皮脂欠乏症。乾燥肌で起こる肌トラブル。その当事者である家族から観たこの疾患。 

皮脂欠乏症

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

皮脂欠乏症とは、乾皮症(かんぴしょう)とも言われ、いわゆる乾燥肌(ドライスキン)を指します。乾燥肌に色んな刺激が加わることで湿疹が発生したものが皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)で、一般的に強いかゆみを伴って発症します。

皮脂欠乏症は秋~冬の季節にかけて悪化する場合がほとんどで、汗をかきやすい夏は汗をかくことで改善します。そのことで、暖房の効いた室内にいる時や、入浴した後、そして布団に入って寝る時で身体が温まった時にかゆみを感じやすくなります。

一般的には、皮脂や角質層の細胞間物質などの分泌力の落ちた高齢者がその多くを発症します。ですが、最近は若者や幼い子ども達でも増えており、石けんやボディーシャンプーを多く使う人などによく皮脂欠乏症を発症します。

その上で、お湯や洗剤に洗い物で触れる時の多い主婦、看護師、美容師、紙類を多く扱う銀行員という職種の人も、手に乾燥性の湿疹が現れやすくなる傾向です。

今回は皮脂欠乏症の症状、原因、治療法、予防策、私の母の体験談などについてお話します。

▽症状

皮膚の乾燥、かゆみ、ひび割れ、フケの様に皮膚が剥がれ落ちる、発赤、湿疹。 湿疹は、すねから足首にかけて、また腕に多く現れます。 

乾燥が強いとかゆみも強くなり、繰り返し引っ掻いたことで発赤やかさぶた、亀裂も起こります。

かゆみは、夕方から夜にかけて、その他に血液循環が良くなった時に強く現れます。すねにかゆみが現れやすく、次に膝の裏や手の甲、ひじ、腹部、用部、肩、太もも、腕などが現れやすい部位です。

日々の生活習慣でかゆくなりやすい場所は人によって大きく異なります。例を挙げると手が届きやすく悪化しやすい場所では、強くかゆみが現れやすい上記の場所以外にも、おしり・ナイロンタオルによっての背中・腰・首など多岐に渡ります。

症状が進行すると、かゆみを伴った赤い発疹が現れ、さらに悪化すると、ジュクジュクとした湿疹に至ります。ジュクジュクした湿疹に加わると、かゆみはさらに悪化し、夜中に目が覚めてしまう時もあります。円形の湿疹は「貨幣状湿疹」と呼ばれる場合もあります。

▽皮膚のバリア機能

皮膚は立毛筋や発汗の収縮などでの体温調節機能、温覚や触感、冷覚などの知覚機能など色んな役割を担当しています。中でも皮膚のバリア機能はとても重要な役割で、外部からの紫外線や細菌などの強い刺激から皮膚をバリアし、水分の蒸発を防ぐ役割をしています。

皮膚は、外側から順に表皮・真皮・皮下組織で構成され、さらに表皮は顆粒層・角層・有棘層、基底層から構成されています。皮膚の最上部である角層にはバリア機能を持っていて、正常な皮膚には角層におよそ20~30%の水分が含まれていると想定されています。バリア機能で重要な役割を担当するものは主に以下の3つだと言われています。

◉皮脂

皮脂は皮脂腺の中から分泌される脂質となっていて、皮膚の表面で汗腺から分泌された汗などと皮脂が混ざり合い、皮膚の表面を守る弱酸性の皮脂膜を形成しています。適度な皮脂膜では肌に潤いをもたらし、なめらかな肌触りにします。皮脂が少ない人は肌が乾燥してバリア機能が低下しています。

◉角質細胞間脂質

角質細胞同士の隙間を埋める脂質で、コレステロールやセラミド、脂肪酸が主な成分で、層状構造を形成しています。層状構造の形成には主成分であるセラミドなどの構成比がキーとも言われ、比率の偏りが構造の変化を及ぼし、バリア機能が落ちる要因です。外部からの細菌などの侵入することを妨げ、水分が必要以上に蒸発するのを予防する役割を担っています。

◉天然保湿因子

天然保湿因子のおよそ半分はアミノ酸などから構成されていて、角質細胞内のケラチン繊維の中で水分を保つ機能があると想定されています。ケラチン繊維などのたんぱく質が外部からの刺激などで劣化したり、天然保湿因子が減って少なくなることで乾燥肌を誘発させると想定されています。

▽原因

①加齢

加齢に合わせてセラミドや水分などの細胞間脂質・天然保湿因子(NMF)が落ちていきます。水分を保護する土台が減少することで、乾燥肌は進行しやすくなります。

②以前から皮脂の分泌が少ない

皮脂の分泌量は個人差も大きいことから、皮脂が過剰に出る人もいれば、乾燥肌に陥りやすい人もいます。体質で皮脂の分泌が少ない人は、皮膚のバリア機能が落ちやすく炎症を起こしがちになります。

③保湿因子の減少、バリア機能の低下

正常な皮膚だと、皮脂・角質細胞間脂質・天然保湿因子などが皮膚の水分量を一定に保持する役割を任されています。これらの水分を皮膚を保持する要素が不足することで角層の水分量が少なくなって減っていくと皮膚が乾燥し出します。皮膚のバリア機能も同時に落ちていき、外部からの刺激を受けやすく、かゆみを誘発する場合があります。

④外側の環境の変化

冬に外の湿度が低下することで、乾燥が進行していきます。夏も大量に汗をかいたことや冷暖房の影響で肌の乾燥が進行していきます。

⑤ヒスタミンの作用

温度変化などの刺激で、皮膚の肥満細胞からのヒスタミンが多く分泌され、かゆみを誘発するとされています。ヒスタミンが皮膚のかゆみの受容体に結び付いて合体し、神経を通して脳に信号が送信されることでかゆみが皮膚に認識されると想定されています。また神経から放出された神経ペプチドという神経伝達物質がもっと肥満細胞に刺激を与え、ヒスタミンの分泌がさらに促されて、かゆみが増長していくと想定されています。

⑥紫外線

UVA(紫外線A波)とUVB(紫外線B波)に分類されます。UVAは肌のたるみやシワに関与し、UVBは肌の細胞障害に関わっています。紫外線を長い間浴びると乾燥が進行する要因になります。

⑦病気

アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患以外にも、糖尿病やがん治療中の人、慢性の腎臓病、人工透析が原因になる場合があります。例を挙げると、糖尿病では尿量が増長して脱水傾向になりますが、その影響を受けて皮膚の水分量が落ちて乾燥し、皮膚炎を引き起こしやすくなります。それ以外にも、放射線治療や抗がん剤治療、紫外線暴露療法など、別の病気の治療が原因に皮脂欠乏症を発症する場合もあります。

⑧生活習慣の変化

ライフスタイルの変化により乾燥肌が進行していきます。

⑨電気毛布の使用

▽原因となる行動

角層のバリア機能の低下する原因の行動は、以下の様な要因が絡み合って引き起こされます。

・紫外線で、肌表面の角層がダメージを受けたとき

・ストレスや不規則な生活で肌のターンオーバーが乱れてしまうとき

・お湯や、炊事、洗濯による強力な洗浄剤を使うことで必要な皮脂が流されてしまうとき

・タオルでの過剰な摩擦刺激や、洗い過ぎなど誤ったスキンケアをしているとき

・エアコンなどを使い、乾燥した部屋にいることで、皮膚の乾燥が進行するとき

・歳を重ねて皮脂やうるおい成分(天然保湿因子)、バリア機能が落ちやすくなるとき

そして、乾燥肌を放置してしまうと、少しの外側からの刺激でもかゆみや湿疹などの皮膚トラブルを引き起こしやすくなります。

▽治療法

皮脂欠乏症を治療する時には、保湿剤を塗ることといった薬物治療を施します。夏はサラサラと感じるローション、冬は高保湿のクリームや軟膏など、使い分けをする時もあります。皮膚の炎症が見受けられ、湿疹などを引き越している時には、主に以下の様な治療薬が医師から処方されます。

軽症「皮脂欠乏症」の場合: 市販の保湿クリームで十分です。

中等症「皮脂欠乏性湿疹」の場合: 保湿にプラスして、抗炎症作用のあるステロイド外用剤が必要です。

重症「貨幣状湿疹」の場合: 保湿にプラスして、細菌の繁殖を防ぐために抗生物質を含んだステロイド外用剤が必要です。

引用:皮脂欠乏性湿疹 上田皮膚科医院

◉ステロイド薬

血管収縮作用や抗炎症作用などで、皮膚のかゆみ・炎症などを緩和させる作用を持っています。作用の強さによって5段階に分類され、症状の程度や年齢などに対応して使い分けして塗ります。副作用として、皮膚が薄くなり血管が浮き出て見えたり、皮膚の色素脱失が起こったりすることがあります。薬剤師や医師の指示の元で、用量・用法を正しく守って使う様にして下さい。

◉抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬は、かゆみを誘発する要因の1つともされているヒスタミンの放出を抑制させ、かゆみを改善すると想定されています。主な副作用では、眠気や喉の渇き、便秘、吐き気などが生じる場合があります。薬剤師や医師の指示の元で、用量・用法を正しく守って使う様にして下さい。

▽予防策

❶治療薬を正しく使う様にして下さい。

皮膚に潤いをもたらす塗り薬や、またかゆみや湿疹を抑える飲み薬や塗り薬などがあります。治療薬は薬剤師や医師の指示の元で、正しく使用する様にして下さい。

❷入浴はぬるま湯に短時間浸かる。

熱いお湯へ長い時間入浴すると、皮脂が失われてしまいます。38~40℃ほどのぬるま湯に15分程度浸かると良いでしょう。ナイロンたわしやブラシなどで肌をゴシゴシ洗うのは止めましょう。

肌に余分な刺激を与えない様に、よく泡立てたボディーソープで包む様に柔らかく洗いましょう。洗浄成分の洗い残しは湿疹の要因です。洗い残しがない様によく流しましょう。

ナイロンタオルを使うことは肌へ過剰な刺激となって、皮膚のバリア機能の低下に陥ります。その結果、かゆみや湿疹を引き起こします。身体を洗う時は、シルクや綿などの天然素材のタオル、または手で優しく洗うことが好ましいでしょう。

❸水分を優しく拭いて保湿する。

入浴した後は身体から水分が蒸発しやすいことから、可能なら5分以内に保湿を行い水分を逃がさない様にして下さい。ゴシゴシと強く擦ってしまうことで、皮膚を傷付けてしまうので、注意が必要です。その時にもタオルで強くこするのではなく、そっと肌にタオルを当てて、水分を吸収させる様にイメージで優しく拭き取ると良いでしょう。

水に濡れた皮膚は刺激に弱いので、水分の拭き残しがない様に注意して下さい。入浴した後の皮膚はふやけた様な状態となり、刺激に対して非常にデリケートな状態です。一見潤っている様に見えても、外気に触れると一気に乾燥が進行していきます。皮膚が潤っている間に、十分に水分を拭き取ったら、保湿を忘れずに行いましょう。

❹食事内容にも気を配る。

肌も身体の一部なので、栄養が足りなくなると、肌の質も悪くなってしまいます。特にダイエットで偏った食生活をしたり、外食や加工食品が中心の食生活では、栄養バランスが取れていないことが非常に多く、乾燥肌にも影響を与えます。

多くのミネラルやビタミン・アミノ酸などが複合的に機能して、肌が形成されています。1つの成分だけにこだわらず、バランスの良い食生活を意識しましょう。

❺刺激物は控えめにする。

香辛料やカフェイン、アルコールなどは過剰な皮脂や汗の分泌、血行促進などを招き、肌のかゆみを引き起こす時があります。過度な摂り過ぎを控え、適量を意識しましょう。

❻室内の環境を整備する。

特に秋から冬の季節は空気が乾燥しやすく、ファンヒーターやエアコンを使うことで、さらに室内は乾燥しやすくなります。加湿器で湿度を50~60%ほどに設定し、バスタオルなどの洗濯物を干すなど、室内を一定湿度を維持する様にしましょう。

❼紫外線から身を守る。

「紫外線=夏」のイメージが強いと思いますが、冬の季節でも紫外線はあります。紫外線には主にUV-AとUV-Bの2種類ですが、2つとも肌の細胞障害やコラーゲン線維の減少を介して、肌の質に大きく影響を与えます。

日焼け止めを使ったり、長袖や帽子を着用するなど、紫外線から身を守る様にしましょう。

❽衣類は低刺激のものを選ぶ。

ナイロンやポリエステルなどの化学繊維の衣類は皮膚への過度な刺激を与え、かゆみを誘発する場合があります。木綿といった、刺激の少ない衣類・肌着を着用して、皮膚へのストレスを減らしていきましょう。肌に直接触れる肌着は木綿などの天然素材が良いと思われます。

❾汗を拭く。

汗を拭かずに放置してしまうと、汗の成分がかゆみを誘発させる場合があります。汗をかいたら、汗拭きシートやタオルなどで拭くことを意識しましょう。

➓生活のリズムを整える。

ストレスや睡眠不足、生活のリズムの乱れは、皮脂の分泌にも大きく影響を与えます。普段から肌トラブルが多い人は、規則正しい生活を意識する様にしましょう。

11肌をかかない。

かゆいからといって、皮膚をかいてしまうと、それがまた違う刺激となり、症状がさらに悪化していきます。かいた箇所から炎症が拡大し、感染症を誘発する場合もあるため、かかないことがまずは大切な行動です。

かゆみが酷くてかいてしまいそうな時は、皮膚科を受診し、適切な治療を受けた方が良いでしょう。

参考サイト

かゆみ、皮脂欠乏症(ひしけつぼうしょう)の原因と治療法 医療法人 エルア会 マオメディカルクリニック

『皮脂欠乏症』の症状・治療法 ヒフノコトサイト

乾燥肌(皮脂欠乏性湿疹)について解説【原因・症状・普段のケア方法】 ひまわり医院(内科・皮膚科)

かさかさ、乾燥肌(皮脂欠乏性湿疹) 医療法人たまき皮フ科

私の母が皮脂欠乏症だから、

この記事を書きました。母は長いこと、背中のかゆみに悩まされて来ました。薬を塗るとかゆみが落ち着きますが、時間が経つと1日に何回かかゆく、前は「身体は年を取ると、肌が潤いがなくなって、乾燥してくるから」しか言われていませんでしたが、この間の通院で病名を聞くと、皮脂欠乏症と言われました。

先生が「同じ皮脂欠乏症の人に、肌が若くなる薬を下さいと言われるけど、それは無理だと言う」と言われたので、私が「やっぱり年には勝てないってことだね」と言うと、母は「そんなこと言わないで」と言いました。

この時の通院には、私の皮膚疾患にも大きなことがありました。なかなか予定が合わず行けない私は、薬はずっと受診の母に代理で貰って来て貰っていましたが、「本人が来ないと病変が分からないから薬は出せない」と言われたのと、色んなことがあって額の脂漏性皮膚炎がまた悪化したので、仕事終わりに行きました。

大学病院で「良く治っていたのに、強い薬だから1日1回しか駄目だと言われたの、なぜだろう?」と思っていて、私は感染症の記事を書き出してから症状、合併症などに敏感になり、「なぜですか?」と聞くと、こうなるからと言われて、副作用の写真を見せて貰いました。

かなり肌が赤い写真で、私が記事を書いたもので言えば、はやり目やりんご病みたいな赤さでした。「こうなると元には戻らないから、かゆい時にしか塗っては駄目」と言われました。

その時には大学病院で追加された薬の方だと思っていましたが、薬局に行くと、そちらではなく、かかりつけの皮膚科で以前から貰っている薬が、実はかなり強い薬であることが分かりました。

それを知って、怒っていることは、手の洗剤まけに効く薬は強い薬だと言われていたのに、その薬に関してはそんなことは一度も何も言われず、額の脂漏性皮膚炎になってから、大学病院の薬に替わるまで、3年以上塗り続けていたことでした。

脂漏性皮膚炎の病名も言われて来なかったですし、その強い薬に関しても、大学病院に行って気になったから聞いたら、予想していなかったことを言われて…。私は皮膚科を長く通院する様になったのは、30代で脂漏性皮膚炎になってからで、「こっちが聞かないと、病名も薬の副作用も説明して貰えないものなのか?」と思うと、それが今不満です。

私の話は愚痴になるので、この辺りで失礼します。

noteでも書いています。よければ読んでください。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。