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こんにちは、翼祈(たすき)です。
「性」というものは、生物学的な分類での性別区分に過ぎない反面、
「ジェンダー」というものは、社会的・文化的に形作られた性別を指します。
例を挙げると、「家事や育児を担うのは女性」「会社の重役を任せられるのは男性」といった、無意識の思い込みや個人の認識での性別区分などがジェンダーとなっています。
そしてジェンダー教育に関しては、小さい頃から青年期で、性の在り方での無意識な思い込みや押しつける感情を少なくし、ジェンダーに理解を配れる大人に成ることが目的です。
今回は日本で取り組みが行われている、ジェンダー教育などについてお知らせします。
東京都の小学校で、「ヒューマンライブラリー」
LGBTQ当事者やイスラム教徒(ムスリム)、障害を抱える人…。
色んな属性や境遇の人の話に耳を傾け、話し合う中で多様性への理解をより深めていく授業の一環が、東京都中野区にある私立新渡戸とべ文化小学校でスタートしました。
話し手を本に見立てて貸し出す手法「ヒューマンライブラリー」で、「借りる“本”」になる人と「本を“読む人”」の子ども達数人で構成し、親交を深めていきます。
「お父さんはパキスタン出身、お母さんは台湾生まれ。私は日本生まれの日本育ちだけど、周りから『日本語がうまい』って褒めて貰える」。川崎市在住の高校教諭の女性Aさんが自己紹介を行うと、「本を“読む人”」側となった児童3人に笑顔が溢れました。
「パキスタンって人口多い国だよね」「そう。よく知ってて、凄いね!」と会話が自然と弾みます。イスラム教徒でもある女性Aさんが「豚肉は食べちゃいけない決まりで、1日5回礼拝を行います」と語ると、「本を“読む人”」側となった子ども達は熱心にメモを書き取っていました。
「ヒューマンライブラリー」で「借りる“本”」側となったのは、10〜50代の約20組です。仲間、相棒を指す「バディ」と称され、「本を“読む人”」側の子ども達2〜4人でグループを構成します。2022年7月12日には「ヒューマンライブラリー」に携わる子ども達が集合する授業が行われ、子ども達は30分程「バディ」の話に聞き入りました。
車椅子で同私立新渡戸とべ文化小学校を訪れたのは、脳性まひで重い知的障害を抱える中野区在住の女性Bさん。母親がそばで、女性Bさんが人工呼吸器が必要となる日々の暮らしや、ヘルパーや看護師らの支援のことを「借りる“本”」側として話しました。
女性Bさんは話せませんが、表情などでコミュニケーションを図り、好きなアイドルコンサートや映画を観に行くこともあるそうです。「本を“読む人”」側の女の子は「最初に感じたのは大変そうだなって気持ち。でも、話を聞く間に自分たちと共通するところもあって、普通って何だろうって思った」と言いました。
フランス出身のジャーナリストで、ゲイを公表している男性Aさんは、東京都内で同棲する男性パートナーがいることを「借りる“本”」側として話しました。「本を“読む人”」側の男の子は「少し驚いたけど、そういう人もいていいと思う。人はみんな、個性があって、それぞれ違うんだと理解出来て良かった」と話しました。
これから、オンラインも合わせて3回程度「ヒューマンライブラリー」を行い、2022年10月22日に開催された学園祭では「本を“読む人”」側のグループはそれぞれの「バディ」を紹介しました。
同私立新渡戸とべ文化小学校の校長補佐の男性は「ヒューマンライブラリー」に関して「これだけ多くの人に協力して頂き、じっくり傾聴出来る活動は他にないのではないでしょうか。子ども達がいつも接している世界から1歩世の中に踏み出して、多様な人々と接点を持ち、尊重し合える姿勢で学習出来るきっかけの場にしたいと思っています」と述べました。
このようなジェンダーなどに関する出張授業については他の団体も行なっており、例えばこれから紹介するReBit(リビット)は、LGBTQを含め子ども達みんながありのままの自分で大人になっていく社会を構築させる認定NPO法人です。
大学生や20代の若者たちがメーンとなり、多様な性が行き交う中で、「それぞれの“違い”」についてじっくり向き合う課外授業を小・中・高校で行っています。
学校でのジェンダー教育
ReBitは、多様な性をテーマとする中学校教員向けの道徳教材「Ally Teacher’s Tool Kit」を発行しています。
この教材を使っての課外授業を受ける前の中学生1152人にアンケートした結果、「同性愛やLGBTQなどに関して、どの程度理解しているか」という問いに、80%以上が「聞いたことがなかった」「聞いたことはあったが、具体的にはどういうものは知らなかった」との回答でした。
その反面、「LGBTQのことを、授業や学校で教えて貰ったことはあるか」という問いには、「ある」と回答した中学生は10%程度でした。
ReBitの課外授業を受けた後に行ったアンケートで、「多様な性についての話は自分に関係のあることだ」と回答したのは、中学生で75%、高校生で90%にまで達しました。
多様な性に関して課外授業で伝える時にReBitが大切にしている理念は、「課外授業の時だけではなく、日常生活から多様な性について考えて貰うこと。そして、子ども達みんなに“自分ごと”として向き合って欲しいと思います。
LGBTQにポイントを合わせすぎる授業になってしまうと、「特別な人たちを許容しなければいけない」とハードルが自然と高くなってしまいます。そうではなく、LGBTQ関係なくみんなそれぞれ、性の在り方が違うということを発信していかなければならない」ということです。
LGBTQの様な色んな性のあり方を認め合うことと同時に、それぞれの性に関して、無自覚で悪気はない、「好意的な差別」という行動が一般的に見受けられる場合もあります。
好意的差別
「重いから女子は持たなくていいよ」
クラスで、文化祭の準備をしているときに男子に言われた一言。
「Aちゃん、さすが女子力高いね」
合宿で、夕食後テーブルを拭いた女子にかけられる一言。
日常生活に溶け込んでいる会話だと思います。発言した人に悪意はないし、日常的に男女差別をしている人というわけではもちろんないでしょう。しかし これらは強い言葉かもしれませんが「性差別」。相手を露骨に否定する“敵意的な性差別”ではありませんが、無意識で悪気のない“好意的な性差別”なのです。
一般的によく聞く学校でのジェンダーのこと。
それは水泳の授業です。今でも男女混合の水泳の授業が多いかもしれないと思います。宮城県仙台市にある高校では、女子は更衣室、男子はプールサイドのテントで水着に着替え、泳ぐ前の準備運動までは男女共にジャージで過ごします。男女共に共通する意見は「男女混合の水泳授業はおかしい」というところでした。
女子は「男子の視線が視界に入り、プールに一緒に入ることが嫌だ」と強く主張。男子も「体形など個人の色んな面で、女子だけでなく他の男子の視線も気がかりだ。不快な思いを抱えながら授業をすることに違和感がある」と話していました。
水泳の授業を2021年に再開した他の仙台市の高校では体育の授業は男女合同ですが、6~9月は男子が水泳、女子は球技に分かれての授業だったそうです。
確かに水泳の授業は私も本当に嫌でしたね。水着を着ることも、男子と授業が一緒なのも、何より泳げなかったので。なので、生理がある時は見学で良かったので、心の中でガッツポーズを取っていました。
ジェンダー教育は今色んなところで、行われていますよね。多様な性や人々が交わる社会だからこそ大事となる、ジェンダー教育。これからも更なる発展が望まれます。
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noteでも書いています。よければ読んでください。
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