風疹(三日ばしか)。心臓病や白内障などの先天性風疹症候群にも注意すべき感染症。 

風疹

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

風疹とは、風疹ウイルスによって発症する急性の発疹性感染症で、空気感染するほどの強い感染力ではありませんが、風疹の免疫を持たない人たちの集団がいた場合、1人の風疹の感染者から5~7人に移す強い感染力を有します。

リンパ節の腫れ、発熱、発疹の3つの症状が特徴的な急性ウイルス性疾患となり、発疹も熱もおよそ3日間で治癒するので「三日ばしか」とも呼ばれる時があります。感染力は、はしか、水ぼうそうより弱いと言われています。

感染症状を示さない不顕性感染や重篤な合併症併発まで症状は幅広く、特に大人が発症した場合、発疹や高熱が長く継続し、関節痛を認めるといった、子どもより重症化するケースがあります。また、脳炎や血小板減少性紫斑病の合併症を発症するといった、入院・治療が必要な場合もあるため、決して軽視はできない感染症だと言えます。

不顕性感染の人が15~30%ほどいると想定されています。

また、風疹への免疫が不十分な妊娠20週頃までの妊婦さんが風疹ウイルスに感染した場合、先天性風疹症候群(CRS)の赤ちゃんが生まれてくる可能性が非常に高くなります。

以前は5年周期で流行を繰り返し、1990年代前半までは数年ごとに大規模な流行が見受けられましたが、現在は男女共に幼児の定期接種が2回義務付けられていて、1994年以降、大きな流行は見られなくなりました。

しかしここ数年、アジアとアフリカを中心に海外からの風疹ウイルスが国内で度々見られる様になって、2012~2013年に全国で風疹が大流行しました。その上2018年8月には首都圏を中心に、感染者が急増する事態にまでなりました。風疹への免疫が不十分な世代への対策が喫緊の課題です。

今回は風疹の症状、原因、合併症、先天性風疹症候群(CRS)などについてお伝えします。

▽症状

風疹を発症すると、2-3週間の潜伏期を経て、典型的な症状としてリンパ節の腫れ・発熱・発疹の3つが出現します。

⚫︎リンパ節の腫れ

風疹に感染した時に、最初に耳の後ろや首の周囲を中心としたリンパ節が腫れ、熱が落ち着いた後も数週間持続します。

⚫︎発熱(39度未満)

風邪に似た症状、微熱が出現します。その後に発疹が出現すると同時に高熱となります。発熱は数日で比較的すぐに下がります。

⚫︎ピンク色の発疹

風疹の発疹は身体の広範囲に淡く小さいぶつぶつが出現する場合が多いです。数日のうちに発疹は色素沈着を起こさず痕を残すことはキレイに消えてしまい、ほとんどないと言われています。

それ以外にも眼球結膜の充血、嘔気、頭痛、全身倦怠感、咳、鼻水、身体のだるさ、痛みのない口蓋斑点、軽い結膜炎などを発症するだけです。

感染者の50-80%に起こる発疹は、一般的に、顔、首回りから始まり、体幹へと下がり、1-3日で治癒します。大人での感染は女性に多く、一般的に、3-10日持続し、発疹が消えた後に一過性の手指の痛みやこわばり、関節炎や関節痛が出現します。

最も移りやすい時期で、風疹の感染者が他の人に感染させる時期(感染可能時期)は、ピンク色の発疹が出現する前後のおよそ1週間です。

▽原因

現在は男女共に風疹の定期予防接種を2回実施していますが、1977~1995年までは中学生の女子生徒のみが定期接種の対象だったことから、感染者の7割が大人です。特に男性の罹患率は高水準で、女性のおよそ2倍です。

▽かかりやすい年齢

風疹の定期予防接種を受けたことがない人、今までに風疹に感染したことがない人です。

かかりやすい年齢は5〜15歳となりますが、大人が感染する場合もあります。大人は重症化しやすく、発熱や発疹の期間が子どもより長引く傾向です。

3〜10年の間隔で流行すると想定されていて、春から初夏によく流行します。

▽合併症

極めて稀に数千人に1人の割合で、脳炎、血小板減少性紫斑病(患者およそ3,000人に1人)、急性肝炎(患者およそ6,000人に1人)、溶血性貧血、進行性風疹全脳炎などの報告も届いています。

血小板減少性紫斑病以外はかなり珍しい症状で、基本的に風疹を発症した人が重篤化することはほとんどなく、回復する感染症です。

▽先天性風疹症候群(CRS)

先天性風疹症候群を持って生まれたお子さんは、白内障、網膜症、緑内障などの視力障害、難聴などの聴力障害、肺動脈狭窄症、動脈管開存症、心室中隔欠損などの心臓障害、精神や身体の発育発達の遅れ、それ以外にも、自閉症など発達障害、糖尿病、肝脾腫、小頭症、血小板減少、哺乳障害、脳性まひ、骨の発達障害、骨髄炎、発育地帯、甲状腺機能不全など、生命に関わる身体障害を発症する恐れがあります。

それ以外にも赤ちゃんの頃に出現する症状では、低出生体重、貧血、肺炎、脳炎などを発症します。

これらの症状のほとんどは、高額な薬の投与、手術、それ以外にも多額の医療サポートが必要です。

出産可能年齢の女性が先天性風疹症候群に対する抗体(定期予防接種または風疹の既往歴)を持っていない国では、先天性風疹症候群のリスクが極めて高水準な状態です。定期予防接種のワクチンが導入される以前は、出生1000人当たり4人に上る赤ちゃんが先天性風疹症候群を持って生まれてきました。

▽重症化しやすい人

もしも妊婦さんが妊娠20週頃までに風疹を発症すると、風疹ウイルスは血液を通して子宮内の赤ちゃんが風疹に感染させ、流産や死産、または生まれた赤ちゃんが耳や目、先天性の心臓病などに障害を抱えている可能性もあります。特に妊娠初期の12週までの時期に、障害を抱えて生まれて来る可能性が高いと言われています。

妊娠1ヵ月で風疹を発症した場合、赤ちゃんが先天性風疹症候群になる可能性は50%以上。妊娠2ヵ月の場合は35%、妊娠3ヵ月で18%、妊娠4ヵ月で8%程度と、少しずつ低くなっていきます。

妊婦さんを風疹の発症から守る為にも、特に次の①から④に該当する方は、風疹の定期予防接種を受けて下さい。

①風疹の定期予防接種対象の人(第1期、第2期)

②妊婦さんのパートナー、子ども及びそれ以外の同居家族

③10代後半から40代の女性(特に、妊娠希望者または妊娠する可能性の高い人)

④産褥早期の女性

▽感染経路

風疹ウイルスの感染経路は、風疹ウイルスを持っている人の咳・くしゃみ・唾液を吸い込む飛沫感染で、ヒトからヒトへ感染します。

風疹ウイルスの排泄期間(他人に移す期間)は、ピンク色の発疹が出現する1週間前から発疹が消えた後の1週間程度で、発熱が治まると感染力は急激に弱まっていきます。

▽診断基準

はしかや水ぼうそうと異なり、3徴候(リンパ節の腫れ・発熱・発疹)のどれかの症状だけで医師が診断を下すことの困難な病気です。

その時に、他の病気ではないことを見つける為に、検査が必要です。例を挙げると、溶連菌による発疹やりんご病などをハッキリと識別する為に、血液検査を実施したりします。

最も多く実施される検査は血清診断です。赤血球凝集抑制反応、酵素抗体法などで風疹の急性期と回復期に血液中にある風疹の抗体(抗体価)やその抗体(抗体価)の量の変化を分析します。それ以外にも、風疹ウイルスの遺伝子が血液や体液中に存在するかを分析するPCR法もあります。

▽風疹抗体検査

自分が風疹を発症する可能性があるのかないのかは、風疹の抗体検査で判断できます。

妊婦さんの定期健診では、必ず風疹の抗体(抗体価)を分析します。以前の定期予防接種を受けた人でも、その後風疹の抗体(抗体価)の量が少なくなってしまった人も風疹を発症する恐れがあるので、現在の風疹の抗体価の数値を確認することは非常に大事です。

風疹抗体検査には、2つの方法があります。

下の表のように、「HI法」なら陰性または16倍以下、「EIA法」なら陰性または8.0未満の数値の場合、風疹にかかる可能性があることを意味しています。

画像・引用:妊娠時に気をつけたい感染症「風疹(ふうしん)」 育児と乳歯の情報サイト ママあのね

▽治療法

風疹ウイルスに効果のある治療薬は現在でもありません。特別な治療法もないので、解熱鎮痛剤や水分補給などの対症療法を行います。

先天性風疹症候群などの合併症があったり妊娠初期の風疹の発症でなければ一般的には予後も良好で、ピンク色の発疹が消失するまで1週間程度安静にしていれば自然と治癒していきます。

▽予防策

風疹の症状は他の感染症と異なり、強くありません。ですが、先天性風疹症候群などの合併症にはリスクがあることから定期予防接種を受けることが大切です。弱毒株の風疹ウイルスを接種し、風疹ウイルスへの免疫を獲得することが可能です。現在は麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)が定期予防接種で活用されています。

▽ワクチン

風疹ワクチン(現在一般的に定期予防接種をされているワクチンは、麻疹風疹混合ワクチン)を接種することで、95%以上の人が風疹ウイルスへの免疫を獲得することが可能だと言われています。また、2回の定期予防接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方のほとんどで免疫を獲得することが可能です。

風疹ワクチンは弱毒性生ワクチンで会って、1回の定期予防接種で95%以上の人に長期間の持続免疫があります。これは、自然感染により獲得免疫が誘発されるものと同水準です。

風疹ワクチンは、1価の製剤(1種類だけの病原に対するワクチン)や、より一般的にはそれ以外のワクチンとのかけ合わせ(麻疹とかけ合わせたMRワクチン、麻疹とおたふくかぜとかけ合わせたMMRワクチン、これに水ぼうそうを含めたMMRVワクチン)で使われています。

◉定期予防接種対象年齢

1期 生後12ヵ月(1歳)から生後24ヵ月(2歳)に至るまでの間にある人

2期 5歳以上7歳未満の人で、かつ小学校に就学する前の1年間

▽ワクチンの定期接種状況

画像・引用:風しんとは 那覇市(2023年)

1977年に風疹は定期予防接種となりました。まだ当時は中学生の女子生徒のみが風疹の定期予防接種の対象で、それから男女共に定期接種の対象となりましたが、1978年以前生まれの男性は、制度上は定期予防接種を受けられる機会そのものがなかったといいます。

40~50歳代の男性を中心に全く風疹の免疫を獲得していないケースも珍しくなく、この年代の男性が風疹抗体検査を受け、必要な予防接種を受けると、風疹は流行しなくなるとも想定されています。

また40~50歳代の世代の男性は、パートナーや子どもが妊娠可能年齢に該当するケースも多いことで、先天性風疹症候群の発症の懸念からも注意を払って下さい。そのことから、2019年から成人男性に対する風疹ワクチンの定期予防接種がスタートしました。

▽ワクチンの副反応

予防接種を受けた後の副作用は基本的には軽度で済みます。注射した部位の痛みや微熱、発赤、発疹、筋肉痛などが引き起こされる時があります。

▽接種できない人

画像・引用:日本小児科学会

▽登園・登校の目安

風疹は「第2種学校感染症」なので、発疹が消失するまで出席停止とされています。

▽獲得免疫

一度発症し治癒すると、ほとんどの人は風疹の免疫を獲得し、二度とかからないとされ、風疹の免疫は生涯続くと言われています。

▽再診の目安

・発熱が3日以上続いているとき。

・ぐったりして元気がない状態のとき。

参考サイト

風疹(三日ばしか)とは 武蔵小杉皮ふ科

「風しん」ってどんな感染症? 感染症対策コンシェルジュ

風疹(風しん) ドクターズ・ファイル

大人の風しん(風疹)ワクチン ユアクリニック秋葉原

風疹 メディカルノート

母が大学生の時、

風疹らしきものにかかったそうです。頬が赤くなり、ブツブツの発疹ができましたが、熱が出なかったことから、周りの友達も「ちょっとブツブツできてるね」としか言われなかったそうです。

後日ブツブツを治すために皮膚科に行くと、ボールペンで肌を撫でられ、「貴方はこうやって撫でると跡が付くから、跡が付く体質で大したことはありませんよ」しか言われませんでした。

ただ母は耳のリンパがゴリゴリと腫れていたそうですが、何もそれも皮膚科では聞かれなかったそうです。

その後完治しましたが、同級生で風疹にかかった人が新学期にいて、「もしかして私も風疹だった?」と思ったそうです。

母は「熱があれば内科に行ったと思うけど、熱が出なくてブツブツができていたから、皮膚科しか行く選択肢はなかった」と言ってました。

これは後から母が言っていたのですが、私は生まれた時、風疹抗体が高い水準で生まれて来たことが検査で分かり、多分あれは風疹だったんだろうと言っていました。

今は風疹はほぼ出ていませんし、はしかも流行が収まったと思います。どちらにしろワクチンがある位なので、かかりたくはないと思います。

noteでも書いています。よければ読んでください。

風疹

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。