あらゆる業界で人手不足-新型肺炎でパニック解雇の後遺症-

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こんにちは、金次郎です。

 5月8日をもって、新型肺炎の感染症分類が2類から5類に引き下げられました。
 今年のゴールデンウィークは、旅行に行く人や地域のイベントに行く人で、観光地などは大賑わいでした。
 でも、その裏では人手不足で喘いでいる業界がたくさん有ります。
 新型肺炎が流行る前からの業界もあれば、新型肺炎のせいでの業界もあります。
 どんな業界でしょう?

子どもの教育から、老後の生活まで不安だらけ

 日本の小中学校や高校・支援学校で、教師の人手不足に悩んでいる学校が多い事は、新型肺炎が流行る以前から言われていました。

理由
 1.産休、育休を取得する教師が増えた
 2.特別支援学級が増えた
 3.病気休職する教師が増えた

などが有ります。

 更には、教師を職業として希望する学生が減った事もあります。

理由
 1.長時間労働による過酷な労働環境
 2.部活動などの顧問負担
 3.給料などの待遇が一般企業に比べて良くない
 4.保護者や地域住民などへの対応

 授業以外にしなければいけない事が多く有りますので、それが教師を志す学生から嫌がられている様です。

参考:(すららネット)教員不足が起きているのはなぜ?現状・理由と解決に向けた取り組み

※この記事を書いていた5月12日に、NHK福岡放送局が流したニュースです。

参考:(NHK)【独自】教員不足で「臨時免許」交付件数が過去最多に 福岡県

 人手不足は学校だけではなく、老後の生活の場でもある介護施設でも、高齢者は年々増加してしているのに閉鎖する介護施設が多くあります。
 これは、新規参入の介護事業所との競争が激しく、ちょっとでも職場環境や待遇に不満を持たれると、ケアマネージャー等の職員は、直ぐに他の施設へ転職してしまいます。
 それで、残った職員の業務量が増えてしまいます。
 なので人材流出を防ぐ為には、新規職員を募集するのにも、高水準の給与額を提示しなければ新しい人は応募してきません。
 結果、人件費に圧迫されて、資金力に余裕のない介護事業所は閉鎖に追い込まれてしまいます。

参考:(ケアきょう)あなたの職場は大丈夫?!増えている介護施設の倒産・閉鎖事情とその傾向を徹底解説!

旅行に行きたいけど、泊まるところが無い

 帝国データバンクが2023年1月に行った「人手不足に対する企業の動向調査」によりますと、人手不足な企業は5ヶ月連続で5割を超えています。
 人手不足を感じている企業の割合は、正社員では51.7%、非正社員では 31.0%。
 その中でも「旅館・ホテル」業は群を抜いており、正社員の人手不足感77.8%あらゆる業界で1位でした。
 これは、1年前の41.9%と比較すると36%も高い結果となっています。
 非正社員でも「旅館・ホテル」業が、過去最高の 81.1%となっており、こちらも業界で1番でした。

 ある旅館の支配人は
 「宿泊予約を受け入れたいけど、部屋の清掃や次の宿泊者の為の準備をする従業員が足りず、予約を一部断っている状態です。」と語ります。
 理由を聞くと
 「緊急事態宣言が出た時に、旅行を含めて外出が規制されて客足がパッタリ無くなりました。
 お客がいないのに従業員を雇っていても給料が払えませんから、アルバイトはもちろん、正社員もかなり解雇しました。
 それで現在求人募集をかけていますが、応募者が全く現れない状態です。」との事。

参考:(トラベルボイス)人手不足は「旅館・ホテル」が断トツの首位に、正社員で78%、非正社員は過去最高の81%

物流業界の「2024年問題」も有る

 宅配会社大手のヤマト運輸が、4月18日に「宅配サービスの「宅急便」について一部地域で配送体制を変更します」と発表しました。
 今までは「翌日配送」としていた配達体制を、6月1日以降から「翌々日配送」とするそうです。

翌々日配送に変更する地域

1.首都圏や新潟県・山梨県から中国・四国地方の間
2.岩手県から近畿地方の間
3.富山県・静岡県と福岡県の間
 の3つの地域です。

 ヤマト運輸では、大雨や高速道路の老朽化に伴う工事で、時間内に荷物を届けられないケースが散発的に発生していたそうです。
 担当の方は「無理のない配送体制で、お客さまとの配送時間を守ることを優先した」と言っており、「結果としてドライバーの負担が軽減され、労働環境の改善につなげたい」と話しています。

 しかしこれにはもう一つ、物流業界の「2024年問題」と言うのが有ります。
 これは、2024年4月の働き方改革関連法施行により、トラック運送業界に発生するであろう諸問題の事です。
 この法律で、トラックドライバーの時間外労働の上限が年960時間になります。
 トラックドライバーの多くは今よりも労働時間が短縮されますが、これにより運送業界全体で

・会社の利益減少
・ドライバー不足の深刻化
・時間外賃金の減少
・荷主が支払う賃料の高騰

 と、会社だけでなくドライバーの収入にも影響してきます。

参考:(ITmediaビジネスヤマト運輸、配達を「翌日」→「翌々日」に 一部地域で変更狙いは?

参考:(日経ビジネス)2024年問題とは? 人手不足、労働時間・賃金問題に直面する運送業界

終わりに 

 私が住んでいる団地近くのタクシー会社も、1回目の緊急事態宣言の時に半分近くの運転手を解雇してしまいました。
 両親が病院に行く時に依頼しても「ただいま、満車です」と言われる事が多発したので、今は予め「何月何日お願いします」と予約しています。
 そのタクシー会社も、去年「乗務員募集」ののぼりを立てていましたが、そう簡単に2種免許を持っている方は集まりません。
 それは、夜の飲み屋街でも同じ様な事が起きています。
 また、航空会社も地上整備員が足らず、旅客機を増便したいのに出来ない状態との事です。
 日常生活が元に戻りつつ有りますが、新型肺炎流行時にパニック的に社員を減らし過ぎた会社が、あらゆる業界で人手不足に悩んでいます。

参考:(朝日新聞金曜の夜は「タクシー争奪戦」 客足の戻った夜の街が恐れる悪循環

参考:(朝日新聞)国際線、増便したいのに 空港の地上業務員不足

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