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こんにちは、翼祈(たすき)です。
女性の出産は神聖なものとされていながら、月経禁忌という生理はタブーなものとする考え方から、生理中に生理小屋に隔離されるなど、差別的な扱いをされて来た昔の女性達。
それまで脱脂綿だったものがナプキンやタンポンも登場するなど、タブー=穢れとされていた生理を取り巻く環境が変わって来ました。
そして2022年8月に生理などタブーとされて来た女性にまつわる映画が公開されます。
今回はその映画についてと、この映画の中で出て来るLGBTQに関する問題について、皆さんと一緒に考えていきたいです。
女性の生理、中絶、避妊、妊娠、育児ストレス、産後うつなど、女性が抱える様々な身体的な負担や精神的ストレス、さらにLGBTQの人々が課された社会的な差別など、これまでタブー視されて来たものをユーモアとポップで見事な調和で描き、「SXSW フィルムフェスティバル 2019」では観客賞と審査員特別賞に輝いた、原題【Saint Frances】が、『セイント・フランシス』の邦題として2022年8月19日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネクイントほか全国にて公開します。
またポスターと場面写真2点も公開となりました。
解禁されたポスターは、主人公のブリジットと少女フランシスが一緒に“ひと夏の時間”を楽しむ様子を捉えたもの。光が差し込む美しい庭園で過ごす2人の様子は、偶然の出会いがもたらしたひと夏の奇跡の輝きが切り取られています。場面写真では、ブリジットがフランシスをおんぶする様子などが紹介されていました。
あらすじ
大学を1年で中退し、レストランの給仕として働く34歳独身のブリジット(ケリー・オサリヴァン)は、夏のナニー(子育てサポート)の短期仕事を得るのに必死。そんなうだつのあがらない日々を過ごすブリジットの人生に、ナニー先の6歳の少女フランシスや、その両親であるレズビアンカップルとの出会いにより、少しずつ変化の光が差してくる――。
SNSでシェアされる、充実したように見える他人の人生。それに比べて「自分なんて」と落ちこみ、満たされない気持ちや不安にさいなまれる人は大勢いるはず。でも、人生なんてそんなに完ぺきじゃない。誰だってみんな苦しんだり、家族にだって言えない悩みや秘密を抱えている。社会が決めた見えないルールに振り回されて居心地の悪い思いをしたり、自分の生き方に自信を持てなかったり…。『セイント・フランシス』はそんな不安だらけの毎日を生きる人々に優しいエールを贈る作品となる。
画像・引用:『レディ・バード』に触発!女性の心と身体の本音描く『セイント・フランシス』日本上陸 cinemacafe.net(2022年)
監督、キャスト陣
主演・脚本を務めたケリー・オサリヴァンさんは、グレタ・ガーウィグさんの[レディ・バード](2017)の女性の描き方に感銘を受け、俳優として多くの脚本を読了して来た経験を活かして自伝的要素を盛り込んだ本作のオリジナルストーリーの執筆を始めました。「女性に生理が存在しないなら地球には誰も生きていないのに、若い頃からずっと生理のことはタブーだと習ってきている」といい、女性が毎月向き合う生理という日々の当たり前を堂々とに語ることが禁忌とされ、キレイなパーツだけが美化されている現代社会に疑問を投じ、女性の心身のホンネを表したかったのだと話します。
そして、本作を思いついたきっかけについてケリーさんは、「20代の頃にベビーシッターをしていて、いつかこれについて書きたいと思っていました。こんなに奇妙でエモーショナルな仕事は他にはないし」と語り、「お世話をする子どものことを本当に愛くるしく感じるし、ある意味そのファミリーの一員になるけど、一方でよそ者のままでいる時もある。家にいれば時々、そのファミリーのとても儚い部分を観てしまうこともあった。でもベビーシッターが終われば自分の家に帰るだけね」「その後、私は30代で中絶をして、この2つの経験、中絶とベビーシッターが同時に起こったらどうなるのかな?と思った。なので映画のほとんどのシーンはフィクションだけど、リアルな場面から始まっている」と伝えました。
さらに社会問題も上手に切り込みながら、大人の女性だからこそ訪れる苦悩と揺れ動く気持ち、そして、現代社会を生きる私達のホンネをユニークさと感動を加えてナチュラルに伝える手腕には、まさにグレタ・ガーウィグさんの才能を思い起こさせ、今後のケリーさんの活躍にも大きな注目が集まっています。
物語のキーマンの6歳の少女フランシスを演じたのは、本作が俳優デビューとなったラモーナ・エディス・ウィリアムズちゃん。ちょっぴり生意気な大人っぽい仕草と子どもらしさを併せ持つ彼女の演技に、誰もが夢中になってしまいます。ちなみに実際のラモーナちゃんはフュギュアスケートとバレエを愛する女の子。フュギュアスケートのアメリカ代表としてオリンピックに参加することが将来の夢だと話す少女の滑りも、スクリーンに切り取られています。
そのフランシスの両親でレズビアンカップルを演じたのはチャリン・アルヴァレスさんとリリー・モジェクさん。ブリジットの彼氏でミレニアル世代の考えを強調するジェイス役には、本作が俳優デビューとなったマックス・リプシッツさん。さらに、この多様なキャストと、ときに重たくなる繊細な題材をテンポよく紡ぎ、それぞれの怒りや悲しみ、不安や嬉しさといった気持ちを全方位から集めているのが、ケリーさんの私生活のパートナーでもあるアレックス・トンプソンさん。長編初監督となりました。
予告編も解禁。
公開された予告編は主人公のブリジットがまず「質問 30代半ばで何をしたらよいか?」とパソコンに打ち込む様子から映し出されます。その後、一時的に親の代わりに子供の育児をする“ナニー”の仕事に就職したブリジットが、6歳の少女・フランシスと距離を縮めていく様子も切り取られました。またブリジットの予期せぬ妊娠が判明するシーンも。「夏が終わる頃、私はもっと強くなる」という最後に挿入されたメッセージが、自分の人生と真っ正面から向かい合う全ての人々の心に優しく響き渡る終わり方となっています。
ここからはLGBTQの元女性が男性となり、2児のパパとなった男性を特集した本を紹介します。
本〔今とこれからがわかる はじめてのLGBT入門〕
株式会社主婦の友社は、 『今とこれからがわかる はじめてのLGBT入門』 (清水展人/著)https://www.amazon.co.jp/dp/4074506483/ を2022年4月18日(月)に発売いたしました。
多様性の時代を認めて、さまざまな人のあり方を認めようという動きは近年活発になりました。トランスジェンダーの第一人者の清水展人さんは元女性で性別適合手術の後、女性と結婚して現在は2児のパパです。全国を講演会で飛び回る日々を送っています。
清水さんは進学、就職などさまざまな場面で自分が元女性であるということで厳しい経験を経て現在があります。とにかくいつも笑顔、丁寧な物腰、感謝を忘れない心……。書籍制作に携わったスタッフは清水さんのこのような姿に感銘を受けました。
画像・引用:2児のパパになった元女性がLGBTの今とこれからを解説。多様性の時代をみんなが前向きに生きるために! PR TIMES(2022年)
この様にLGBTQであってもパートナーとの間でパパになれる人もいれば、ある障壁で《パートナーシップ宣誓制度》に申し込めず、悩んでいるカップルも日本にいます。
日本で《パートナーシップ宣誓制度》が進まない理由
秋田県内などでLGBTQの支援をする団体「性と人権ネットワークESTO」の代表は、トランスジェンダーであることを他人に隠していません。「それでも全く話したこともない他人からLGBTQの話題を突然言われると、何処の誰から自分の情報を人づてに知ったんだろう、と嫌悪感を覚えます」
性的マイノリティーは個人情報に関わる大切な情報です。「LGBTQであることが勝手に拡散されると、失業したり、転居に追い込まれるケースもあります。現に秋田県内でも個人情報がバラされるケースが頻繁に生じていて、恐怖心を抱え孤立している人もいます」と代表は警鐘を鳴らします。
特に、LGBTQ当事者の同意なく第三者に暴露する「アウティング」と呼ばれる行動は、「人を死へと追い込んでしまう位危険な行動だと考えて欲しいです」と代表は指摘しました。
参考:「パートナーシップ制度」利用進まず 暴露の懸念 支援が不足 読売新聞(2022年)
《パートナーシップ宣誓制度》の利用の壁になるのが、アウティングへの懸念です。秋田県はプライバシーに配慮するため、申請や証明書の交付で来庁する際、事前の希望があれば個室を用意したり、本人限定受取郵便による証明書交付を行ったりするなど、対策を取ります。それでも、「アウティングされるかもと思う恐怖心は当然みんな強くあります。自治体職員だから、といっても信用できるわけではない」と代表。個人情報のアウティングでどんなリスクを背負うのか、職員側も研修会などを積み重ね、意識を変えるしかないといいます。
私が以前書いた《パートナーシップ宣誓制度》も記事も合わせてご紹介致します。
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LGBTQにも関わる映画で共感性を強く感じると思う。
今は世界中で生理の貧困が問題となっており、海外でも日本の様に女性達が声を挙げ、支援の輪が広がって来ました。今は男性も生理について理解したいと思っている方も増えているかと思いますし、私の会社でも生理について支援員も利用者も皆で悩みを共有しようという取り組みがあり、とても過ごしやすく今生理と向き合っています。私が子どもの頃にはなかった理解が進んでありがたいです。
この映画は私が経験した事ない内容もありますが、主人公も年齢が近く共感性が高い映画になっていると思います。こんなに生理とか妊娠とか複合的な女性に関するものを取り入れた映画を、今回初めて知りました。この映画が日本で公開されたら、より女性のことを納得して知れると思います。可能なら観に行きたいですね。無理なら円盤を買うかもしれません。いつかきっと観たいです。
関連サイト
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LGBTsの私が地方で暮らして、見つけた“希望” NHK.JP(2021年)
noteでも書いています。よければ読んでください。
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