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こんにちは、翼祈(たすき)です。
ファシリティドッグとは、動物介在療法を目標に、専門的な医師からの治療行為として犬が携わり、治療を施される患者に適した補助療法を実施する方法です。
ファシリティドッグのパートナーであるハンドラーも訓練を積んだ看護師など医療従事者で、患者の治療効果の評価まで担います。
また盲導犬や介助犬などに比較しても、ファシリティドッグの適性を持つ犬は非常に稀で、使役犬を育て上げる専門のブリーダーから選出されることが一般的です。
人が大好き、人と遊ぶのが大好き、攻撃性が限りなく低いなどで、ラブラドール・レトリバーやゴールデンレトリバーがファシリティドッグには多い傾向です。
今回はこのファシリティドッグの魅力に迫ります。
ファシリティドッグとセラピードッグの違い
ファシリティドッグより先に、日本で認知された心のケアを仕事とする犬のイメージといえば、セラピードッグではないでしょうか。しかし、ファシリティドッグとセラピードッグには役割に違いがあります。
セラピードッグは、動物介在活動(AAA: Animal assisted activity)を目的とし、犬と触れ合うことで癒やしや心の安定などをはかります。従事している犬も、多くは基本的なしつけを受けた家庭犬。ハンドラーも飼い主であることが多く、一般的に月に数回施設などを訪問というような活動となります。
一番の違いは特定の施設に常勤し、状況に合わせて治療に参加できるということでしょう。
引用:「キミがいたからリハビリがんばれたよ」…入院中の子どもたちに寄り添う「ファシリティドッグ」が秘める無限の可能性 神戸新聞NEXT(2022年)
初代ファシリティドッグ、「ベイリー」が遺した功績
入院中の子ども達に元気を与える「ファシリティドッグ」の日本国内第1号として神奈川、静岡両県の病院で活動に励んだゴールデンレトリバーの「ベイリー」。2020年10月に12年の生涯を閉じた今、今までの患者や一緒に歩んできたハンドラーは「ベイリー」への感謝と決意を新たに胸に抱きました。
「ベイリーがそばにいてくれたから」。「ベイリー」に寄せられた感謝のメッセージや一緒に映った思い出の写真をミックスした動画が2020年12月13日にYouTubeにて公開されました。
2007年生まれの雄の「ベイリー」。2010~2018年、神奈川県横浜市にある神奈川県立こども医療センターや静岡県静岡市葵区にある静岡県立こども病院で、リハビリに励む子ども達や採血に臨む子ども達に寄り添い、安心を与えて来ました。ICUにも出入りし、励ました子ども達は2万2500人超に上ります。
東京都武蔵野市に住む女性も「ベイリー」に励まされたその1人。中学卒業間近で白血病を発症し、静岡県立こども病院に入院を余儀なくされました。同級生と連絡を取る気が起こらず、部屋のカーテンを閉めたままで電気も消し、暗闇で過ごしました。そんな何となく過ごして来た毎日を、「ベイリー」が変化を与えてくれました。
「ベイリーがそばにいてくれるだけで、白血病の治療に前向きに臨めた」。誰かと話したいという機運が育まれ、治療を励まし合う仲間を見つけました。
女性は入退院を繰り返しながらも白血病の症状が寛解し、現在昔からの看護師になりたい夢を叶え、勤務しています。
「病院なんて行きたくもなかったけれど、ベイリーに出会ってから人の役に立ちたいと考える様になりました。ベイリーに助けて貰った恩を忘れず、私も人の役に立ちたいです」と話します。
画像・動画引用・参考:入院中の子を支え、人生を変えた犬「ベイリー」 日本初のファシリティドッグ 功績が動画に 東京すくすく(2020年)
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闘病の子ら励ました国内初のファシリティードッグ、「ベイリー」天国に旅立つ 読売新聞(2020年)
日本で4頭目のファシリティドッグとして活動する、アイビーの1日。
アイビーは午前9時半ごろ、元看護師でハンドラーの女性と一緒に東京都府中市にある東京都立小児総合医療センターに出勤。
元看護師でハンドラーの女性が入院患者のカルテや、感染症の危険が起こらないかなどを確認した後、10時半頃から病棟に向かいます。
病棟では、入院中の子ども達の治療に寄り添ったり、一緒にワイワイ遊んだりします。
途中、アイビーは長めの休憩を入れつつ、16時半頃に東京都府中市にある東京都立小児総合医療センターを退勤します。
それからハンドラーの女性の自宅に戻り、餌を食べたり散歩をします。
アイビーはハンドラーの家族と休日も共に過ごし、信頼関係を構築していきます。
東京都立小児総合医療センター内でのアイビーの仕事は多方面に渡ります。入院中の子ども達の遊び友達になる以外にも、点滴で子ども達の横にいたり、手術を受ける前の子どもに病室から手術室の入り口まで付き添います。アイビーがそばにいることで、子ども達は治療の痛みや恐怖を緩和できます。
参考:いきもの語り 入院中の子供を癒す「ファシリティードッグ」アイビー 産経新聞(2020年)
神奈川県横浜・中華街近くにある、犬と飼い主のための大型複合施設「WANCOTT(ワンコット)」では、重い病気で入院している子ども達のそばにいる、ファシリティドッグの写真展がコミュニティースペースで開催されました。
2022年12月11日、グッズ販売コーナーには、アイビーを紙に描いたイラストや、イラストがプリントされたトートバッグ、キーホルダーなどが販売されました。写真展は2022年12月25日まで開催されました。
ファシリティドッグの課題
NPO法人「シャイン・オン・キッズ」などによりますと、ファシリティドッグの先進地であるアメリカでは、最大規模を誇る育成団体が2019年に66頭を送り出した反面、日本国内では静岡と関東地方の4病院4頭がファシリティドッグの活動をするのみに留まっています。
ファシリティドッグには、東京都にあるファシリティドッグを派遣する同NPO法人「シャイン・オン・キッズ」職員でもあり、パートナー役のハンドラーを担う人の人件費、ファシリティドッグとなる犬のえさ代などで年間1000万円の費用が必要となります。
寄付だけでは補い切れず、神奈川県立こども医療センターと静岡県立こども病院では、半分ずつ費用を負担しています。
「シャイン・オン・キッズ」の担当者は「ファシリティドッグを自分の病院でも取り入れたいと希望する問い合わせは増加傾向ですが、ファシリティドッグに要する高額な費用の負担を躊躇する病院がまだまだ多いのが現状です」と言いました。
アメリカでのファシリティドッグの利用実態に詳しい、帝京科学大学の介在動物学が専門の講師の女性は「日本においては犬を医療にとり入れる発想がまだ極小です。犬を医療データの結果を反映させるのが難しいジャンルでもあり、病院に勤務する人が体感したファシリティドッグの良いポイントを推奨していくことが重要です」とも述べました。
この様にファシリティドッグは入院で不安な子ども達に勇気を与えたり、痛みを和らげたり出来ますが、経済的になかなか導入出来る病院が少ないのが現状です。ファシリティドッグが担う役割はとても多いので、是非国もこの経済的な問題を解決出来る様に支援を推奨し、全国的にファリティドッグを病院に普及して頂きたいなと思いました。
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闘病中にファシリティドッグの絵を描き続けた少年。700点を超える作品の一部を展示・販売します。 PR TIMES(2022年)
働く犬、入院の子に笑顔 渋川の県立小児医療センターで 群馬県、ペットとの共生目指し 東京新聞(2023年)
ファシリティドッグ「アニー」 絵本、ぬいぐるみでも 入院の子を笑顔に 神奈川県立こども医療センターに贈呈 東京新聞(2023年)
参考サイト
noteでも書いています。よければ読んでください。
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