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「ご対面番組」
最近ではあまり見かけないが、中高年に絶大な人気のいわゆる「ご対面番組」がレギュラー放送されているときがあった。
世の中にはなんらかの事情で両親に育ててもらえず過酷ないじめ、虐待を受けて育った方々がいる。その方々が番組で肉親や恩人を探してもらって涙のご対面を果たす番組だった。
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家族3人で番組を見ていた
その当時、まだ生きていた父と、母と私の家族3人で番組を見ていた。私たち家族はささやかではあるが幸せに暮らしているので、恵まれた環境にいることを感謝しなくてはならないねと父と母が言っていた。そして、世の中にはそんなに悪い人ばかりではない、大半が優しい人々であると番組の司会者が言っていた。私たち家族もうんうんと頷いて、人には優しくしないといけないねとお互いに言い合っていた。
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家のチャイムが鳴った
番組が終了したタイミングで、家のチャイムが「ピンポーン」と鳴った。
こんな時間に誰だろうと訝しながら母と私で玄関の扉を開けると、そこには、男の人なのか女の人なのか、若いのか歳をとっているのかわからない、とにかくなんだか気持ちの悪い人が一人立っていた。その人が言うには、ある慈善団体に寄付をしてほしいという話だった。母と私は、「ウチはそのようなことにはかかわらないことにしているので」と言ってとにかく帰ってもらった。
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?マークが浮かび上がった
私と母の二人の頭の中に大きな?マークが浮かび上がった。あれは一体なんだったのだろう?その2、3秒後にハッと気づいた。もしかして、あの人は私たちがそのご対面番組を見ていることを玄関越しでうかがい知って、人が良心的になったところをつかまえて寄付を集めようとしていたのではないか。人の優しさにつけ込むそのやり口になんだか嫌な気持ちになった。
後日、番組終了時に慈善団体を装った人物が寄付を募って自宅を訪問する詐欺まがいが横行していることをニュースで知ったのだった。
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「情けは人の為ならず」
「情けは人の為ならず」の意味は、
他人にかける情けは、その人のためになるだけではなく、めぐりめぐって、やがて自分のためにもなる。
引用:コトバンク
本来はそういう意味である。もともと仏教の因果応報の教えであった。
しかし、
近代になって都市化とコミュニティの崩壊が進行すると、しだいに理解しにくいものとなりました。現代では、語法自体も古めかしくなり、「為ならず」を「為にならない」と誤解し、なまじ人に情けをかけると相手のためにならないと解釈する人のほうが多くなっています。
引用:コトバンク
まさに、複雑化した現代では「情け」は誰にかけていいのかわからない社会になっている。そもそも「情け」なんて人にかけている場合ではないのかもしれない。全く世知辛い世の中ですね、と言いたい。
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