インフルエンザ脳症は、脳血管にウイルスたんぱく質の蓄積で発症!大阪大学発表。

インフルエンザ脳症

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

この記事の本題は、インフルエンザ脳症です。まずインフルエンザ脳症について説明したいと思います。

インフルエンザ脳症とは、インフルエンザに感染した後にけいれんや意識障害、異常行動、異常言動などの症状を引き起こす重篤な脳の病気です。主に5歳以下の小さいお子さんに発症する場合が多く、発症してから急速に意識障害などが進行するのが特徴です。

異常行動・言動には、

異常行動・言動の例

・突然泣き出す、怒り出す、大きな声で歌い出す

・自分の手を噛むなど、食べ物と食べ物でないものとを区別できない

・両親のことが分からなくなる。いない人がいるという。(人を正しく認識できない)

・恐怖、おびえ、恐怖感の表情・訴え

・意味不明なことを話す。ろれつがまわらない

・アニメのキャラクター・ライオン・ゾウなどが見えるなど、幻視・幻覚が見える様になる

などがあります。

インフルエンザ脳症は、高熱など通常のインフルエンザの症状が出た後、数時間から24時間以内で急激に症状が現れるケースが多い様です。

初発症状が見られたら、すぐに医療機関を受診する必要があります。インフルエンザ脳症は進行のスピードが早いため、早期治療がなによりも大切で、早期に治療が開始できれば軽症で済む可能性もあります。

時には知的障害や高次脳機能障害、てんかんなどの精神障害、四体麻痺などの身体障害といった後遺症が残る可能性を考慮し、主に回復期の段階から、リハビリテーションを行うのもインフルエンザ脳症の治療の特徴です。

インフルエンザで最も重い合併症がインフルエンザ脳症です。稀に死に至ることもあります。亡くなる確率はおよそ30%で、後遺症もおよそ25%のお子さんに見られる重篤な疾患です。

最近では大人のインフルエンザ脳症の症例も報告されており、小さい子に限った病気というわけではありません。

インフルエンザ脳症は重篤でありながら、未だに確立された治療法はなく、予防策はインフルエンザの予防接種を打つことしかできないそうですが、先日インフルエンザ脳症を発症する仕組みが解明されたというニュースを見ました!

インフルエンザの合併症の1つで亡くなることもあるインフルエンザ脳症に関して、インフルエンザウイルスが脳血管内皮細胞へ直接感染すること、そして感染したことがきっかけで生成され、脳の血管にウイルスたんぱく質が蓄積し、発症することが判明したと、大阪大学大学院医学系研究科感染症・免疫学講座 ウイルス学の上田啓次教授、木村志保子特任助教などの研究チームが、2024年6月13日までにイギリスの科学誌[Acta Neuropathologica](オンライン)に発表しました。

たんぱく質の蓄積を阻止すると、インフルエンザ脳症の発症を抑制することも判明し、効果のある治療法が確立されることに結び付くと期待が持たれています。

今回は大阪大学が解明した、インフルエンザ脳症を発症する仕組みを紹介します。

大阪大学が解明した、インフルエンザ脳症を発症する仕組みとは?

画像引用・参考:インフルエンザ脳症の発症メカニズムを解明 大阪大学 ResOS(2024年)

国立感染症研究所によりますと、インフルエンザ脳症は9歳以下が6~7割を占め、新型コロナウイルスなど他のウイルスにかかっても発症します。

免疫機能の暴走が原因と想定されてきましたが、インフルエンザの感染からインフルエンザ脳症の発症までが短い時間だったことから、詳細なメカニズムは分かっていませんでした。

インフルエンザ脳症の患者さんの脳では、インフルエンザウイルスがほとんど検出されなかったことから、インフルエンザ脳症は、インフルエンザウイルスの直接感染ではなくサイトカインなどに感染した人に要因があると想定されてきました。

インフルエンザウィルスに感染すると、ウイルスを排除しようとして白血球が動きます。白血球がウイルスを攻撃すると、白血球からはサイトカインと呼ばれている種々の化学物質が放出されます。元々、サイトカインは人体の細胞に働きかけて、細胞の動きを調節するために、重要な役割を担います。

ですが、サイトカインストームという、白血球から過剰にサイトカインが放出されると、アレルギーと同様の反応を引き起こし、インフルエンザ脳症の原因になっていることが明らかでした。サイトカインストームを起こす原因は分かっていませんでしたが、ウイルスの量、体質、体調などが関わっていると考えられています。

サイトカインストームを引き起こした人は、脳で血管に働きかけて、血液の水分を漏出させ、脳浮腫という脳のむくみを引き起こします。脳浮腫が起こると脳の圧が高まり、脳は逃げ場で彷徨いながら、延髄を圧迫する脳ヘルニアを引き起こします。脳ヘルニアが起こると、意識障害が生じ、呼吸が止まり、死に至ります。

今回、大阪大学がインフルエンザ脳症のモデル動物を新規に確立し解析を進めた結果、脳のインフルエンザウイルスに感染したこと自体がインフルエンザ脳症の原因になることが判明しました。インフルエンザウイルスは、脳に感染しても必ずしも増殖するわけではありません。

ですが、インフルエンザに感染すると、ウイルス由来のたんぱく質が生成されます。このウイルスたんぱく質がインフルエンザ脳症を発症した原因でした。実際に、亡くなったインフルエンザ脳症の患者さんの脳を解析すると、動物モデルと同様にウイルスたんぱく質が検出されました。

参考:インフルエンザ脳症、タンパク質蓄積が原因 阪大など 日本経済新聞(2024年)

その上で研究チームは、このウイルスたんぱく質の蓄積を抑制することができれば、インフルエンザ脳症の発症を抑制し脳浮腫の進行を抑制することができるのではないか?と仮定を立てました。この仮定に基づいてさらに研究を進めた結果、動物モデルにおいて、実際にインフルエンザ脳症の発症を抑制できることが判明しました。

悲しかった話

この研究成果を知った時と、同時期に読んだ記事がありました。有料記事だったので全文は読めませんでしたが、インフルエンザからインフルエンザ脳症を発症し、そのまま脳死になって、5歳で亡くなった女の子の話でした。

数年前の年明け、女の子は夜になって発熱しました。身体が震え、「足がしびれる」と訴えたので、救急病院へ向かいました。ただ、お父さんには状態がさほど悪くない様に感じ、女の子自身も「大丈夫」と話したことで、病院を受診せず引き返しました。

ところが、夜中に女の子の体温が40度を超えました。翌日にかかりつけの小児病院で「インフルエンザ」と診断を受けましたが、熱は37度台に下がっていて、女の子もいつも通りの様子だったので、そのまま帰宅しました。

ですが、午後になって再び女の子は40度を超えました。お父さんが救急に連絡すると、こう質問されました。「インフルエンザなら40度が出ることもあります。救急車を呼ぶか呼ばないかはお父さん次第です。どうしますか?」と言われて、お父さんは、

「子どもだから高熱が出ることもあるし、水分も摂れているから大丈夫だろう。無理に救急車を呼んで、迷惑をかけるわけにもいかない」と思い、救急車を呼ぶことを断りました。

その1時間後、女の子の様子が一変します。失禁し、熱も41度9分に達しました。「ただ事ではない」とお父さんは慌て、救急車を呼びました。ほぼ女の子の意識はなく、搬送先の病院で検査を受けると、「インフルエンザ脳症」と診断されました。

その後、救急医から「脳死になりました」と言われて、女の子は臓器提供をしたと言います。

臓器提供の話は、有料部分となり、読めませんでした。

女の子は難産で、お母さんに陣痛促進剤が投与され、帝王切開を経た末の出産したといいます。

このお父さんは、「もう誰にも経験して欲しくない」と、この最後の部分に書いている媒体に、娘さんのことを発信したといいます。

インフルエンザ脳症は、毎年50〜200例報告される、決して珍しいインフルエンザの合併症ではありません。

今回の大阪大学の研究成果は、解明のまだ一端にしか過ぎませんが、いつかインフルエンザを発症しても、怖くない、治る合併症になる様に、研究者の方には、これからも多くの研究を続けて頂きたいと思います。

noteでも書いています。よければ読んでください。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。