ネットへの投稿(書き込み)は、慎重に

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こんにちは、金次郎です。

 女子プロレスラーの木村花さんが、先月5月23日に自宅マンションで亡くなりました。
 享年22歳と言う若さです。
 木村さんの母親が娘と連絡が取れなくなった事を心配し、娘の住むマンションを訪ねると心肺停止状態でベッドに寝ている娘を発見。
 直ぐに救急車で病院に搬送されましたが、亡くなっている事が確認されました。
 その後の調べで、リビングに遺書らしき物と毒性の強い薬剤の容器も見つかりました。
 木村さん死亡のニュース直後から「ネットへの、この書き込みは名誉棄損に当たりますか?」とか「匿名サイトに書き込んだ人物を特定する事は可能ですか?」などの相談が多数よせられていると、弁護士事務所の職員が語ります。
 名誉棄損は法的罰則のある犯罪ですから、今回の件を踏まえて高市早苗総務大臣はインターネットの「プロバイダ責任制限法」の改正をする意向を示しています。
 あなたは自分の書き込みが「もしかしたら人を傷つけるかも」と言う事を考えてネットに投稿(書き込み)していますか?

木村花さんと、彼女の言動

 木村花さんの母親も元女子プロレスラーでしたので、母親は娘の花さんにもレスラーになる様に勧めていました。
 花さん自身はダンサーに憧れていて、中学生の時にダンスユニットに所属しますが、高校を中退した頃にプロダンサーになる夢を諦めて、母の薦めに従って女子プロレスの専門学校に入学します。
 2016年に女子レスラーとしてデビューし、同年9月には優勝までしますが12月に行われた試合で負傷し2017年年始の試合は欠場します。
 レスラーデビューと同時に、芸能事務所にも所属し芸能活動も始めました。
 その時出演していた「男女で共同生活をする模様を見せる番組」内で、相方の男性が、洗濯機の中に、木村さんが取り出し忘れていたプロレス用ユニフォームが入っていたのに気づかず、自分の洗濯物を入れて洗濯し乾燥機で乾燥させると言う事が発生。
 コンビを組む前から、この男性の不真面目な行動が気に入らなかった木村さんは、縮んで着られなくなったユニフォームを見て不満の限界に達し、ここぞとばかりにあらゆる罵詈雑言で男性を罵倒します。
 スタジオでその模様を見ていた司会者や他のメンバーも、「これは・・・」と言葉を失っていました。
 この事件の約3ヶ月前の放送辺りから「木村の態度や言動が気に入らない」と言う視聴者からの批判投稿はしばしばありましたが、事件の放送回を境に木村さんを批判する投稿が急激に増えます。
 最初は本人のSNSやツイッターに「番組を辞めろ」とか「態度が悪い」と言う批判投稿だけでしたが、やがて母親のツイッターにまで批判の投稿が相次ぐ様になります。
 その批判投稿が徐々にエスカレートして行き、最近は木村さんへの批判では無く根拠のない悪口の誹謗中傷投稿へと変わって行きました。

故に、精神不安定になっていく

  携帯端末を開くと、毎日100件以上来ている誹謗中傷の投稿を見て、木村さんはだんだんと精神的に追い詰められて行きました。
 女子プロレスの関係者によると「最近は精神的にまいっている様で、自殺未遂も何回か行っているのを確認しています」と言います。
 さらに「ある時、自分のブログに血だらけになった自分の写真を載せたりするなどの異常な行動もあり、精神的に追い詰められていた事がうかがえます」と続けます。
 (現在木村さんのブログから、その写真は削除されています。)
 そして遂に、5月23日には母親に宛てたと見られる「産んでくれてありがとう」と書いたメモ紙を残して本当に自殺してしまいました。

海外メディアでも取り上げられる

 木村さんの自殺は、海外のメディアでも取り上げられました。
 イギリスの公共放送局BBC(英国放送協会)をはじめ、アメリカの新聞ワシントン・ポストや経済紙のフォーブスにまで「ネットいじめ」と題して事件を取り上げられており、ネット上の誹謗中傷に対して抗議の声が上がっている事や、木村さんに対して哀悼の意を表す声も同時に載せています。
 問題となった番組ですが、木村さんの自殺報道を受けて、次週に放送するはずだった回を急遽放送中止にしまして、番組を制作していたテレビ局内では協議の結果、木村さんの死から5日後には番組自体の打ち切りを決めました。

日本政府および業者の対応

 先出しの高市早苗総務大臣は、記者会見で「匿名で人を中傷する行為は、人として卑怯で許し難い」と語り、匿名投稿者の特定を容易にする法改正を実施すると発表しました。
 同じ日に、SNS事業者で作る一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構も「SNS上での嫌がらせや名誉毀損などを禁止事項として利用規約に明記し、行為を把握した場合、アドレスの利用停止などの措置を徹底する」と発表。
 加えて「法的に求めがあれば、適切な範囲で必要な情報を提供する」とも述べました。

ネット投稿(書き込み)の際の注意点

 インターネットが研究されていたのは、以外と古く1960年代にアメリカ国防総省が大学と共同で国防システムの為にと研究開発していたのが始まりです。
 商用利用して良いと民間に解放されたのは1988年です。
 解放当初は、無記名で誰でも好きな事を自由に書けて色々な情報交換ができると言うのが最大の売りでした。
 2000年には、YouTubeFacebookTwitter等がサービスを開始し、それらが大流行し、インターネットを使ってのコミュニケーション活動が世界中で活発化しました。
 しかし、活発化して行くにつれて情報交換の書き込みを書く人と同時に「特定の個人を攻撃」する書き込みを行う人も増えていきました。
 上で「好きな事を自由に書ける」と書きましたが、だからと言って「何を書いても構わない」と言う訳ではありません。
 相手の嫌がる事や名誉を傷つける投稿(書き込み)は、ネット上ではマナー違反で、場合によっては名誉棄損罪で告発されます。
 私が利用しているSNSにも、利用規約の「禁止事項」に以下の様に書いてあり、違反すると、強制退会もしくは利用停止処分になります。

 「弊社もしくは他者を不当に差別もしくは誹謗中傷し、他者への不当な差別を助長し、又はその名誉もしくは信用を毀損する行為。」

 仲良しの友人同士であれば「お前の為に、注意してやっているんだぞ」で済む様な投稿(書き込み)も、例え「これは許しがたい不正だ」と思って正義感で書いた投稿(書き込み)で、事実を書いていたとしても、公共の利益を阻害していると判断された場合は、名誉棄損罪になる場合があります。

刑法第230条1項
 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処す。
 ただし、以下の条件を満たせば処罰されないとしています。

刑法第230条の2第1項
 〈1〉公共の利害に関する事実についての意見や論評であること
 〈2〉意見や論評の表明の目的が専ら公益を図ることにあること
 〈3〉意見や論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があること

 特に〈3〉が重要で「真実か?否か?」についての判断が行われます(昭和43年1月18日最高裁決定)。

 平成22年の裁判で出た判例です。
 「個人がインターネット上に載せた情報であるからといって、おしなべて、閲覧者が信用性の低い情報として受け取るとは限らない」ことを指摘し、「確実な資料、根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り、名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当であって、より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきものとは解されない」としています(平成22年3月15日最高裁決定)。

 私がインターネットを始めた頃は、携帯端末など有りませんでしたので、インターネットを楽しんでいる人はパソコンが使える人のみでした。
 それが、初代スマートフォンが発売された翌年の2008年から、スマートフォンが爆発的に普及し、それに伴って携帯端末からインターネットをする人が急激に増加します。
 必然的に、インターネットへの投稿マナーを知らない人(利用規約を読まない人)が急激に増えて、今回の事件の発端になるような誹謗中傷投稿を平気でする人も増えたのだと思います。

終わりに

 日本でSNSの先駆けとなったのは、2004年サービス開始の「mixi(ミクシィ)」です。
 開始当初は、既に入会している人から招待を受けないと入会できない「完全招待制」のサイトでした。
 これ以前で誰でも書き込めるサイトですと、1999年にサービスを開始した「2ちゃんねる(現:5ちゃんねる)」と言う掲示板サイトも有り、私も「宝くじ掲示板」や「九州掲示板」・「ハンディキャップ(障害者)掲示板」等を見て情報交換しています。
 しかし、こちらの掲示板サイトは、例えば「九州掲示板」の中だけでも話の目的別に585個も掲示板があり、サイト管理人すら全ての掲示板の書き込み内容を把握できず、度々問題を起こしています。

(例:2000年に起こった「西鉄バスジャック事件」の犯行予告書き込み)

 その後も、この犯人を模倣する様な「犯行予告」の書き込みが続いた為、現在では利用者同士で注意をし合い「その書き込みは違反だよ」とか、悪質な書き込みを止めない人には「運営に通告しました」等の警告をしています。
 しかし、先に書いた様に現在はスマートフォンで手軽に発言を投稿(書き込み)できるサービスが沢山有りますので、最近の若者はあまり「5ちゃんねる」には興味を示さない(文章が変・事実と違う・マナー違反・犯罪予告等を注意される事を嫌う)様でサイト利用者の高齢化が指摘されています。
 それ故に、自己流で気が向いたまま自分の思いを投稿したい若者は、誰にも注意されない投稿サービスを選んで、自分の思いを書き込む様になったのだと思います。
 今回の事件も、被害者本人以外誰にも注意されない事を良い事に、誹謗中傷の投稿を続けたのでしょう。

 今、日本の警察にはインターネットのトラブルを相談する「インターネット安全・安心相談」「サイバー犯罪相談窓口」が各都道府県警本部にあります。
 木村さんが、携帯電話会社や警察に「困っています」と相談していたら、ここまでの事態にはならなかったと思います。

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