国勢調査で“小卒”問題が表面化。〜政府、早期の夜間中学校の開校を促す〜  

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

政府は2022年5月下旬、2020年に実施した最新の国勢調査を公表し、約80万人超の方の最終学歴が小学校卒業、“小卒”だと浮き彫りとなりました。

専門家も「外国人の未就学は課題として指摘されており想定されていたが、50代以下の世代で日本人でも同程度ぐらいが『小卒』という状況にあるのは憂慮すべき事態だ。もっと早くからこうした実態把握をすべきだった」と警鐘を鳴らしています。

こうした事態を受け、政府は急務として2026年度までに現在全国に計40校しかない夜間中学校を、全47都道府県の自治体に開校するように促しています。今回はそんな“小卒”の問題を取り巻く様々な背景を考えていきたいと思います。

2020年の国勢調査で、最終学歴が小学校卒業の人が全国で80万4293人

義務教育未修了者を明確に把握したいとの文部科学省の意向で、2020年の国勢調査から調査項目に加算され、最終学歴が“小卒”、「小学校卒業」と、義務教育を修了していない人が日本全国に80万4293人(その中で外国人1万9731人)に上り、うち80歳以上が約75万人と9割強を超えていることが、2022年5月下旬に開示された最新の国勢調査結果から明らかとなりました。

文科省は全47都道府県と政令市の教育委員会へ、多様な学習の場として開校されている夜間中学校の需要が鮮明になったとして、外国人が働きながら学びやすい夜間中学校の開校を推奨するなど、開校への働きかけを促す事務連絡を送りました。

若い世代でも20~24歳は1084人、25~29歳が1424人と、義務教育を受けられて来なかった人はある一定の数いました。これまでも国勢調査されてきた小学校にも通学したことがない「未就学」の総合数は、前回平成22年の国勢調査から3万4000人程度減少していましたが、小中学校に通学したことがない、または小学校を修了していない「未就学者」の9万4455人(その中で外国人9024人)を合算すると、約90万人が義務教育を修了していません。

80代以上が多く9割を超えている理由は、その理由の1つは、戦前の教育制度が現代と違い、中学校は義務教育課程にはなかったことが挙げられます。1907年には義務教育課程が6年間に引き上げられ、当時の「尋常小学校」の卒業を迎えると、義務教育を修了したことになると法律で明記されていました。その後、戦争が始まると小学校は「国民学校」と名を変え、この時期は義務教育を8年間にする方針でしたが、戦争化での特例で初等科の6年まで隣、高等科の2年は実現を果たせませんでした。

もう1つの理由は、戦争化や戦争が終わってからの復興への混乱が渦巻く中で、教育を履修出来なかった人が多数います。日本国憲法を踏まえて1947年に義務教育制度が成立され、小学校が6年、中学校が3年と9年間の義務教育が定義されましたが、戦争が終わってからの世の中の混乱の渦中で、長い間学校を欠席する子ども達が多くいたなど、義務教育を修了していない人は大勢いました。

外国人が占める割合は、全体の2・5%(1万9731人)でしたが、50歳代以下に限定すると、どの世代でも外国人が日本人を大きく上回りました。理由に挙げられるのは出身国の戦乱など、十分な教育を学べなかった背景があるとされ、仕事をしながら生活する外国人も多かったとされます。

参考:国勢調査の学歴に「小卒」新設したら全国で80万人…50代以下は外国人が過半数の2万人 読売新聞(2022年)

岡山県で日本最大規模の「自主夜間中学校」を運営し、小学校や中学校に通えなかった人の学びを支援している代表の男性によれば、「“小卒”の人については、推定ではありますが引きこもりやいじめ、不登校に加え、さらに親からのネグレクトを受け、複合的な理由で通学出来なかった人が多くいます。書類上では中学校まで卒業したことになっている人もある一定の数がいると思われていますが、実状では全く1日も通学していないという認知が多く心理的に残っている人も傾向でいるのではないか」と指摘します。

“小卒”の詳しい年代別、都道府県比率

今回の国勢調査では、50代以下で「小学校卒業」と回答した人は1万9857人いました。

▽50代が6663人

▽40代が6163人

▽30代が4221人

▽20代が2508人

▽15歳から19歳でも302人となっています。

最終学歴が「小学校卒業」の人や「未就学」の人の状況を都道府県別にみていきます。最も多かったのは北海道で5万8444人、次いで愛知県で4万3072人、新潟県で3万6154人、大阪府が4万2399人となっています。

引用:【詳しく】最終学歴“小卒”80万人 50代以下も2万人 なぜ?|NHK|教育(2022年)

最終学歴が「小学校卒業」の人の都道府県、政令市別の人口比は、青森、秋田両県が2%と最多。岩手県1.9%、新潟県1.8%と続き、26道県・市が1%以上でした。地方が高く、大都市圏は低い傾向がありました。

国勢調査の結果を受けて政府は、2026年までに全都道府県に夜間中学校を開校する様、自治体に促す

夜間中学校とは義務教育を中学卒業まで受けられなかったり、書類上中学校を卒業した扱いではあるもののいじめや親のネグレクトなどの複合的な事情が重なり十分に学校に行けなかった人のために開校されています。政府は47都道府県・政令市に最低1校の開校を求めていますが、2022年4月現在では15都道府県の計40校しか開校されていません。

首都圏においては東京都、神奈川、千葉、埼玉、茨城の各都県に計15校、夜間中学校が開校されています。千葉市に新たに2023年4月開校予定で、群馬県でも新しい夜間中学校の開校が検討段階です。政府は2026年までに、47都道府県全てと政令市に夜間中学校を開校する目標を提唱しています。夜間中学校がまだ開校がない地域では、宮城県仙台市や静岡県など3県で2023年や2024年に開校予定のほか、鳥取県や群馬県など6県で、今後開校に向けて検討に入ります。

子どもの貧困や学校教育を研究している立命館大学の教授の女性は、

・最終学歴が大卒の人と比べると小卒の人は生涯賃金に大差が見られる。

・困窮状態にも入りやすく自分自身が望んだ生き方が選択されない現状に落ち込むことが連想される。

・格差の是正という意味においても誰一人を取り残さない教育が要求される。

・夜間中学校は重大な義務教育の修了し直すきっかけを保障出来る居場所で、設置を加速させるべき。

・ただし、仕事や子育てで忙しくて通学出来ない人や一度学校に通学するのを諦めた人達に向けて再度通学出来る環境に置くことには大きな壁でもある。

・自治体のサービスにより多様な需要に照合し学習を保障する設備が必要。

といいます。

参考:最終学歴が「小学校卒」80万人 最新の国勢調査で判明 文部科学省は夜間中学校の設置を自治体に促す 東京新聞(2022年)

義務教育未修了者を支援する市民団体「夜間中学校と教育を語る会」事務局の女性は「私たちがNPO活動を介して感じている体感に寄っている数字。人口比率で“小卒”の割合が地方に集中しているのは、夜間中学校の数がまだ地方においてはほとんど開校されていない上、戦争が終わった直後に通学するに値する年齢の子ども達が農村地帯の若い戦力として親から行かされたからではないか」と指摘します。「今回開示された国勢調査をきっかけに夜間中学校開校の動きが、地方に対して活性化へと向かうことを望みたい」と言いました。

祖母が小学生だった頃の時代背景。

祖母が小学生だった時は、両親から「女に学歴は必要ねぇ。学校行く暇があったら、弟達の面倒をみろ」と、小さい頃から幼い弟妹達をおぶって学校に行き、帰ったら家の手伝いをさせられたそうです。祖母は自分が小卒なのをずっと恥じていました。

そんな祖母は学ぶ事を止めず、今は通所しているデイサービスで絵を描いたり、俳句を作ったりしています。とても器用な祖母なので、何でも卒なくこなし、凄く大作なものが出来て、時々高齢者の作品が集う展示会でもお披露目もしているそうです。

祖母の年齢では戦時中の時代背景とかが大きく影響したかと思いますが、50代以下もネグレクトや不登校などで小卒が多い実態に強い衝撃を受けました。国もこの問題に切り込み、平等に与えられた個人の学びの権利を尊重し守る為、早期に夜間中学校開校を増やすことに取り組むことが大事だなと思いました。

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TANOSHIKA 翼祈|note

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。