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こんにちは、改めましてM. Jです。
「ウップルル・・・、今日はしばれるねー!」
「今日は寒いし、身体もだるいのでお風呂掃除をしないで、そのままお湯を入れてしまおう!」
「えーっ、ちょっと待ったあーー!」
そんなことをしていたら、浴槽の掃除をしないと発生する恐怖の感染症、「レジオネラ症」にかかってしまいます。
「レジオネラ症」は、人から人への感染はないですが「発熱や呼吸困難」といった重い症状が出現する第4類の感染症です。「直ちに保健所の届出をしないといけない」ほど危険とされています。
主に、レジオネラ症は温泉などの入浴施設や障がい者や高齢者などが入居されている施設などでの発生が報告されていますが、最近になって「家庭での感染」が発生するようになりました。
家庭の中では「浴室での感染」と「加湿器での感染」が多くを占めているようです。
今回は、入浴する前に「お風呂を掃除するのが面倒!」「歳をとったからお風呂の掃除くらいいいだろう!」というかたにとって、考え方を変えるキッカケになる記事を書いていこうと思います。
以下の項目に沿って書きます。
- レジオネラ症
- レジオネラ症の症状と治療
- レジオネラ症の届出
- レジオネラ症の予防
- 追加事項:感染症の疑い ➡️ 体験談
- 感染症への対応には知識が重要!
レジオネラ症
最近、ニュースなどでよく聞くようになったのですが、まだなじみの薄い「レジオネラ症」とはどのような病気でしょうか?
【レジオネラ症とは・・・】
- レジオネラ菌による細菌感染症。
- レジオネラ菌汚染された加湿器などの水が飛散し、汚染水を吸入することで感染する
【主な病型】
- レジオネラ肺炎:重度の肺炎を引き起こすもの
- ポンティアック熱:一過性で自然に軽快するもの
【レジオネラ属菌とは・・・】
- 自然界(河川・土壌など)に生息している細菌
- 入浴設備・給湯設備・加湿器の中に付着して増殖し、感染する
- 細菌の数は60種類ある
- 人から人への感染はない
【レジオネラ症の感染経路】
《1》エアロゾル感染
レジオネラ菌に汚染されたエアロゾルを吸入することによって感染する。
《2》吸引・誤嚥
温泉浴槽内や、河川で溺れた時に水の吸引をすることによって感染する。
《3》土壌からの感染
レジオネラ菌に汚染された腐葉土の粉じんを吸い込むことによって感染する。
【家庭内での主な感染原因】
循環式浴槽・加湿器・冷却塔・給湯設備などの中に「レジオネラ菌が」侵入して、繁殖。
→繁殖した「レジオネラ菌」を含むエアロゾルを吸入することで感染。
【潜伏期間】
《1》レジオネラ肺炎:2日〜10日
《2》ポンティアック熱:1日〜2日
【レジオネラ症になりやすい人】→ハイリスクグループ
高齢者、新生児、喫煙者、多量の飲酒者、透析患者、免疫機能が低下している人など。
【日本でのレジオネラ症のり患者数】
- 2005年までは、1年間で300名以下
- 2008年〜2012年には、1年間で900名前後に増加
- 2014年には、1200名を超える
- 2015年以降は、1500名を超えて更に増加し続けている
レジオネラ症は「集団で入浴する施設(温泉・入居施設など)」で感染したという報告が多いです。
しかし、最近では「家庭の中でレジオネラ症に感染した」という報告があります。
個人の家庭の場合「お風呂のお湯を何日も入れ替えていないこと」や「浴槽の洗浄が不十分」といったことが多いようです。
レジオネラ症は「ヒトからヒトへの感染」がなく、感染者数は少ないのですが、この感染症に感染すると「生命に危険を及ぼす状態」になるケースが多いです。
特に高齢者や喫煙者は「レジオネラ症」が重症化しやすいので「日頃の生活にも注意が必要!」とも言えます。
レジオネラ症の危険な症状には、どのようなものがあるのでしょうか?
次の項では、レジオネラ症の症状と治療について書きます。
レジオネラ症の症状と治療
レジオネラ症の症状
肺炎、全身倦怠感、筋肉痛、頭痛、食欲不振、下痢
《重症になると以下の症状が出現》
38度以上の高熱、胸痛・心筋炎、中枢神経系症状(幻覚・手足の震え)、呼吸困難、意識障害
【レジオネラ症の経過】 急激に重症化して「死亡」する人が多数。
【ポンティアック熱の症状】・・・発熱、寒気、筋肉痛
【ポンティアック熱の経過】・・・軽症だと10日以内で治ることが多数。
レジオネラ症に対する治療
◎抗菌薬(ニューキノロン・マクロライドなど)の静脈注射
◎ハイリスクグループ(高齢者・喫煙者など)は、肺炎を引き起こす危険性が高い!
◎抗菌剤の投与がないと7日以内に死亡することが多くなるため、いち早く治療を行なうこと
レジオネラ症は、肺炎・全身倦怠感・食欲不振などに加えて、重症になると「高熱」「幻覚」「呼吸困難」「意識障害」となり最悪の場合「死」に至ります。
急激に重症化して「声掛けに対して反応がなくなる」「つねっても反応がなくなる」ような危篤状態になるので「恐れないといけない感染症」です。
またレジオネラ症は、発生が確認された場合、保健所への届出が必要となる、「感染症の類型:1類〜4類」の中の「4類」の感染症です。
意外と保健所への届出の方法を認識されていないかたもいると思いますので、届出の方法を書いていこうと思います。
次の項では、レジオネラ症が発生した時の届出の方法について書きます。
レジオネラ症の届出
【基本的なこと】
◎「レジオネラ菌の検出」を確認した場合、すぐに「管轄の保健所への届出」を行なうこと!
◎保健所に届け出をした後は、保健所の指示に従うこと!
→感染防止対策・汚染原因の究明・今後の対策の指示があります。
【レジオネラ症の届出の方法】(家庭用)
《1》医師の診断の結果「レジオネラ症」という診断があった場合、すぐに保健所へ連絡する
《2》保健所から指示があるので、指示をしっかりきく
《3》浴室・浴槽などの構造の書類・発生当時の状態についてなど、必要な書類を出す
《4》保健所職員が立入検査を実施する➡衛生環境のヒアリングなどがあります
《5》今後の対策について保健所からの指示をきく
《6》レジオネラ菌に汚染された浴槽では、一定期間入浴をしないこと!
《7》感染源の除去対策を専門業者に依頼する➡ろ過器・配管・浴室・浴槽の消毒を徹底します
《8》浴室のタイルのはがれ・ひび割れの改修➡︎状態次第では浴槽の改修・買い替えを行ないます
《9》保健所職員の立入による再検査の実施する
《10》保健所からの再検査の結果をきく
《11》改善対策を実施・続行する
《12》一定の期間を置いた後、完全に消毒して入浴することができる
上記には、浴槽でのレジオネラ症を中心に書きましたが、加湿器でも起こります!
集団で入浴する施設だけではなく「家庭」でレジオネラ症が発生・感染があったら「保健所に届け出る」「保健所の指示を聞いて、消毒を実践する」ことが必要不可欠です!
保健所の職員さんの立ち会いのもとで「消毒・改修」などの改善策を実行しましょう!
「重症になる危険性が高い感染症」なので、徹底した行動が必要となります。
このように「危険な感染症」であるレジオネラ症ですが、どのようにすれば予防することができるのでしょうか?
次の項では、レジオネラ症の予防について書きます。
レジオネラ症の予防
【レジオネラ症を予防する方法】
①家庭用浴槽
◎浴槽のお湯は「毎日交換」すること!翌日には「新しいお湯」にしないと危険!
◎浴槽や吸い込み口は、汚れヌメリが生じないように「毎日洗浄」すること!
◎浴槽や浴室の汚れがものすごくひどい場合は「消毒液」を用いて洗浄すること!
◎浴槽に入る前に「身体の汚れを落として入る」こと!
②加湿器
◎タンクの水には「衛生的な水道水」を使用し「毎日交換」すること!
◎「ノズルの清掃」や「タンクの中の洗浄」を毎日行うこと!
◎フィルターは、必ず1週間に1回は洗浄すること!
◎加湿器を「長時間使用しない時」は、水を抜き、タンクを洗浄・乾燥させること!
⚠️「超音波式」はレジオネラ菌が発生しやすいので特に管理に気を付けましょう!
◎超音波式以外の加湿器は、60度以上で管理されていて安全です!
このように、レジオネラ症の感染の予防は比較的単純です。
「浴槽のお湯を入れ替える」「浴槽の洗浄や消毒」「加湿器のタンクの中の水を替える」「タンクの中の洗浄」といったことで防ぐことができます。
また、加湿器は「超音波式を買わない!」という選択も必要となります!
最も大事なことは、日々の生活の中での「掃除」を意識することです!
ところで、このほかにも感染症の病気は多くあります。
私の人生の中でも数少ない「貴重な経験」をした感染症への対応について書いていこうと思います。
保健所が関わっているので、経験した人は少ないと思います。
次の項では、M.Jが少しだけ関わった人の感染症の疑いによる経験談について書きます。
追加事項:結核感染の疑い ➡️ 体験談
この記事をご覧の皆さん「結核」という「恐怖の感染症」についてご存じでしょうか?
以前の日本では、多数の人が感染して「死に至る病」と言われていました。
現在「結核による死者」は、懸命な治療によって減少していますが、絶滅しているわけではなく、過去の感染症ではありません。
今も、約16,000人の方が「結核」に感染しているのです。
結核の症状は「咳・血液のついた痰・呼吸困難・発熱・倦怠感(身体のだるさ)・急にやせる」などが続くと言われています。
また、体力(免疫力・筋肉量など)が落ちていくと「感染しやすい状態」になります。
現在においても「空気感染」する、感染症の類型「2類」の「保健所への届出が必須」の感染症です!
M.Jが病院で勤務していた時、なんの前触れもなく看護師に呼ばれ、戸惑いながらデイケアの事務所に入りました。
そこで、唐突に看護師から「うちの病院に外来で受診している患者さんが結核になりました」「知っての通り厳しい感染症なので、保健所からの指示に従ってください」と言われました。
「えーーっ、結核? 昔の病気だと思っていたが、まさか結核に感染した患者さんがいるんだ・・・」とかなり驚いてしまいました。
いろんな説明があった後「◇月◇日に〇〇保健所に検査に行ってください」と言われました。
数日後の8時30分、〇〇保健所に着いて受付をした後、保健師の説明を受けました。
すぐに「X線撮影」「結核感染検査(血液検査)」などの検査を受けました。
検査後、約1時間ほど待つことになりました。
当時、保健所の医師は「非常勤」であったため長時間待つ必要性があったのです。
医師の到着後、問診とX線の検査結果を聞きました。
そこでは「陰性(=異常なし)」と言われました。
「とりあえず、BCGの注射をしましょう」と言われて、肩にBCGの注射を受けました。
数日後に血液検査の結果が出てそこでも「陰性(=異常なし)」の判定が出ました。
看護師に呼ばれて、血液検査の結果が出るまでの間「独特の感覚」がありました。
「その患者さんにほとんど接していないので感染していないだろう」と思っていても、以前は「死に至る病」でしたのでかなり「不安」でした。
基本的に「保健所で検査を受けることがない」ので、何ともいえない感覚でした。
これが、M.Jが結核の検査を受けた体験談です。
⚠️なお、M.Jが少しだけ関わった患者さんは結核判定が陽性だったため、指定された病院に入院しました。
感染症への対応には知識が重要!
以上、意外とこわい感染症➖レジオネラ症でした。
前回の記事と今回の記事を通して「感染症対策」について書きました。
最も重要なこととして「感染症対策における保健所の役割が大きい」ことです。
感染症は、注意していかないとコロナのように「爆発的な拡大の危険性」があります。
今回はレジオネラ症と結核について書きましたが、いずれも「保健所職員の関わり」が必要となってきます。
感染症も「1類〜5類」に分けられていて、インフルエンザなど軽微な感染症(=5類の感染症)以外は「保健所への届出」が必須です。
感染症の知識は「保健所が窓口」「保健所に相談することが一番」といっても過言ではありません!
この記事をご覧の皆さん、M.Jとともに感染症について「保健所から知識を得ること」から始めていきましょう!
記事をご覧いただき、どうもありがとうございました!
今回の記事は、以下の文献を参考にしました。
参考:厚生労働省:レジオネラ症
Delfino:「加湿器」や「お風呂」で感染症!死に至るケースも・・・
以下の文献は、感染症の分類と感染経路別の対応の方法について詳しく書いてあります。ご覧いただけると有り難いです、
参考:京都市:感染症の分類
以下の文献は、結核のことについてわかりやすく書いてあります。ご覧いただけると有り難いです。
以下の記事は、以前他のライターが書いた素敵な記事です。ご覧いただけると有り難いです。
今後について
興味があることや、今後書いていきたい記事のテーマとして、介護離職を防ごう!➖1人で抱え込まないように・・・、目のフレイルについて−白内障・緑内障・加齢黄斑変性症を発症しないための「目のケア」–、目の健康に良い生活についてがあります。
皆さんに役立つ情報を届けていければと考えています。
今後ともよろしくお願いします!
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