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はじめに
国連の障がい者権利委員会は、2022年9月9日に発表した日本についての報告書で、障害児を分離している現状の「特別支援教育」をやめるよう日本政府に要請しました。
日本では、学校教育法に基づき、障がい児が学ぶための場所として特別支援学校や、小中学校内に通常の学級とは別で特別支援学級が設けられています。
こうした、特別支援学級や仕特別支援学校の下では、障がい児が小中高校や健常者と一緒の学級で学ぶ機会を得にくいということから、これまで国内からも「(健常者と障がい者を分けて教育する)分離教育的色彩が強い」と指摘されることがありました。
そして、国家レベルの教育政策や法律などで「すべての障がいのある児童生徒が、すべての教育レベルで個別の支援や、合理的配慮を受けられるように、十分な予算などを確保し、質の高いインクルーシブ教育についての国家的な行動計画を採用すること」を求めました。
インクルーシブ教育とは?
インクルーシブ教育とは、これまでの「障がいのある児童たちと、それ以外の児童たちとを隔てて教育する」という概念を覆す教育方法で、2006年の国連総会で採択された「障がい者の権利に関する条約」で示されたものです。
障がいのある児童も、ない児童も、共に教育を受けることで、「共生社会」の実現を目指しています。
児童たちの多様性を尊重し、障がいのある児童が身体的にも、精神的にも最大限まで発達できるよう、また、社会に他の児童と変わりなく参加できるように支援していく教育方針です。
参考:インクルーシブ教育とは?障害を持つ子どもへの新しい教育法を解説 | 私学の教員採用・求人情報なら教員人材センター (kyoin.co.jp)
インクルーシブ教育で重要なのは、それぞれの児童たちが授業内容を理解し、「授業に参加している、ついていけている」という達成感や実感を持ちながら、充実した勉強時間を過ごせること、という点にあります。
いくら障がいのある児童たちを通常学級に在籍させても、その児童たちが授業の内容が理解できず、孤立した立場になってしまっては、まったく意味がありません。
インクルーシブ教育には特別支援教育が必要
インクルーシブ教育を確率・構築していくためには、「特別支援教育」が欠かせないものになります。
特別支援教育とは
特別支援教育とは、障がいのある児童の自立と社会参加をするための主体的な取り組みを支援する、という視点に立ち、対象となる児童、一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を確認して伸ばし、学習や生活で抱える困難さを軽減し改善するための適切な指導や支援を行う教育です。
2007年4月から、「特別支援教育」が学校教育法に位置付けられ、従来の特殊教育の対象障がいに、知的発達の遅れのない発達障がいも含めて、特別支援学校に限らず、すべての学校において、障がいのある幼児児童生徒の支援をさらに充実していくこととなりました。
引用:特別支援教育とは?
さらに、文部科学省ホームページでは、
①障がい者の理解を推進し、周りの人々が障がいのある子どもと共に学びながら生活していく中で、公平性を確立しながら、社会の一員としての基盤を作っていくこと。
②障がいのある児童の能力や可能性を最大限に引き出し、社会に自立して参加できるよう、社会の様々な機能や取り組みと連携を取り、障がいのある児童たちへの十分な教育を図ること。
③障がいのある児童が地域社会の中で積極的に活動し豊かに生活できるよう、同世代の児童との交流を通して、生活の基盤を作っていくこと。
この3つを基礎として、目指すべき最終目標が、障がいのある児童と障がいのない児童が同じ場で、同じ理解を得る教育を行うことが「インクルーシブ教育」であり、その前準備としての特別支援教育が重要なポジションになるのです。
実際に特別支援学級に通っていた子
インクルーシブ教育について調べるきっかけになったのは、私の姪になる子が小学1年生から特別支援学級に通っていたからです。
通っていた理由については、詳しくは省きますが、姪は個別で指導を受けることについては問題はないのですが、集団での行動や指導になると、ついていくことが非常に難しい場面がありました。
少し同年代の児童よりも、遅れて成長していることが分かったので、特別支援学級に通っていました。
インクルーシブ教育を調べていくと、障がいのある児童とそうでない児童が同じ場所(教室)で、同じように勉強することができることが、目標とされていますが、実際に私の姪が通常学級に行くようなことになったら、おそらく姪は勉強や周りについていくことが困難になることが理解できました。
実際に、小学校の中学年の頃に、知能があがったため、特別支援学級にいることができなくなり、通常学級に戻された経験があります。
その際は、私の予想通りというか、思っていたように授業や集団での行動についていくことができなくなり、本人自身も困惑していました。
その後、難聴が指摘されたので難聴で、特別支援学級にもどることができました。
様々な声
姪は、特別支援学級に通ってよかったと思いますし、体育や図工などはみんなと同じ教室で授業を受けていたので、教室に友達がいない。なんてことはありませんでした。
ツイッターなどで、インクルーシブ教育についての意見が様々ありました。
などの声がありました。
さいごに
様々な声をインターネットで見て思ったことは、インクルーシブ教育の良さも理解できるが、特別支援教室で良かったと本当に思っている児童も実際にいるということ。
多様性が叫ばれる世の中になってきましたが、障がい児の問題は、学校だけでなく、学校を出たあとも続きます。
障がい児を家族にもち、自分自身も障がい者として社会にいる私には、多様性とは何かと考えさせられる記事となりました。
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参考サイト
「障害児は分離され、通常の教育を受けにくくなっている」国連、日本政府に“分離教育”やめるよう要請 | ハフポスト NEWS (huffingtonpost.jp)
インクルーシブ教育とは?障害を持つ子どもへの新しい教育法を解説 | 私学の教員採用・求人情報なら教員人材センター (kyoin.co.jp)
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