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前回はエリクソン・ハヴィガーストの発達段階の「成人期・壮年初期(成人初期)」22~40歳頃について書いていきました。
エリクソン・ハヴィガーストの発達段階やその違いとは
今回はその「壮年期・中年期(成人中期)」(40~65歳頃)という部分に着目して書いていけたらいいなと思います。
発達心理学から学ぶ壮年期・中年期(成人中期)
画像引用:【キャリコン】 ハヴィガーストの発達段階
ハヴィガーストの発達段階では全部で7つの発達課題が挙げられています。
この時期は身体的、社会的、家庭的にも心理的にも変化の多い時期で、安定と不安定、若さと老いなど、得るものと失うものが共存する時期です。
今まで積み重ねてきたものを問い直し、時には人生の危機に直面することもあります。
職場では、それまで最前線で働いていた立場から上司や管理職といった立場に変わったり、教わる立場から人に教える立場に転換を求められることもあるでしょう。仕事上自分の地位や能力の限界が見え始め、青年期に抱いた希望と現実の狭間で揺れることもあります。
定年を迎えると、生活習慣全てが変わる時期で仕事中心の価値観に縛られていた人ほど生活に虚しさを感じて自己のあり方を見つめ直さなければならない場合もあります。
家庭では、子供たちが思春期に入り子供中心の生活から子供は子供、親は親、という風に生活が変化していきます。子供達は友達などの付き合いから家庭のルールに様々な変更を求めてきますし、老親の介護が必要になる時もあります。
それらの課題に柔軟に対応することで父親・母親という役割も必然的に変化していきます。このように家庭の中のルールや役割が移り変わり家族の中に揺れが起こってきます。
そこから子供たちが巣立ちする寂しさややり切れなさを経験する中で、改めて夫婦の安慶を作り直す時期です。時間にゆとりが出てきて、自分磨きや新しい習い事をスタートする人もいることでしょう。
つまり良くも悪くもこの出来事は捉えられます。
身体的には、体力に限界を感じたり疲労回復に時間がかかったり、健康に関心が増すなどの変化が見られます。生活習慣病が見られやすくなるのもこの時期です。女性の場合は閉経などの生理的な変化も大きく影響してきます。
それが長期化すると目や耳などの感覚器の衰えに加え、老親や同年配の重い病気や訃報に接する機会が増え、「死」という現実味を帯び始めることでしょう。
心理的には、社会的にも身体的にも「喪失」を体験する時期です。この「喪失」とは親や親戚などの死別、体力の衰えなどに対するものです。そしてこの喪失を受け入れ新たな自分を受け入れ新たな人生を歩み作り上げる時期でもあります。
「壮年期」では次の新たな世代を育てていくことに関して関心を持つ時期です。次の世代を支える職業的や子育ての知識や技術に関心を持つようになり、次の世代に伝えていく「世代性」、逆にそれらに関心や関わりがないと次の世代に興味を持たず、自分のことばかり考えてしまいます。自分の生きる意味を見失ったり、自分の価値観を押し付けたり、自分の内にこもってしまう自己没頭や自己陶酔に陥るのが「停滞」という心理的危機になります。心理的危機とは「世代性」という「心理的課題」を乗り越えないと、あまり良くない人生を送ることになるだろうと予測されているものです。
自分がこれまで教わってきたり、学んできたりしたことを子供や孫に伝えていくことによって「世話」という能力を獲得していけます。
これらの理論はあくまで「目安」のようなものなので確実にこの世代にこなしていく必要はないのですが、できるなら今後の人生が生きやすいように発達課題をこなしていけたら良いですね。
次回はいよいよ死ぬまでの最後の発達理論を挙げていきます。
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