。私の場合は家族もOKだったし、周りの理解も得られました。
後は介助犬は餌とかその他の道具を揃えるとか、経済的な準備ですね、そこは欠かせないと思います。
どんはれ:介助犬を迎えるために費用ってどれくらいかかりましたか?かかるとしたら、どんなものにいくらぐらいかかったのでしょうか?
久原さん:介助犬の訓練するのにやっぱりお金かかるんですけど、団体はクラウドファンディングとか色んな寄付とかでどうにかやっていっていってます。育てるのに300万ぐらいかかるって言われていますね。
各自治体に補助犬育成事業の助成金っていうのがあって、それは福岡県の場合は介助犬育成団体が申請をして補助があれば、いくらか助成金が出ます。税金もちゃんと介助犬に使われてる、社会のお金からもそういう福祉の部分を出してもらってるんですよね。自身も税金からお金をもらったり、サービスを受けたりしていますので。そういうところを感謝して、常に心で感じながら、使わせてもらってますね。
協会は育成するためにお金がかかるんですけど、ユーザーは無償貸与っていう形で、介助犬自体にお金を出す必要はありません。協会訓練に行く交通費とか食費とか、受け入れ時に必要なもの、フード、トイレシート、寝床とかシーツ類、あと動物病院ですね、病気したとき、診察代、薬代、予防するための注射など実費になります。
後は月一回シャンプーしていますね。私でできたらいいんですけどなかなか難しくて。自治体によっては、そういうフード代とかを助成してくれるところがあります。なんだかんだで経済的な余裕も犬を飼える条件になってきますね。
どんはれ:介助犬を迎えるためには受け入れる側も特別な訓練が必要ですか?
久原さん:家族とか周囲の人の特別な訓練はないんですけど、犬の最低限の知識と介助犬との接し方を知ってもらうことは必要ですよね。ユーザー自身は訓練必須ですね、 犬についての知識はもちろん、信頼関係作りから指示の出し方、犬と一緒に学んでいきますね。
基本的な訓練の仕方ですけど、ここは信頼関係がないと全く言うことを聞いてくれないし、その関係作りっていうのは日々のお世話だったり、指示の繰り返しでちょっとずつ作っていくのかなって思います。
最終的には、 ものを持ってきてもらったり拾ってもらったりっていうのを介助の動作としては目標にして、今頑張っているところですね。
翼祈(たすき):どんな人が介助犬を迎えることに向いていると思いますか?
久原さん:生き物が好きで平和な人ですかね。あとはチャレンジ精神がある人かな、なんでもしてみようって思う気持ちを持ってる人の方が向いていると思います。
④介助犬との生活
自宅で久原さんの膝にアゴを乗せる「さん」
salad:介助犬との生活なんですけど、実際に介助犬を迎えてみての生活はどうですか。
久原さん:犬と暮らし始めると生活スタイルががらっと変わりました。私自身、何か変えたいと思ってたんで、私にとってもいい環境の変化でした。
犬の世話をする必要がありますからね、餌、水、排泄管理。餌は、朝と夜に2回に分けてですね。定期的に拭いたり、毎日ブラッシングしたりしますね。毛が凄いんですよね、 湧き出てきますよ笑
どんはれ:それはご家族とご一緒にケアする感じですか?
久原さん:できるお世話は全部私が工夫しながらやっています。もうやることがいっぱい増えて一人の時間はなくなりました笑
ただ、日々の充実感、幸福感を感じることができるし、一緒に生きているっていう実感がありますね。
介助犬の世話は信頼関係の上でも大事ですし。お世話はもちろん、家族でも必要な時以外は、触ったり、声がけなどはできなかったです。
なので、家族は凄いきつかったと思いますよ、可愛い犬がいるのにって笑
そういう意味でも家族の理解っていうのが一つのハードルですし、やっぱり大きいですね。
どんはれ:介助犬を迎える前とあとで不安だったことは解消されましたか。
久原さん:そうですね。犬のことを何も分からないところからスタートだったので、最初は不安だらけだったんですけど、やってみないと分からないからとりあえずやってみました笑
そこから何ができて何ができないのかっていうのが見えてきて、分からなかったことを1つずつ経験して、不安をクリアしながら進めていきました。とはいえ、不安は常にあります。犬は喋らないから、私が感じ取ってあげないといけないのが1番難しいです。タイミングとかもありますし、そういう不安に少しずつ向き合いながら、気持ちが分かるように関係を作ってますね。
どんはれ:不安だったとか戸惑った部分とかも、やっぱり気持ちがわからない、言葉が交わせないところが大きいですか?
久原さん:そうですね。介助犬って最初からものを拾ってくれたりとか、 手伝ってくれるっていうイメージがあったんですよね。でも、ペアになった犬はそうではなかった。
これは、協会の人が、意図的にこの犬を選んでくれたのかもしれないですね。
訓練って意味があるような気がしていて、そういう意味でこの犬を選んでくれたのかもしれないなって。
今はそう思っていますけど、最初、全然思いが伝わらない時とかは、やっぱり戸惑いはありましたね。指示を出しても拾ってくれないし。でも、犬は本当にお利口過ぎて、どちらかというと、 私がまだまだ使いこなすレベルになってないのかなって思います。
でも、ちょっとずつ信頼関係を作ることが大事ですし、焦らずに、ですね。
積み重ねながらできることが増えていくのを見れるっていうのは、やっぱり嬉しいですよ。できなかったことができる、それを楽しみにしながらやっていきます。
島川:話を聞くと結構大きな移動とかしてるじゃないですか、こういう出会いがあるのはその行動力の賜物かなと思います。これが動けなくなってからだと、出会うチャンスが本当になかったかもしれないなって。そういう意味でも今回、お話を聞いて我々が発信することにすごい意味があったかなっていうのは話聞いてて思いました。
翼祈(たすき): ベストタイミングですね。
久原さん:そうですね、やれるときやっておいてよかったなと思います。今リハビリに行っているんですけど、病院でも犬の受け入れが決まって、来週からリハビリに連れていきますよ。
どんはれ:病院でも事前に連絡を入れて、ここに連れてきていいですかっていう許可を取っていくものなんですか?
久原さん:なかなかね、そこが難しいですよね。 本当は事前に連絡無しでも受け入れてもらえるような社会であってほしいんですけどね。やっぱり人と犬では完全に分けて考えるので、たまに嫌な思いをする人もいることは知っているから、私の意見ばっかり押し付けるわけにはいかないし、お互いの気持ちを理解し合いたいから。やっぱり難しいですよね。
それこそ、大企業とか公共施設などは、介助犬の理解もしてくれるところが大きいんですけど、九州には介助犬ユーザーがなかなか珍しいから、どうしていいか分かっていないっていうのが会社側の正直な反応だと思いますね。
受け入れる側も介助犬に詳しくないから他のお客様に迷惑がかかる可能性があるって言いますし、こちらがいくら訓練しているから大丈夫ですってアピールしても、受け入れる側の不安の方が大きくなってしまって、受け入れ拒否とかあるみたいです。私はまだ外に頻繁には行っていないのでそこまでの経験がないんですけど。
翼祈(たすき):補助犬も一緒に入れるトイレ(※3)とかもあったりとか?
久原さん:空港とか公共施設には、あるとこはありますね。
⑤今後の活動など
どんはれ:今後の活動などについてお聞きしたいのですが、今後介助犬が普及するためにはどんな環境が必要だと思いますか。
久原さん:知らない人が多いので、広く浅くていいので、とにかく知ってもらうことです。実際にいるところを見てもらうことが大事かなと思います。そして、介助犬と一緒に暮らしてみたいと思う人が増えることです。理解が深まっても求めている人がいなかったら増えないですね。
介助犬を飼うかどうか迷っている人も、私にもできるんだって思ってもらいたいです。そういう人達にもちゃんとした情報が届くようにしたいです。
訓練士さんが少なかったりとか訓練できる環境がなかったり介助犬を育てるお金が少ないとやっぱ欲しい人もなかなか増えないのかなって思います。
翼祈(たすき):介助犬が来てくれたことで、芽生えた感情や夢は、ありますか?
久原さん:「愛おしいな」っていう気持ちが1番ですかね。やっぱり見ているだけでも癒されますね。 自分は子どもはいないけど、そういう新しい命というか、子どもが産まれるっていうか、なんかそういうのに似たような感じですかね。
守ってあげないといけない存在だと思うので責任を感じます。それほどまでにかわいいんだっていうですかね。夢は、恥ずかしいので秘密にしときますかね笑
ただ、色んなとこにいきたいなっていうのはありますね。
翼祈(たすき):久原さんにとって介助犬の存在を一言で表すならどんな言葉が合いますか?
久原さん:「心と体の相棒」ですかね。
翼祈(たすき):現在九州で唯一の介助犬パートナーとして介助犬に関する講演をこれからしていきたいということですが、今後どんな発信や挑戦をしていきたいですか?
久原さん:まだまだ講演会ができるレベルではないと思うんですけど、できるようにはなりたいです。まずは介助犬の存在が少しでも社会に浸透していけるように、自分が犬を連れて街に出かけたり、久留米のつつじマーチに参加したのが介助犬デビューだったんですけど、そうしたイベントに行ったりとかしていきたいですね。
介助犬「さん」デビュー戦(つつじマーチ)
「犬を連れたおにいちゃんがおる」って、それだけでも認知してもらって、積極的に社会と繋がれる行動をしていきたいです。
翼祈(たすき):最後の質問です。 まだ介助犬の存在を知らない人、そして介助犬を迎えたいと思っている人にメッセージをお願いいたします。
久原さん:私も最初は介助犬のことを全く知りませんでした。 実際見たこともありませんでした。テレビで見て興味を持って調べて、そして実際に見に行ってもっと知ることができました。
もし興味を持って貰えたのなら、正直動くしかないんです。
最初は「ふーん」ぐらいでいいんですよね。 最初から本腰入れた話をされても困りますから。誰もついてこないですからね笑
知らない人たちには、理解を求めるよりも先に、今は興味を持ってもらいたいですね。
介助犬を検討している、迎えたいって思う人は私みたいに調べたり見に行ったり動いてもらうしかないですね。小さなことからゆっくり行動してみたらいいんじゃないかなって。私も誰かの最初の一歩のきっかけになれるように頑張ります。
介助犬がおるからもう一歩充実した生活を目指して積極的に社会に参加したいって思うようになったので、同じように介助犬と暮らしてみたいって思っている誰かの為の力になりたいです。
島川:今日はありがとうございました。
一同:お疲れ様でした、ありがとうございました。
久原さんと「さん」ちゃんのインスタ
久原さんが製作した介助犬のLINEスタンプ
インタビューを終えて
今回のインタビューを行って改めて、久原さんの変化を見たような気がしました。
はじめて、介助犬のお話をしたのは、一年以上前で私がAKARIに補助犬の記事を載せたことをきっかけに、介助犬を迎えるにはどうすればいいか?という質問がきたことでした。
最初、お話をしていた頃は「犬を飼ったこともないし、動物とふれあったこともない。」とおっしゃっていて、本当に介助犬を迎えることができるのかが不安という久原さんの気持ちが見て分かりました。
しかし、次にお話を聞いた時には、千葉の訓練所に行く日程も決めてらして、訓練所から帰ってきたと思えば、「さん」ちゃんも連れて帰ってきたと言うではありませんか。
もう、それにはビックリしました。
あれよあれよと、「さん」ちゃんとの生活が始まって、変化していく久原さんが見て分かりました。
一生の相棒を見つけたのだな。と思ったほどです。
相棒を携えた久原さんがたくましく見えたほどです。
これから、「さん」ちゃんと久原さんには色々な経験をしてほしいと思います。
犬を飼うことも初めての経験だった久原さん。介助犬を飼ってみて愛しいという感情がわくかどうかもわからなかったそうです。今では介助犬のサンちゃん中心の生活を送っています。
障がいを持つと行動範囲が狭くなりがちになります。これからいろんなところへ「さん」ちゃんとお出かけしたいと言った久原さんのお顔はとっても楽しそうでした。
「さん」ちゃんと叶えたい夢は秘密とおっしゃっていたので、どんな夢を叶えられるのか楽しみです。前向きにチャレンジする姿に励まされる方も多いと思います。
多くの場所で介助犬が受け入れられるようになるといいですね。
私は補助犬から始まり、盲導犬、保護犬、ファシリティドッグ、動物介在療法、聴導犬、セラピー犬など、色んな犬にまつわる話題をAKARIで書いて来ました。
お話を聞いていて、「どうして盲導犬への寄付や募金を呼びかけているのだろう?」とか、「ずっと聴導犬の育成をしていたところが何故活動を辞めたのだろう?」とか記事を書いていた時に疑問でしたが、久原さんのお話を聞いていて、いかに団体などの運営が資金面などで大変なのかを理解しました。
「『さん』ちゃんはラブラドールレトリバーとゴールデンレトリバーのミックス」と言われて、「病院で子ども達を支える、ファシリティドッグと同じ。やはり性格が穏やかな子が、介助犬にも向いているのかな」と思いました。
インタビュー後久原さんとお話させて頂きましたが、「さん」ちゃんは「甘えん坊で、意固地な性格」だと話している時の、優しい眼差しに、「『さん』ちゃんが凄く可愛くて仕方ないんだな」と思いました。
久原さんが制作された介助犬のイラストのLINEスタンプに関しては、「さん」ちゃんを迎える1年前に、「自分もいずれ介助犬を迎えたいな」と思っていた時に制作したと聞いて、「さん」ちゃんを迎えることは、運命だったんだと思いました。
私事ではありますが、先日の通院で、先生に「九州初の介助犬を迎えた、同じ職場で働く方にインタビューしました」と話すと、「介助犬…?」という感じに返答されて、それだけまだまだ介助犬の存在が広く認知されていないことに、心を痛めました。
これから行う予定と言われていた久原さんの講演会や、私たちライターが取材し、AKARIに掲載された今回の記事で、もっと世の中に介助犬のことを知って頂ける機会になるのではないか?と考えています。
今回のこのインタビューが、存在を知らない、介助犬を希望したい人の誰かの背中をそっと押してくれる、そんな支えとなります様に。
久原さん、貴重なお話を聞かせて下さり、本当にありがとうございました。
久原さんへの「介助犬」についてのインタビューで、さまざまなことを学ぶことができました。
「介助犬が県内でまだまだ知られていないこと」で、モデルケース(参考になるもの)が少ないということに驚きました。
手続きやユーザーさんからの話を聞くなどで、「県外への移動」をしないといけないということで大変だと感じました。
介助犬導入のプロセスが意外と多いこと、周囲の理解が必要なことなど「誰もが気軽にできるわけではない」ということによって、ユーザーが増えていかない原因になりそうだと感じました。
ただ、久原さんがおっしゃった通り「チャレンジする精神(=やってみないとわからない精神)」というのは、介助犬のみならず「新しいこと」「知られていないこと」においては大事だと感じました。
介助犬が必要な方はいると思うので、まずは「介助犬について知っている人」が増えていくことが大事だと思います。
久原さん、長時間のインタビューをお引き受けいただき、ありがとうございました。
昨年最初に久原さんが介助犬ユーザーを目指すという話を聞いた時は、正直驚いたのですがそれより驚いたのは、久原さんの行動力とその変化です。
粘り強く介助犬の協会を探して、千葉の方に2週間も家族と離れて単身訓練に赴かれたり、
そのまま「さん」ちゃんを連れて帰っての初めてだらけの共同生活を開始して、かなり生活は激変したと思いますが、
久原さんを見ていると以前より目に力が宿って、目標もできて言葉も前向きになっておられました。
もちろん飼うまでの過程やお世話は大変に違いありませんが、
「さん」ちゃんの存在が、久原さんをそれだけ支え、そして変えてくれたのだと思うと、とても尊いことだと感じました。
介助犬ユーザーになることに興味がある方、初めて知った方にとっても、
今回の内容は学びの多いものになったのではないかと思います。
貴重なお話を聞かせていただいて、ありがとうございました!
最後に
読者の皆さん、ここまでインタビュー記事を読んでいただきありがとうございました!
注釈
(※1)筋ジストロフィーとは?
筋ジストロフィーとは骨格筋の再生・壊死を主な病変とする遺伝性筋疾患の総称で、2015年7月から国の指定難病となっています。筋ジストロフィーの中には多くの疾患が含まれていますが、どの疾患も筋肉の機能に不可欠なたんぱく質の設計図となる遺伝子変異が生じたことで、発症する病気です。
遺伝子変異が起こると、たんぱく質の機能に障害が起きることで、細胞の正常な機能を維持が不可能となって、筋肉の変性し壊死が起こります。その結果筋萎縮や線維・脂肪化が起こり、筋力が低下し運動機能など各機能障害を発症します。
(※2)聴導犬とは?
聴導犬とは耳が聞こえない人や耳が聞こえにくい人といった、聴覚障害のある方たちに必要な情報を伝えてくれる身体障害者補助犬のことを指します。
例えば、赤ちゃんの泣き声、インターフォン、自動車の警笛、非常ベルや火災報知器の警報音、それ以外では飼い主にとって必要な音などをお知らせします。
(※3)ほじょ犬トイレとは?
画像・引用:「ほじょ犬マーク」とは 厚生労働省
成田国際空港の国際線出国手続き後のエリアでは、補助犬を伴っての旅行をされるお客様に、便利で快適にお過ごし頂ける様に、「ほじょ犬トイレ」を設置しています。ご利用をご希望する時には、最寄のご案内カウンターへお問い合わせして頂き、スタッフが案内し、開錠します。
「ほじょ犬トイレ」では、ペットシーツ、汚物流し、リードフック、手洗器、トイレットペーパー、ペーパータオルなどが設置されています。
では、補助犬専用の「ほじょ犬トイレ」は現在、日本国内にどれ位設置しているのでしょうか?「全日本盲導犬使用者の会」の公式ホームページには、東京都新宿区にある京王プラザホテル、成田国際空港、東京・豊島区役所など15ヵ所が挙げられています。新国立競技場など以外にも5ヵ所以上はあるので、実際には20〜30ヵ所あるのではないでしょうか?
その上、多機能トイレは補助犬も利用可能で、数年前からそれを周知するために、トイレの入り口に「ほじょ犬マーク」を貼っている施設が多い傾向となっています。
参考サイト
知られざる「補助犬用トイレ」の現状──パートナーと一心同体の補助犬も外出先で排泄の場を必要としている Newsweek(2023年)
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