『ベイビー・ブローカー』。〜映画から浮き彫りにされた、韓国での《赤ちゃんポスト》の実情〜 

この記事は約 8 分で読むことができます。

こんにちは、翼祈(たすき)です。未婚の母への偏見が根強く、《赤ちゃんポスト》の理解もなかなか進まない韓国。《赤ちゃんポスト》に行くと、基本的には養子へと選択されるのですが、韓国版《赤ちゃんポスト》の団体は実の親に赤ちゃんを引き渡そうと努めています。今回はそこの団体がモデルとなった、2022年6月公開の韓国映画『ベイビー・ブローカー』の話題と、《赤ちゃんポスト》の実情について、考えていきたいと思います。

世界中の映画人たちと手を取り合い、新作を生み出し続ける是枝裕和監督の最新作で、初の韓国映画となる【Broker】(原題)の邦題が『ベイビー・ブローカー』として、日本公開が2022年6月24日(金)より東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開決定。子どもを育てられない人が匿名で赤ちゃんを預けていく“赤ちゃんポスト”に預けられた赤ん坊を巡り出会っていく人々が描かれる、オリジナルヒューマンドラマです。あわせて公開されたポスタービジュアルでは、主演に抜擢されたソン・ガンホをはじめ、主要キャスト5人が一堂に会したビジュアルになっています。

あらすじ

古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ)と、<赤ちゃんポスト>がある施設で働く児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン)。ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨン(イ・ジウン)が<赤ちゃんポスト>に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。

一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジン(ぺ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)は、決定的な証拠をつかもうと、静かに後を追っていくが…。こうして、<赤ちゃんポスト>で出会った彼らの、予期せぬ特別な旅が始まる――。

引用:是枝裕和監督の最新作、カンヌ国際映画祭コンペ部門正式出品 6月に日本公開 クランクイン!(2022年)

監督、キャスト陣

現代社会やそこに生きる人々を鋭い視点と温かい視線で反映させ、[誰も知らない](2004)で主演に起用した当時14歳の柳楽優弥が第57回カンヌ国際映画祭において史上最年少・日本人初の最優秀男優賞受賞、[そして父になる](2013)でカンヌ国際映画祭の審査員賞受賞、さらに[万引き家族](2018)ではカンヌ最高賞であるパルムドールを受賞するという日本人史上4人目、21年ぶりの栄誉に選ばれ、続く[真実](2019)では、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークら海外の才能たちと手を取り合った是枝裕和監督。本作は、韓国の製作・俳優陣と長年温めてきたオリジナル企画を映画化しました。

[パラサイト 半地下の家族]のソン・ガンホが主演を務め、[MASTER マスター][新感染半島 ファイナル・ステージ]のカン・ドンウォン、是枝監督が2009年に手がけた[空気人形]に主演したぺ・ドゥナ、シンガーソングライター“IU”として活動するイ・ジウン、[梨泰院クラス]のイ・ジュヨンらが参加。イ・ジウンは、[マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~][ホテルデルーナ~月明かりの恋人~]などのドラマほか、いくつかの映像作品に出演していましたが、劇場公開長編映画への本格的な出演は本作が1作目となります。2022年5月17日(火)より開催の第75回カンヌ国際映画祭には4年ぶり、6回目となるコンペティション部門に選出されています。是枝監督の出品は8回目となります。

本ポスタービジュアル公開。

本ポスターは、赤ちゃんポストに預けられた赤ん坊を連れ去ったベイビー・ブローカーのサンヒョン(ソン・ガンホ)とその相棒ドンス(カン・ドンウォン)、2人の裏稼業を知ったことをきっかけに、彼らと共に養父母探しの旅に出ることになった赤ん坊の母親ソヨン(イ・ジウン)、彼らを現行犯逮捕しようと追いかける刑事のスジン(ペ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)の5人の登場人物が一堂に会し、全員が同じ方向を向きながらも、異なった表情をしている様子が描かれている。

引用:是枝裕和監督最新作「ベイビー・ブローカー」 本ポスター&仲睦まじいメイキングカット公開 映画.com(2022年)

予告編も解禁。

第75回カンヌ映画祭授賞式が2022年5月28日(日本時間2022年5月29日)、コンペティション部門に出品された、是枝監督初の韓国映画『ベイビー・ブローカー』に主演した韓国の俳優ソン・ガンホさんが、韓国人俳優として初の男優賞を受賞しました。また最高賞は逃したものの、独立賞の「エキュメニカル審査員賞」も受賞と2冠を果たしました。

韓国での赤ちゃんポストの事情

未婚や貧困など複合的な理由のある両親から乳児を一時的に預かる《赤ちゃんポスト》が、韓国ソウル市南部の冠岳区に開設されています。地元のキリスト教会の牧師の女性らが2009年冬に立ち上げ、これまでに2000人近くの幼い赤ちゃんの命を果敢に守ってきました。2022年5月17日に開幕したフランスの第75回カンヌ国際映画祭に出品された是枝監督が手がけた、初の韓国映画『ベイビー・ブローカー』のモデルになったと言われている施設です。

古い民家や商店が入り乱れる地域に、《赤ちゃんポスト》を経営する団体「主の愛共同体」の施設が存在します。保育や福祉士の資格を持ったスタッフ10人が24時間、交代で常駐し見守り。ポストの扉が開き「エリーゼのために」のメロディーが響き渡ると、常駐しているスタッフらが分担して赤ちゃんを保護し、《赤ちゃんポスト》を訪れた親に声をかけにいきます。今まで98%の両親に直接会いに行き、「あなたは赤ちゃんを捨てに来たのではありません。幼い命を守ったんですよ」と労い、相談も受けてきました。

団体の代表の牧師の女性は2020年に亡くなった長男が重度重視障害者だったので、障害者施設を立ち上げました。施設の玄関前に障害を抱えて生まれてきた赤ちゃんが置き去りにされる例が頻繁に起こり「いつか凍死する子が出て来るのでは」と苦慮。熊本県の慈恵病院や欧州などの先行ケースを取り入れ、韓国初の《赤ちゃんポスト》を完備しました。2010年3月に最初の赤ちゃんを受け入れて以来、今までに1978人を一時的に預かりました。

一時的に預かった赤ちゃんは健康状態や両親の家庭状況などに対応して、総合病院や特別児童養護施設、里親との養子縁組など向かう方向性が定められます。ですが、代表の牧師の女性らは赤ちゃんが実の両親の元に帰すことを最優先に実行していて、実際に17%が再び親元に帰っていったと話しました。

参考:韓国にも「赤ちゃんポスト」 是枝監督のカンヌ出品映画のモデルに 約2000人の命と母ら救う 東京新聞(2022年)

《赤ちゃんポスト》に子どもを預ける親は6〜7割が未婚で、2021年は20代が61%、30代が25%を占めています。女性は「未婚の母への偏見が強い。学生が子どもを産みたいと言えば、自主退学させられる雰囲気も問題」と考えます。

韓国の仕組み

韓国は子供が生まれたら、父親の姓を名乗るのが普通で、社会全体には子供が母親の姓を名乗ることへの理解が広がっていないことで、2008年に母親の姓を名乗っても良いとなったものの韓国で母の姓を名乗る子供はまだ少数です。

今はそうか分かりませんが、昔は亡くなって父親のいない家庭は兵役が免除されるなど、韓国にしかない仕組みもあります。

韓国はネット中傷とかで亡くなっている方も多いですし、偏見も多い国だと思います。《赤ちゃんポスト》は当初、「捨て子を助長する」との批判を受けました。今も韓国政府や自治体からの支援は受けられていませんが、近年の世論調査では支持率が8割を超えています。K-POPが世界で流行っている中、今回の韓国版の《赤ちゃんポスト》も見逃せない社会問題だと思いました。

関連サイト

noteでも書いています。よければ読んでください。

TANOSHIKA 翼祈|note

→HOME

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ABOUTこの記事をかいた人

左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。