母と暮らせば〜認知症の母との日常〜

認知症

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お世話好きな母

私の母は大変お世話好きです私が小学生の時、朝は歯ブラシに歯磨き粉をつけて用意してくれました。私は「我ながらウチのお母さんは過保護だなぁ」と思いながら歯ブラシを口に入れて歯を磨き出します。「なんかいつもと味が違うなぁ」と思いながら歯を磨いていくと「口の中で泡が爆発した!!」と思った途端にビール瓶の栓を抜くように泡をピューと吐き出す羽目になりました。母は歯磨き粉洗顔フォームを間違えていたのでした。

そのお世話好きは認知症になってからも変わりません。母は泡の出るハンドソープを詰め替えてくれます。そのハンドソープを使っていると「なんか手が荒れるなぁ」と思い、蓋を開け、中を見てみると緑色の液体が入っていました。「なんだこれは?」と思っているとそれは台所用洗剤でした。

シャンプーリンスも詰め替えてくれます。どっちがシャンプーでリンスがわからないほど混ざってしまっていますが私はそんな細いことなど気にせずそれを使っています。

これが認知症の母との生活の一幕です。

認知症とは?

認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。認知症にはいくつかの種類があります。

アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症です。症状はもの忘れで発症することが多く、ゆっくりと進行します。

次いで多いのが脳梗塞や脳出血などの脳血管障害による血管性認知症です。障害された脳の部位によって症状が異なるため、一部の認知機能は保たれている「まだら認知症」が特徴です。症状はゆっくり進行することもあれば、階段状に急速に進む場合もあります。また、血管性認知症にアルツハイマー型認知症が合併している患者さんも多くみられます。

その他に、現実には見えないものが見える幻視や、手足が震えたり歩幅が小刻みになって転びやすくなる症状(パーキンソン症状)があらわれるレビー小体型認知症

スムーズに言葉が出てこない・言い間違いが多い、感情の抑制がきかなくなる、社会のルールを守れなくなるといった症状があらわれる前頭側頭型認知症といったものがあります。

引用:厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス

 https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html

私の母は、アルツハイマー型認知症レビー小体型認知症の症状が合わさっていると診断されています。

炊飯器の形

認知症の症状に「幻視」や「もの盗られ妄想」があります。ウチの炊飯器は数年前から同じものを使っているのですが、母に言わせれば前より形が変わっていると言います。

これは幻視により、ものの形や色がおかしく見えているそうです。前より形が薄くて今よりずっと「いいやつ」を使っていたと言います。その「いいやつ」は泥棒が家に入って持っていって、「よくないやつ」とすり替えていったと言います。

私の家はかなり以前ですが本当に空き巣に入られたことがあり、母の中では泥棒の存在はリアリティがある事実として認識されているようです。私は「なんだそりゃ?」と思いますが「そうねーおかしいねーなんでだろうねー」って言ってます。

いろいろなものを無くす

母はいろいろなものを無くしてしまいます。家に泥棒が勝手に出入すると思っているので貴重品ほど大事にしまって、というか隠してしまいます。田舎の無駄に広い家でそれをされてしまうと迷宮入りです。

家族全員分の銀行通帳が無くなってしまい、家の外で無くした可能性も捨てきれないので、銀行に連絡して口座をいったん凍結してもらいました。そして、通帳を再発行してもらいました。

家の権利書をなくしたときは、法務局に行き、第三者に悪用されていないか確かめに行きました。現在では、不動産の所有権は番号で管理されているので権利書が無くても大丈夫だそうです。

新聞代を支払うとき、私が用事で不在であり、細かいお金がなく、母に一万円を預けていました。それを無くしてしまったことがあります。その一万円はのちにコタツ机の天板の下から見つかりました。そして、先に述べた銀行通帳家の権利書も押し入れや、箪笥の奥から見つかりました。

貴重品は家に置いておくと母が勝手に隠してしまうので今では銀行の貸金庫の中に保管しています。

否定よりも肯定を

私も以前は「そんな泥棒はいないよ、大丈夫だよ」と母の言動をやんわりと否定していました。しかし、母は「泥棒が入ってきている」と言って譲りません。終いには顔を真っ赤にして怒り出します。私もだんだんヒートアップし、無理矢理にでも「そんな泥棒なんていない」と話を打ち切ろうとします。けれども、母の妄想は止まりません。理屈の通じない相手を黙らせようとするならば、手を出すしかないと一瞬考えます。ああ、人はこうやって虐待するのだな」と思いました。

だんだんと母の被害妄想を否定しても、母の不安感は消えることがないと気づきました。むしろ、いっそう母の考えを混乱させてしまいます。

今は「そうねぇー、おかしいねーなんでそんなことするのかねー」と一緒になって不思議がり、肯定することにしました。母の妄想を強化してしまいますが、母の気持ちは落ち着いていきます。

母は褒めて伸ばそう

母の脳内は認知症でおかしくなってしまったところとまだまだ正常に機能しているところがまるでマーブル模様のように完全に混ざり切ることなく両方存在しています。

私は、今の言動はおかしくなったところが反応しているなとか、今の言動はまだまだ正常に機能しているなと母の行動を判断し、それに合わせて行動するようになりました。なるべく母の自尊心を傷つけない様に、できることを見つけたら「さすがお母さん!!」と言うようにしています。そうすると母の心は落ち着いていきます。そうするともの盗られ妄想も少しやわらぎます。それにより私の負担も少なくなります。

母はいくつになっても私のお世話をしたいと言います。まあ、余計なお世話と感じることも多いのですが、いつまでも元気にお世話をしてほしいと思います。

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2 件のコメント

  • 親の認知症でたくさんのことを学ばれたようですね。これからもすてきな思い出を作ってあげてください。

    • かすみそうさん コメントありがとうございます。母は認知機能は低下してしまいましたが、気持ちの部分は全く変わっていません。母は母です。それがわかってくるとできないことが増えて歯がゆい思いをしていることも理解できるようになります。

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