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はじめに
車椅子ユーザーの中嶋涼子さんのXの投稿が炎上しました。「イオンシネマ シネタス調布」にて、通常料金よりも少し値段が高い「グランドシアター」で鑑賞する際に、席まで4段の段差があり、車椅子を持ち上げて席まで運んでもらいました。
しかし、映画鑑賞後、
「この劇場はご覧の通り段差があって危なくて、お手伝いできるスタッフもそこまで時間があるわけではないので、今後はこの劇場以外で見てもらえると、お互いいい気分でいられると思うのですが、いいでしょうか。」
引用:中嶋涼子さんのXの投稿
と、言われてしまいます。それを悲しく思った中嶋さんが、ことの経緯をXに投稿し、いろいろな論争と誹謗中傷が巻き起こり、炎上しました。
実際に車いすを使用している女性に話を聞く
車椅子ユーザーが映画を観るとき、どんな「バリア」があるのでしょうか。実際に車いすを使用をしている女性にお話を伺いました。
私がお話をきいたAさんは中学生頃、一度だけ映画館で映画を観たそうです。そのときは介助者に抱えてもらって一般席で鑑賞したそうです。そこで、映画館で映画を観るには誰かの手助けが必要だなと感じたそうです。
Aさんは大きい音が苦手なため、家でDVDなどで映画を鑑賞する方がリラックスできるので映画館で映画を観ることに特にこだわりはないようでした。
どんな映画館なら映画を観にいきたくなりますか?と質問をしたら、通路から席まで段差がなく、介助を必要とせずに自分一人で観に行けるような映画館なら行きたいと答えてくれました。
席も前の方ではなく、後ろの方で観たいとのことです。
これは建物の構造上の問題ですぐに対応をするのは難しいとは思いますが、車椅子の席を増やし、選択肢が選べるようになるといいなと思いました。
Aさんがもし映画館で映画を観るなら事前に電話をかけるのは必須だとおっしゃっていました。
映画館側のスタッフを指名できるわけではないので専門的な知識と技術がないスタッフの方に介助してもらうのは不安だし、介助される過程で自分はもとより、介助する相手側にけがをさせてしまう可能性があるので介助は頼めないとおっしゃっていました。
映画館のスタッフには売店で買った飲み物や食べ物を席まで運んでもらうなどのサービスは頼めるのではないかと答えてくれました。
映画館側の主張は言われても仕方がないと納得できるものであるし、車椅子を使用する側もある程度の配慮が必要だったのではと回答してくれました。
これは、あくまでAさん個人の意見なので、車椅子ユーザーの方がみんなみんな同じ意見ではないかもしれません。私個人としてはもっと車椅子ユーザーの方の意見を聞いてみたいと思いました。どんなニーズがあるのを知ることはバリアを取り除く一歩になると思うからです。
イオンシネマでは公式じゃないサービスを行っていた
イオンシネマでは表向きじゃありませんが、空いている時間帯や手が空いているスタッフがいる場合、おんぶなどをして席移乗を介助するサービスを善意で行っていたようです。
そのようなサービスを受けた車椅子ユーザーは多数存在するようです。
中嶋さんも上記で述べた通り、車椅子を持ち上げるサポートを以前に3回受けたとXに書いています。
このようなサポートがスタッフ側の負担になり、障がい者側のわがままと言われ、映画を観るなら車椅子席で鑑賞したらよいという意見もあります。中嶋さんも当初観たい映画が、「グランドシアター」でしか公開してなくて観るのを諦めていたのですが、「グランドシアター」で観ることを手伝ってほしいとお願いしたら合意のもとスタッフに手伝ってもらうことができたと思っていました。
それが突然次回からは拒否され、過去に手伝ってもらったことも「そんな経験はない」とないものにされたことが悲しくて投稿にいたったわけです。
(劇場とは、「グランドシアター」のことで、「イオンシネマ シネタス調布」全体ではないとのことをのちにXで投稿されています。映画館自体にくることを拒否されたわけではありません。)
イオンシネマ側も「お互いいい気分でいられる」という発言について一方的で問題があったと謝罪しています。
このXの投稿により、公式ではないサービスが問題になったので、今まで善意で車椅子ユーザーの方が受けられていたサービスが受けられないことになり、もしくは事前に連絡をくれたお客様のみか、有料になるかもしれません。それにより、車椅子ユーザーの方には不利益になる可能性があるとする意見もあります。
のちのイオンシネマ側との話し合いにより、今後車椅子ユーザーの方がどういうニーズがあるのかハード面、ソフト面どちらも再検討していくということです。
おわりに
車椅子ユーザーが一人で映画館で映画を観るのは今のところ難しいようです。事前の連絡も必要になってきます。介助するヘルパーも自分で用意しておく必要があります。
しかし、映画館で映画を観る体験は車椅子ユーザーの方もしてみたいと考えます。それはわがままなことなのでしょうか?
その後、中嶋さん、イオンシネマ側どちらが悪いことにならず、話し合いがもたれ、解決案を一緒に考えていく姿勢はよき方向に向かっていると思いました。
車椅子ユーザーの方が安心、安全に映画を楽しむことになにが必要なのか私たちは考えることが大事なのではないでしょうか。
車椅子ユーザーの方は全国に200万人(全人口の1.57%)います。200人に3人の割合で車椅子ユーザーの方がいます。社会全体からみればマイノリティですが、決して少ない人数ではありません。その200万人が心置きなく外出し、映画館で映画を観る消費者になれば、経済が回ります。
高齢者になると車椅子になる人が多くなり、今からバリアフリー化しておけば、将来みなさんが安心して余暇を暮らせるための投資となります。社会全体の利益にもつながると思いますので「バリア」を取り除く建設的な対話を企業側、障がい者側を巻き込んでするべきだと思います。
参考サイト
車椅子でも映画を快適に見る方法
「やり方次第では単なる迷惑客」、イオンシネマで車いす女性が介助を断られた事件で考える、国力減退時代の弱者保護
車いすユーザーの声は「わがまま」なのか? 当事者に車いす席の知られざる実態を聞く
noteでも書いています。よかったら、読んでみてください。
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参考サイトに次のリンクも提示されたら良いかと思います。ponichi.co.jp/entertainment/news/2024/03/29/kiji/20240329s00041000303000c.html?fbclid=IwAR1FfciAXoKL1Spb6U5f50sK08pNy9YSMV-OLSjKw-Crh_h6Rm79oWVCP-A