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こんにちは、翼祈(たすき)です。
特にコロナ禍に入った2020年から、女性が困窮の為に、生理用品を買えない、『生理の貧困』という新たな社会問題が浮き彫りになりました。今そんな『生理の貧困』を解決しようと、学校や商業施設のトイレに、生理用品を無料で配布する整備などが加速しています。
そうした事例の紹介や、様々なデータの検証を通じて、この問題がどこからきているのかについて、突き止めていきたいと思います。
更なる経済格差で生理の貧困
経済的な理由などから生理用品が入手できない「生理の貧困」に関する初の実態調査が行われ、およそ1割が生理用品の購入や入手に苦労したことがあると回答しました。
厚生労働省によりますと、実態調査は今年2022年2月インターネットで行われ、18歳から49歳の女性3000人が回答しました。
それによりますと、「生理用品の購入・入手に苦労したことがよくある」、または「ときどきある」と答えた人は全体の8.1%でした。
このうち半数が生理用品の交換回数を減らしていて、トイレットペーパーなどで代用したと回答した人は43%に上りました。
生理用品の無償提供を受けた人は「入手に苦労したことがある」などと答えた人の17.8%にとどまっています。
「生理の貧困」について厚労省が実態調査をしたのは初めてです。
関連記事
“生理用品購入などに苦労” 10~20代女性の12%余 厚労省調査 NHK NEWS WEB(2022年)
生理の貧困、20代以下12%超 用品購入に苦労、厚労省が初調査 共同通信(2022年)
生理の貧困で初調査、20代以下12%が購入苦労 厚労省 日本経済新聞(2022年)
この様に生理用品購入などに苦労した経験のある方は、20代以下では12%超となり、若年層が目立つ結果となりました。このうち、居住地で自治体などによる無償配布が実施されているかを聞いた設問に「分からない」と答えたのが49.6%に上り、公的支援の情報にアクセスできていない現状が浮かびました。
経済的な理由と「生理は恥ずかしい」という認識
生理用品を手に入れることができない、いわゆる「生理の貧困」の日本の実態を調べるため国際NGO「プラン・インターナショナル」は2021年3月、15歳から24歳までを対象に生理がある人2000人を抽出してインターネットで行いました。
それによりますと、生理用品を購入または入手することができなかったりためらったりした経験について、
▼ないと答えた人が1178人で全体の59%だったのに対し
▼あると答えた人は717人で36%でした。
あると答えた人にその理由を複数回答で聞いたところ、
▼「収入が少ないから」が31%、
▼「高額だから」が25%と経済的な理由を挙げた人が多かった一方、
▼「自分で買うのが恥ずかしいから」が18%
▼「親に頼むのが恥ずかしいから」が7%
▼「親が買ってくれない」5%などとそれ以外を挙げた人が一定数にのぼりました。
経済的な理由以外にも「恥ずかしいから」と答えた人がおよそ2割に上ることがわかりました。
原因のまとめ
こちらのデータではおよそ4割の方が困った生理用品を購入または入手することができなかったりためらったりした経験をしており、収入の少なさや高額で買えないという経済的な問題以外にも、恥ずかしさから自分や人に頼んで買えないという心理的な問題が複雑に絡んでナプキンを手に入れにくい状況にある方が多いことがよく分かりました。また、公な支援の情報もナプキンが必要な方に行き届いていないことがわかりました。
関連記事
「生理の貧困」通じ 男女の相互理解を 朝日新聞デジタル(2022年)
ここからは各自治体の公的な支援の輪についてお伝えしていきます。
生理の貧困に支援の輪
経済的な理由で生理用品が購入出来ない「生理の貧困」が社会問題となる中で、青森県野辺地町の中学校では2021年7月、中学校内の女子トイレの個室に生理用品が完備されました。1つずつナプキンがファンシーな布や型紙で製作されたポケットの中に完備され、ポケットには「理由があって生理用品が手に出来ないあなたへ もしあなたが困ったときは、このナプキンをご使用ください。ナプキンの返却の必要はありません」とコメントが書かれています。野辺地町内でも2021年5月より中央公民館や図書館、体育館などのトイレにナプキンの完備を始め、町内の小中学校4校にも設置することに決定しました。
参考:「生理の貧困」支援の輪 学校トイレへの設置や無償配布 朝日新聞デジタル(2021年)
こうした状況から、自治体が公立学校や公共施設のトイレ、民間企業の商業施設でも生理用品を無料で配る動きが広がりました。
関連記事
「生理の貧困」支援広がる、学校や商業施設が無償提供 読売新聞(2021年)
保健室でナプキン手渡し→女子トイレに設置で使用は160倍に。学校での生理用品配布の「その後」 BuzzFeeD JAPAN (2021年)
「生理の貧困」ナプキンは保健室渡し?トイレ配備? 京都の学校の実態は 京都新聞(2021年)
OiTr(オイテル)
ウエルネスを事業領域とするスタートアップ企業のオイテル(東京都)は、商業施設やオフィス、学校、公共施設などの個室トイレで生理用ナプキンを無料で提供するサービス「オイテル(OITR)」を開始した。2021年8月下旬から、三井ショッピングパークららぽーと富士見のほか、横浜市、川崎市、東京都中野区、豊島区と連携し、同地域の公共施設などで順次導入する。
同サービスは、デジタルサイネージ広告が流れるディスペンサーを個室トイレに設置。利用者は無料のアプリをダウンロードし、アプリを起動した状態でスマートフォンをディスペンサーにかざすと生理用ナプキン1枚を取り出せる。2回目以降は初回の2時間後から利用でき、25日を期間とし一人につき最大7枚無料で取り出すことができる。収益は企業から募った広告収入で、提供する生理用ナプキンとシステム運営管理費は同社が負担する。導入施設の生理用ナプキンの在庫は、災害時には備蓄品として活用してもらう。
関連記事
学生の負担軽減に向け、生理用品ディスペンサー「OiTr(オイテル)」を設置 — 福岡女学院大学・福岡女学院大学短期大学部 AFP BB News(2022年)
そっと手渡される生理用ナプキン
「ひとりで悩んでいませんか」とのメッセージが入った名刺大の1枚の紙。女性用トイレなどにあるこのメッセージカードを持ち出し、兵庫県明石市の市役所などの所定の窓口で提出すれば、1カ月分を見込んだ生理用ナプキンがそっとその人に手渡されます。
兵庫県明石市が2021年4月、日本全国に先駆けて始めた生理用ナプキンの無償提供は、兵庫県内の各自治体にも浸透していっています。
窓口の一つ、明石市にあるあかし男女共同参画センターには、2021年6月末までに延べ149人が、生理用ナプキンを求め訪れました。明石市市内在住や在勤、在学の人たちが対象で、利用している者の年代はバラバラだといいます。
生理用ナプキンと一緒に、貧困による生活再建や元夫などからのDV相談機関を案内する紙も一緒に添えられています。支援を必要とする人の手にこの紙が届くことを祈って。
参考:そっと手渡される生理用ナプキン トイレにあるカード提示で 明石市 神戸新聞NEXT(2021年)
私も学生時代はいつ生理が来るかバラバラだったので、学校とかにナプキンを設置する取り組みが広がっているのは、凄く良い事だと思います。
また島根県や京都府でも、トイレの中にカードが置いてあるそうですが、課題などは山積みの様です。
島根県は2021年8月30日より、経済的困窮などが理由で生理用品を手に出来ない女性を対象に、島根県内の市町村の社会福祉協議会や女性相談センター、児童相談所、保健所などで生理用品計7千パックの無償配布をスタートさせました。生理用品を受け取りたいと言い出しにくい人に配慮し、各無償配布設置場所に置いてあるチラシや専用カードを専用窓口に提出すれば、紙袋入りの生理用品1パックを手渡しされます。
参考:生理の貧困、島根県が対策 言えなくてもカード示せば 朝日新聞デジタル(2021年)
京都市が生理用品の無償配布をスタートしたのは2021年7月。京都市内の社会福祉協議会など23窓口を中心に計1万パックの生理用品を無償配布で用意しました。ただ2021年8月末までの2カ月間の困っている女性への生理用品の無償配布の数は、NPO法人から無償配布した分も合わせ2100パック程度で留まっています。一部の専用窓口は緊急事態宣言中では閉鎖がされ、特に専用窓口での生理用品の無償配布が整備出来ていないといます。
参考:市の施設になぜ山積みのナプキン? 「生理の貧困」支援進まぬ背景は 京都新聞(2021年)
ここで別のライターさんが書かれていた、『生理の貧困』の記事についてもご紹介します。
私は生理とは20年以上のお付き合いですが、
私は10歳の時から生理があっているので、もう20年以上のお付き合いですね。初めてなった日はまだ学校でも習っていなかったので、知識がなくて「身体がおかしくなっちゃったのかな…」という意味の恥ずかしさで泣いてしまいましたね。1回だけ学校で生理が来て、後から借りたので新しいのを買って持っていきましたが、ショーツと生理用品が保健室で貰った事がありましたね。
私の場合の貧困は、とにかく出血量が多いので、生理中はずっと長さのある夜用しか出来ず、その分買う時に生理用品が通常の長さより高くなるという事でしょうか。私は出血量が多い分代用は出来ないので、お給料入ったら、まず生理用品を買うお金は先に分けています。私が子どもの頃は全然進んでいなかった支援の輪、これからもどんどん生理の貧困の支援の輪が同じ女性として広がって欲しいですね。
関連記事
生理用品はトイレットペーパーと同じに NHK NEWS WEB(2021年)
「お金はないのに、生理は来る」女性追い詰める生活苦 届き始めた声 見守る社会に 宇都宮「つなサポ」 下野新聞(2021年)
「生理の貧困」コロナで深刻 中国地方、悲痛な声に無償配布の輪も 中國新聞(2021年)
古着を切って二重に…生理用品を毎月手作り、娘は恥ずかしいと泣いた 朝日新聞デジタル(2021年)
「生理は隠すべきもの」をデザインで変える 蜷川実花さんブランドとコラボ商品が誕生 ハフポスト(2021年)
「生理の貧困」に救いの手 大分市のすみれ学級、子ども食堂で無料配布 大分合同新聞(2021年)
NYタイムズで優秀商品を受賞「生理の貧困」を救う吸水ショーツ Forbes(2022年)
いつ生理になっても安心を ナプキンを市役所トイレで無償提供 専用アプリで取り出し 三田 神戸新聞NEXT(2022年)
子供に生理の正しい知識を トイレにナプキン、使い方の張り紙も 毎日新聞(2022年)
灘高で「生理」の授業、講師役は甲南女子大生ら 彼氏、彼女役で意見交換「心配しているって伝えたい」「それうれしいな」 神戸新聞NEXT(2022年)
「生理用品はトイレにあって当然の備品、貧困対策じゃない」大学生が無償提供通じて調査、卒業研究に 神戸新聞NEXT(2022年)
空港の生理用品入手場所をピクトグラムで伝える 東海 NEWS WEB(2022年)
ピクトグラムで生理用品のあるトイレ場所示す 中部空港、大学と協力 毎日新聞(2023年)
noteでも書いています。よければ読んでください。
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