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はじめに
メラビアンの法則を学んで円滑なコミュニケーションを!!
でメラビアンの法則をご紹介しました。もっとコミュニケーションを深めるために傾聴する技術について解説していこうと思います。
パーソナルスペース
心理学者のロバート・ソマーが提唱したパーソナルスペースとは、対人距離とも呼ばれ、他者が自分に近づくことを許せる限界の範囲、すなわち心理的縄張りのことです。この縄張りは持ち運び可能で、その中心に自分の体があり、勝手に他者が侵入してくると不快感を覚えます。つまり、防衛本能が動いている状態になります。パーソナルスペースには個人差があり、相手との関係性やその場の状況によって変化します。動物はなわばりを守るために戦いますが、人間の場合、パーソナルスペースに他者が侵入したときには、自分が引き下がることでこれを守ろうとします。
アメリカの文化人類学者、エドワード・T・ホールは、人のパーソナルスペースを4つに分類しました。
画像引用
https://note.com/peoplepersons/n/nb5efe8184928
密接距離(15~45㎝)
密接距離とは,身体が接触できる程度を表す距離です。家族や恋人など極めて親しい関係性の人が入ることを許される範囲となります。この距離は特に会話をするというよりも、配偶者や恋人へのスキンシップや子供を抱きしめるなどの保護が容易にできる範囲内のことです。
個体距離(75〜120㎝)
個体距離とは、お互いの表情が読み取れる距離感でありながら、自分と相手が手を伸ばせば触れることができる広さです。友人や会社の同僚など親しい人であればここまで入っても不快にならないことが多いです。レストランやカフェでテーブル越しに話すくらいの距離感です。
社会距離(210〜360㎝)
社会距離は、会社の業務などで同僚や上司、取引先などと接するときにとられる広さです。机ごしの対面での商談などがあげられます。仕事の会議や打ち合わせなど、ビジネスや形式的な場面でよく使われる距離感です。相手に触れることができない距離です。
公衆距離(360〜750㎝)
公衆距離は、演説、講演会など公式な場で見られ、話す側と聞く側の間に必要とされる広さです。自分と相手との関係が公的な関係にある時に用いられます。相手の顔や表情がよく見えず、一方的に話すことは可能ですが、(相互の)コミュニケーションを成立させることが難しく、もちろん個人的なやりとりをすることができない距離間です。
相手との関係性により、適切な距離を取ることで話しやすい雰囲気になります。
座る位置を考える
相手のお話を聴くとき、あなたはどの位置に座りますか?座る位置によって、相手に与える印象が変わってきます。
① 正面に向かい合って座る。
正面に座るメリットは
相手をよく観察できること。表情や視線を情報としてキャッチすることが出来る点です。正面に座ることで、顔や目線から読み取ることのできる情報が非常に多く相手の感情と表情の連動などを洞察することが可能となります。
正面に座るデメリットは
緊張状態を促進してしまう。特に初対面で相手の緊張状態を促進してしまうと、話しをし辛くなってしまうという致命傷になりかねません。緊張感を伴ったコミュニケー ションを図りたい時などには有効になります。
代表例 就職面接
② L字に座る。
L字に座るメリットとは?
相手の目線がずっと合うことはなく、自然な会話を生みやすいです。また、会話のなかで表情を見たいときには表情を見ることができます。相手の緊張状態は和らぎやすく、コミュニケーションがスムーズになります。また、適度な距離感にいることにより安心が生まれやすくなります。
L字に座るデメリットとは?
正面に座る場合に比べるとどうしても視線や目の動きなどの表情を洞察することが難しくなります。また、机の大きさによっては距離が近くなり過ぎることがあるため、パーソナルスペースに敏感な人には不向きな面もあります。
代表例 カウンセリング
③ 隣に並んで座る。
隣に座るメリットとは?
真横に座ることにより、相談をする側が視線のプレッシャーを全く受けることはなく、お互いが同じモノを見ることが可能となります。距離感が縮まる位置関係になるので、より共感を得ながらコミュニケーションを図ることが期待できます。
隣に座るデメリットとは?
真横に座るという距離は彼氏・彼女などの恋人や夫婦などの座り位置です。その距離感を感覚的に理解している人は多いです。そのため、この座り位置そのものに違和感を感じる人もいます。信頼関係が十分に築かれて いない場合は、相手に意図しないプレッシャーをかけてしまったり、共感を得られないまま会話が平行線で 終わってしまうということもあります。親密な関係を作るには最適な方法ですが、相手との関係性などを考 慮する必要があります。
代表例 恋人同士
視線、表情・姿勢、うなずき・あいづち
視線
視線は凝視するのではなく、「聴いていますよ」というメッセージが相手に伝わるくらいの感覚で時々視線を外すと良いでしょう。
表情・姿勢
眉間にしわを寄せたり、腕を組んだりといった表情や姿勢は、相手に「恐い」などの印象を与えてしまう場合があります。相手が安心して話ができるように、やや前屈みのリラックスした姿勢や表情で、聴くようにしましょう。
うなずき・あいづち
うなずき・あいづちは良い聞き手になるための基本となる動作です。そして、人が使う一番短い言葉でもあります。相手が話すことを励ますために効果的なうなずき、あいづちは一言で説明するのは難しいのですが、相手の呼吸に合わせたうなずき、あいづちを心がけましょう。
話し手にとって、「聴いてもらえる」「自由に安心して話すことができる」と印象を与えられるうなずき・あいづちを行うと良いでしょう。
閉ざされた質問、開かれた質問
質問は、閉ざされた質問と開かれた質問に分類されます。
閉ざされた質問は、「はい」や「いいえ」だけで答えられる質問です。情報の確認を行うときなどに用います。
開かれた質問は「どのように〜?」や「何を〜」、「なぜ〜?」と尋ねたり、「それについてもう少し詳しく話してくださいませんか?」といった表現を用いるものを指します。
例えば
「あなたはアイスクリームが好きですか?」
と聞かれたら、「はい」か「いいえ」で答えられます。これは「閉ざされた質問」です。
「あなたはアイスクリームのどんなところが好きですか?」
と聞かれると、「甘いところ」とか、「冷たいところ」など返答することができます。相手の自由な発想が展開できるように期待するときには「開かれた質問」をします。
自分からあまり話をしようとしない相手に対して、最初から矢継ぎ早に「閉ざされた質問」をしてしまうと人によっては尋問されているように感じ、ますます口を閉ざしてしまう可能性もあります。聴き手も心の余裕を持ってじっくり待つことも必要になるでしょう。
一番困ることはなんですか?
「一番困ることはなんですか?」
私の主治医はこの質問をよくします。これを言われて、今、自分が何に一番困っているかをシンプルに考えることができます。問題が整理されれば、具体的な対応策が自分で見つかることもあります。そして、相手に何を助けてほしいのかもわかってきます。
クレーム対応も「お客様が一番お怒りになっていることはどんなことでしょうか?」と率直にシンプルに聴くのもいいかもしれません。クレーム対応の基本はお客様の心情の理解です。怒れるの気持ちを十分に聴きとり、理解した上で、解決策を提案する流れに持っていくと対応がしやすくなると思います。
映画を観るようにお話を聴こう
臨床心理士さんから聞いたお話を聴くコツ。「まるで映画を観ているようにお話を聞く」というのは、相手が話す内容を具体的に映像として想像することにより詳細に相手の気持ちや、そのときの行動がわかり、お話を広がりを持って聴くことができます。
例えば、みかん農家での収穫のお話を聴くとき、その様子を想像しながら聴きます。
私 「みかんはどうやって収穫するのですか?」
農家「手でもいで収穫するよ」
私 「高いところのみかんはどうやってもぐのですか?」
農家「二股に分かれた孫の手みたいなものでもぐよ」
私 「もいだみかんはどうやって運ぶんですか?」
農家「段ボールに入れてトラックで運ぶよ」
などのように、私は樹木になったみかんを想像しながらお話を聴いていきました。その上で質問を考えていきました。農家の方のお話により、みかんが一つ一つ丁寧に手で収穫され、高いところも便利な道具を使って収穫する様を聴き取ることができました。
終わりに
以上のように、ノンバーバル(非言語)コミュニケーション、バーバル(言語)コミュニケーションを活用しながら、話す相手とラポール(信頼関係)を形成し、リラックスしてもらうことで相手の本心、本音を聴くことができると思います。
その情報をもとに具体的な対応をすることであらゆる問題解決の糸口が見つけられると思います。
皆さんも円滑なコミュニケーションのためにご活用ください。
参考サイト
note 海外では当たり前の「ソーシャル・ディスタンス」は日本で守られているのか
医療法人社団 平成医会 パーソナルスペースから学ぶコミュニケーション法
ウェルビー「well-being」 カウンセリングで座る3つの位置について
聴効聞利訊 きくひとネット うなずきあいづちのポイント(意味、効果、練習法)
コミュニケーション 向上委員会 コミュニケーションが生まれる場づくり3
In source クレーム対応の勘所 誰もが知りたい4つのこと
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