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こんにちは、翼祈(たすき)です。
年を取ると耳が遠くなるー。WHOによりますと、60歳以上の4人に1人は難聴の状態にあると言われています。
しかし、聴こえづらさを抱えつつも、日本国内では約6割の人が難聴では病院を受診しないことが、最新の実態調査で2023年1月下旬に、明らかとなりました。
なぜそのまま放置してしまうのでしょうか?今回は当事者の話も交えながら、この問題を見つめ直します。
最近、耳が聴こえづらい。そのまま放置すると認知症に?
「一緒に住む家族から『話がなかなか通じない』と指摘されて、初めて自分が聴こえづらくなっていると自覚しました。ですが、私自身では正直、あまり聴こえづらいという悩みは持ってませんでした。補聴器を付けると、仕事先で高齢者だと思われてしまう方が非常に辛いと感じていました」。
耳の聴こえづらさを自覚しながら、最近まで専門の病院を受診しなかった、80代の男性です。
神奈川県内で会社に社長として携わる男性は、6年ほど前から家や仕事先で聴き間違いが増えたと言われる様になりました。家族に諭され、補聴器販売店で購入の検討も考えましたが、聴力の悪化したことでの不自由さを余りなく、購入を直前で補聴器を買わなかったといいます。
耳の聴こえづらさを自覚していても専門の病院を受診しなかった男性はその後、家族が観る時にテレビのボリュームを2倍の目盛りのところまで上げないと聴き取れなくなりました。
家族がボリュームの大きさに耐えかねて、男性の持病を診察する医師に相談したところ、専門外来の受診をする様に言われました。
男性が受診したのは、神奈川県伊勢原市にある東海大学医学部付属病院が週1回開く、耳の聴こえづらさや補聴器の相談に関する専門外来でした。2022年10月から通院し、専門の医師に聴こえづらいことを相談し聴力検査を受けた結果、左耳では高い音域の聴力が低下してました。
補聴器は数ヵ月間使い続ければ、増幅された音に脳が慣れ、日常会話での声も円滑に聴き取れますよと言われ、目立たない大きさの補聴器を選び、着け出しました。
昔は補聴器を着けることに抵抗を感じていましたが、現在は月に1度、医師の診察を受けつつ、高音から低音まで聴き取りに違和感が生じない様に、補聴器を調整しています。
現在では補聴器なしの暮らしは送れないと感じるまでに、補聴器に満足しています。男性は「病院で好きな補聴器を選択できて、ここまで細かく音量を調整してくれるなんて考えもしませんでした。補聴器を着けて、周りの人の話を確実に聴き取れていなかったことにも初めて気付かされました。テレビを観ていても今までより面白く感じることが多いですし、電話の着信も積極的に取れる様になりました。もっと早く専門の病院を受診すべきでした」と喜びました。
日本で補聴器に普及しない理由
「日本補聴器工業会」によりますと、2022年8月から9月の期間に、1歳から95歳までの約1万4000人へインターネット上で実態調査を行いました。
難聴や難聴だと感じると答えた人の割合は10点につき0%で、
▽45歳から54歳までの人では5.5%、
▽55歳から64歳までの人では8.9%、
▽65歳から74歳までの人では14.9%、
▽75歳以上の人では34.4%
でした。この中で、聴こえづらさを感じ、病院を受診した人の割合は38%に留まりました。
約60%の人が聴こえづらさを感じても病院を受診しないという回答でした。病院を難聴で受診している人の割合は、同様の難聴に関する実態調査が実施されたイギリスやフランスなど欧州と比較しても、30から40ポイント低い結果となりました。
また、難聴や難聴だと感じる人の中で、補聴器を実際に使用している人の割合は15.2%。欧州の半分以下の数字でした。
その上で、重度の難聴の人たちになぜ補聴器を使用しないのか?と質問すると、
▽「着けるのがわずらわしく感じるから」が57%、
▽「難聴がそんなに悪くないから」が40%、
▽「補聴器を使っていても元の様には聴力が‘回復しなかったから」、
▽「高い補聴器を買うと経済的に余裕がないから」が38%、
などの回答が届きました。
難聴=認知症のリスクが上がる?
聴力の低下は暮らしの中での不自由さ以上のハイリスクになるという海外のデータもあります。
中高年で耳が聴こえづらくなることで、認知症の発症リスクが上がる可能性があるといいます。
イギリスの医学雑誌[ランセット]の委員会は2020年に明らかにした報告書で、認知症のハイリスクとなる原因に関して、
▽ケガによる脳の損傷
▽うつ状態
▽高血圧
▽社会的孤立
▽肥満
以外にも、
▽耳の聴こえづらさなど
12の項目を示しました。
45歳から65歳の間に難聴になった時、認知症の発症リスクが1.9倍に上がります。認知症のハイリスクの原因としては最も高いものの1つに挙げられますが、補聴器を使用することなどで難聴に対応ができて、認知症の予防ができる最大のリスク回避だとも言われています。
また、イギリスの医学雑誌[ランセット]の委員会の報告書の中に、アメリカなどで実施された複数の研究によりますと、補聴器を使うことで認知機能の悪化を抑制できる可能性があるということです。その反面、補聴器が使いづらく効果を得られない人も多くいて、適切な補聴時の使用をサポートする必要があると提唱しています。
参考:あなたの家族も? 難聴自覚しても医療機関受診しない 6割余 NHK サイカル journal(2023年)
専門家は、「少しでも何か聴こえづらいなと感じているなら、まず最寄りの耳鼻科に行って下さい。聴こえづらさをそのまま放置して聴覚を使わないままでいると脳が働かず、言葉を聞き取る能力も低下します。家族の話を何度も聞き返したり、テレビのボリュームが大きすぎると家族に指摘される時は間違いなく軽度以上の難聴を罹患しています。『話を上手く聞き取れていないよ』と周りから指摘されたら、中等度難聴に罹患している可能性もあります。なるべく早期に病院を受診して下さい」
と説明しつつ、
「補聴器を購入しても聴こえにくさが改善しないのは、補聴器の音量の調整が満足にできないお店があるのも正しいことで、高額の補聴器を購入しても使用しない“タンス補聴器”の状態に陥る人が大きな確率でいます。日本補聴器工業会のデータでは、1日に1回も補聴器を使用しない人が12%いるという分析も発表されています。その時も、補聴器相談医にいる専門外来に相談して欲しいです」
ということでした。
私の父も、
一昨年会社の健康診断で、聴こえづらい部分があると診断を受けました。しかし父は大の病院嫌い。薬の単価の安い血圧の薬を飲むのも嫌で、飲まずに通院日を勝手に延ばしたりします。主治医の先生も「ちゃんと受診して下さいね」とか何も父には言いません。
私の父の場合、
・年齢的なもの
・喫煙者
・血圧が少し高め
・維持できている歯が少ない
・仕事で慢性的な睡眠不足
・頭を怪我で2回打った
など、様々なところで認知症のリスクがあります。父は仕事が休みの日は国際報道ばかりを朝から夜中の3時半過ぎまで観ます。テレビを観ない時は、父はラジオを付け、常に付けています。ご飯やお風呂に入るなど、必要な作業以外はずっとテレビを観ています。今のところテレビのボリュームは上がっていることはなさそうですが、朝からほぼ毎日ずっとテレビが付いていて、それも私には正直キツいです。
「いつまでテレビ観るの?」と私が言うと、父は必ず「私はテレビっ子だから」と決まって言います。
健康診断で聴こえづらい部分があると言われたなら、素直に病院を受診してくれたらと思うものの、変わり者で堅物な父には何を言っても無駄で、尽きない悩みを私も抱えています。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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