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こんにちは、金次郎です。
そろそろ、今年も春闘が始まります。
ちょうど1年前に、この様な記事を書きました。
ユニクロ「4割賃金アップ・初任給が30万円」など、大胆な給与改革
40%も賃金を増額すると言うのは、経済界でも話題になりまして、ビジネスニュースでも盛んに取り上げられましたが、その「ユニクロに続け」と言わんばかりの企業が現れました。
今年の企業の賃上げ姿勢は?
生命保険会社の第一生命は、新卒の初任給を27万6000円から32万1000円と、7%の賃上げを表明しました。
第一生命の広報担当者によりますと、初任給の引き上げは4年ぶりだそうです。
対象者は
・「大卒で、転居を伴う転勤がある内勤職」
との事で、今後の労働組合との交渉で正式決定するそうです。
第一生命は更に、専門性の高い人材を獲得する為に、来年2025年4月入社の新卒社員から
・資産運用
・海外
・会計・税務
・ITデジタル
と事業領域を事前に選ぶ事のできる制度を導入するそうで、入社から5年以内はそれらのコース内で異動が行われ、6年目以降は本人の意向や適正などを勘案して異動する仕組みに変えるそうです。
第一生命以外の企業でも
・キリンホールディングスは、約6%の賃上げを目指す意向を示しています。
・みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長も「物価動向も踏まえ、7%程度は目指し
たい」と語っています。
これら大企業が、続々と大幅な賃上げ姿勢を示すのは、厚生労働省が公表した昨年11月の実質賃金が20カ月連続で前年割れとなっている事があげられます。
それは、賃金の伸び率が物価上昇に追い付いていないためで、連合の芳野友子会長も「物価高がすべて悪いわけではないが、物価高に負けない賃上げが伴わないといけない」と言っています。
参考:(Bloomberg)第一生命HDが初任給32万円に引き上げ、国内大手金融機関では最高に
参考:(JIJI.COM)企業から賃上げ表明相次ぐ 前年上回る民間予測も―24年春闘
「2024年問題」もある
こちらも、去年の5月に書いた記事です。
あらゆる業界で人手不足-新型肺炎でパニック解雇の後遺症-
新型肺炎の流行による行動制限で、街に人が出なくなり、あらゆる分野の企業で売上げが極端に減ってしまいました。
どの会社も「会社を倒産させない為」にと、パニック的に従業員を大量解雇しましたが、そのツケが今になって「人手不足」という状態に陥っています。
「2024年問題」と言う言葉も、去年から良く耳にする様になりましたよね。
これは、1970年代から始まった大量就職時代の末期1981年に入社した方が、今年65歳の定年を迎えて一気に退職しますので、人手不足に更なる拍車をかける感じになります。
特に、運輸業界が打撃を受けていまして、タクシーやバス、トラック運転手が足りない会社が増えて来ています。
更に少子高齢化が加速的に進んでいる事が、あらゆる業界で「人手不足」に対する危機感を募らせており、それが初任給の大幅アップや定期昇給で満額回答を引き出す要因になっていると思います。
去年書いた記事での、ユニクロの柳井社長も「良い人材を確保する為」と言っていましたし、
今回の第一生命の菊田社長も、「グローバルな保険グループと競争する為には、人的資本への投資を強化する必要がある」と、人材確保が給与の大幅増額の理由みたいな発言をしています。
非正規雇用や女性・高齢者
現在の日本では、パートやアルバイト・契約社員などの非正規雇用の人は、労働者の40%近くに達しています。
特に女性は、結婚退職した後に「子育ての合間に家計の足しになれば」と言う感じで、非正規雇用で働いている方が多いです。
また、定年退職した正社員を改めて契約社員として再雇用する会社が増えているのも、その会社の人手不足を補うためでしょう。
ただ、どちらも非正規雇用と言う理由だけで、低賃金に抑えられていると言う賃金格差が有ります。
それらの方の賃金を上げる事が出来れば、あらゆる業界での消費拡大に繋がると思います。
ですから去年は、物価上昇をきっかけに、最低賃金の額もそうですが、あらゆる業界の会社で大幅な賃金引き上げが実現しました。
それは、日本企業が長年に渡って、賃金上昇を抑えてきた結果、消費が冷え込み、会社の収益が下がってしまったと言う、経営側の反省があるからです。
これをきっかけに、今後も、物価を上回る賃金上昇が当たり前という社会にする事で、人々の消費意欲が沸き、物価も適正に上がって行く事によって、結果として企業の利益も増える。
この様な、前向きな経済循環を、実現してもらいたいものです。
終わりに
大手菓子メーカーの「カルビー」は、今年の4月から、定年退職した社員で再雇用した人のうち
・「高い専門能力が認められる人については、定年前の70%程度と言う現在の給与額を、ほぼ定年
前と同じ水準まで引き上げる」
と言う給与制度の見直しをしているそうです。
・歳を取っているから、与えられた仕事をこなせなくなっている
では無く
・専門知識が有る社員なら、その知識を活かせる部署で働いてもらい相応の報酬を支払う
と言う考えに改めたいと言う事です。
中小企業は、大手企業ほど資金面で余裕は無いかも知れませんが、この様に「給料」と言う従業員が働いた報酬の有り方の考えが変われば、少子高齢化がもっと進むこの先でも
「働けるうちは働いてもらって、会社の利益拡大に協力してもらおう」
と言う考えが日本社会にも浸透すると良いですね。
参考:(NHK)2024春闘をわかりやすく解説 中小企業や非正規社員も賃上げを!
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