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こんにちは、金次郎です。
去年、自身のSNSやツイッターに誹謗中傷発言が相次いで書き込まれ、それが元で精神的に不安定になり自殺してしまった女子プロレスラーの事を記事にしました。
ネットへの投稿(書き込み)は、慎重に
事件から1年経ってようやく担当官庁の動きが有りましたので書いてみたいと思います。
事の起こり
去年書いた記事にもある様に、彼女は少し気の強い方でして共演者の態度に不満を抱いては、共演者を罵る発言を番組内でしていました。
なので番組を見ている視聴者から、放送局に彼女を批判するコメントが相次ぎます。
その後、彼女自身のSNSやツイッターにまで批判コメントが書き込まれる様になり、やがてそれは批判から根拠のない誹謗中傷発言へと変わって行きました。
減らない誹謗中傷書き込み
当時総務大臣をしていた高市早苗氏は、自殺事件にまでなった事を重く見て「匿名投稿者の特定を容易にできる様に法改正をします。」と明言しました。
この事件以前からも、警視庁ではインターネットの普及に伴って増えている「詐欺や悪徳商法」・「迷惑メール」・「名誉棄損発言」等の相談を受けていましたが、法律の整備が進んでおらず人権侵害の温床になっていました。
大手プロバイダのBIGLOBEは、2020年に「withコロナ時代のストレスに関する調査」と題して、20代~60代の男女1,000人(そのうちSNSを利用している770人)を対象に調査しました。
その調査結果で下記のような結果が出ました。
「SNSで他者から誹謗中傷をされたことがありますか」では、全体は「よくある」4.5%、「たまにある」13%だったが、20代は「よくある」10%、「たまにある」18.9%で、全体平均を上回った。
「SNSで一般人に対して誹謗中傷をしたことがありますか」では、全体は「よくある」3.8%、「たまにある」3.2%だったが、こちらも20代が高く、一般人に対しては「よくある」7.8%、「たまにある」7.2%と倍以上の数値を示している。また40代も高い数字を示している。この傾向は「著名人」を対象とした場合でも変わらず、20代が最も高く、それに40代が続く。間にはさまれた30代が低いのが興味深い。
引用:(Impress)SNSで誰かを誹謗中傷した経験、20代が最多でそれに40代が続く【ビッグローブ調べ】
関係省庁の動きと諸外国の現状
これらインターネット上での誹謗中傷発言が多発して、事件まで起こっている事を重く見た法務省は、刑法の侮辱罪を厳罰化し、罰金刑に加えて懲役刑を導入する方針を固めました。
罰則の引き上げに伴い、公訴時効も現状の1年から3年に延ばします。
これはネット上の投稿は加害者の特定に時間がかかり、1年では摘発できないケースがあるからです。
実際、上記女子プロレスラー自殺事件では、誹謗中傷発言をした人の特定に時間がかかり、公訴できたのは2人だけで刑罰も9000円の科料(罰金より軽い刑罰)のみにとどまりました。
これを今後は「1年以下の懲役又は禁錮」と「30万円以下の罰金」を追加します。
ただし、ここで注意しておきたいのは「中傷発言の定義をどの様に決めるのか?」です。
余り規制を厳しくすると「言論弾圧」と言うか、第二次世界大戦前の帝国主義時代の日本の様に政府や軍のやり方を批判すると、刑務所に入れられてしまうみたいな自由に発言できない国になってしまいます。
海外諸国でも、ネットでの誹謗中傷発言にどう対処するか悩んでいます。
ドイツでは「ネットワーク執行法」と言うのが出来ましたが、SNS事業者による投稿の過剰な削除が起きることや表現の自由が阻害されることが懸念されています。
フランスでは事業者に違法コンテンツの削除を義務付けましたが、違憲判断がだされた為、削除義務は放置されたままです。
アメリカはトランプ大統領時代に言論の自由は民主主義の根幹と言う事で「事業者によるオンライン検閲の防止」と言う大統領令が出されました。
どこの国でもソーシャルメディアへの監視が、表現の自由を必要以上に抑圧する可能性があると言う事で、十分な法整備が進んでいないのが現状です。
ネットでの誹謗中傷に遭った時の相談窓口
では、インターネット上で誹謗中傷発言をされてしまった場合、どこに相談すれば良いでしょう。
1・こころの健康相談ダイヤル(厚生労働省)
こちらでは、本人はもちろん家族や周囲の人などが気軽に相談できる公的な窓口です。
2・みんなの人権110番(法務省)
差別や虐待・パワハラなど、色々な人権問題について相談できます。法務省職員又は人権養護
委員が対応します。
3・違法・有害情報相談センター(総務省支援)
インターネット上の誹謗中傷・名誉棄損やプライバシー侵害などの書き込みへの対応や削除
方法などについて案内しています。
・ ネット中傷に悩んでいるあなたへ
https://news.yahoo.co.jp/pages/internet_slander
終わりに
私も、個人的に入会しているSNSで、ニュースに対してコメントを書いていますが、特定の人物や団体を批判しない様に、書いた後に読み直してみて「大丈夫だな」と確認してから「投稿」ボタンを押しています。
現代はスマートフォンが爆発的に流行っており、今までインターネットなどした事なかった人まで色々なサイトにアクセスしています。
なのでネット上の書き込みルールを知らない(利用規約も読まない)で、自分の意見を投稿している人が物凄く増えました。
刑罰厳罰化施行の前に、一度「インターネットでの書き込みルール教室」みたいな催しかテレビ番組放送を行わないと、違反で取りしまわれてしまう人が多く出てしまいそうで心配です。
参考元
・(読売新聞オンライン)【独自】ネット中傷対策、侮辱罪に懲役刑導入へ…テラハ事件では科料わずか9千円
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210829-OYT1T50260/
・(誹謗中傷相談室)対策会社の台頭によりどう変わる?~誹謗中傷対策&検挙件数
https://goa-support.co.jp/market.php
・(Impress)SNSで誰かを誹謗中傷した経験、20代が最多でそれに40代が続く【ビッグローブ調べ】
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