産学官連携。〜障害者と、大学や企業を繋ぐ共同連携〜 

この記事は約 7 分で読むことができます。

こんにちは、翼祈(たすき)です。

障害者に働く場所や技術を提供してくれる農福連携や水福連携もあれば、大学や企業が障害者の生活を豊かにする為に技術や製品を開発してくれる『産学官連携』というものもあります。

今回はそんな企業や大学が開発した、盲導犬ハーネス、薬膳パンケーキ、大規模対話データベース、電動車椅子などについて一覧を述べたいと思います。

盲導犬ハーネスで産学官連携。

株式会社セイバン(本社:兵庫県たつの市 以下「セイバン」)と京都芸術大学(本社:京都市左京区)は、共同開発した盲導犬ハーネスを関西盲導犬協会へ寄付いたしました。

盲導犬が日本に導入されて約80年、ハーネスの形は機能面から改良されることはあっても、多くの盲導犬ユーザーが使っているハーネスのデザインはほとんど変化しておらず、特に外観に配慮されたデザインではありませんでした。そこに着目した京都芸術大学 准教授 大江孝明が、金属パーツと皮革素材の結合のノウハウを持つセイバンへ声をかけたことで、今回の共同開発および寄付が実現いたしました。

画像・引用:【産学連携】セイバンと京都芸術大学が共同開発 盲導犬ハーネスを関西盲導犬協会へ寄付 PR TIMES(2021年)

セイバンさんはランドセルメーカーとして有名ですね。歩行時にハンドルを握りやすいか、盲導犬の動きを把握しやすいか、盲導犬のからだに負担がない形状か、ハーネスが与える印象が器具的でないか、長く使用できる耐久性があるかといった点に気を付けて開発されています。

盲導犬(補助犬)を取り巻く課題として、「衛生上の問題がある」として入店を断られるなど、盲導犬(補助犬)に対する日本社会の理解度が低いことが挙げられているので、こういった取り組みを通じてそういた誤った認識が改められることを祈っています。

薬膳パンケーキと産学官連携。


埼玉県上尾市、同じく上尾市にある障害福祉サービス事業所「第2ぷちとまと」と日本薬科大学の3者が産学官連携で共同開発した【薬膳ジンジャーパウンドケーキ】の完成試食会が2020年7月17日、上尾市役所で開催されました。上尾市内各所でこの【薬膳ジンジャーパウンドケーキ】を販売中です。

共同開発は、就労継続支援B型事業所に勤務する障害者の工賃向上の取り組みとして実行されました。上尾市から業務委託がなされている上尾アブセックが2019年度から支援する障害福祉サービス事業所「第2ぷちとまと」に新商品開発を提案しました。「第2ぷちとまと」はB型事業所にカフェを併設、勤務する障害者が手作りしたお菓子やパンなどを販売しています。カフェのお客様にアンケートを実施したところ、お客様の大半が女性で、しかも冷え性や整腸に悩みを持っていることが可視化されました。そこで上尾市と相互連携を結んでいる日本薬科大学との産学官連携が実現しました。

参考:薬膳パウンドケーキ、上尾で産学官連携開発 市、障害福祉事業所「第2ぷちとまと」、日本薬科大学がタッグ 埼玉新聞(2020年)

【薬膳ジンジャーパウンドケーキ】は同日本薬科大学薬学科の講師がレシピを監修、薬膳の効能を生かした体に優しいケーキに仕上がっています。価格は、1カット230円(税込み)、1本650円(同)。

ショウガやカルガモンパウダーなどのスパイスや、アーモンドやクコの実などの木の実も入っているそうです。ぷちとまとアートカフェや下記のオンラインショップ、あげお お土産・観光センター、ふれあいの店(市役所1階)で販売しておられるそうなので、お近くにお越しの際はぜひご賞味ください。

第2ぷちとまとオンラインショップ | 第2ぷちとまとオンラインショップ (tomatonokai.jp)

大規模対話データベースと産学官連携。

ひきこもり者や精神・発達障害者の教育・就労支援を手掛けるフロンティアリンク株式会社(所在地:東京都千代田区)は、国立精神・神経医療研究センター並びに東京工業大学との共同研究にて、日本初となる実際のカウンセリングの臨床データに基づいた大規模な対話データベースを構築し、「カウンセリングAI実現に向けたカウンセラーの効果的なコミュニケーションのパターン解析」を行うプロジェクトを開始します。国内では100万人を超えるひきこもり者や400万人を超える精神障害者がおり、昨今ではコロナ禍で悩む方も多い中で、誰もがいつでも気軽に相談できる「AIカウンセラー」の実現に向け、産官学共同で取り組んでまいります。

画像・引用:日本初「カウンセリングAI実現のための大規模対話データベース」構築に関する産官学共同研究プロジェクトを開始 PR TIMES(2022年)

精神疾患は糖尿病などの生活習慣病より患者が多いと言われる中、精神科や心療内科に行くのを躊躇われる方もいらっしゃいます。そんな時、このAIが通院に行く時間もかからず、統計的に総合的に話を聞いてくれ、自分が好きな日、自分の体調に合わせて自由に話を聞いて貰える、1つの居場所になりそうです。

電動車椅子と産学官連携。

高齢者や障害を抱える人が安心して移動可能な新たな仕組みを研究しようと、岡山県岡山市の岡山大学と岡山ダイハツなどが共同開発する運びになり、2022年3月17日、岡山大学で発足式が開催されました。

岡山ダイハツが提供した電動車椅子を基礎に、岡山大学の学生らがAIやセンサーを実用して、次世代型の仕組みを研究します。

参考:次世代型モビリティ 岡山大学と岡山ダイハツが共同研究 誰もが自由に移動できる社会へ【岡山・岡山市】 OHK 岡山放送(2022年)

研究では、岡山市内にある就労継続支援事業所の障害者から提案されるアイデアを生かし、産学連携で、誰もが自由に移動できる社会の実現を目指したいということです。

これまで2つ障害者との連携の記事を書いて来ましたが、

私はこれまでに農業×福祉の農福連携と、水産業×福祉の水福連携の2記事を書いて来ましたが、こんなに民間企業が障害者の方の為に、色々支援を行って下さっている事に気が付きました。この産学官連携も企業がベースにあり、それを障害者に提供したり、他の連携なら土地や技術を貸してくれる事で成り立つものですね。

どれも障害者の働き場を増やして下さったり、提供する事で障害者の方が生活していて困らない様にしてくれて、ありがたいなと思いました。私は今のところこの3つの他の連携を知らないのですが、もしまた何か連携を見つけたら記事化していきたいなと思いました。

  

農福連携・水福連携を紹介した記事はこちらです。

農福連携と障害者。〜私たち、ワインやリンゴ、メロンなど作っています‼︎〜 

水福連携と障害者。〜私たち、カキやバナメイエビを作っています‼︎〜 

関連記事:その他の事例について

高齢者・障がい者も楽しめる旅 KNTと実践女子大、産学連携で授業 観光経済新聞(2019年)

産学官が連携し、聴覚障害児への出張教室を大阪府堺市で10月26日より無償提供開始 PR TIMES(2021年)

マリス、九州工業大学、マクニカは、AIを活用した視覚障がい者のための歩行アシスト機器「seeker」の早期実用化に向け産学連携での共創を開始 PR TIMES(2021年)

視覚に障がいのある方々向けの移動サポートの実証実験を横須賀市で実施~地図に代わる新たなナビゲーションサービスの構築を目指して~ PR TIMES(2022年)

noteでも書いています。良ければ読んでください。

→HOME

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。