この記事は約 8 分で読むことができます。
こんにちは、翼祈(たすき)です。
皆さんご自分の目は大切にされているでしょうか?寝ている時以外、目を開いている間ずっと外気に晒されていることで、感染症が罹患しやすい場所と言われています。
人の目は、目の表面の白く見える部分やまぶたをひっくり返して見える部分は、半透明な『結膜』という膜で覆われています。ここに炎症が発生してかゆみや充血、目やにや涙が出てくるという症状を発症するのが「結膜炎」です。
はやり目(流行性角結膜炎)とは、アデノウイルスの中でも特定の型などに感染したものを指します。風邪を引いた際にアデノウイルスが目まで届き発症する場合もあります。
感染してから7~14日ではやり目を発病します。およそ1週間後位が症状のピークで、症状が収まるまで2~3週間かかります。季節でいえば8月を中心とした夏に多く見受けられる病気です。個人差はありますが1年を通して見受けられます。
年代別でみると1~5歳を中心としたお子さんに比較的多い病気ですが、大人も入れて幅広い年代で発症します。
①流行性角結膜炎(はやり目)、②咽頭結膜熱(プール熱)、③急性出血性結膜炎(アポロ病)の三大ウイルス性結膜炎で、他のウイルス性結膜炎よりはやり目は、症状が重たいのが最大の特徴です。
今回は、そんなはやり目の症状、原因、合併症、治療法などについて発信します。
はやり目の詳細
画像引用・参考:はやり目(流行性角結膜炎) 大石眼科医院
▽症状
・白目(結膜)の充血
・小さいお子さんの場合は、発熱
・まぶたの裏側にできるブツブツしたもの、「急性濾胞(ろほう)性結膜炎」ができて涙がポロポロ出て止まらないや、サラサラした目やにが沢山出て来る
・まぶたが腫れて、ひどい場合では起床時に目が開かないほど
・激しい眼痛
・黒目に傷付くと角膜炎では、目がしょぼしょぼする感じ、ゴロゴロした異物感、かゆみ、光がまぶしい などの症状が発生します。
赤ちゃんなどの場合、下痢や発熱などの全身症状が現れるケースもあります。
炎症が目に強く出ている場合、発症してから1〜2週間目に茶目の部分が濁ることがある、「多発性角膜上皮下浸潤」が起こるケースもあります。
はやり目の症状は両目に現れることが非常に高確率で、片方の目のみはやり目を罹患していた場合でも、数日経過してからもう片方の目も罹患することがあります。
▽原因
ウイルス・細菌カビなどの微生物、紫外線、ごみ・ほこり・摩擦などの物理的刺激、アルカリ・酸などの化学的刺激、花粉などからのアレルギー反応などで、結膜に炎症が発生します。
▽合併症
アデノウイルスは目以外にも、喉にも感染することで、喉の痛みや発熱、症状が重くなると、まぶたの急激な腫れや出血、耳の前の方や顎の下のリンパ腺(耳前リンパ線)の腫れ、まぶたの裏に炎症性の白い膜が張る「偽膜」(ぎまく)、白目がブヨブヨして来る「結膜浮腫」などが罹患するケースもあります。
まぶたの裏に粘稠な膜が張ってしまい、白目とまぶたの表面を覆う結膜がくっつく場合もあります。「偽膜」は時間が経つと除去が困難になることから、発症当初から眼科で除去して貰うと良いでしょう。
結膜炎の症状が緩和して来た時には、一般的には視力が低下することもなく、改善する場合がほとんどですが、ごく稀に重症化して、黒目(角膜)の表面に小さい点状の濁り、「角膜混濁」が発生するケースがあります。この「角膜混濁」を罹患している時に治療を途中でストップすると、黒目が濁って視力が低下する場合がありますので、治ったかな?と感じても、眼科医が大丈夫ですと判断するまで点眼薬などを差す治療を継続しましょう。
長くなると完治するのに半年以上時間がかかる場合もあるので、継続した眼科治療が重要です。
▽感染経路
接触感染という、病原ウイルスに汚染されたティッシュペーパーや洗面器、タオルなどに接触することで感染します。他の人にはやり目を感染を拡げない様にするためには石鹸などでの手洗いやアルコールの消毒の徹底が鍵となります。
周りの人に移してしまう場合も多いことから、日々の暮らしで注意を払って下さい。なお、1ヵ月程度は感染者の便の中にアデノウイルスが排泄される場合があるので、症状が治ってもよく手を洗うことが必要です。
▽診断基準
◉アデノウイルス検査キット
眼科では簡易的に診断可能な、結膜に麻酔の点眼をした後目やにと一部の結膜上皮細胞を綿棒で拭い取り、アデノチェックという診断キットも用意させています。それを溶かして、診断キットに流し込むと、アデノウイルスが結膜の中に存在するか否か判断ができます。
判断するまでに7分程度必要です。ですが検体中のアデノウイルス抗原量が検出感度以下の場合やアデノウイルスの検体採取が十分ではなかった時などは、はやり目に感染していても陰性になるケースも起こり得ます。
◉細隙灯顕微鏡検査
細隙灯顕微鏡で観察するためには、下まぶたの濾胞の観察をします。そのううえで、合併症の1つの「角膜混濁」が発見される場合もあります。点眼で治療可能で、治療せずに放置すると混濁が残ってしまうことから、はやり目を罹患してから約2週間で細隙灯顕微鏡検査を行う必要もあります。
▽治療法
はやり目にワクチンはありません。ですが眼科を受診しないままアデノウイルスを放置してしまうと、眼の免疫が低下し、他のはやり目の感染症を合併してしまう恐れもあります。
とても強い炎症が発生し、角膜に炎症が強く発生していた場合、「角膜混濁」を罹患してしまう恐れから、炎症を抑えるために、不快な症状を緩和させる目的で、炎症を落ち着かせる非ステロイド性抗炎症点眼薬や薄いステロイド点眼を使います。また、合併感染を予防する上で、必要だと判断されれば抗生物質の点眼薬を使う場合もあります。
はやり目は別のウイルス性結膜炎と異なり、なかなか完治しづらいことが大きな特徴に挙げられます。
炎症が強い時は点眼による治療を継続しますが、はやり目の炎症が落ち着くまでに数ヵ月要する場合もある上に、完全にはやり目の炎症が消えない場合もあります。そのことから、はやり目の感染を他の人に拡げない様に意識して下さい。
▽予防策
・目に触れたら手を水道水や石鹸でよく洗うこと
・体力が落ちない様に、しっかり休養をよく取ること
・できるだけ目を手で擦らないこと
・目やにが出た時は、ティッシュペーパーで拭き取り、その場で捨てること
・タオルや洗面道具など、他の家族も触れる可能性があるものに関しては、はやり目に感染していない家族と共有することを避けること
・幼稚園・保育園・学校は医師の許可が出るまで登園・登校しないこと
・完全に完治するまでは、人ごみに出かけることはしないこと
・プールには眼科医の許可が出るまで入らないこと
・スイッチ、ドアノブなど、感染者の触ったところはアルコール消毒をすること
・入浴もシャワーで簡単に済ませること。感染者がお風呂に入る時は最後に入って、そのお湯はすぐに流すこと
▽登園・登校の目安
急性出血性結膜炎も同じ様にはやり目は、学校保健法では第三種に指定されていることを受け、アデノウイルスが含まれた飛沫を吸い込むことで経口感染はしないですが、非常に感染力が強いことから、はやり目を発症した園児、生徒、及び教職員は、眼科医が感染者が完治し感染の可能性が消えたと判断するまで、出園・出席・出勤は禁止されています。
具体例を挙げると、完全に起床した時の酷い目やにが収まってから眼科を受診し、結膜を診断して観察します。
並列する第三種の感染症には[腸チフス]、[コレラ]、[腸管出血性大腸菌]、[細菌性赤痢]、[パラチフス]などが分類されています。
参考サイト
感染性結膜炎(流行性角結膜炎)とは? 医療法人社団 慶翔会 新宿眼科クリニック
この時期 要注意!はやり目のこと、もっと知ろう! 荒尾市民病院
過去に大規模に流行ったはやり目
はやり目は、一部の病院ではその発生状況を国に報告しなくてはなりません。2016年の1年間で、それらの病院から、はやり目は26099の事例が報告されました。熊本県では、2016年に1004の事例が報告されました。
私ははやり目にかかったことはないと母が言ってましたが、プールに入るとよく目が真っ赤になっていたので、プール熱の方はかかったことがあるかもしれないとの話でした。
はやり目もこんなに合併症があるなんて、やっぱり感染症だからこその多さですし、改めて怖さを実感しました。2022年のコロナ禍の中でも学校の授業で水泳は再開されましたし、はやり目も拡がらないで欲しいと思いますー。
noteでも書いています。よければ読んでください。
コメントを残す