就労継続支援A型・B型事業所の2021年度障害福祉サービス等報酬改定のポイントを解説

この記事は約 6 分で読むことができます。

はじめに

AKARIを運営しているTANOSHIKA CREATIVEの支援員の島川です。
今回、厚生労働省による2021年度の障害報酬改定で、就労系サービスの障害報酬が大きく改定される可能性があり、同じく就労支援サービスを展開している方向けに、どのような変更がなされる可能性があるのかをお伝えしたいと思い、筆を取らせていただきました。ここからは、どのような変更が検討されているのかについて、A型・B型に分けてまとめていきます。

A型の18年度→21年度の改定について

18年度改定では、1日の平均労働時間の長い事業所の基本報酬を手厚くする、成果主義的な変更がなされましたが、A型利用者全体に占める精神障害者の割合の増加(およそ4割を占めています)や、40歳以上の割合が増えたこと(およそ半数を占めています)を受け、「利用者が長い時間働いて稼ぐこと」だけを事業所の評価基準とする考えを改めることが新たに提言されました。

21年度改定においては、以下の五つの指標について点数化し加算することが検討されており、年内に大まかな見直しの方針が固められる予定です。

21年度改定での加算5指標

①(1日の平均)労働時間の長さに加え、
生産活動の収支
短時間勤務など多様な働き方の整備
支援力の向上
地域連携活動

5つの指標についての具体的な例としては、
経営改善計画の有無やその内容
精神障害者等の短時間勤務希望者の受け入れ状況
キャリアアップの仕組みの有無やその内容などが挙げられています。
こうした複数の項目における評価をスコア化し、当該スコアの合計を実績として評価することが検討されています。下記は厚生省の資料にあった各評価項目のイメージです。

A型のイメージ

画像引用元:厚生労働省第20回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(オンライン会議)」資料就労系サービスに係る報酬・基準について ≪論点等≫ 

また、全体の評価における各評価項目のウェート(重み付け)については、現行の評価項目である「①(1日の平均)労働時間」を最も高く評価した上で、「①>②>③≧④>⑤」を基本に、評価点(スコア)を調整することも検討されています。

A型の基本報酬について、検討チームのアドバイザーからは、「五つの指標それぞれ客観的に点数を付けられるのか」という懸念があがっているものの、何らかの変化が起きることは間違いないでしょう。

また、事業所のホームページ等を通じて、当該スコアに係る各項目の評価内容をすべて公表することを事業所に義務づけることや、公表していない事業所については、報酬において減算することも検討されています。

各事業所も多様な働き方への対応や、キャリアアップをめざす体制など、就労環境を整備したり、ホームページや事業改善計画の作成など、経営の透明化がますます迫られる状況になることが予想されます。

B型の18年度→21年度の改定について

18年度改定ではA型同様、「利用者が受け取る月額の平均工賃が高いほど事業所への報酬も高くする体系」に改められ、成果主義の色が鮮明に現れていました。
B型事業所からは、「安定して働くことの難しい人を受け入れると事業所の評価が下がるのはおかしい」とする反発が相次いでいる状況でした。

厚労省が11月12日の「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」に示した新体系では、
利用者の生産活動への参加支援」を一律の基本報酬で評価するという、新たな評価が設けられ、事業所は18年度改定の体系と、どちらかを選ぶような形を取ることになりました。

これにより、B型事業所には、より高い工賃を目指すことに重きを置く「現行型」と、社会参加を促すことに重きを置く「新型」の二つの報酬体系ができる見込みとなりました。

事業所が約1万3000カ所、利用者が約26万5000人に増加したB型事業所は、大きな転機を迎えることにます。

新型では、障害者が社会参加しやすい環境をつくることを重視し、
ピアサポート※による利用者の不安解消
独居高齢者の生活支援など地域社会への貢献
をそれぞれ加算で評価するという新たな制度を設けることになりました。

現行型については、平均工賃の額が高いB型事業所の基本報酬を引き上げる方針で、新体系に設けるピアサポートなどの加算は設けないようです。

下記の厚生省の資料の左側が現行型、右が新型のイメージ図になっています。

B型工賃

画像引用元:厚生労働省第20回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(オンライン会議)」資料就労系サービスに係る報酬・基準について ≪論点等≫ 

ピアサポートとは、障害福祉事業所で精神障害を持つ方が、その事業所の職員として働く制度のことです。厚労省は「利用者と同じ目線に立って相談・援助することにより、サービス利用者の自立に向けた意欲の向上や地域生活の不安解消に効果が高い」としています。

ピアサポートの加算をめぐり、厚労省は「地域移行支援」など五つのサービスに限って導入する方針でしたが、B型事業の新体系にも同じ条件で導入する考えに転じました。
また、厚労省案によると、事業所は一度選んだ報酬体系を3年間は変更できない。という制約がつくようです。

実際にピアサポートとして働く方からは、「相談対応にたけている人、生産活動をリードすることにたけている人などピアスタッフもさまざまだ。ピアサポートの多様性を反映した報酬改定にしてほしい」という意見が出ています。

検討チームのアドバイザーからは「ピアサポートの加算はなぜ新体系だけなのか」といった疑問の声や、「現行の報酬体系を選んだ事業所では居づらくなる障害者が出るのでは」といった懸念が上がっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ただでさえコロナ禍で厳しい状況が続く中、利用者さんの働く場所を守るためにも、こうした行政側の動きを常に把握し、早くから対応して経営に生かしていってもらえればと思います。

≪21年度の改定についてのまとめ≫

〇就労継続支援A型事業所
(1日の平均)労働時間の長さに加え、生産活動の収支短時間勤務など多様な働き方の整備支援力の向上地域連携活動の五つの指標について点数化し加算することが検討されている。事業所は評価される項目が増える分、就労環境を整備したり、経営の透明化を進めることが求められる状況になる。

〇就労継続支援B型事業所
平均工賃にかかわらず一律の基本報酬とする新体系を設ける新体系では障害者が職員として利用者を支える「※ピアサポート」も加算で評価する事業所は現行型・新型の2つの報酬体系のどちらかを選ぶことになる。

参照:厚生労働省第20回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(オンライン会議)」資料就労系サービスに係る報酬・基準について ≪論点等≫

参照:YAHOO!ニュース「障害報酬改定でB型にもピアサポ加算 就労系の成果主義を修正へ(福祉新聞)

HOME

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です